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9月18日(土)に、光太郎の父・光雲の孫弟子にして、JR東北本線二本松駅前の智恵子像「ほんとの空」、同じく安達駅前の「今ここから」の作者、故・橋本堅太郎氏の作品を集めた「橋本堅太郎展-無分別」を拝見に伺った、小平市平櫛田中彫刻美術館さん。こちらで、こんなものを購入して参りました。
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漫画『田中彫刻記』。同館学芸員で、当方もいろいろお世話になっている藤井明氏が監修なさっています。

作画は、いとうたかし氏。この方、プロの漫画家さんではなく、小平市の職員さんだそうですが、やはり同市にある武蔵野美術大さんのご出身だそうで、「なるほど」という感じでした。各自治体等の皆さん、こういう手もありますよ(笑)。
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満107歳まで現役を続けた彫刻家・平櫛田中の一代記で、平成25年(2013)の刊行です。奥付に拠れば平成30年(2018)第4刷となっており、一回にどれだけ刷っているのか不明ですが、順調に版を重ねているようですね。

A4判(大判です)60ページ、定価は500円。目次は以下の通りです。
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主要登場人物。
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残念ながら、田中と親しかった光太郎は登場しませんが、光太郎の父・光雲は出て来ます。なぜかロン毛ですが(笑)。
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ちなみに田中は、一から光雲に師事したわけではなく、漫画でも紹介されていますが、西日本方面である程度の基礎を学んでからの弟子入りでした。そのため、後述の米原雲海らと異なり、「雲」一字が入っていません。

光雲が登場するのは、「第二話~星取(ほしと)り法との出会い~」と、「第四話~日本美術(にほんびじゅつ)の指導者(しどうしゃ)~」。
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その他、光太郎や光雲と縁の深い面々がいろいろ登場します。

右上のコマにもいる岡倉天心。一介の仏師に過ぎなかった光雲を東京美術学校に招き、のちに光太郎が入学した折には同校校長でした。それから、禅僧・西山禾山。光太郎は田中の手引きで、西山の臨済禅の提唱を聴いたりしています。また、田中の兄弟子だった米原雲海は、光雲と共に、信州善光寺さんの仁王像制作に当たりました。

それにしても、田中の生涯もかなりドラマチックだな、と、改めて思いました。そして、彫刻に対する態度。同じ光雲門下でも、上手く立ち回り、稼いだ彫刻家もいますが、田中は違いました。光雲や光太郎もそうでしたが、世間に広く認められるようになるまでは、真摯に制作に向き合おうとすると、どうしても経済的に困窮します。それでも妥協をしない結果陥る赤貧生活の中で、田中は3人中2人の子供を病気で失いました。妻には苦労のかけっぱなし。そのあたり、智恵子が心を病むに至った、光太郎の生活とダブります。「家族を犠牲にして、何が芸術だ」と云われれば、それまでですが……。

さて、『田中彫刻記』、同館にて販売中。ぜひ足をお運びの上、お買い求め下さい。

【折々のことば・光太郎】

多田等観氏にハカキをかき、降雪量多ければ八日に不参するかもしれぬ旨述べる。

昭和24年(1949)1月5日の日記より 光太郎67歳

多田等観は、僧侶にしてチベット仏教学者。光太郎が蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村に隣接する湯口村の円万寺の堂守をしていました。

この葉書、『高村光太郎全集』未収録でしたが、平成29年(2017)、花巻市博物館さんで開催された「没後50年多田等観~チベットに捧げた人生と西域への夢~」展に出品されました。
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出版されていたことに気付かず、1ヶ月以上経ってしまいましたが……

続 宮沢賢治の食卓

2020年12月14日 魚乃目三太著 少年画報社 定価690円+税

注文の多い料理店などおなじみ誰もが知っている宮沢賢治の作品と共に紡がれるエピソードを食べ物と共にお届けします。魚乃目三太の人情味ある描写で描かれる伝記グルメ浪漫堂々完結!
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 壱品目  梅干しのおむすび
 弐品目  トマトのスープ
 参品目  干しいも
 四品目  塩鮭
 五品目  茄子の漬物
 六品目  ライスカレー
 七品目  ひっつみと明日葉
 八品目  お粥
 九品目  かけそば
 十品目  キャラメル
 十一品目 塩むすび


平成29年(2017)に刊行された『宮沢賢治の食卓』の続編です。その際には鈴木亮平さん主演でドラマ化もされました。

正編は大正10年(1921)から同15年(1926)、賢治の花巻農学校教師時代を中心に、妹・トシの死、『春と修羅』や『注文の多い料理店』の刊行なども描かれました。「思い出食堂コミックス」というシリーズの一環ですので、正続とも各話で何らかの料理がモチーフとして扱われています。

正編刊行時、賢治が光太郎と出会う直前で終わっていたので、ぜひ続編を、と思っていたところ刊行されたので、嬉しく存じました。

しかも、ちゃんと光太郎が登場! 大正15年(1926)12月、二人の最初で最後の会見の場面。
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当会の祖・草野心平も。
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巻末のおまけ的な部分でも。
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笑えますが、史実です(笑)。

続編は、大正15年(1926)、羅須地人協会の立ち上げから、賢治の死までが描かれています。「雨ニモマケズ」も。
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物語の始まりは、プロローグ的に、賢治没後の昭和9年(1934)、光太郎や心平も出席した新宿モナミで開かれた賢治追悼の会の場面でした。
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名前は挙げられませんでしたが、「あら、手帳が…」と言った女性は、詩人の永瀬清子です。

この場で光太郎も手帳に書かれた「雨ニモマケズ」を読んだはずなのですが、コミックでは後日、賢治実弟の清六が光太郎にだけ見せる、という形になっていました。
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その他、光太郎の親友・水野葉舟の娘で、やはり光太郎を敬愛していた詩人の尾崎喜八と結婚した實子、終戦後の一時期、光太郎を自宅離れに住まわせてくれた総合花巻病院長・佐藤隆房、そして昭和20年(1945)の空襲で東京を焼け出された光太郎を疎開させてくれた賢治の両親・政次郎とイチ、直木賞作家の森荘已池、賢治の親友だった藤原嘉藤治など、光太郎と交流のあった人々が多数登場します。
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これら多くの人々に愛され、そして愛した賢治の人間像がしっかりと描かれた力作です。また、当方、それほど賢治に詳しいわけではないので何ともいえませんが、以外と最近わかってきた事柄なのではないのかな、と思われるようなエピソードも散りばめられているようです。ほのかな恋の顛末など。

ぜひお買い求めを。

【折々のことば・光太郎】

午後小屋の直前の水田一枚のひろさを実測してみる。八間余に八間あり。二畝ほどある事を確かむ。60坪余なり。ここに稗を撒かんと思ふ。今水田になり居れど、水を乾かして畠として使はんと思ふ。

昭和21年(1946)4月12日の日記より 光太郎64歳

花巻郊外旧太田村の山小屋(高村山荘)前の畑、元は水田だったのですね。
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結核性の肋間神経痛がひどかった昭和26年(1951)を除き、野菜類はほぼ自給できていました。穀類は配給に頼らざるを得ませんでしたが。

時代や取り組み始めた年齢は異なりますが、農学校を退職し、耕作を始めた賢治ともかぶるような気がします。

昨日ご紹介した日記の一節と順序が逆ですが、紹介しようと思っていてうっかり飛ばしてしまいましたので、戻りました。

『静岡新聞』さん。先週15日(金)の掲載でした

「女伊達直人」から図書カード 磐田市に1万円分 昨年に続き

 磐田市は14日、漫画「タイガーマスク」の主人公にちなんだとみられる「女 伊達直人」を名乗る差出人から渡部修市長宛てに、図書カード計1万円分が届いたと発表した。
 封筒には5千円分の図書カード2枚と、詩人高村光太郎の詩「牛」の一節と共に「厳しい年になりましたが、頑張っている母子の家庭に少しの光を」などと書かれた手紙が入っていた。
 具体的な使い道は今後検討する。渡部市長は「新型コロナウイルスに対して多くの市民が不安を抱いているなか、善意の輪が広がっていることに感謝申し上げます」とコメントした。
 磐田市には昨年1月上旬にも「女 伊達直人」から図書カードが届いていて、筆跡などから同一人物とみられるという。
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寄贈された図書カードと共に、光太郎詩「牛」(大正2年=1913)の一節だそうで、おそらく差出人の「女伊達直人」さんが、「牛」に感じるところが何かあったのでしょう。あるいはもともと光太郎ファンの方なのか。

さて、一定以上の年代の方には解説不要でしょうが、「タイガーマスク」、「伊達直人」について。

漫画「タイガーマスク」は、梶原一騎原作、辻なおき作画で、昭和44年(1969)に『週刊ぼくらマガジン』で連載が始まり、同誌の廃刊後『週刊少年マガジン』に掲載誌を移し、同46年(1971)まで続いた人気漫画でした。連載とほぼ並行してテレビアニメ化され、テーマソングはアニソン史上の傑作の一つとの呼び声が高いものですね。
「伊達直人」は、主人公。漫画でもアニメでも詳細は語られませんでしたが、おそらく太平洋戦争に伴う戦災孤児です。自らが育った孤児院の解散にともなって日本を出、スカウトされた悪役プロレスラー専門の養成機関「虎の穴」に入り、素性を隠して「タイガーマスク」としてデビュー。全米を恐怖の渦に陥れます。

伊達は突如来日。孤児院が「ちびっこハウス」として再建されたものの、慢性的な経営難に陥っていることを知り、その援助のためでした。そこで「虎の穴」へ納めなければならない上納金を流用し、結果、「虎の穴」が送り込む刺客と死闘を繰り広げることになります。

アニメ版では、最後の刺客との試合中にマスクが外れて素性がばれ、日本を去るという終わり方でしたが、原作の漫画版では、「虎の穴」を壊滅させた後……
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ショッキングな結末です。

平成22年(2010)、群馬県前橋市の児童養護施設に「伊達直人」名義でランドセルが贈られ、それをきっかけに、全国の施設で寄付行為が連鎖、その流れが今も続いているわけですね。

戦後、光太郎もこうした寄付行為を行っていました。ただ、匿名ではありませんでしたが。昭和26年(1951)、詩集『典型』が第二回読売文学賞に選ばれると、その賞金をそっくり、蟄居生活を送っていた山小屋近くの山口小学校や地区の青年会などに寄付してしまいました。小学校ではそれで舞台用の幔幕を新注しました。
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その後も、ことあるごとに小学校へ楽器や幻灯機、書籍などを寄贈しています。その流れを受け、山口小学校が統合された太田小学校さんでは、毎年5月15日(昨年はコロナ禍で中止)の花卷高村祭で、児童さんたちが楽器演奏を披露してくれています。もちろん現在は光太郎から寄贈された楽器ではありませんが、同祭の始まった昭和30年代には、光太郎から送られた楽器が使用されていました。
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逆に光太郎が「女伊達直人」的な人の世話になったことも。

まったく面識もなかった、紀尾井町の料亭福田家(ふくだや)の女将・福田マチが、光太郎の蟄居生活を報道で知り、さまざまな食料などを送ってくれました。当会の祖・草野心平ら知り合いが食料等を贈ることはあっても、未知の人からの援助は珍しい例でした。

昭和27年(1952)、生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作のため再上京した光太郎、たまたま雑誌の対談企画で会場となった福田家を初めて訪れました。その際、山にいた頃に食料を贈ってくれたのはこの店の女将だったのでは? と問うと、果たしてその通りだったため、その場にいた一堂が奇縁に驚いたというエピソードが残っています。

「女伊達直人」。こうした心温まるニュースが、もっと増えて欲しいものです。同じ「寄付」でも「賄賂」では困りますが(笑)。

【折々のことば・光太郎】

午後テガミ書き、詩稿を送り来りて天分の有無を問合わせくる青年が時々あるには閉口。詩とはかかるものにあらざる旨を書きおくる。弟子に置れといふテガミも少からず、事情を書いて断る。

昭和21年(1946)3月24日の日記より 光太郎64歳

逆にあつかましい依頼の例ですね。「弟子に置れ」は原文の通りで「弟子として置いてくれ」といった意味でしょう。

突発的に何もなければ、今日から3日間は、少し前に出た、光太郎智恵子に関わる刊行物をご紹介します。「少し前」=「最新刊にあらず」。言い訳させていただけるなら、以前にも書きましたが、コロナ禍のため新刊書店に足を運ぶ機会が激減しましたので、見落としがいろいろありまして……。

まずはコミックです

山と食欲と私 11巻

2020年1月15日 信濃川日出雄著 新潮社 定価520円+税
 
27歳、会社員の日々野鮎美は、「山ガール」と呼ばれたくない自称・単独登山女子。変態アウトドア女子・黒蓮に誘われ、いざ東北旅へ。しかし、高速道路を使わない夜通しドライブ/適当すぎる登山計画/鮎美を置いて行動など自由奔放な黒蓮にイライラを溜める鮎美。果たして旅の最後は笑顔になれるのか――。活火山・浅間山で有名人に遭遇/ついに小松原さんに「彼」が!? キャッシュレスの波が山にまで――など、意外性強めな11巻!
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目次
 115話 軽井沢・浅間山編① 離れ山とラスク
 116話 軽井沢・浅間山編② マグマとろとろ火山丼000
 117話 軽井沢・浅間山編③ ガス抜きの浅間嶽
 118話 ひやあつ残雪そうめん
 119話 限界! ぎゅうパンチョコバナナ
 120話 巻物と履き物
 121話 恋するウドナポ
 122話 かわいいこやでむすちまき
 123話 東北ギンギン山巡り編① 無計画の佐野ラーメン
 124話 東北ギンギン山巡り編② 安定のコンビニ朝ごはん
 125話 東北ギンギン山巡り編③ 風に吹かれてずんだ餅


というわけで、山ガールを主人公としたコミックです。ウェブコミックサイト「くらげバンチ」さんに連載されているもので、溜まったところで紙の本として刊行というスタイルのようです。

で、上記目次の色を変えた2話、第124話第125話で、智恵子の故郷・福島二本松に聳える安達太良山が描かれ、光太郎智恵子に触れられてています。ただ、ウェブ上と刊行されたものとで話数にずれが生じています。スピンオフなどの影響でしょうか。
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一時、令和改元の頃は安達太良山といえば「「令和」の元ネタの『万葉集』にも謳われた」という枕詞が流行りましたが、最近はそうでもなくなったようで、また『智恵子抄』が復権(笑)。

山ガールと言えば、平成29年(2017)には山ガール向けの月刊誌『ランドネ』さんが、やはり『智恵子抄』がらみで安達太良山をご紹介下さいました。また、山ガールではありませんが、キャンプ女子を主人公としたコミック「ゆるキャン△」第5巻では、ダイヤモンド富士の見えるスポットとして山梨県富士川町の光太郎文学碑を物語の舞台の一つにして下さっています。

今後もアウトドア女子の皆さんの各方面でのご活躍に期待します。また、『山と食欲と私』、今度はぜひ信州上高地のクラシックルートも取り上げていただきたいものです。

【折々のことば・光太郎】

賢治さんはそのほか生活の中でせられたことが全部詩となり行動そのままが詩で、ラヂウムが放射されるように体から放射された一つ一つが詩ということがこちらへ来てこまかく聞いたり、みたりしてはつきりわかつた、


談話筆記「人間的な詩人」より 昭和22年(1947) 光太郎65歳

岩手の、それも街なかでなく郊外の山村の風土の中で暮らすうち、宮沢賢治の精神がより一層体感出来るようになったというのです。

昨日に引き続き、新刊情報です。 

マンガ名詩・短歌・俳句物語 2 名詩 下

2020年2月24日 目黒哲也企画・編集 学研プラス 定価3,600円+税

今もなお心に響く、すぐれた作品を残した詩人・歌人・俳人の物語をオールカラーのマンガで描く。2は、宮澤賢治、島崎藤村、新美南吉、高村光太郎ら10人の人生と詩を紹介する。巻末に「詩人」ミニ事典も収録。


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目次 
 宮澤賢治 作画・米田錦   島崎藤村 作画・兎谷しぇばこ 新美南吉 作画・ひらん
 高村光太郎 作画・北田ゆきと  北原白秋 作画・水木シュウ  
 萩原朔太郎 作画・柴田のぞみ   上田敏 作画・ノガミ陽  山村暮鳥 作画・糸永山藤
 吉野弘 作画・桜井ゆき  三好達治 作画・九条M+  「詩人」ミニ事典


B5判145ページがオールカラー。10人の詩人につき、10人の漫画家の皆さんが、10数ページずつのマンガになさっています。評伝的にその生涯をたどる作品(賢治、南吉、光太郎、白秋)もあれば、代表的なエピソード一つに的を絞ってその詩人を描く作品(藤村、朔太郎)もあり、さらに詩人自身は登場せず、代表作を現代人が鑑賞するといったコンセプトの作品(上田敏、暮鳥、吉野弘、三好)もあって、なかなかバリエーションに富んでいます。

光太郎は16ページ。

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イケメンに描いて下さるのはありがたいのですが、もう少し似せてもいいような(笑)。

内容的にはダイジェストながら、押さえるべき点はしっかり押さえられていて感心しました。欧米留学によって新しい真の芸術に開眼し、父・光雲を頂点とする旧弊な日本彫刻界と対立を余儀なくされたこと、そのため、胸中の鬱屈を彫刻に反映させないよう、詩作に取り組んだこと、智恵子との生活のくまぐま、その歿後の翼賛活動、それを悔いての戦後の隠遁生活、そして十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)……。

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最後のコマのネームが言い得て妙です。曰く「悩み苦しみ抜いた彼の人世こそが、彼の最も尊い最高傑作なのかもしれない」。

しかしながら、突っ込みどころもいろいろありまして(笑)。例000えば戦後の7年間を過ごした花巻郊外旧太田村の山小屋。元々は鉱山の飯場小屋だった建物でしたが、やけに立派な家に描かれています。また、ニューヨーク留学中に、メトロポリタン美術館でガットソン・ボーグラムの彫刻を見て感心し、弟子入りを志願することを決意するシーン。光太郎が見たのはギリシャ神話の「ディオメデスの馬」の彫刻だったのですが、どうもそこまで調べがついていなかったようで、それが描かれていなかったりします。こういう点に関しては、依頼があればいくらでもお答えするのですが……。ただ、逆に、テキトーな彫刻の絵を描くよりは、わからないものはわからないから描かないという選択は評価されるべきでしょう。

このシリーズ、全4巻で、詩が下2巻、短歌俳句でそれぞれ1巻ずつとなっています。小中学校さんの図書室等にあると、なかなか使いでがあるように思われます。全国の先生方、どうぞよろしく。また、もちろん、一般の皆さんもぜひお買い求め下さい。

ただ、今日の時点で版元の学研プラスさんのサイトには掲載されていません。しかし、Amazonさん等にはすでに出ています。


【折々のことば・光太郎】

私が心身を傾倒するのは自然そのものになり、触目の自然が包むその奥所こそ私の祭壇なのである。私はあくまでも人間を作り、自然を描く。

散文「お経を聞いて」より 昭和10年(1935) 光太郎53歳


自分は父・光雲とは異なり、敬虔な仏教徒ではないので、そんな自分が仏像を彫ると仏様に失礼だから彫らない、という話の流れの中での言葉です。

ところが最晩年の「乙女の像」には、観音像の要素も含まれているわけで、そのあたりの心境の変化が興味深いところです。

山口県から企画展情報です。 

清家雪子展――『月に吠えらんねえ』の世界

期 日 : 2019年11月27日(水)~2020年4月12日(日)
会 場 : 
中原中也記念館 山口県山口市湯田温泉1-11-21
時 間 : 9:00~17:00
料 金 : 【一般】 330円 【大学・高校専門学校の学生】220円 
      18歳以下、70歳以上無料(要証明書)
休 館 : 毎週月曜日(祝日の場合は翌日) 毎週最終火曜日 12/29~1/3,2/12・13


中原中也記念館は、平成6年2月18日の開館から、この2月で25周年を迎えます。

開館25周年となります本年におきましては、様々な分野とのコラボレーション企画を中心といたしまして、新たな中原中也の魅力を市内外へ発信いたし、多くの皆様に中原中也への興味・関心の拡大を図ってまいります。

後期は、漫画家・清家雪子氏とその作品「月に吠えらんねえ」を御紹介する、「清家雪子展 『月に吠えらんねえ』の世界」を開催いたします。漫画「月に吠えらんねえ」は、日本の近代詩人たちが住む □街(しかくがい)を中心に、萩原朔太郎、北原白秋、三好達治、室生犀星、中原中也など、それぞれの詩人の作品世界をイメージ化したキャラクターが登場し、それぞれの作品自体や文学史上の出来事などが融合された世界が展開する作品でございます。中原中也をモチーフといたしました「チューヤ」を中心に、文学表現と清家氏独自の作品世界の造形との関わりを御覧いただくことができます。

こうした、中原中也記念館開館25周年記念事業を通じまして、これまでの展示の歩みや文学館として培ってまいりました資料収集・修復保存の実績を、全国の文学ファンや市民にわかりやすくまとまった形で伝えてまいりますとともに、新たな文学表現の可能性を探る展示やイベントを行い、中原中也ファンの更なる拡大を図ってまいります。

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関連行事

中原中也記念館×山口市立中央図書館 『月に吠えらんねえ』ファントーク

期 日 : 1回目:12月15日(日)14:00~15:30 チューヤ篇
      2回目:3月21日(土)14:00~15:30 朔、その他のキャラクター篇

場 所 : 山口市立中央図書館 共同利用スペース 山口県山口市中園町7番7号
定 員 : 各回20名(要事前申込 先着順)  ※ファントークは定員に達しました
料 金 : 無料

というわけで、先頃完結した清家雪子さん作のコミック『月に吠えらんねえ』関連です。

フライヤー裏面の「展示で紹介する主なキャラクター」に、光太郎からのインスパイア「コタローくん」も。それから当会の祖・草野心平をモデルとした「ぐうるさん」はじめ、ここに挙げられているキャラクターの元ネタ的人物は、全員が光太郎と交流のあった面々です。

関連行事のファントーク、すでに来年3月の分も満席だそうですが、キャンセル等有るかも知れませんので、とりあえずご紹介しておきます。

さらに市立中央図書館さん、その他、「まちじゅう図書館」ということで、市内のカフェやら歯医者さんやらで、「サテライトライブラリー」と称するミニ図書館的なコーナーが設けられているそうですが、そちらでも関連書籍の閲覧が出来るようにするなど、面白い取り組みが為されるようです。

会期が長いので、何とか都合を付けて行ってみたいと思っております。当方、山口県は学生時代に訪れたことがありますが、その頃、同館はまだ開館していませんでした。

皆様もぜひどうぞ。


【折々のことば・光太郎】

詩は何もせつかちに考るものぢやない。十年二十年三十年のことを考へねばならぬ。土台人一生のことであり、一時代のことである。

談話筆記「昭和二年詩壇概観」より 昭和2年(1927) 光太郎45歳

光太郎、朔太郎、中也、心平らは、それぞれどんなことを考えて詩作に取り組んでいたのか、上記企画展、その一端にでも触れられるような内容であってほしいものです。

講談社さんの月刊コミック誌『アフタヌーン』に、平成25年(2013)から連載され、ある意味、「文豪」ブームの火付け役となったとも言える、清家雪子さんの「月に吠えらんねえ」。今年の9月号で最終回を迎え、コミックスの最終巻である第11巻が発売されました。

月に吠えらんねえ(11)

2019年9月20日 清家雪子著 講談社 定価648円+税

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萩原朔太郎作品から生まれた「朔くん」、北原白秋作品から生まれた「白さん」、室生犀星作品から生まれた「犀」など、詩人本人ではなく作品のイメージをキャラクター化。詩人たちが暮らす近代市□(シカク/詩歌句)街に住む詩人の朔くんは、本人は自覚なく□街の神として町を詩人の理想の土地として管理していたが、知らずにその神の力で詩壇の師匠の白さんに強く働きかけ、自分の男性・詩人としての理想を白さんに具現化してしまっていた。ある時、□街に出現した愛国心の一表出である「縊死体」は朔くんに取り憑くが、それは戦争を悔いるあまりに愛国心までも否定しようとする戦後の日本の総意識に対抗するためであった。縊死体に侵食され一体化した朔くんは変質した白さんと複雑に影響を与え合い、神としての力が白さんにも流れ込み、白さんは二体に分裂。ひとりは新しい神として□街を守り、ひとりは男性として女性化した朔くんと結ばれるが、縊死体、戦争翼賛文学までも愛国心として認める白さんが守る□街を責める「戦後の日本の総意識」の攻撃は激化する。朔くん、白さん、戦場巡りで戦争の悲惨さを経験させられた犀の選択とは。第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門・新人賞を受賞した近代詩歌俳句ファンタジー、ついに完結!


光太郎と智恵子をそれぞれイメージ化した「コタローくん」「チエさん」、第2巻第4巻で大活躍でしたが、その後、ちょい役ばかりでした。このまま作者にも忘れ去られたまま終わってしまうのかな(長編小説などでよくあるケースですが)と思いきや、最終巻で復活し、再び大きな役割を担わせて下さいました。

この作品、「結局、近代詩歌句とは何だったのか」という命題の元に、特に翼賛詩を書かざるを得なかった文士たちの姿を描いてきました。となると、やはり光太郎は外せませんね。

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戦後の連作詩「暗愚小伝」などを引用し、かなり的確に光太郎の内面が、リスペクトを保ちながら剔抉されています。

そして「チエさん」亡き後、「コタローくん」が作ったロボット「チエコさん」。

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ある意味、形而上的な詩歌に対する、実体を持つ形而下的なものの象徴とも捉えられるような気がします。最終巻では「コタローくん」たちが異世界から脱出する際に、「言葉」では為し得なかった大きな役割を果たします。


さて、『月に吠えらんねえ』、これを持って全巻完結。ぜひお取りそろえ下さい。今後、完結記念のなにがしかがありそうな気がしますので、注意しておきたいと思います。

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【折々のことば・光太郎】

あゝ綺麗だと言ふのは眼に訴へた感じ、穿つた所と言ふのは理知に訴へた感じ、また哀れつぽいなどゝ言ふのは情緒に引き入れられるので、この三つは真実(ほんたう)に芸術を鑑賞しようとする人には大きな妨げとなるものであります。
散文「絵を見る人の為めに」より 大正5年(1916) 光太郎34歳

同じ文章で「すべて作品を見て何かしら強く感じられるもの――夫れは色彩の如く眼から来るものでもないし、理知に訴へた意味から来るものでもない、また情緒から来るものでもない、言はゞ一つの気魂が自分の精神も肉体もおびやかすといふやうな感じ、自分を何処か広やかな世界に誘ひ行くやうに思はせる、其様(そん)な感じを起こさせるものが宜(い)い」とも書いています。

新刊です。

今宵は誰と -小説の中の女たち-

2019年6月23日 喜国雅彦著 双葉社 定価1,600円+税

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安部公房の『砂の女』、太宰治の『女生徒』、ツルゲーネフの『はつ恋』、S・キングの『ミザリー』など──名作に登場する個性的で魅力的な女性たちが、もし自分の夢に登場したら……独自の視点でブンガクのおもしろさを描く、全く新しい文芸漫画。

目次

 第一話   砂にまみれた女  『砂の女』  安部公房
 第二話   目覚めない女   『眠れる美女』   川端康成
 第三話   無垢ゆえに大胆な女  『潮騒』   三島由紀夫
 第四話   初めてには手強すぎる女  『はつ恋』  ツルゲーネフ
 第五話   男の憎しみを吸う女  『痴人の愛』  谷崎潤一郎
 第六話   レモンを噛む女  『智恵子抄』  高村光太郎
 第七話   空を舞う女  『夢鬼』  蘭郁二郎
 第八話   裏表がある女  『女生徒』  太宰治
 第九話   聖書に背く女  『瓶詰地獄』  夢野久作
 第十話   二人の女  『青い麦』  コレット
 第十一話  胸に字を書く女  『芋虫』  江戸川乱歩
 第十二話  すれ違った女  『外科医』  泉鏡花
 第十三話  無言の女  『幻の女』  W・アイリッシュ
 第十四話  弁当箱がほしい女  『二十四の瞳』  壺井栄
 第十五話  目玉を愛する女  『眼球譚』  C・バタイユ
 第十六話  肌を競う女  『銀の匙』  中勘助
 第十七話  匂い立つ女  『郵便配達は二度ベルを鳴らす』  J・M・ケイン
 第十八話  書き直させる女  『ミザリー』  S・キング
 第十九話  オリーブオイルを使う女  『夕暮れまで』  吉行淳之介
 第二十話  残り香の女  『蒲団』  田山花袋
 第二十一話 詩を要求する女  『ゲーテ詩集』  ゲーテ
 第二十二話 洞窟の女  『トム・ソーヤーの冒険』  M・トウェイン
 第二十三話 喜びをみつける女  『少女パレアナ』  E・ポーター
 第二十四話 母という女  『泥の河』  宮本輝
 第二十五話 強くて弱い女  『サマータイム・ブルース』  S・パレツキー
 あとがき

版元の双葉社さんから発行されている月刊誌『小説推理』に、平成28年(2016)から連載されている同名の漫画の単行本化です。

およそ文学とは無縁だった何の変哲もないサラリーマンである主人公の青年が、福島に転勤となり、引っ越し先のアパートで、前の住人が忘れていった安部公房作『砂の女』を何の気なしに読んだところ、すっかり文学にはまってしまい、文学好きな上司や居酒屋で知り合った女性に勧められ、さまざまな文学作品を読み進めるようになる、という設定です。

そして感受性豊かな主人公、毎回、読んだ作品の登場人物などがその夜の夢に現れ、自分も物語の世界に入り込んだり、時にオリジナルのストーリーと異なるハチャメチャな展開に巻き込まれたり……そこでうなされて目が覚めるのがお約束、というストーリー展開がなされます。

一話が8頁前後と短く、その限られたスペースでそれぞれの作品の魅力を伝えるのはさぞ大変だろうと思いつつ読みました。物書きの立場で言わせていただくと、原稿の依頼に対しては「あれも書きたい、これも入れたい」と、結局規定の字数ギリギリになることが多いもので、そう感じます。それでも作者の喜国氏、いつもうまくまとめています。

さて、第六話が「レモンを噛む女 『智恵子抄』 高村光太郎」。先述の『小説推理』の平成29年(2017)2月号に掲載されました。

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主人公、詩集を読んだことがないそうで……取っつきにくいという先入観を抱きつつ、手に取ったのは新潮文庫版『智恵子抄』。

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しかし……

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ハナ水まで垂らし号泣してくれてありがとう、という感じです(笑)。

このあと、お約束の夢に智恵子が現れ、という展開になりますが、気になる方はぜひお買い求め下さい(笑)。

当方、全二十五話で取り上げられている作品のうち、半分ほどは若い頃に読んだ作品で、「そうそう」と思いながら読みました。3分の1ほどはあらすじは知っていたよ、という作品でしたが、細かな部分はよく知らず、「ああ、そうだったのか」という感じ。題名すら知らなかった作品もあり、こんな小説があったんだ、と思いました。ブックガイドとしても好著です。

それにしても、紹介文にあるとおり、「個性的で魅力的な女性たち」だから成り立つような気がします。男性だって、「個性的で魅力的」な人物はたくさんいるのですが……。やはり我々男性にとって、女性は「永遠の謎」なのです(笑)。ジェンダー論者のコワいおばさまたちは、こういう風潮がけしからん、と息巻きそうですが(笑)。



【折々のことば・光太郎】


詩を書かないでゐると死にたくなる人だけ詩を書くといいと思ひます。


アンケート「詩界に就て」より 昭和2年(1927) 光太郎45歳

そっくりそのまま現代の詩壇に贈りたい言葉です(笑)。

昨日の『毎日小学生新聞』さん、マルチアーティスト・井上涼さんの連載「井上涼の美術でござる」が「高村光太郎の巻」でした。

井上さんといえば、NHK Eテレさんで放映中の「びじゅチューン!」のアニメーション制作や歌、さらに出演もなさって取り上げた美術作品や作者の解説もされています。同番組ではこれまでに光太郎ブロンズの代表作「手」(大正7年=1918)を扱う「指揮者が手」、光太郎の心の師・ロダンの「地獄の門」(明治13年=1880~大正6年=1917)をモチーフとした「ランチは地獄の門の奥に」などが放映されています。

「井上涼の美術でござる」も、「びじゅチューン!」同様、かなりの脱力系(笑)。なぜか二人の忍者が主人公で、それも「忍者B」と「忍者C」(笑)。

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本当にあったら参加してみたいものですが、光太郎との「握手会」というシチュエーションです。

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光太郎もノリノリです(笑)。

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合間に的確な解説も入り、読者対象として想定されている小学生諸君にもわかりやすいと思われます。

「井上涼の美術でござる」、昨年から連載されているということで、もう少し溜まったら、ぜひ単行本化していただきたいものです。


【折々のことば・光太郎】

木枯らしの吹きすさぶ山麓の曠野を行く時、たちまち私の心を満たして来るのは、その静まりかへつた大地のあたたかい厚みの感じと、洗ひつくしたやうな風物の限りないきれいさと、空間に充満するものの濃密な密度の美とである。
散文「満目蕭條の美」より 昭和7年(1932) 光太郎50歳

この項、一つの作品から一節ずつというのを基本としていますが、例外的に昨日、一昨日と同じ「満目蕭條の美」から。この文章、あまりにも冬を愛した光太郎という人物を端的に物語っていますので、この際、全文を少しずつご紹介してしまおうと思っています。

ところで今朝は今年3回目の雪でした。まぁ、自宅兼事務所のある千葉で雪が降るとなると、冬型の気圧配置がゆるんでからのことなので、春が近いことの証でもあるのですが。

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8月31日(金)~9月2日(日)の花巻行で入手した書籍を2冊。 

まんがでイッキ読み! 浅見光彦 怪奇トラベルミステリー

2018年9月10日 内田康夫 原作 あさみさとる/夏木美香 画 ぶんか社 定価600円+税

あさみさとる「風葬の城」
旅雑誌の取材で会津にやってきた光彦。漆器作りの現場を見学していると、職人である平野浩司が急に苦しみだし、そのまま亡くなってしまう。第一発見者となってしまった光彦は、その様子から平野氏の死が毒物による他殺だと推理する。徐々に明らかになっていくある業界の不正や金の動き。そこに隠されていた、大きな陰謀とは――?


あさみさとる「『首の女』殺人事件」

光彦と幼馴染の野沢光子は、姉・伸子の紹介で知り合った宮田治夫と「高村光太郎・智恵子展」へ出かける。そこで光太郎の彫刻「蝉」を熱心に見ていた男が記憶に残った。ところがその男が福島県安達太良山の麓で殺され、宮田も島根県江の川で水死体で発見される。事件後、脅迫めいた「怪電話」に伸子は悩まされることになり、光彦に相談を持ちかける。
 
夏木美香「教室の亡霊」
群馬県の公立中学校の教室で、かつてその学校で教鞭を執っていた男の死体が発見された。毒殺されたと見られる被害者のポケットには、新人教師・梅原彩とのツーショット写真が。さらに渦中の彩が顧問を務める陸上部員の父親が殺され…? 次々と事件に巻き込まれる彩を助けて欲しいと依頼を受けた光彦が、現代の教育問題に迫る。

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というわけで、今年3月に亡くなった推理作家・内田康夫氏原作の「浅見光彦シリーズ」から3本のコミック化です。別に「怪奇」ではないと思いましたが(笑)。

紹介文の通り、光太郎智恵子をモチーフとした「『首の女』殺人事件」が入っています。裏表紙のイラスト(画像右)がそちら。小説は昭和61年(1986)に刊行されています。

小説の浅見光彦シリーズは100本を超え、コミック化も'90年代後半には始まり、これまでにかなりの作品が取り上げられてきました。しかし、当方の知る限り「『首の女』殺人事件」はこれまでコミック化されておらず、残念に思っていました。コンビニのコミックコーナーで「浅見光彦」の文字を見つけるたびに「『首の女』殺人事件」の文字を探しては、「やはり、ないか」を繰り返すこと10数年(笑)。

しかし、ついに、8月31日(金)、花巻高村光太郎記念館さんをあとにして、宿泊先の鉛温泉さんに向かう途中、花巻南温泉郷入口のファミリーマートさんに立ち寄って、これを発見し、思わず心の中で快哉を叫びました。また、不思議な縁も感じました。

調べてみると、同じぶんか社さんで刊行している『まんが このミステリーが面白い!』 8月号(6月発売)が初出でしたが、そちらには気づきませんでした。

さっそく鉛温泉さんで読みました。「『首の女』殺人事件」で約150ページ。細かなところが割愛されたり、原作が昭和末期を舞台としているのを平成末期の現代に置き換えたりしている以外、ほぼ原作どおりで、なかなか読み応えがありました。

ぜひお買い求め下さい。

ちなみにフジテレビさん(平成18年=2006)とTBSさん(平成21年=2009)でドラマ化され、それぞれBS放送やCS放送で年に数回、再放送されています。明後日にもBSフジさんで再放送があります。併せてご覧下さい。。 

<BSフジサスペンス劇場>『浅見光彦シリーズ22 首の女殺人事件』

BSフジ 2018年9月7日(金)  12時00分~13時58分

福島と島根で起こった二つの殺人事件。ルポライターの浅見光彦(中村俊介)と幼なじみの野沢光子(紫吹淳)は、事件の解決のため、高村光太郎の妻・智恵子が生まれた福島県岳温泉に向かう。光子とお見合いをした劇団作家・宮田治夫(冨家規政)の死の謎は?宮田が戯曲「首の女」に託したメッセージとは?浅見光彦が事件の真相にせまる !! 

原作 内田康夫
出演 中村俊介 紫吹淳 姿晴香 菅原大吉 冨家規政 中谷彰宏 伊藤洋三郎 新藤栄作 榎木孝明 野際陽子ほか


もう一冊。 

出会いの人びと

昭和58年2月20日 鈴木實著 熊谷000印刷出版部
定価1,500円+税
 

9月1日(土)、花巻高村光太郎記念館さんでの市民講座「実りの秋を楽しむ 光太郎の食卓 part2」の講師を務め終え、花巻市街から東北新幹線の新花巻駅などをぶらついているなかで立ち寄った、ショッピングセンター・銀河モールさんの中のTSUTAYA 花巻店さんで発見しました。

こういう書籍がないかな、と思って立ち寄って、まさにこういう書籍が手に入ったので、こちらでも思わず心の中で快哉を叫び、不思議な縁も感じました(笑)。昭和58年(1983)の書籍が新刊書店に並んでいたというのも驚きです。

著者の鈴木實氏は、元花巻北高校さんの校長先生。大正5年(1916)のお生まれだそうですので、まだご存命かどうか……。父君は宮沢賢治が技師として働いていた東北砕石工場を興した鈴木東蔵。そうした縁もあって、昭和23年(1948)に谷川徹三の揮毫で建立された賢治の「農民芸術概論綱要」碑の建立に奔走されました。

最初は宮沢家に話を通さずにその計画を進め、光太郎に揮毫を依頼したそうです。ところがそれでは筋が通らないと光太郎に強く諭されたというエピソード、さらに、やはり昭和23年に同志社大学教授だった浜田与助を光太郎の山小屋に案内したエピソードなどが語られています。また、鈴木氏は光太郎を敬愛していた高田博厚とも交流があり、高田の項でも光太郎の話題が出て来ます。

調べてみると、昭和23年8月25日の光太郎日記に記述がありました。

学校にゆかんとせし頃(十時半頃)土沢より鈴木氏といふ青年、同志舎(「社」の誤り)大学の浜田先生といふ人を案内して来る。一緒に学校にゆく。郵便物を出すため学校にゆく旨のべる。(略)浜田先生と談話。同氏は哲学専攻の由。長坂町に滞在との事。土沢では長嶌氏といふクリスチヤン農家を訪ねられたらし。長嶌氏より林檎5個もらふ。尚浜田氏よりドラ焼20数個もらふ。 十一時半頃浜田氏等帰らる。

この時の様子がかなり詳しく語られていて、興味深く拝読しました。浜田の子息が智恵子と同じ統合失調症の末、亡くなった話が出たこと、ミケランジェロや当時流行の某彫刻家を引き合いに出しての芸術論に花が咲いたこと、そして鈴木氏と浜田の帰りしな、光太郎が「まだいいですよ」と引き留めたこと(鈴木氏が光太郎の周辺人物に聞いた話では、こういうことはめったになかったそうで)などなど。

「農民芸術概論綱要」碑云々のエピソードも光太郎日記に記述があるのではないかと思われます。ただ、鈴木氏の名が記されていないようで、索引から調べることも出来ません。宿題としておきます。

この手の光太郎日記などを補完する回想等、非常に貴重なものです。今後も発見に努めようと思います。


【折々のことば・光太郎】

詩は決して紙の上だけでは出来ないし、又決して態度や心構だけでも出来ない。詩はその人の存在全部から立ち登る必然のものであつて、しかもその精神を神経組織に変調しながら表現する技術は、時代と共に何処までも進展する。とにかく停滞は自然の理法に反する。われわれは日々に新しくならなければならぬ。

散文「雑誌『新女苑』応募詩選評」より 昭和16年(1940) 光太郎59歳

戦後、光太郎は「心はいつでもあたらしく」という語を地元の太田中学校や盛岡少年刑務所に贈りましたが、その背景にはこうした考えがあったのですね。

思潮社さんから刊行されている雑誌『現代詩手帖』の最新号です。 

現代詩手帖 2018年6月号

2018年5月28日発売  思潮社  税込定価1280円

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【特集】『月に吠えらんねえ』の世界

◎作品  清家雪子 花なんかいらない
◎対談  萩原朔美+清家雪子 『月に吠えらんねえ』の秘密
◎座談会 
朔太郎、戦争詩、女性性、ときどきBL。
      安智史+栗原飛宇馬+猪俣浩司+浅見恵子
◎論考  藤井貞和、川口晴美、TOLTA、黒瀬珂瀾、岩川ありさ
◎人物紹介 詩歌句街から
 青木亮人、安住紀宏、伊藤詩織、井上法子、北爪満喜、栗原飛宇馬、佐藤弓生、
 佐伯百々子、田口麻奈、
田野倉康一、陶原葵、中地幸、中西恭子、マーサ・ナカムラ、
 安智史、柳澤真美子、山田夏樹


というわけで、講談社さん刊行の漫画雑誌『アフタヌーン』で、平成25年(2013)から連載されている、清家雪子さん作「月に吠えらんねえ」の特集が組まれています。

同作は単行本としては、現在、8巻まで刊行されており、「月吠」の愛称で、コアなファンを獲得しています。

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近代文学者たちの作品からのイメージで造型された登場人物達がおりなす、妖しく怪しい(笑)独特の世界です。主人公は「朔」。萩原朔太郎の作品からのインスパイアです。

光太郎智恵子からのそれ、「コタローくん」と「チエコさん」も登場し、第4巻所収の第17話「あどけない話」では、二人がメインのストーリーになっています。

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その他、ところどころに「コタローくん」と「チエコさん」が登場しますが、第6巻以降はほとんど出番が無く、残念に思っています。

真面目(笑)な文学界でもこの作品は無視できないと見え、各地の文学館さんで企画展が開かれたり、詩歌系の雑誌で特集が組まれたりしています。

で、『現代詩手帖』さん。作者の清家さんはじめ、朔太郎の令孫・萩原朔美氏、詩人の藤井貞和氏などが、作品の魅力を語り尽くしています。作品の主要テーマである「戦争詩とは何だったのか」という点についても、逃げることなく真っ向から向き合っています。

そうした中で、「コタローくん」と「チエコさん」の立ち位置についても、ところどころで言及されています。下記は特集の最後、登場人物紹介の項。

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それから、同じ号で「赤磐発・永瀬清子生家保存会の試み 映画『きよこのくら』雑記」という記事も載っていました。香川佳子さんという方のご執筆でした。永瀬清子は現在の岡山県赤磐市出身の女流詩人。昭和15年(1940)刊行の詩集『諸国の天女』の序文を光太郎に書いてもらうなどしています。

当方、6年前に足を運んだ赤磐市の生家保存の取り組みと、残念ながら解体されてしまった蔵を描いた映画「きよこのくら」についてのレポートで、興味深く拝読いたしました。

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『現代詩手帖』さん、大きめの新刊書003店なら普通に置いてあると思われます。ぜひお買い求めを。


【折々のことば・光太郎】

実に、王公の面前に立つても、なほかつ「爾曹蝮の裔よ」と叫んで怖れなかつたヨハネが人物の雄大と率直とは妙にロダンが勁健な作風に適してゐることから考へても、氏が三十年の蘊蓄を傾倒して仏国彫刻界の舞台へ漸く其の手腕をふるはんとした時の序幕としては実に痛快極まる図題であつた。

散文「アウグスト ロダン作
「バプテスマ」のヨハネ」より
明治38年(1905) 光太郎23歳

我が国に於いて、ロダンを詳細かつ肯定的に評した文章のうち、最も古いものの一つです。光太郎のその炯眼にはやはり舌を巻かざるを得ません。

先月発行の新刊コミックです。

歯のマンガ

2017/12/16 カトちゃんの花嫁著 小学館 定価690円+税

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「人生つらいけどサンバだし、つらく001なくてもサンバなのです。」

ツィッターにほぼ毎日更新され多くの人を癒しているかわいい二本?否、二人組の歯の日常を描いた『歯のマンガ』がついに書籍化!
グッズにもなった「つらくてもサンバ」「おまえ~」はもちろん「吊るツラ」「あけみちゃん」「幻の家族」「タニマチさん」など人気の高いエピソードを厳選し収録。
さらには、この本でしか読むことができない描き下ろしエピソード(3本合計40ページ超)を収録します。
歯はどこから来てどこへ行くのか…。本書を読めば、「歯」の謎が解ける!?


題名のまんま、「歯」が主人公のマンガです。女の子から抜け落ちた2本の「歯」(途中、3本目が登場しますが、また2本に戻ります(笑))が、なぜか人格を持ち、いろいろと行動します。

この設定だけでも十分に不条理、シュールだと思いますが、帯に印刷された推薦文には、そう評されるであろうことに釘を刺し、「不条理でもシュールでもない」とあります。ちなみにこの推薦文のご執筆は、J-POPユニット・ONIGAWARAの斎藤伸也さん。実在の人物でありながら、このマンガに登場されています。

元々、ツイッターで発信されていた四コマ漫画がメインですが、書籍化にあたり、3本の「長編」が加えられました。そのうちの1本が「智恵子抄」(全20ページ)。

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なぜか智恵子が登場し、主人公である2本の「歯」とともに、空を探しに行く、という流れです。いわずもがなですが、「あどけない話」(昭和3年=1928)をベースにしています。

このマンガは、四コマの場合でも、いわゆる「起承転結」のお約束を完全に無視する場合があり、この「智恵子抄」も、結局、オチがないまま終わっています。「起承転・転・転……」的な(笑)。

書きながら気づきましたが、かつてのつげ義春氏のマンガを彷彿とさせられました。ただし、つげ氏のそれに多く見られる尖った視点はあまりなく(少しあります)、つげ氏のそれに時折見られた温かみが目立ちます。そうした意味では、現在流行の「ユルい」「癒し系」といった評が当てはまるでしょう。そこで終わっていないところにこのマンガの凄さがありますが。


ぜひお買い求め下さい。



【折々のことば・光太郎】

如何なる時にも自然を観察せよ。自然に彫刻充満す。

散文「彫刻十個條」より 大正15年(1926) 光太郎44歳

かつて帰国する荻原守衛に、同じようなことをロダンが言ったそうです。それを聞いたであろう光太郎も、自然を師として彫刻道に邁進する姿勢を明確にしました。いったいに、今日まで十日間にわたってご紹介し続けた「彫刻十個條」、光太郎編訳の「ロダンの言葉」(正編・大正5年=1916、続編・同9年=1920)の影響が色濃く見て取れます。

そして同じことは、有名な詩「道程」にも「僕の前に道はない」「ああ、自然よ/父よ」といった形で表されています。

今朝の新聞各紙に漫画家の谷口ジロー氏の訃報が出ました。

『朝日新聞』さんから。

漫画家の谷口ジローさん死去 「孤独のグルメ」

 「『坊っちゃん』の時代」や「孤001独のグルメ」などで知られる漫画家の谷口ジロー(たにぐち・じろー、本名谷口治郎〈たにぐち・じろう〉)さんが11日、多臓器不全で死去した。69歳だった。葬儀は家族だけで行う。
 鳥取市出身。19歳で上京し、漫画家のアシスタントを経てデビュー。92年に「犬を飼う」で小学館漫画賞、98年に作家の関川夏央さんと手がけた「『坊っちゃん』の時代」で手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した。久住昌之さん原作の「孤独のグルメ」は、雑貨輸入商を営む男性が1人で食事を満喫する自由を描いて人気となり、テレビドラマ化された。
 海外でも評価され、11年に仏芸術文化勲章「シュバリエ」を受けた。
 「孤独のグルメ」の主人公を演じた俳優の松重豊さんはブログで、「原作のようにハンサムじゃなかったけれど、先生の作品に出られて光栄でした。心よりご冥福をお祈りいたします」とのコメントを出した。


代表作の一つ、「『坊ちゃん』の時代」は、全5部にわたる大作で、昭和62年(1987)から平成8年(1996)にかけ、双葉社さんの『漫画アクション』に連載されました。作家の関川夏央氏の原作、谷口氏の作画です。明治の文学者たち一人ずつを各部の主人公に据え、彼らを取り巻く人間群像を描いています。

ラインナップは以下の通り。 第1部が「「坊っちゃん」の時代」、主人公は夏目漱石。第2部に「秋の舞姫」で同じく森鷗外。第3部は「かの蒼空に」を石川啄木。第4部「明治流星雨」、これのみ文学者ではなく、幸徳秋水が主人公です。そして第5部の「不機嫌亭漱石」で再び夏目漱石。明治43年(1910)の「修善寺の大患」を以て、物語は完結。ほぼ明治後半を舞台としています。各部とも「凛冽たり近代 なお生彩あり明治人」をサブタイトルとしています。昨今の「文豪」ブームの火付け役とも言えるでしょう。これをNHKさんの大河ドラマの原作に、と推す声も根強くあり、当方も同感いたしております。

さて、以前にもご紹介しましたが、啄木を主人公とした第3部「かの蒼空に」には、智恵子が登場します。

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明治42年(1909)、市電の中で、啄木が平塚らいてうと智恵子に偶然出くわし、らいてうに向かって無遠慮に、前年、漱石門下の森田草平と起こした心中未遂について尋ねるというくだりです。失礼な啄木に智恵子の平手打ちが炸裂します。

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あくまでフィクションですが、あり得る話です。

さらに同じ第3部では、光太郎が海外留学から帰国する直前の「パンの会」が描かれ、出席者たちが光太郎の噂話をしています。

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光太郎智恵子のエピソードはこれだけですが、綺羅星の如き2人の周辺人物があまた登場、虚実織り交ぜて明治の人間ドラマが描かれます。関川氏の原作もさることながら、谷口氏の緻密かつ圧倒的な画力が光り、第1部刊行当時には、「漫画もここまできたか」と感心させられました。

第5部完結後、それで終わるのは非常に残念に感じ、「明治」を引きずり続けた「明治人」ということで、光太郎を主人公にした第6部を作ってくれないかな、などと思っていました。ある意味、関川氏は雑誌『婦人画報』さんに連載され、NHK出版さんから単行本化された「「一九〇五年」の彼ら」で、「『坊っちゃん』の時代」の補遺的に光太郎らを描いて下さいました。それを元に谷口氏の作画で新作を、と期待していましたが、それも叶わず谷口氏のご逝去……。

非常に残念ですが、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


【折々のことば・光太郎】

歩いても、歩いても 惜しげもない大地 ふとつぱらの大地  歩いても、歩いても 天然は透明 しんそこわだかまるものもない

詩「歩いても」より 大正5年(1916) 光太郎34歳

大正5年(1916)といえば、漱石が歿した年です。同元年(1912)には、文展(文部省美術展覧会)への評を巡って、光太郎が漱石に喧嘩を売るような文章を発表しています。結局、「大人」だった漱石が黙殺する形で終わっていますが、その後、智恵子との結婚を経て、心の平安を得ていた光太郎も、もはや漱石には「しんそこわだかまるものもない」と感じていたのではないかと思われます。

いろいろ紹介すべき事項が重なり、後回しになってしまいました。双葉社さん発行の雑誌『小説推理』の2017年2月号(12月末刊)に連載の、喜国雅彦氏による漫画「今宵は誰と―小説の中の女たち―」が、「第六話 レモンを噛む女」ということで、「智恵子抄」を紹介して下さいました。

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「名作文学に登場する女性に焦点をあてたブックガイド的漫画」だそうで、これまでに安部公房『砂の女』、ツルゲーネフ『はつ恋』などが取り上げられてきたとのこと。

サブタイトルが「小説の中の女たち」となっていますが、小説ではなく詩集であるとことわった上で、あえて紹介してくださり、有り難く存じます。

「小説より言葉が少ないけれど 頭に浮かぶ映像は逆に鮮明」「この二人の何が哀しいって 最初に精神を病んだ智恵子の中から光太郎が消え 死によって光太郎の前から智恵子が消えるという 二度の別れがあること」など、的確に解説して下さっています。


今月末までは、店頭に並んでいるかと存じます。ぜひお買い求めを。


【折々のことば・光太郎】

私達の愛を愛といつてしまふのは止さう も少し修道的で、も少し自由だ

詩「冬が来る」より 大正元年(1912) 光太郎30歳

その恋愛の初期の頃には、このようなことを言っていた光太郎でした。後の大いなる悲劇の予感は全くなかったのでしょう。

昨日、生活圏の新刊書店にて、光太郎に少しだけ触れている書籍を2冊、買って参りました。

まずは雑誌『サライ』の6月号。

『サライ』6月号「生誕120年記念 今こそ、宮沢賢治」

2016/05/10 小学館 定価700円

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今年の8月に生誕120年を迎える宮沢賢治(1896~1933)。生まれ育った岩手県花巻市を中心に様々な記念行事が予定されていますが、いま、賢治の生き方や作品が再び注目されています。また、東日本大震災の被災地でも賢治は読まれているそうです。

『サライ』6月号の特集は「今こそ、宮沢賢治」と題して、作家の池澤夏樹さん、映画作家の大林宣彦さん、漫画家の松本零士さんをはじめ、賢治作品に影響を受けたという著名な方々に、賢治との出会いと作品の解釈、それぞれの賢治像を語っていただきながら、「いま、なぜ宮沢賢治か」をひもといていきます。

社会学者の見田宗介さんは賢治が今なお多くの人々に読まれている理由として、作品に共通する「人間は生きて在るだけでいい」という考えに共感し救われているからと語ります。また、それは経済的な豊かさを追い求めてきた人々が、従前とは異なる幸福感を考え始めているからだとも述べています。

賢治が生きた時代、日本は戦争への道を進み、故郷・岩手は自然災害にたびたび見舞われました。29歳で農学校の教職を辞し、花巻に「羅須地人協会」を設立。自らも一農民として後半生を農業の発展に寄与する道を賢治は選びます。農民に肥料の相談や指導を無料で行ないながら、自らの考えも説いたのです。

<世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない>
賢治の弟・清六の孫にあたる宮澤和樹さんは、「賢治さんは、自らが率先して実践することで、各人が他人のことを考えて行動し、歩みを進めれば、夢の国『イーハトーブ』は実現できると考えていたのではないでしょうか」と賢治の心の内を代弁します。

本特集では、今も賢治作品に刺激を受け続けているという作家の夢枕獏さんが、岩手県内に賢治ゆかりの地を訪ね歩いています。賢治の世界を肌で感じた夢枕獏さんは、こう言いました。
「災害やテロなど、世の中が混沌としている今だからこそ、賢治の言葉が私たちの心に刺さります」
人は繋がりで生きています。そして、私たちはひとりではありません。誰もの心に賢治の言葉があれば、本当の幸せの花が咲くのです。宮沢賢治が私たちに残してくれたいくつものメッセージにもう一度耳を傾けてみてはいかがでしょうか。


実際に会ったことは一度だけながら、お互いにその詩的世界を認め合い、足かけ8年にわたる光太郎の花巻近辺での生活を実現させた宮沢賢治の特集です。

「イーハトーブ対談 賢治が本当に伝えたかったこと」というコーナーで、作家の夢枕獏氏と、賢治の弟である清六の令孫・宮澤和樹氏の対談で、賢治を見いだし、世に広めるのに一役買った光太郎に言及されています。和樹氏、ことあるごとに光太郎の功績を語って下さり、有り難く思っております。

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また、やはり夢枕さんによる「宮沢賢治の「心」と「風景」を歩く」という紀行文では、旧太田村の山小屋(高村山荘)が紹介されています。

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ちなみに夢枕さんといえば、「智恵子抄」を愛読する、心優しい巨漢の豪傑を主人公とした『怪男児』というエンタメ小説を、かつて執筆なさっています。

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その他、賢治・光太郎ともに愛した大沢温泉さんや、光太郎が揮毫した「雨ニモマケズ」詩碑など、光太郎がらみの場所も紹介されています。


もう1冊。

月に吠えらんねえ(5)

清家雪子著 2016/5/23 講談社(アフタヌーンKC) 定価740円+税

萩原朔太郎作品のイメージから生まれた「朔くん」、北原白秋作品から生まれた「白さん」、室生犀星作品から生まれた犀。戦中詩を強要され苦しむ朔、□(シカク)街と朔の関係を追求する白、戦場の悲劇を目撃し続ける犀、3人の詩人たちは近代日本の闇に直面する。膨大な資料を下敷きにした、話題集中の近代詩歌俳句エンターテインメント、あいかわらず独走中!

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萩原朔太郎をモデルとした「朔」を中心に、幻想の街・□(シカク)街に交錯するさまざまな文人たちを描くコミックの第5巻です。昨年刊行された第4巻では、アッコさん(与謝野晶子)とチエコさん(高村智恵子)が表紙を飾り、第17話「あどけない話」では、コタローくん(光太郎)とチエコさんがメインのストーリーになっていました。

5巻では、コタロー君とチエコさんは直接登場しませんでした。が、「朔」が幻想の中で、日本近代詩史を辿るという場面に、光太郎詩「牛」、そして「敵ゆるすべからず」が使われています。

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「社会が最上と認めるものが芸術の価値ならば 日本近代詩の頂点は あの無惨な 響きも実験精神も何もない 雰囲気に追い立てられ無理に生み出された出来損ないの 戦争の詩なんだよ」という「朔」のセリフ。なかなか鋭い考察です。


『サライ』、『月に吠えらんねえ』、ともに新刊書店で普通に販売中。ぜひお買い求め下さい。


【折々の歌と句・光太郎】

朝焼けやぬるき南のしめり風海より吹きて初夏は来ぬ
明治40年(1907) 光太郎25歳

昨日の関東では、真夏日を記録した所もありました。今日も暑くなりそうです。

まずは新刊情報です。

月に吠えらんねえ(4)

清家雪子著 2015/10/23 講談社(アフタヌーンKC) 定価740円+税

作中にふんだんにちりばめられた近代詩そのもの凄さに酔い、架空の街で虚実の境を徘徊する、朔太郎、白秋(はくしゅう)、犀星(さいせい)らの作品からイメージされたキャラの圧倒的な存在感に酔い、膨大な資料を下敷きに緻密に物語を組み立てた作者の過剰な愛情に酔う。話題集中の近代詩歌俳句エンターテインメントをこの機会にぜひ!

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一昨年から、講談社さんの漫画雑誌『月刊アフタヌーン』で連載されている、主人公・朔(萩原朔太郎)をはじめ、架空の町「□(シカク 詩歌句)街」に住む、近代詩歌人たちをモデルにした強烈なキャラクター達の織りなす幻想的な物語です。連載開始時第1巻第2巻のレビューもこのブログにて既に書いています。今年4月刊行の第3巻は、光太郎智恵子に関わる部分がほとんどなかったので、割愛しました。

第4巻、表紙を飾るのはアッコさん(与謝野晶子)とチエコさん(高村智恵子)。帯にはコタローくん(光太郎)とチエコさん。

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これまでもコタローくんとチエコさんはたびたびセットで登場していましたが、第4巻所収の第17話「あどけない話」では、二人がメインのストーリーになっています。

重要な登場人物の一人、白さん(北原白秋)が、美術街にすむコタローくん(光太郎)のアトリエを訪れ、亡きチエコさん(智恵子)の幻影に遭遇する、という展開です。

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しばらくは幻影のチエコさん視点で話が進み、合間合間にコタローくんの述懐が入ります。

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壊れてゆくチエコさん、毀してしまったコタローくんの描写が見事です。

チエコさん亡きあとは、その姿をロボットで再現するコタローくん。

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このロボットは、「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」を表しているような気もします。

その他、第4巻ではさまざまな「愛」の形が取り上げられています。チエコさんともども表紙を飾るアッコさん(与謝野晶子)とヒロさん(与謝野鉄幹)、とみちゃん(山川登美子)の三角関係。そこに「小説家」(有島武郎)と「あの女」(波多野秋子)がからみ……。さらには朔(萩原朔太郎)と「エレナ」、早世した拓(大手拓次)の物語も。

それぞれ予備知識無しでも楽しめると思うのですが、それぞれの人物の背景を知っているにこした事はありません。

そういった意味で、画期的と思える企画展が、石川近代文学館さんで開催中です。

うたえ!□(シカク 詩歌句)街の仲間たち!

期  日 : 平成27年9月19日(土)~11月29日(日) 会期中無休
時  間 : 9:00~17:00  (入館は16:30まで)
場  所 : 石川近代文学館 金沢市広坂2-2-5  TEL(076)262-5464 
料  金 : 一般 360円(290円) 大学生 290円(230円) 高校生以下 無料
        ※( )内は20名以上の団体料金

漫画「月に吠えらんねえ」は、これまでの「漫画と文学」の関係性の概念を打ち破り、「作品の漫画化」でも、「作家の自伝」でもなく、「作品そのものに人格を与え、キャラクター化した登場人物」を設定し、ふんだんに近代詩ほか、短詩型の作品そのものを紙面に登場させています。
今回は、作者である漫画家・清家雪子氏、講談社アフタヌーン編集部にご協力をいただき作品の出力原画をご覧いただくほか、室生犀星、萩原朔太郎ら主要登場人物はじめ、昨年春の特別展示では展示しきれなかった折口信夫父子、中原中也など二巻以降のストーリーに重要な役割をはたす石川ゆかりの作家たちの文学資料も数多く展示いたします。

企画展示室1 『月に吠えらんねえ』と□街の仲間たち
『月に吠えらんねえ』出力原画と登場人物である萩原朔太郎、北原白秋、三好達治などの資料を展示

企画展示室2 『月に吠えらんねえ』と石川ゆかりの作家たち
『月に吠えらんねえ』出力原画と登場人物である石川ゆかりの室生犀星、折口信夫・春洋、中原中也などの資料を展示

企画展示室3 石川ゆかりの詩人たち
石川ゆかりの詩人や短詩型作家を紹介し、資料を展示

主な特別借用資料
 北原白秋自筆書簡(室生犀星あて)二通(清家雪子氏蔵)
 折口信夫歌軸 二幅(個人蔵)
 折口春洋歌軸 三幅(個人蔵)
 室生犀星自筆原稿「北原白秋」(『我が愛する詩人の傳記』)(室生犀星記念館蔵)
 三好達治遺愛の横笛(みくに龍翔館蔵)

エッセイ展示  「彼」とわたしの意外な関係
 折口信夫  横山方子氏(石川郷土史学会幹事)
 中原中也  薮田由梨氏(徳田秋聲記念館 学芸員)
 表棹影  松岡理恵氏(エフエム石川アナウンサー)

刊行物・記念グッズ
 ★『月に吠えらんねえ』コラボレーション作品集『□街集』  清家雪子先生描き下ろしカラー表紙  500部限定
 ★「月に吠えらんねえ」クリアファイル
 ★清家雪子先生描き下ろしイラスト&作家自筆文字缶バッチ

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「月に吠えらんねえ」の重要なキャラの一人、「犀」(室生犀星)が金沢出身、「チューヤくん」(中原中也)も金沢に居住経験あり、ということで実現したようです。

チラシにはコタローくんとチエコさん(ロボット)も描かれています。

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ぜひ足をお運びください。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 10月24日

昭和56年(1981)の今日、千葉成田郊外に、三里塚御料牧場記念館が開館しました。

成田空港開港前、皇室の御料牧場があり、その関係の展示がメインですが、当地に移り住んだ作家・水野葉舟や、その親友の光太郎に関する展示もなされています。

敷地内には光太郎の「春駒」詩碑や、やんごとなき方々のための戦時中の防空壕、貴賓館などもあります。

本日も新刊紹介です。

月に吠えらんねえ(2)

清家雪子著 2014/10/23 講談社(アフタヌーンKC) 定価740円+税
 
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版元サイトから
□(シカク:詩歌句)街。そこは近代日本ぽくも幻想の、詩人たちが住まう架空の街。実在した詩人の自伝ではなく、萩原朔太郎や北原白秋らの作品から受けた印象をキャラクターとして創作された、詩人たちと近代日本の業と罪と狂気の物語。衝撃的な内容で話題の1巻に続き、近代日本の闇へ踏み込む第2巻登場!
 
帯文から
朔太郎、白秋、犀星らの作品から詩人キャラをクリエイト! 厖大な資料を下敷きに妄想全開、前から後から縦横無尽にやらかした、一線を越えた詩人漫画!
 
 
昨年10月に、講談社さんの『月刊アフタヌーン』で連載が始まり、今年4月に単行本の第1巻が刊行された話題作(先月発行された詩誌『詩と思想』10月号でも大きく紹介されました)の2巻目です。
 
主人公の「朔(萩原朔太郎)」を中心に、「白さん(北原白秋)」「ミヨシくん(三好達治)」「ミッチーくん(立原道造)」「チューヤくん(中原中也)」「犀(室生犀星)」などが紡ぎ出す幻想世界の物語です。
 
第六話「1945」では、第一巻にも出てきた白皙の「コタローくん」と「機動戦士ガンダム」のガンタンクのような「チエコさん」が再登場。突如起こった空襲のために「チエコさん」は大破してしまいます。しかし、この回で、「チエコさん」は「コタローくん」が作ったラジコンだと言うことが判明。実際の「智恵子さん」はもはや死んでいることも。
 
大破して回線がショートた「チエコさん」が、まるで戦時中のラジオのようにエンドレスでつぶやき続けるのは、「コタローくん」の詩。現実の光太郎としては昭和18年(1943)に書いた「戦に徹す」です。
 

いざといふ時気のそろふのは007
日のみ子を上(かみ)にいただくわれらがともの
幾千年来かはる事なき血のしるしだ。
いま米英の大軍を敵として東亜に戦ふ。
かの元寇の国難は物の数ならず、
まさに国つ初めの戦このかた
再び来りて三たびは敢えて来らざらん
八紘(あめのした)を清め祓ふの戦だ。
この戦を戦ふ時、
われらがとも一人(いちにん)と雖も悉く戦ひ、
悉く戦の場に立ち、
悉く戦の心にきはまり、
悉く日常坐臥の生活を戦に捧げざるはない。
国民の眼(まなこ)戦の一点に集まり、
国民の思ひ戦を焦点としてめぐる。
(略)
世界を奪はんとしてのぼせ上るは米英にして、
世界を清めんとするはわれらである。
この戦のいづれに神のみこころありや。
明々白々、われら断じて信ずる。
米英破る。008
世界健康の美かならず成る。
われらの手によつてかならず成る。
 
 
「コタローくん」はバグッた「チエコさん」を叩き壊します。すると、次の瞬間、なぜか海上に浮かんでいる「コタローくん」。やはりバックに彼の詩が。やはり現実の光太郎の作品としては、昭和22年(1947)に書かれた連作詩「暗愚小伝」の構想段階で書かれた「わが詩をよみて人死に就けり」です。
 
爆弾は私の内の前後左右に落ちた。
電線に女の大腿がぶらさがつた。
死はいつでもそこにあつた。
死の恐怖から私自身を救ふために
「必死の時」を必死になつて私は書いた。
その詩を戦地の同胞がよんだ。
人はそれをよんで死に立ち向かつた。
その詩を毎日読みかへすと家郷へ書き送つた
潜行艇の艇長はやがて艇と共に死んだ。
 
やがて「コタローくん」の前に現れる「チエコ」。こちらはラジコンの「チエコさん」ではなく、生身。ただし、もはやこの世の者ではない、幻です。
 
幻の「チエコ」のセリフが、以下の通りです。

ねえコタロー015
私と同じね
狂うしかなかったのね
片田舎でひっそり暮らしていたお姫様が…
突然目覚め
膨張した
身の丈に合わない自我を
小っちゃな無垢な体に抱えきれず
ぱあんと弾けてしまったのね
 
 
ともに「壊れ」てしまった智恵子と光太郎が、よく表現されています。
 
ところで、現実の光太郎はがっしりした体躯なのに、「コタローくん」は、なよっとした青びょうたんのような風貌です。第一巻の段階では、この理由が分かりませんでしたが、どうやら白皙の「コタローくん」は、「死の恐怖から私自身を救ふために/「必死の時」を必死になつて私は書いた。」という戦時中の光太郎の痛々しい自我を象徴しているのではないかと気がつきました。ものすごい伏線ですね。
 
ちなみに「必死の時」という詩は以下の通り。昭和16年(1941)の作品です。画像は詩集『大いなる日に』(昭和17年=1942)から採りました。
 
 必死にあり。
 その時人きよくしてつよく、012
 その時こころ洋洋としてゆたかなのは
 われら民族のならひである。
 
 人は死をいそがねど
 死は前方から迫る。
 死を滅すの道ただ必死あるのみ。
 必死は絶体絶命にして
 そこに生死を絶つ。
 必死は狡知の醜をふみにじつて
 素朴にして当然なる大道をひらく。
 天体は必死の理によって分秒をたがえず、
 窓前の茶の花は葉かげに白く、
 卓上の一枚の桐の葉は黄に枯れて、
 天然の必死のいさぎよさを私に囁く。
 安きを偸むものにまどひあり、
 死を免れんとするものに虚勢あり。013
 一切を必死に委(ゐ)するもの、
 一切を現有に於て見ざるもの、
 一歩は一歩をすてて
 つひに無窮にいたるもの、
 かくの如きもの大なり。
 生れて必死の世にあふはよきかな、
 人その鍛錬によつて死に勝ち、
 人その極限の日常によつてまことに生く。
 未練を捨てよ、
 おもはくを恥ぢよ、
 皮肉と駄々をやめよ。
 そはすべて閑日月なり。
 われら現実の歴史に呼吸するもの、
 今必死のときにあひて、
 生死の区区たる我慾に生きんや。
 心空しきもの満ち、
 思い専らなるもの精緻なり。
 必死の境に美はあまねく、
 烈々として芳しきもの、
 しずもりて光をたたふるもの
 その境にただよふ。
 
 ああ必死にあり。
 その時人きよくしてつよく、
 その時こころ洋々としてゆたかなのは
 われら民族のならひである。
 
この詩について、光太郎自身、「死の恐怖から私自身を救ふために/「必死の時」を必死になつて私は書いた。」と書いているのです。

ちなみに「書いた」は、時期的に考えて「制作した」という意味ではなく「人から頼まれて「書」として揮毫した」という意味だと思われます。実際、そういうことがありました。
 
そうした事情も知らないヘイトスピーチ大好きな幼稚な右翼が、「格調高い名詩」などと絶賛しています。もっと勉強しろよと言いたくなりますね。
 
 
さて、「月に吠えらんねえ」。一巻ともども、ぜひお買い求めを。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 11月18日
 
昭和27年(1952)の今日、光太郎の実弟で鋳金の人間国宝となった豊周の初めての個展が、日本橋三越で開幕しました。

新刊情報です。

『詩と思想』10月号

2014/10/1 土曜美術出版販売 定価 1,300円+税
 
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詩書を数多く刊行している土曜美術出版販売さんの月刊誌です。
 
特集は「コミック・ジェネレーション」。
 
「詩をマンガにする」という項で、為平澪さんという方が、4ページで「あどけない話 高村光太郎-智恵子抄より-」という作品を発表されています。
 
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専門の漫画家の方ではないということですが、雰囲気がよく出ています。
 
また、コミックということで、講談社さんのコミック誌『月刊アフタヌーン』で連載されている清家雪子さんの漫画「月に吠えらんねえ」が二本の記事で紹介されています。この作品は、萩原朔太郎を主人公に、光太郎智恵子を含む実在の詩人などが登場するシュールな物語です。
 
『詩と思想』では、特に北爪満喜さんという方の「『月に吠えらんねえ』が詩を視覚化するとき」が、詳しい作品論となっています。
 
『月に吠えらんねえ』での智恵子は、「機動戦士ガンダム」のガンタンクのようなロボットです。なぜロボットなのかという北爪さんの考察にはうなずけました。
 
ちなみに『月に吠えらんねえ』、単行本の第2巻が今月発売されますので、入手しましたらレポートします。
 
さて、『詩と思想』。amazon他で入手可能です。ぜひお買い求めを。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 10月7日
 
平成13年(2001)の今日、千葉県松戸市の森のホール21で、音楽と朗読による「智恵子抄」が上演されました。
 
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ソプラノ歌手の稲見里恵さんとピアノ伴奏の頼田恵さんで、清水脩作曲の歌曲「智恵子抄」、そして合唱で一般公募の「智恵子抄」合唱団さんによる、やはり清水脩作曲の「智恵子抄巻末のうた六首」。合間に朗読が入る構成でした。
 
朗読は声優の池田昌子さん。洋画の吹き替えでO.ヘップバーンや、アニメーション「エースをねらえ!」のお蝶夫人、「銀河鉄道999」のメーテル役などをなさっていた方です。

7/19、20の土日で青森に行って参りましたが、十和田湖の周辺で、いろいろと資料を入手して参りましたので、ご紹介します。

十和田国立公園

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森田五成著 十和田文化研究所発行  昭和27年6月5日初版/同57年6月30日改訂版
 
十和田湖国立公園婦人部副会長の森田玲子様からいただきました。森田様の舅にあたられる方のご著書だそうです。
 
十和田湖畔の裸婦群像、通称「乙女の像」についての記述もありますし、その他、十和田湖についてたくさんのことが書かれた、350ページ超の大作です。この手のものは、簡単なものしか手元になかったので、ありがたいかぎりでした。しかも、定価4800円もするのに、無料で戴いてしまいました。
 
乙女の像のある湖畔休屋地区のもりた観光物産さんで販売しています。
 
それから、同じく湖畔休屋地区の総合案内所で、無料で配布しているものを2種。ともに十和田湖国立公園協会さんの発行です。

十和田湖発!開運マンガ♥ 十和田湖にある東北最大(かも)の開運スポットとは!?

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A4判二つ折りです。能町みね子さんによるマンガ「アラサー女子が行く!青森・十和田開運の旅」が掲載されています。十和田神社がメインですが、乙女の像も登場します。
 
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もともと、今年3月刊行の旅行ガイド『じゃらん東北2014-2015完全保存版』に掲載されていたものです。
 
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十和田湖アイドル伝説! 乙女の像S 解散の危機 !?

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同じく能町みね子さんによるマンガで、こちらは7ページの作品です。元プロレスラーで苔玉作りインストラクターの起田高志さんも登場します。
 
乙女の像の片方(右子-みぎこ)が、「乙女の像をやめて上京する」と言いだし、もう片方(左子-ひだりこ)が、十和田湖周辺の魅力を再認識させ、引き留めるというストーリーです。笑えます。
 
こちら、十和田湖国立公園協会さんのサイトで読むことができ、「冊子にすればいいのに」と思っていたところ、すでになっていました(笑)。
 
こちらを読んで、ぜひ十和田湖に足をお運び下さい。
 
しかし、2月にお伺いした時には、大雪や訪れた時間帯のために気がつきませんでしたが、今回あらためて歩いてみて、休業した宿や店舗の多さにおどろきました。
 
先月の地元紙『デーリー東北』さんには、以下の記事が出ています。

女性記者が感じた十和田湖の魅力と課題

 青森県を代表する観光地・十和田湖の人気が低迷している。東日本大震災による風評被害を引きずってホテルや土産店の休廃業が後を絶たず、来訪客は一時、最盛期の半分程度にまで落ち込んだ。背景にあるのは観光地間の競争激化と観光スタイルそのものの変化。低迷を抜け出すために克服すべき課題は多い。
 県によると、十和田湖周辺は1990年代前半には年間300万人以上が来訪。東北新幹線八戸駅開業の2003年には最盛期の90年代を上回る約330万人を記録した。だが、鳥インフルエンザやリーマン・ショックの影響で08年に220万人となり、11年には東京電力福島第1原発事故の風評被害などで160万人にまで激減した。
 新幹線開通などで移動時間が短くなり、首都圏の観光客にも十和田湖はより身近な観光地になった。一方で、日帰りや他観光地への〝はしご〟も可能となり、観光客減少につながっているとみられる。
 県観光企画課は「宿泊を視野に入れない観光客も多く、観光スタイルが変化している」と指摘する。
 
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十和田湖周辺、本当にいいところです。よろしくお願いいたします。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 7月23日
 
平成18年(2006)の今日、朝日新聞社から『週刊人間国宝8 [工芸技術・金工1]』が刊行されました。
 
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光太郎の実弟で、鋳金家の高村豊周、そしてその弟子で、花巻の高村光太郎記念館や、信州安曇野の碌山美術館などに収められている光太郎作品の鋳造を担当した故・齋藤明氏(昨年亡くなりました)が取り上げられています。

注文していた雑誌が届きました。『新潮45』3月号。
 
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一昨日のブログでふれたノンフィクション作家の大野芳氏の「《歴史発掘》ヨーロッパを席巻した幻の女優「マダム花子」」が掲載されています。
 
全14ページで、ロダンや光太郎と縁のあった日本人女優・花子の伝記です。短いながら、最近の調査でわかったことなども盛り込まれています。
 
3月号ですので、もう店頭には並んでいませんが、新潮社さんのサイト、Amazon、雑誌のオンライン書店・Fujisan.comなどで入手可能です。
 
『東京新聞』さんの連載と併せ、単行本化を希望します。
 
単行本といえば、昨秋、講談社さんのコミック誌『月刊アフタヌーン』で連載が始まった清家雪子さんの漫画「月に吠えらんねえ」の単行本第1巻が発売され、こちらも入手しました。
 
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講談社さんサイトより。
 
実在した詩人の自伝ではなく、萩原朔太郎や北原白秋らの作品から受けた印象から作者像をイメージした、全く新しい、いわば真の二次創作ともいえる手法で創作された、詩人と近代日本の物語。
⟨(シカク:詩歌句)街。そこは近代日本ぽくも幻想の、詩人たちが住まう架空の街。
そこには萩原朔太郎、北原白秋、三好達治、室生犀星、与謝野晶子、斎藤茂吉、若山牧水、高浜虚子、石川啄木、立原道造、中原中也、高村光太郎、正岡子規らの作品からイメージされたキャラクターたちが、創作者としての欲望と人間としての幸せに人生を引き裂かれながら、絶望と歓喜に身を震わせ、賞賛され、阻害され、罪を犯し、詩作にまい進する。

『秒速5センチメートル』『まじめな時間』で高い評価を得た清家雪子の、これまでのイメージを一新し、一線を踏み越えた、狂気と知性と業の物語!
 
シュールです。萩原朔太郎をモデルとした主人公・「朔くん」を中心に話が進みますが、朔太郎の詩そのままに(それ以上に)幻想的な世界です。光太郎と智恵子をモデルにした「コタローくん」「チエコさん」も登場します。
 
こちらは新刊書店に並んでいます。ぜひお買い求めを。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 4月29日

平成10年(1998)の今日、ジャパンイメージコミュニケーションズからVHSビデオ「日本詩人アルバム 詩季彩人⑩ 高村光太郎・竹久夢二」が発売されました。
 
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いわゆるヒーリング系のもので、非常に健康的です(笑)。
 
ジャケット解説文から。
 
 日本が生んだ言葉の精鋭達、詩人。その世界の一端に静かに触れてみる。
 美しい日本の風景にのせておくる一編の詩は、あなたに忘れていた何かを思い出させてくれるでしょう。人間故の苦しみ、喜び、悲しみ、憤り、歓喜、悲哀、そして慈しみと癒し。「詩季彩人」は、喧噪を離れ、静かに詩人達の言葉のリズムに心をゆだねる時間を提供します。
 
やはりAmazonさんなどで入手可能です。もっとも、みなさんそろそろVHSビデオのプレーヤーもほとんど使わなくなっているのではないかとは思いますが……。

新刊コミックスです。

くーねるまるた 第3集

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小学館『ビッグコミックスピリッツ』連載の漫画の単行本・第3集です。作者は高尾じんぐさん。
 
主人公は、日本の大学院修了後、そのまま日本に居着いてしまったポルトガル人女性といういっぷう変わった設定です。、同じアパートに住む女性達との「食生活」を軸に話が展開、毎回、お金を使わない安上がりな、しかししゃれた料理のレシピが掲載されています。
 
このほど刊行された第3巻の「第36話 青梅」で、『智恵子抄』に触れています。「梅」ということで「梅酒」です。
 
  梅酒006
 
死んだ智恵子が造つておいた瓶の梅酒は
十年の重みにどんより澱んで光を葆み、
いま琥珀の杯に凝つて玉のやうだ。
ひとりで早春の夜ふけの寒いとき、
これをあがつてくださいと、
おのれの死後に遺していつた人を思ふ。
おのれのあたまの壊れる不安に脅かされ、
もうぢき駄目になると思ふ悲に
智恵子は身のまはりの始末をした。
七年の狂気は死んで終つた。
厨に見つけたこの梅酒の芳りある甘さを
わたしはしづかにしづかに味はふ。
狂瀾怒濤の世界の叫も
この一瞬を犯しがたい。
あはれな一個の生命を正視する時、
世界はただこれを遠巻にする。
夜風も絶えた。
 
この回では梅酒以外に、「梅醤油」、「梅ドリンク」などが紹介され、さらにメインは梅酒の梅を具に使った「梅酒カレー」。レシピも載っています。
 
ところで、今年の初め頃、その名もズバリ『梅酒』という題名のコミックスを紹介しました。
 
こちらの作者は幸田真希さんという女性漫画家。
 
そして今回の高尾じんぐさん、ということで、女性は『智恵子抄』の「梅酒」が好きなんだな、と思ったところ、今日の記事を書くために調べていて、高尾さんは実は男性だと知りました。上記の絵柄で、料理漫画。登場人物のほとんどが女性。てっきり作者も女性だと思いこんでいました。
 
「そういうのが封建時代的性差別観念だ」と、ジェンダー論者のコワいお姉様方に糾弾されてしまいそうです(笑)。

【今日は何の日・光太郎】 12月20日

昭和9年(1934)の今日、九十九里で療養していた智恵子を再び駒込林町のアトリエに引き取りました。
 
福島の智恵子の実家・長沼家破産、一家離散後、九十九里に移っていた智恵子の妹・セツの婚家に、母・センともども身を寄せていた智恵子。この年5月からの九十九里生活の中で、「尾長や千鳥と相図」(詩「風にのる智恵子」)し、「人間商売さらりとやめて」(同「千鳥と遊ぶ智恵子」)、「限りない荒漠の美意識圏にさまよひ出」(同「値ひがたき智恵子」)てしまいました。いわば人格崩壊……。
 
九十九里の家には幼い子供もおり、ギブアップ。しかしアトリエに戻っても智恵子の病状は昂進するばかりで、翌昭和10年(1935)2月末には、南品川ゼームス坂病院に入院させることになります。
 
上記の梅酒は、おそらく九十九里に行く前に智恵子が作ったものでしょう。

講談社さんから刊行されているコミック誌に『月刊アフタヌーン』という雑誌があります。
 
現在、11月号が発売中。この号からの新連載ということで、清家雪子さん作「月に吠えらんねえ」が巻頭カラーで掲載されています。
 
サブタイトルが「近代詩歌俳句幻想譚」。最初に前書き的に以下の文言が。
 
このお話の登場人物は000
近代詩歌俳句の
各作品から受けた印象を
キャラクター化したものです
各作家自身のエピソードも
含まれますが
それも印象を掬(すく)い取った
ものであって
実在の人物 団体等とは一切
関係ありません
 
過激な表現も多々含まれますが
作品世界に真摯に向き合った
結果であることを
ご理解くださいますよう
お願いするとともに
各作家の方々に
深く敬意を表します
 
「月に吠えらんねえ」という題名でおわかりでしょうが、主人公は萩原朔太郎です。
 
第一回のその他の登場人物は北原白秋、中原中也、三好達治、正岡子規、室生犀星、西脇順三郎、大手拓次、尾崎放哉、若山牧水、石川啄木、草野心平……。
 
この錚々たるメンバーが架空の都市「近代□(シカク=詩歌句)街」で織りなす幻想的な世界が描かれています。
 
一昔前に、近代文士をリアルに描いたコミックがいろいろありましたが(関川夏央/谷口ジロー『坊っちゃんの時代』シリーズ、古山寛/ほんまりう『事件簿』シリーズなど)、それらとは一線を画しています。
 
何しろ主人公の朔太郎は真性の屍体愛好者、中原中也は盗んだバイクで走り出し、草野心平にいたっては人間ではなく蛙です。
 
そして登場人物の台詞に光太郎智恵子の名が出、最後に光太郎詩「あなたはだんだんきれいになる」(昭和2年=1927)をバックに夜空に現れる全裸の巨大美女……。
 
前衛演劇を思わせる、シュールな世界です。しかし単なる悪ふざけでなく、「詩歌」と「小説」の間で揺れ動く犀星とか、引きこもりになった大手拓次とか、それぞれの登場人物についてさもありなんという設定がされています。
 
同誌は毎月25日発売だそうですので、もう次の号が出てしまいます。お早めに書店まで。
 
【今日は何の日・光太郎】 10月20日

明治43年(1910)の今日、上野精養軒で開かれた、美術新報社主催の新帰朝洋画家の会合に出席しました。

新刊紹介です。といっても、1ヶ月ほど経ってしまっていますが。 

『梅酒』

幸田真希 マックガーデン 2012年12月30日 定価571円+税

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帯に書かれたコピーから。
 
元書店員激賞!! 「私はこんな漫画が売りたかった!!」

所在なく夜の町に佇む少女・ゆえに声をかけたのは、ごく平凡な公務員・古畑。
けれど古畑と過ごす穏やかな時間は、ゆえにとってかけがえのないものとなっていった。
「私、古畑さんと、どうなりたいんだろう…」――。
俊英の贈る珠玉の短編集。

『月刊コミックアヴァルス』という雑誌に掲載された短編集です。表題作「梅酒」が、『智恵子抄』に収められている「梅酒」をモチーフにしています。向田邦子さんの短編小説にでも出てきそうな話です。
 
「たった一つの詩が…別れの悲しみについて綴ったものが、ずっと後に新しい出会いを生むことがあるんだ。それってすごい。」というセリフがなかなかいいと思いました。
 
  梅酒001
 
 死んだ智恵子が造つておいた瓶の梅酒は
 十年の重みにどんより澱んで光を葆み、
 いま琥珀の杯に凝つて玉のやうだ。
 ひとりで早春の夜ふけの寒いとき、
 これをあがつてくださいと、
 おのれの死後に遺していつた人を思ふ。
 おのれのあたまの壊れる不安に脅かされ、
 もうぢき駄目になると思ふ悲に
 智恵子は身のまはりの始末をした。
 七年の狂気は死んで終つた。
 厨に見つけたこの梅酒の芳りある甘さを
 わたしはしづかにしづかに味はふ。
 狂瀾怒濤の世界の叫も
 この一瞬を犯しがたい。
 あはれな一個の生命を正視する時、
 世界はただこれを遠巻にする。
 夜風も絶えた。
 
【今日は何の日・光太郎】2月1日

明治21年(1888)の今日、智恵子のすぐ下の妹、セキが誕生しました。

昨日、朗読を扱ったコミック、片山ユキヲ『花もて語れ』を紹介しましたので、コミックつながりでもう一冊、最近入手したものを紹介します。 

 真山知幸監修 平成24年(2012)2月16日 東京書籍 定価1200円+税

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帯に記されたコピーです。「すすり泣く漱石、意地をはる中也。不器用だけど、あったかい。漱石も鷗外も太宰も、恋をしたから文学できた。日本文学史上にかがやく文豪たち10人の恋バナが切ない系コミックになりました。」このコピーを書いたライターさんには感心します。これだけ読めばよく内容がわかるようにしっかりと凝縮されていますので。
 
扱われているのは他に谷崎潤一郎、芥川龍之介、石川啄木、川端康成、島崎藤村。そして光太郎も。光太郎の項は「空を見つけて」というサブタイトルで、14ページ。作画はyocoさん。やはり『智恵子抄』から「あどけない話」「レモン哀歌」などをベースにまとめています。
 
こういった文学入門的なものを契機に、それぞれの作家の作品、生涯に興味を持ってくれる方が増えることを願ってやみません。

話は変わりますが、「シューマンと智恵子抄」朗読の荒井真澄さんからメールを頂きました。過分な御礼の言葉に恐縮しきりです。
 
添付されていた画像です。左から墨画の一関恵美さん、朗読の荒井真澄さん、ピアノの齋藤卓子さんです。

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全国の表現者のみなさん。こういった光太郎・智恵子を扱うイベントがあればできる限り駆けつけますので、お声がけ下さい。

朗読イベントに出かけて参りましたので、最近入手した光太郎を扱った朗読関連の物を紹介しましょう。 

片山ユキヲ 平成23年(2011)4月4日 小学館 定価562円+税

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小学館の『月刊!スピリッツ』に連載されていたコミックス(漫画)です。この5月から掲載誌が週刊の『ビッグコミックスピリッツ』に移行しました。作画は片山ユキヲ氏。
 
ここ数年、いろいろな分野(それも一般にはなじみの薄い意外な分野)が漫画のモチーフとなり、成功を収めている例が目立ちます。クラシック音楽、百人一首や書道など。この「花もて語れ」は朗読をモチーフにした漫画で、引っ込み思案なダメOLと、引きこもりの経験を持つ社長令嬢が、朗読を通して成長していくというストーリーです。日本朗読館主宰の東百道氏が監修しています。
 
現在、4巻まで発行されていますが、そのうち2巻目に、光太郎の「ぼろぼろな駝鳥」の朗読が扱われています。他には宮澤賢治「やまなし」「春と修羅」、斎藤隆介「花咲き山」など。
 
漫画家とよ田みのる氏による推薦文です。

想いは届く! なんて愛おしい漫画でしょうか。朗読で人が救われるお話です。フィクションだと思いますか。いえいえ現実だってそんなことは起こるんです。漫画も朗読も同じ様に、精一杯思いを込め、あなたに届けと願います。そしてそれが届いた時、ちょっとだけ心が広くなりお互いが救われるのです。そんな奇跡を描いたキラキラと輝くような本当に大切な物語です。この作品に込められた想いがあなたに届きますように!
 
ぜひ読んでみて下さい!

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