宮城県から企画展情報です。

宮内庁三の丸尚蔵館所蔵 皇室の名品展 皇室の美-東北ゆかりの品々

期 日 : 前期 2021年9月18日(土)~10月10日(日)
      後期 2021年10月12日(火)~11月7日(日)
会 場 : 宮城県美術館 仙台市青葉区川内元支倉34-1
時 間 : 9時30分〜17時00分
休 館 : 月曜日  毎週月曜日
       ただし祝日・休日にあたる場合は開館し、原則として翌平日が休館
料 金 : 一般300円(20名以上の団体は240円) 大学生150円(20名以上の団体は120円)
      高校生以下無料

このたびの本展は、ここ仙台の地で、皇室ゆかりの品々をまとまった形で紹介する初めての機会となりました。

明治天皇(1852-1912)は、明治9年(1876)および14年(1881)の2回にわたって東京から陸路を進んで東北各地を巡幸されました。この巡幸は、皇室と東北地方の人々の距離を縮め、互いの存在を強く意識するきっかけとなりました。その後、歴代天皇や宮家の方々の御訪問、また秩父宮雍仁親王(1902-52)との深い御縁など、皇室と東北各地を繋ぐ様々な縁が、宮内庁三の丸尚蔵館の収蔵品の数々にうかがえます。

本展では、東北各県にゆかりのある作家や作品を中心に、各地域の伝統的な技術による工芸品も含めて、皇室と東北の各地との絆を伝える品々を紹介します。このほかにも、江戸時代の京都御所で飾られた屏風、明治以降の宮殿などの室内装飾品や皇室行事で用いられた大作、作家の代表作も並びます。ぜひこの機会に、皇室に伝えられた様々な美のかたちをご堪能ください。

当館本館2階では、「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」を同時開催いたします。
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関連イベント ※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、予定が変更になる場合がございます。
 講演会「皇室と東北ゆかりの美 ―宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵品から―」
 講師  五味聖(宮内庁三の丸尚蔵館 主任研究官)
 日時  10月10日(日曜日) 午後2時~(90分程度、開場は午後1時30分)
 会場  講堂
 定員  150名 ※先着順(聴講無料)
 午後1時より、講堂前にて整理券を配布します。

 まちなか美術講座「皇室と東北のつながり ―宮内庁三の丸尚蔵館の名品から―」
 講師  土生和彦(当館学芸員)
 日時  10月16日(土曜日) 午後1時30分~
 会場  東北工業大学一番町ロビー2階ホール
 定員  20名 下記宛先へ事前のお申込みが必要です。申込み多数の場合は抽選。
     先着順ではありませんので、ご注意ください。
 申込み方法 往復ハガキにてご応募ください。氏名・住所・講座タイトルを明記。
 申込み期間: 9月1日(水曜日)~10月1日(金曜日)※当日消印有効。
 【宛先】〒980-0811 仙台市青葉区一番町1-3-1(TMビル)
       東北工業大学一番町ロビー「まちなか美術講座」 係 

出品目録によると、001光太郎の父・光雲作の「養蚕天女」(大正13年=1924)が展示されます(前期のみ)。

三の丸尚蔵館さんには、光雲作の「養蚕天女」が二点、収蔵されています。サイズが異なり、大きな方が像高約50㌢。今回展示されるのはこちらです。小さい方は同じく約25㌢。こちらは昭和3年(1928)の作です。いずれも昭和天皇のご成婚記念に贈られたもので、明治以降、歴代の皇后陛下が養蚕に取り組まれていることにちなみます。

ただ、なぜこれが「東北ゆかりの品」なのか解らなかったのですが、どうも、皇后陛下の養蚕に使われている蚕の稀少品種「小石丸」が、山形県で現在も受け継がれているとのことで、その関係でしょうか。

ところで、関連行事のうち、まちなか美術講座「皇室と東北のつながり ―宮内庁三の丸尚蔵館の名品から―」を担当される土生和彦氏。以前は愛知県碧南市の藤井達吉現代美術館さんにご勤務なさっていまして、平成25年(2013)、同館他2館を巡回した「生誕130年 彫刻家高村光太郎展」では大変お世話になりました。仙台に異動されていたんだ、という感じでした。

さて、毎度同じ文句ですが、コロナ感染には十分お気を付けつつ、ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

午前11時14分の電車にて花巻郵便局にゆき、昨夜の詩稿「おれの詩」を「心」の木村氏に速達。電報もうつ。


昭和23年(1948)11月26日の日記より。

『心』は、この頃、盟友・武者小路実篤が主宰していた雑誌です。下の画像、蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋内部ですが、光太郎の背後の棚、武者の絵が無造作に画鋲で留められています。

「おれの詩」は、翌年の新年号に掲載されました。003

    おれの詩

 おれの詩は西欧ポエジイに属さない。
 二つの円周は互に切線を描くが、
 つひに完くは重らない。
 おれは西欧ポエジイの世界を熱愛するが、
 自分の詩が別の根拠に立つことを否めない。
 アテネの空とクリスチアニスムの地下泉とは
 西欧ポエジイの言語思考の方式を生んだ。
 それは限なく美しく強くおれの内部に滲透するが、
 その粉食と牛酪と肋間肉(アントルコオト)との生理は
 おれの日本語の必然を近づけない。
 おれの詩はおれの五臓六腑から出る。
 極東の突端に生れて粒食に育ち、
 麹と大豆と魚肉とに養はれた魂は、
 遠くガンダラの余薫を身にしめるとはいへ、
 むしろ厖大な大陸の黄土文化に啓発され、
 日本古典のせせらぎに沐浴し、
 遽々然として今原子力に瞠目するのだ。
 おれの詩はおれの実体以外になく、
 おれの実体は極東の一彫刻家であるに過ぎない。
 おれにとつて宇宙は構造の原点であり、
 詩は構造の対位法(コントルポアン)だ。
 西欧ポエジイは親愛なる隣人だが、
 おれの詩の運行は一本軌道がちがつてゐる。