追読 人間臨終図巻 芸術家編
2023年4月30日 山田風太郎原作 サメマチオ画 徳間書店 定価1,750円+税著名人923名の死に際を切り取った稀代の名著、『人間臨終図巻』をまさかの漫画化! 第三弾は古今東西の芸術家の「死」を網羅。
セザンヌ「私は絵を描きながら死にたいんだ」
日本の美術家、海外の文豪と美術家が集められています。配列は生年順、各人1頁です。

また、光太郎と親交のあったバーナード・リーチ、村山槐多の項で光太郎の名が出ている他、光太郎と交流のあった人々も多数。ロダン、岡倉天心、平櫛田中、藤田嗣治、安井曾太郎、梅原龍三郎、岸田劉生、木村荘八など。ところが、光太郎の父・光雲や、親友・荻原守衛の名があってもいいところですがありません。元々、山田風太郎の原作でも扱われていません。ちょっと不思議な気がします。
それから、日本の文豪系(宮沢賢治や与謝野晶子、森鷗外に北原白秋といった面々)も他の巻で扱われているようで、この巻には載っていません。
ちなみに山田の原作で取り上げられているのは全923人。死亡時の年齢順に上下2分冊で徳間書店さんから昭和61年(1986)、62年(1987)に刊行されました。漫画版は徳間さんのPR誌『読楽』に連載中のようです。
ぜひお買い求め下さい。
【折々のことば・光太郎】
小生の眼は未だにいけません その為め仕事をまるで休んでゐます。少し無理をして仕事するとたちまち眼にひゞいて来るので閉口して毎日医者に通つてゐる始末です 水野君の『砂』の挿画もそのためかけないで居ます。
体格もよく頑健だった光太郎ですが、意外なところで医者通いをすることもありました。留学中は歯の治療、この頃は角膜炎でした。翌年にも眼疾で手術を受けています。
「水野君の『砂』」は、親友、水野葉舟のローマ字詩集です。確かに挿画は入っていません。ただ、表紙には木版風の絵。光太郎の手になるものと思われますが、記述がないため確証がありません。
