智恵子の故郷・福島県二本松市の観光大使を務められている、女優の一色采子さん。お父さまの故・大山忠作画伯が二本松ご出身で、同郷の智恵子をモチーフにした絵を複数描かれました。そうしたご縁から、二本松でのレモン忌、当会主催の連翹忌にもご参加下さっています。

また、近年は「智恵子抄」朗読の公演等を、あちこちでなさってもいます。
二本松レポート その3 「智恵子・レモン忌 あいのうた」。
第35回アイメイトチャリティーコンサートレポート。

以前にもちらっとご紹介しましたが、来月、銀座と二本松で、一色さんが智恵子役をなさる「朗読劇 智恵子抄」の公演があります。

朗読劇 智恵子抄

東京公演
 期 日 : 2021年12月4日(土)
 会 場 : 銀座ブロッサム中央会館 東京都中央区銀座2丁目15番6号
 時 間 : 開場 13:30 開演 14:00
 料 金 : 4,000円 (税込・全席指定)

 期 日 : 2021年12月12日(日)
 会 場 : 二本松市安達文化ホール 福島県二本松市油井字濡石1-2
 時 間 : 第1回目公演 14時00分開演(13時30分開場)
       第2回目公演 16時30分開演(16時00分開場)
 料 金 : 前売券 全席指定3,000円(税込) 当日券 全席指定3,500円(税込)

出 演:高村光太郎 横内正  高村智恵子 一色采子  柳八重 山吹恭子  
    柳敬助・草野心平 喜多村次郎

高村光太郎の詩集「智恵子抄」は、妻・智恵子に関する詩29篇、短歌6首、散文3篇が収録されている作品集。今回の朗読劇の原作となる戯曲『智恵子抄』は、1956年に初代水谷八重子と大矢市次郎によって初演された北條秀司の創作劇で、高村は「北條君なら一切委せる。発表前に台本を見なくてもいい」と全幅の信頼を寄せて舞台化を許可した。

その北條秀司作『智恵子抄』を、劇団新派の文芸部である成瀬芳一が朗読劇に仕立て直し、 智恵子役には、智恵子の故郷・二本松には所縁の深い女優・一色采子が満を持して挑む。高村光太郎役には、舞台・テレビ・映画と幅広く活躍している俳優・横内正が出演する。

詩集「智恵子抄」出版80周年記念の年に、お馴染みの詩をふんだんに織り交ぜながら、光太郎と智恵子の夫婦愛を感動的に描く朗読劇に期待したい。

【ストーリー】

長沼智恵子は、福島県二本松の近在の酒造りの家の長女として生れ、土地の高等女学校を卒業してから東京目白の日本女子大学校家政科に入学、洋画に興味を持ち始め、卒業後東京に留まり油絵を学んだ。そして同級生の柳八重の紹介で高村光太郎を知り、激しい恋心を抱くようになった。一方光太郎は、明治の名工高村光雲の長男として生れ、父の伝統を受けて彫刻家となったが、新進詩人としても華やかな存在だった。彼は放蕩無頼の芸術家達と交わり、自堕落な生活を送っていたが、智恵子を知ってからは、彼女の清らかな美しさに洗い清められ、以前の退廃生活から救い出されていた。智恵子の愛によって清められた光太郎は美の世界にとびこみ、彫刻の道に骨身をけずり、妻に迎えた智恵子との愛の歓喜を歌った詩がほとばしるように生まれた。
その後智恵子の実家は凋落し、家屋敷が人手に渡った。芸術的精神と物資に恵まれない家庭生活との板挟みとなるような月日が二人に重くのしかかっていた。智恵子は訪ねて来た八重に、画を捨てて世話女房になって高村をたすける事を告げたが、同時に幻聴が襲って来る悩みも打ち明けた。その後無残にも智恵子は精神分裂症になりはてていた。静養のため九十九里浜に転地した智恵子の症状はややもち直したが、その後南品川のゼームズ坂病院に入院した智恵子の病状は悪化していった。昭和13年光太郎の献身的な介抱むなしく、智恵子の肉体は遂にこの世を去った昭和20年、戦争で東京の住居を焼かれ、心に智恵子を抱きながら光太郎は、岩手花巻の山中に山小屋を作り、一人で生活していた…。
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日テレさんのニュースで紹介されました。

一色采子「完成形のない分野」 朗読劇に初めて挑む心境を語る

 俳優の一色采子さんが東京・銀座ブロッサム中央会館で行われる朗読劇『智恵子抄』(12月4日上演)で、初めて朗読劇に挑戦。舞台に挑む心境を語りました。
 朗読劇は、詩人・高村光太郎氏の詩集『智恵子抄』の出版八十周年記念として上演。高村氏と妻・智恵子さんとの夫婦愛が描かれていて一色さんは妻・智恵子役として出演します。一色さんは「今回、智恵子をやらせていただくってことになってとてもうれしかったです」と話しました。
 実は、一色さんの父・日本画家の大山忠作氏は福島県二本松市出身。高村さんの妻・智恵子さんと同郷で共通点もあり「私の父が福島県の二本松市出身で智恵子と(出身地が)同じなんです。ゆかりのある人間として…」と出演依頼を受けた当時を振り返りました。
 また初めて挑む朗読劇について「俳優って、どうしてもセリフがあるとそれにあった動きをしたくなっちゃう、隣に人がいると、その人に向かって(セリフを)言いたくなる、一番注意しなければいけないと思っているのが、朗読ですから本を持っていますので、劇のように動いたりして中途半端なものになってしまったらいけないなと思って、どういうふうにしたら見て下さる方が想像力を膨らませて朗読よりはちょっと立体的なものができる、完成形のない分野ですので今探りながら(稽古を)やっているという感じです」と心境を明かしました。
 最後に一色さんは「朗読劇っていうのがどういうものかっていうのをうわーこんなに想像力が膨らむものなんだっていうふうにご覧いただけたら、そういうものが出来上がったらいいなと思って一生懸命稽古していますので是非お楽しみにいらして下さい」と笑顔で話しました。
 夫の高村光太郎役は俳優の横内正さんが務め、朗読劇は智恵子さんの出身地、福島県二本松市でも上演されます。
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原作が北條秀司の「智恵子抄」ということになっています。北條は演劇会の大御所脚本家で、「北條天皇」とも称された人物。戦時中には日本文学報国会の総務部長を務め、その関係で駒込林町の光太郎アトリエを、軍歌の作詞依頼で訪れたりもしています。

戯曲「智恵子抄」は、光太郎が歿してすぐ、昭和31年(1956)6月の『婦人公論』に発表され、翌年には初代水谷八重子さんが智恵子役、故・大矢市次郎さんが光太郎に扮して上演されました。その後、富司純子さん/故・高島忠夫さん有馬稲子さん故・高橋昌也さんでも公演がなされました。

今回は「朗読劇」と銘打っていますので、それらとは異なり、通常の演劇のスタイルではなく、朗読をメインに演じられるようですが、そうなると、「北條秀司原作」との関わりがよくわかりません。来週、無理を言って稽古を拝見させていただけることになりましたので、その際に確かめてこようと思っております。

銀座、二本松、お近くの方に、ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

ひる大工さん出来上る、ガラス戸其他完備。


昭和26年(1951)6月3日の日記より 光太郎69歳

蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋の増築、のちに電気工事が入りますが、この日で造作の部分は完了しました。
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中央が元々の小屋、左が増築部分。右の方の小さいのは、便所や風呂の棟です。

元々の小屋は「高村山荘」として、二重の套屋に覆われて保存されていますが、増築部分は切り離されて数十㍍移設、倉庫として使われています。
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