昭和の銀幕に輝くヒロイン 第105弾 岩下志麻 智恵子抄
撮影:竹村博 美術:浜田辰雄 音楽:佐藤勝
昭和42年(1967)の松竹映画「智恵子抄」。光太郎役が故・丹波哲郎さん、智恵子は岩下志麻さんが演じられました。
やはり映画版は、東宝さんで昭和32年(1957)に故・原節子さんと故・山村聰さんで制作され、そちらはVHSビデオが販売、この手の上映会にかかる回数も松竹版より多くあります。
その点、この松竹版は市販の映像ソフト化がされておらず、上映される回数もそう多くありません。ご覧になったことのない方(ある方も)、この機会をお見逃しなく。
ちなみに「昭和の銀幕に輝くヒロイン 第105弾 岩下志麻」自体は先月から始まっており、既に上映が終了したものを含め、ラインナップは以下の通りとなっています。
わが恋の旅路 / 山の讃歌 燃ゆる若者たち / 100万人の娘たち / あねといもうと / 素敵な今晩わ / 暖流 / 智恵子抄 / あかね雲 / 女の一生 / 日も月も / 婉という女 / 心中天網島
【折々のことば・光太郎】
荻原君の胸像は僕が同君に対する敬愛のしるしとして是非とも(御依頼の有無に拘らず)作る意志を持つて居て先年来種々研究いたして居るのですが最近になつて どうもまだ今の僕の想像力の強さでは十分に頭の中にある荻原君を構成する事が出来兼ねるといふ事を確実に知りました
「荻原君」は明治43年(1910)に亡くなった親友・荻原守衛、山本安曇は守衛と同郷の鋳金家で、光太郎実弟の豊周とともに、守衛絶作の「女」の鋳造を手がけました。
この年は守衛七回忌に当たり、浅草橋で帽子商を営んでいた守衛実兄の本十から、光太郎に守衛胸像の制作が依頼されていました。しかし光太郎、今の自分の実力では、モチーフがモチーフだけに不可能、というわけです。謙虚といえば謙虚ですが……。
結局この後も、光太郎による守衛胸像の制作は実現しませんでした。残念です。