昨日の午前中、情報検索をしておりますと、ツィッター上に、「NHKさんで放映中の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の次週予告で、光太郎作詞の戦時歌謡「歩くうた」が流れた」という書き込みが複数ありました。

当方、拝見しておりませんで、驚いて、12:45からの再放送を見てみたところ、たしかにそのとおりでした。
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3人のヒロイン(上白石萌音さん・深津絵里さん・川栄李奈さん)が、母から娘へとバトンをつなぐ三世代100年のファミリーストーリー」ということで、現在、戦時中が描かれていますので、それもありかな、と、思いましたが、意外といえば意外でした。

「歩くうた」は、昭和15年(1940)、光太郎が作詞し、飯田信夫の作曲で「国民歌謡」として発表されました。飯田信夫は「隣組」なども手掛けた作曲家です。翌年には徳山璉(たまき)の歌唱でレコード化され、それなりにヒットしたようです。歌詞など詳しくはこちら
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確認できている限り、戦時中にレコードは4種類リリースされています。徳山歌唱のものが2種、合唱によるものが1種、歌のないインストゥルメンタルバージョンが1種。戦後も故・小沢昭一さんや佐川満男さん、藍川由美さんなどがカバーしていますし、ブラスバンド用に編曲されたCDなども出ています。

故・髙村規氏や、故・金田和枝さんなど、戦時中に少年少女だった方々の中には、この歌を歌いながら行進するように登下校した、という思い出をお持ちの方がいらっしゃいます。それにしても、令和の現代に、「次週予告」で10秒ほど流れただけで(「作詞・高村光太郎」というテロップなどありませんでした)、光太郎の「歩くうた」だ、とわかる方々が結構いらしたことに驚いております。まぁ、「何だ、あの曲は?」と、歌詞を手がかりにネットで検索された方もいらしたかもしれませんが。

ちなみに来週の「カムカムエヴリバディ」は、「学徒動員に応じて、稔(松村北斗)と勇(村上虹郎)は出征。安子(上白石萌音)は娘のるいを授かる。一方、戦況は悪化し本土への空襲が頻度を増す中で、岡山も大空襲を受け、市内の大半が焦土に。その後まもなくして終戦を迎える。空襲で家族を失い、悲しみに暮れる安子だったが、父の金太(甲本雅裕)に和菓子作りを教わり、焼け跡で和菓子を売り始める。そんな中、安子の元にさらなる訃報が届く。」だそうです。

「次週予告」だけでなく、本編でも「歩くうた」が流れるのでしょう。気をつけてみてみたいと思います。

それ以外に、光雲、光太郎智恵子がらみの番組も。

京都紅葉生中継2021 「古都を照らす希望の光〜曼殊院の紅葉を堪能!高島礼子」 

BS11イレブン 2021年11月23日(火) 19:03〜20:54 

夜の闇を照らし、希望の象徴とされる「光」。時に豊かな時間を過ごすために、時に孤独や不安と抗うように願いを込めて灯し続けられてきた古都の「光」「ともしび」をテーマに、ライトアップされた名所の紅葉とともに綴ります。メインスタジオは、京都洛北の「小さな桂離宮」曼殊院門跡。宮中の造形美を受け継ぐ格式高い門跡寺院の紅葉は、鮮やかな差し色となる名高い紅葉スポットとなっています。

今夜はそんな曼殊院門跡から生放送でお送りいたします。コロナ禍の今こそ自宅で楽しんでいただきたい京都の紅葉。ゲストには俳優の高島礼子さん、音楽ゲストには、ギタリストの押尾コータローさん、解説には国際日本文化研究センター井上章一所長をお迎えし、KBS京都・BS11の共同制作でお送りします。京都の紅葉と希望の「光」、そして、華麗なテクニックを駆使したギターの音色で彩る風雅な2時間をお楽しみください。

【メイン舞台】『曼殊院門跡』
洛北の一乗寺に築かれた格式高い門跡寺院で、伝教大師最澄が比叡山延暦寺に建立した道場が起源で、桂離宮を造営した八条宮智仁(としひと)親王の御子・良尚(りょうしょう)法親王が現在の地に造営して以来、宮中の造形美を受け継ぐ寺院として知られており、楓が茂る石段の上に立つ勅使門や、山際の紅葉が鮮やかな差し色となる枯山水庭園が名高い。

【中継先】
『知恩院』
(法然が開いた浄土宗の総本山。三門をはじめ御影堂など大伽藍を誇る。友禅染の始祖・宮崎友禅生誕300年を記念して造られた庭園「友禅苑」の池には、高村光雲作の聖観音菩薩立像が立ちライトアップに浮かびあがる)
『金戒光明寺』
(「くろだにさん」として親しまれる浄土宗発祥の地。幕末には京都守護職本陣が構えられた新選組ゆかりの寺としても有名。参道脇にたたずむ五劫思惟阿弥陀仏も人気)

出演者 高島礼子(俳優) 押尾コータロー(ギタリスト)
    井上章一(国際日本文化研究センター所長)
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生放送の番組だそうですが、現在、ライトアップ中の知恩院さんからの中継も入るとのこと。番組説明に光雲作の聖観音像に関する記述がありますので、そちらも取り上げられるのでしょう。

もう1件。

<BSフジサスペンス劇場>浅見光彦シリーズ22 「首の女」殺人事件 

BSフジ 2021年11月26日(金) 12:00〜13:58

福島と島根で起こった二つの殺人事件。ルポライターの浅見光彦(中村俊介)と幼なじみの野沢光子(紫吹淳)は、事件の解決のため、高村光太郎の妻・智恵子が生まれた福島県岳温泉に向かう。光子とお見合いをした劇団作家・宮田治夫(冨家規政)の死の謎は?宮田が戯曲「首の女」に託したメッセージとは?浅見光彦が事件の真相にせまる!!

<出演者>
中村俊介 紫吹淳 姿晴香 菅原大吉 冨家規政 中谷彰宏 伊藤洋三郎 新藤栄作 榎木孝明 野際陽子ほか
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故・内田康夫氏原作の2時間ドラマで、初回放映は平成18年(2006)、その後、繰り返し再放送が為されています。光太郎彫刻の贋作を巡る殺人事件が描かれ、花巻の旧高村記念館、二本松の智恵子の生家などでもロケが行われました。かなり内田氏の原作に忠実に作られています。

それぞれ、ぜひご覧下さい。

【折々のことば・光太郎】

夕方弘さん来て明夕六時ラジオでブランデンブルグ六番があるとの事、


昭和26年(1951)5月29日の日記より 光太郎69歳

蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋で、ラジオ放送は光太郎にとって無聊をかこつ慰謝となっていました。「ブランデンブルグ」はバッハ作曲。光太郎は昭和23年(1948)に、「ブランデンブルグ」という詩を書いています。開拓団の弘青年、それを知っていて、光太郎に放送予定を教えてあげたのでしょう。