まず、頂き物。詩人の間島康子氏から近著が届きました。
しずかにゆったりと 紡ぎ出される言葉が 森をとおる風に運ばれるように 優しくひっそりと ひかえめに しかし 確乎とした意志をもって 読む人のこころに届けられる。
目次
つながる
つながる 一瞬にして 春を歩く 冬の旅 ちいさな子のいる風景
霧の中に
霧の中に つゆ 蛙の子 六月の花 山羊のいる風景 少年の功徳
部屋
部屋 母の領域 秋から冬へ・メタセコイアの道を通って 冬から春へ・糸を引く
その日まで 終わる家
ハユラコ
ハユラコ hajurako 行くところ 海辺の町 近景 微笑 細い家
桜追想
桜追想 ふるさとあれこれ みすゞの町 智恵子の空 国境の島にて
あとがき
初出一覧
著者の間島氏、様々な詩誌、文芸誌の同人であらせられ、光太郎智恵子について書かれた玉稿の載った『群系』という文芸誌を以前にも下さいましたし、平成30年(2018)には、第63回高村光太郎研究会でご発表もされました。
詩誌『駅』に連載されたエッセイの単行本化ということです。表題作の「ハユラコ hajurako」は、フィンランド語で「物理的に適切な人と人との距離」の意だそうで、昨今の「ソーシャルディスタンス」の話かと思ったところ、その項はコロナ禍前の平成30年(2018)のご執筆で、コロナとは無関係でした。「あとがき」では、そのあたりにふれられていますが。
終末近くに「智恵子の空」という一篇。平成25年(2013)のご執筆で、この年、千葉市美術館で開催された「生誕130年 彫刻家高村光太郎」展を御覧になったあと訪れた、智恵子の故郷・福島二本松のレポート的な内容です。
版元の樹海社さんという書肆、浜松在の自費出版系のようですが、ウェブサイトが見つかりません。奥付画像を載せておきますので、ご入用の方、そちらをご参考になさってください。
「智恵子」、「福島」ということで、もう1件。
二本松の智恵子顕彰団体・智恵子のまち夢くらぶさんが主催した「あなたが選ぶ『智恵子抄』総選挙」について、地元紙に続いて『読売新聞』さんも報じて下さいました。
「智恵子抄」。末永く愛されてほしいものです。
【折々のことば・光太郎】
よさの晶子のうた一首つくる、廿九日の会に電報で送らんかと思ふ。
「廿九日の会」は、与謝野晶子没後十周年記念講演会。電報で送られた短歌は、
ニホンゴ ハヨサノアキコノネツプ ウニイキテウゴ キテトビ テチリニキ
のち、この年7月の雑誌『スバル』に漢字仮名交じりで掲載されました。
日本語は与謝野晶子の熱風に生きて動きて飛びて散りにき
2021年11月15日 間島康子著 樹海社 定価2,500円+税
しずかにゆったりと 紡ぎ出される言葉が 森をとおる風に運ばれるように 優しくひっそりと ひかえめに しかし 確乎とした意志をもって 読む人のこころに届けられる。
目次
つながる
つながる 一瞬にして 春を歩く 冬の旅 ちいさな子のいる風景
霧の中に
霧の中に つゆ 蛙の子 六月の花 山羊のいる風景 少年の功徳
部屋
部屋 母の領域 秋から冬へ・メタセコイアの道を通って 冬から春へ・糸を引く
その日まで 終わる家
ハユラコ
ハユラコ hajurako 行くところ 海辺の町 近景 微笑 細い家
桜追想
桜追想 ふるさとあれこれ みすゞの町 智恵子の空 国境の島にて
あとがき
初出一覧
著者の間島氏、様々な詩誌、文芸誌の同人であらせられ、光太郎智恵子について書かれた玉稿の載った『群系』という文芸誌を以前にも下さいましたし、平成30年(2018)には、第63回高村光太郎研究会でご発表もされました。
詩誌『駅』に連載されたエッセイの単行本化ということです。表題作の「ハユラコ hajurako」は、フィンランド語で「物理的に適切な人と人との距離」の意だそうで、昨今の「ソーシャルディスタンス」の話かと思ったところ、その項はコロナ禍前の平成30年(2018)のご執筆で、コロナとは無関係でした。「あとがき」では、そのあたりにふれられていますが。
終末近くに「智恵子の空」という一篇。平成25年(2013)のご執筆で、この年、千葉市美術館で開催された「生誕130年 彫刻家高村光太郎」展を御覧になったあと訪れた、智恵子の故郷・福島二本松のレポート的な内容です。
版元の樹海社さんという書肆、浜松在の自費出版系のようですが、ウェブサイトが見つかりません。奥付画像を載せておきますので、ご入用の方、そちらをご参考になさってください。
「智恵子」、「福島」ということで、もう1件。
二本松の智恵子顕彰団体・智恵子のまち夢くらぶさんが主催した「あなたが選ぶ『智恵子抄』総選挙」について、地元紙に続いて『読売新聞』さんも報じて下さいました。
詩人で彫刻家の高村光太郎が妻・智恵子への思いをつづった詩集「智恵子抄」のうち、最も心に残った作品を決める「総選挙」の結果が発表され、「レモン哀歌」が1位に輝いた。
二本松市の団体「智恵子のまち夢くらぶ」の主催で、「智恵子抄」出版から今年で80年となるのを記念して実施した。4月から10月まで、郵便はがきや市内に設けた投票箱と用紙での投票を呼びかけたところ、全国から584票が集まった。
1位の「レモン哀歌」は140票を獲得。智恵子の最期を詠んだ作品で、光太郎は詩集に「私の持参したレモンの香りで洗はれた彼女はそれから数時間のうちに極めて静かに 此こ の世を去つた」と記している。
応募者からは同作品について「2人がとても愛し合っていたことが伝わってきて感動した」「幼少期から祖母に聞かされ、今でも時々思い出すほど好き」などのコメントが寄せられた。
2位は「あどけない話」、3位は「樹下の二人」だった。
同団体代表の熊谷健一さん(71)は「若い人も含め、予想以上にたくさんの応募があって驚いた。光太郎と智恵子の純愛を知る人が少しずつ増えているように感じられてうれしい」と話している。
総選挙の結果は、同団体が今月開催予定の第2回全国「智恵子抄」朗読大会で発表するはずだった。だが、新型コロナウイルスの影響で大会は中止に。その代わり、「智恵子抄」出版80周年記念文集を来月に発行し、その中に結果も収録することにしている。文集は二本松市内の小中高校、図書館に無償で寄贈する。
順位 作品名 票数
1 レモン哀歌 140
2 あどけない話 127
3 樹下の二人 112
4 人に 66
5 風にのる智恵子 18
「智恵子抄」。末永く愛されてほしいものです。
【折々のことば・光太郎】
よさの晶子のうた一首つくる、廿九日の会に電報で送らんかと思ふ。
昭和26年(1951)5月25日の日記より 光太郎69歳
「廿九日の会」は、与謝野晶子没後十周年記念講演会。電報で送られた短歌は、
ニホンゴ ハヨサノアキコノネツプ ウニイキテウゴ キテトビ テチリニキ
のち、この年7月の雑誌『スバル』に漢字仮名交じりで掲載されました。
日本語は与謝野晶子の熱風に生きて動きて飛びて散りにき