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名古屋在住の方から情報をいただきました。

TIAA全日本作曲家コンクール入賞記念 野村朗作品リサイタル 

期 日 : 平成25年3月9日(土) 
会 場 : 電気文化会館 ザ・コンサートホール 名古屋市中区栄2-2-5 地下鉄伏見駅下車
時 間 : 午後2時開場 午後2時30分開演
料 金 : 2,000円(全席自由) 
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野村氏は名古屋音楽短期大学作曲専攻卒。平成24年度東京国際芸術協会主催の第12回全日本作曲家コンクールの歌曲部門で入選、ということで、それを記念してのリサイタルだそうです。
 
その際の受賞作品が光太郎の詩に曲をつけた「千鳥と遊ぶ智恵子」。それを含む「連作歌曲「智恵子抄」」がプログラムのメインのようです。演奏者の皆さんも名古屋音大の卒業生だそうです。
 
興味のある方はどうぞ。
 
【今日は何の日・光太郎】2月20日

平成14年(2002)の今日、青山スパイラルホールで上演された智恵子を主人公とする、野田秀樹作、大竹しのぶ出演の一人芝居「売り言葉」が千秋楽を迎えました。

仙台レポートの3回目、最終回です。
 
宮城県美術館を後にし、一旦仙台駅まで戻りました。土産物を買い、地下鉄に乗って長町へ。ピアニスト齋藤卓子さん、朗読の荒井真澄さんによるコンサート「楽園の月」を聴きに行きました。会場は昨年5月にやはりお二人で「シューマンと智恵子抄」の公演をなさった古民家カフェ「びすた~り」さんです。「シューマンと智恵子抄」の時と同じく一関恵美さんの墨画の展示もあります。
 
少し早めに着いてしまったので、周辺を散策しました。かの広瀬川では白鳥がいました(それにしても仙台は雪深かったな、と思っていたら、昨日は当方の住む千葉県北東部でも8㌢の積雪となりました)。
 
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さて、会場に着きました。やはり眼鏡が曇って何も見えません。受付で出迎えてくださった一関さんが一関さんだと気づきませんでした(笑)すみません。
 
荒井さんのMCで始まった「楽園の月」、まずは一関さんのスピーチ。会場内に並ぶご自身の作品や、講師として教えた福祉施設の皆さんの作品などについてのご説明や、昨年、斎藤さん共々訪れたパリでのエピソードなどを披露されました。
 
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また、どの時点で作品の「完成」とするか、といったお話もされました。福祉施設の皆さんはそのあたりの見極めが非常に上手いそうです。このあたり、彫刻にも関わる話だな、と思いながら聴いていました。光雲に代表される伝統的な木彫では「こなし」といって、作品の最後の仕上げに物凄くこだわります。そうした立場に立つと、ロダンの様な荒々しいタッチは「こなれていない」と見え、未完成のものにしか見えないそうです。一昨日、昨日と書いた佐藤忠良の彫刻などは、仕上げまでかなり丁寧に為されており、柔らかさにつながっているような気もしました。この点についてはまた、折を見て書きたいと思います。
 
さて、いよいよ斎藤さんのピアノ。今回はショパンとドビュッシーです。前回(昨年5月の『シューマンと智恵子抄』)は、どうしても荒井さんの朗読を中心に聴いたため、正直、ピアノの方にはあまり意識が向きませんでした。しかし今回は、荒井さんの朗読は曲間にされることが多く、ピアノにも集中できました。個人的にフランス近代物は大好きで、しかも名手・斎藤さんが目の前で弾かれているわけで、至福のひと時でした。ピアノもオーストリアのベーゼンドルファー。昨年11月にモンデンモモさんのコンサート「モモの智恵子抄2012」があった原宿のアコスタディオさんもベーゼンドルファーでした。その時に伴奏を務めた砂原嘉博さんに「べードルには88鍵より多い鍵盤のタイプがあるんですよ」と教わりました。びすた~りさんのべードルがまさにそれで、88鍵プラス低音に4鍵、全て真っ黒な鍵が足されているタイプでした。
 
光太郎はショパンに関してはほとんど言及していませんが、ドビュッシーについては同時代の人間ということもあったのでしょう、高く評価していました。ロマン・ロランの書いた「クロオド デユビユツシイの歌劇-ペレアス、メリザンド-」の翻訳(明治44年=1911『高村光太郎全集』第17巻)も手がけていますし、親友だった陶芸家バーナード・リーチのデッサンやエッチングを褒めるのにドビュッシーを引き合いに「其の優雅な美しさを持つ或作品にはドビユツシイの「アラベスク」の美を思はせるものもある」(「リーチを送る」大正9年=1920『全集』第七巻)と書いています。また、昭和8年(1933)に岩波書店から刊行された『岩波講座世界文学7 現代の彫刻』(『全集』第五巻)の中では、ロダンの出現にからめ、19世紀後半のフランスの芸術界を評して「フランスそのものが自分の声を出しはじめたのである」とし、「音楽に於けるドビユツシイ、詩に於けるマラルメ、皆その意味に於いてフランス再発見の声である」と書いています。
 
荒井さんの朗読は、曲の合間にヴェルレーヌやボードレール、島崎藤村など。これまた美声に聞き惚れました。ドビュッシーとヴェルレーヌ、ボードレールも因縁浅からぬものがあり、光太郎もちゃんとその点を押さえています。
 
「ペレアス エ メリザンド」で近代音楽界の大家となつたクロオド ドビユツシイは、其の以前既に近代詩人の詩に作曲してゐた。(中略)マラルメ、ヹルレエヌ、ボオドレエルに次いでは、ピエル ルイ等がドビユツシイに最も多く作曲された詩人である。
(「詩歌と音楽」明治43年=1910『全集』第8巻)
 
ふと、外を見るとまた雪。「雪見酒」ならぬ「雪見ピアノ」もいいものだな、と思いました。そして終演。
 
次は「雪見風呂」です。当初の予定では仙台郊外の秋保温泉に行くつもりでしたが、時間の都合もあり、市内の温泉入浴施設に行きました。それでも凄い雪のため、あちこちで立ち往生したり事故を起こしたりしている車があり、仙台駅に戻ったのはぎりぎりの時間でした。しかし、やはり雪のため新幹線も遅れており、結局は余裕でしたが。仙台名物牛タンの駅弁を食べながら、帰途に就きました。
 
というわけで、有意義な仙台行でした。今後ともお三方のご活躍を祈念致します。

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お三方が活動されている「アクテデュース」さんのHPから。
左から齋藤卓子さん 一関恵美さん 荒井真澄さん。
 
【今日は何の日・光太郎】1月29日

大正15年(1926)の今日、ロマン・ロラン友の会結成。光太郎も参加しています。

昨日は久しぶりに国会図書館に行って参りました。久しぶり、といっても2ヶ月ぶりくらいですが。


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国会図書館などに調査に行く場合には、「今日は○○と××について調べる」などと、あらかじめ計画を練っていかないと時間が無駄になります。
 
昨日はまず、昨日のこのブログで小沢昭一さんの訃報にからめて紹介した光太郎作詞、飯田信夫作曲の「歩くうた」(昭和15年=1940)、に関する調査から始めました。
 
今年4月から年2回、当方が刊行している冊子『光太郎資料』で、「音楽、レコードに見る光太郎」という項を設けており、まずは「歩くうた」を扱っているからです。今までに、当時出版された楽譜や、当時発売されたレコード(徳山璉などの歌唱)、戦後になって他の歌手がカバーしたレコード・CDなどについて紹介しました。
 
そうした調査の中で、当時の厚生省が歩くことを広く国民に呼びかけていたらしいことが判り、その裏付け調査をしておこうと考え、調べてみました。すると、確かにそういう記述のある書籍が見つかりました。また、大毎東日映画部が「歩け歩け」という映画を制作していたことも判り、そちらの調査もしてきました。
 
詳しくは来年4月刊行予定の『光太郎資料』第39集に書きますので、ご入用の方はお声がけください。
 
続いて、当たりをつけておいた光太郎の文筆作品-少し前のブログで長々と書いた「海の思出」のように、埋もれていた文筆作品-の探索。こちらについてはまた明日のブログでご報告します。
 
それにしても、国会図書館に行くと、いい運動になります。同館は図書館といっても、通常の図書館のように開架で本がずらっと並んでいるわけではなく、ほとんどが書庫にしまわれている状態です。古い資料はデジタル化が進み、館内のパソコン画面で閲覧する仕組みになっていますが、それほど古くない物は、現物を書庫から出してもらって閲覧する仕組みです。
 
雑誌以外の書籍の受け取りと返却、複写は本館2階、雑誌に関しては受け取り、返却は新館2階、複写は新館1階。デジタルデータの複写受け取りも新館1階。さらに昨日は新聞系の調査も行ったので、新館4階にも行き、合間に本館6階の食堂で食事、喫煙は本館と新館の間の2階喫煙室。本館も新館も広い建物で、さすがに4階や6階に上がる時にはエレベータを使いますが、1階と2階の間は階段を使った方が早いので、エレベータは使いません。昨日は朝から夕方までいましたが、おそらくキロメートルの単位で歩き回っているんじゃないかな、などと思いつつ過ごしました。当方は普段から犬の散歩で毎日歩いていますので大丈夫ですが、年配の方には優しくないシステムです。
 
しかし、国会図書館は進化しています。一番大きいのはデジタルデータで古い書籍をすぐに見られること。以前は古い物でも現物を書庫から出して貰って閲覧したり、マイクロフィルムやマイクロフィッシュで閲覧したりというのが中心でした。そうすると、出して貰ったり、必要なページを複写して貰ったりするのにも、1件あたり早くて十数分かかり、待ち時間が非常に長かったのです。カウンターの前に総合病院の薬局のような電光掲示板があって、自分の番号が点灯すると、書庫から目的の本が到着あるいは複写完了、というシステムでした。そこで、長い待ち時間の対策として、家から文庫本を持ち込んで読むということをしていました。図書館に自分の本を持ち込んで読書、考えてみると馬鹿馬鹿しい話でした。
 
現在は、やはりデジタル化されていない書籍の受け取りや複写にかかる時間は短縮されたわけではありませんが、待ち時間にパソコンでデジタルデータの調査が出来ます。そちらの複写はパソコンから申し込めます。また、調査しているうちにパソコンに「申し込んだ書籍が届きました」「複写が完了しました」といったメッセージが届くシステムにもなっており、非常に便利です。
 
ただし、あちこち歩き回らなければ行けない、というのは昔のままです。欲を言えば、すべての資料がデジタル化され、自宅にいながらにして閲覧も複写もすべて自分のパソコンで出来てしまうようになればさらに便利です。無理な話だとは思いますが……。

昨日まで全8回にわたり、11/24(土)に行われました第57回高村光太郎研究会にての当方の発表、「光太郎と船、そして海-新発見随筆「海の思出」をめぐって-」、昭和17年(1942)10月15日発行『海運報国』第二巻第十号に載った光太郎の随筆「海の思出」の検証について書きました。
 
その間に、別件でお手紙をいただいたり、光太郎がらみのテレビ放送があったりしまして、今日はその辺を御紹介します。
 
11/17に福島・川内村で行われた草野心平の忌日・かえる忌に関し、かわうち草野心平記念館長・晒名昇氏から『読売新聞』さんの記事コピーが届きました。翌日の全国版に載ったそうです。
 
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また、川内村では来年から米の作付けを再開するという記事も同封してくださいました。明るい話題ではありますが、「農家がどれだけ作付けを再開するかは不透明」「作っても売れるのか、という不安が残る」という記述もあり、手放しでは喜べませんね。
 
さらに、福島在住のかつて草野心平が刊行していた詩誌『歴程』の伊武氏から、今年7月の天山祭(やはり心平を偲ぶ催し)について書かれた『歴程』のコピーをいただきました。ありがたいことです。
 
福島といえば、「智恵子抄」。
 
11/29には、テレビ東京系の「木曜8時のコンサート~名曲にっぽんの歌~」に、二代目コロムビア・ローズさんがご出演。昭和39年(1964)のヒット曲、「智恵子抄」を披露されました。ローズさん、アメリカ在住で、時々帰国なさるとのこと。連翹忌にもご参加いただきたいものです。
 
翌30日には、BSジャパンの「小林麻耶の本に会いたい<本に会える散歩道 日比谷>」。評論家・山田五郎さんのナビゲートで、日比谷界隈の文学散歩でした。その中で約7分にわたり松本楼さんでのロケ。大正元年にこの松本楼を舞台に作られた詩「涙」の解釈と、作品に登場する氷菓(アイスクリーム)のレポートでした。松本楼の小坂哲瑯社長もご出演なさいました。昔ながらのアイスは、山田さん曰く「正しいバニラアイス、This is vanilla iceだね」。ただ、毎年ここで連翹忌が開かれているという話がなかったのが残念でした。
 
同番組、明日12/7の22:30~23:00で、再放送されます。見逃した方は是非ご覧下さい。

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東京駅22時20分発、最終の高速バスに乗りました。

今日は原宿、アコスタディオさんで、モンデンモモさんのコンサート「モモの智恵子抄2012」がありました。

二本松や川内村と違って、ほぼ全曲が光太郎の詩にモモさんのオリジナルのメロディーを付けた歌。さらにモノドラマ形式の凝った演出でした。

その上、光太郎と縁の深かった宮澤賢治、草野心平にも触れるという欲張りな内容でした。

そこで当方の出番。三人のつながりをレクチャーし、心平の詩「秋の夜の会話」をモモさんと朗読しました。

こういう形でも、光太郎智恵子の世界を一般の皆さんに広めていくことも大切なことだと思います。

今週は土曜日に「高村光太郎研究会」での発表もあり、我ながら八面六臂です(笑)

聴きにいらしていただいた皆様、ありがとうございました。それからモモさんはじめ、キャストとスタッフの皆さん、お疲れさまでした!

金曜の朝に東京・府中を出発し、福島・二本松、同じく川内村、そして府中まで、2泊3日、600㎞以上を運転しました。レンタカーのワゴン車、モンデンモモさん曰く「智恵子抄号」。
 
同乗者はモンデンモモさん、ピアニストの砂原ドルチェ嘉博さん、ヘアメイクの手塚祥子さん、モモさんのお弟子さんの茉那さん。当方、手塚さん、茉那さんとは初めてでした。道中、モモさん、砂原さんの業界の裏話やら、若い茉那さんの恋バナやらで盛り上がり、しっかり者の手塚さんがしっかり締め、楽しい珍道中でした。
 
行く先々でも新しい出会いがいろいろとあり、人の輪というのはこうやって広がってゆくんだな、と実感させられました。二本松信用金庫の皆さん、川内村天山心平の会の皆さん、お世話になりました。
 
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川内村小松屋旅館にある草野心平の書
光太郎の詩「晩餐」の一節です。
 
 
また、旧知の皆さんともお会いでき、さらにつながりを深められたと思っております。二本松では智恵子のまち夢くらぶの熊谷さん夫妻、詩人の木戸多美子さん、川内では元筑摩書房の編集者でかわうち草野心平記念館長の晒名昇氏、川内村教育長の石井芳信氏。
 
特に石井氏には、今朝、お宅にお邪魔して、奥様ともども川内の現状などに関する貴重なお話をお聞かせいただきました。津波の被害とはまた違う、目に見えない放射線の被害、しかし、あえて書きますがその補償を巡る金銭的などろどろした部分などなど……。
 
明日はまた上京して、原宿アコスタディオさんでのモモさんのコンサートです。なにやら当方にも出番が作ってあるとか。まぁ、光太郎智恵子の世界をひろめるためには労はいといません。
 
このブログをお読みの方で、「こういうことをやりたいのでてつだってほしい」という方、お声がけ下さい。

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福島は二本松に来ています。

高村光太郎の詩に曲をつけて歌われているシャンソン歌手、モンデンモモさんのコンサートツアーに帯同、今、演奏中です。

今日は二本松信用金庫さんの主催で、パーティー/イベントホール二本松御苑さんでの開催です。「レディースコンサート」と銘打ち、定番のシャンソンやポピュラー系がメインです。光太郎詩の曲も「樹下の二人」「あどけない話」などもプログラムに入っています。

百人ちょっとの集客を見込んでいたそうですが、フタを開けてみれば二百近いお客様。被災地福島でも、平日の夜に音楽を味わえる余裕ができてきたということでしょうか。

明日は同じく福島の川内村に回ります。

一昨日、昨日と、二代目コロムビア・ローズさんについて御紹介しましたが、今日まで同じネタで行かせていただきます。
 
下の画像は昭和39年(=1964)8月、日本コロムビア発行の冊子「智恵子のふるさとを訪ねて」です。全26頁で、ソノシートが4枚付いています。おそらく「智恵子抄」のヒットを受けて発行されたものだと思います。
 
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26頁にわたってローズさんの写真がたくさん載っていますが、興味深いのは二本松周辺で撮影された写真が多いこと。観光客誘致に貢献したということで、作詞の丘灯至夫さん、作曲の戸塚三博さんともども、当時の二本松市長から感謝状が出され、その贈呈式のため二本松を訪れた際のものです。
 
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智恵子の生家や安達太良山、阿武隈川河畔、二本松霞が城など、智恵子のゆかりの地でのショットも多く、特に生家では昭和30年代に撮影された写真は他でほとんど見たことがなく、貴重なものだと思います。
 
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この当時、というか、とっくの昔に長沼家は人手に渡っており、建物も結構荒れていたようです。それが80年代終わりの頃の竹下内閣のときのふるさと創成事業で全国のすべての自治体に1億円が給付され、それを使って現在の形に整備されました。それがなかったらもはや朽ち果ててしまっているのではないかと思います。そう考えると、当時の安達町の英断には感心します。
 
花巻では昭和20年から光太郎が7年間暮らした山小屋が「高村山荘」として保存されています。ところが千葉の九十九里にかつてあった、智恵子が昭和9年に療養していた家(田村別荘)は、しばらくは移築されて保存されていたのに、地元の無理解と感情的な行き違いから解体されてしまいました。残念なことです。何でもかんでも古いものを保存すべきとも思いませんが、だからといって、これもどうかと思います。高村山荘やら智恵子の生家やらが残ることによって、光太郎智恵子の記憶が残り続ける契機になるわけですから。
 
「断捨離」などという言葉が流行りですが、同じことは古い書籍やレコードなどにもいえると思います。今回紹介した「智恵子のふるさとを訪ねて」なども、よくぞ残っていた、という感じです。明日はその辺を。

昨日のブログで歌手の二代目コロムビア・ローズさんにふれました。今日も追加で。
 
ローズさん、「智恵子抄」のヒットで、その後、「文芸歌謡」路線で行ったようです。「たけくらべの歌」(昭和39年=1964)、「二十四の瞳」(同40年=1965)などの歌をリリースしています。「二十四の瞳」のB面は「智恵子のふるさと」という歌です。これらはみな作詞・丘灯至夫、作曲・戸塚三博とのトリオで制作されました。
 
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智恵子のお膝元、二本松では「智恵子抄」と「智恵子のふるさと」を一本に収録したカセットテープが、平成11年に販売されました。
 
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「智恵子抄」、いろいろな方がカバーしています。
 
昭和45年(1970)には西尾和子さんの歌でリリース。これはTBS系で放映されたドラマ「智恵子抄」(木村功・佐藤オリエ主演)の主題歌として新たに録音されたものです。
 
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また、平成17年には三代目コロムビア・ローズさんの歌で、シングル「異国の華~お春物語~」のカップリングになっています。
 
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その他にも歌として、あるいはインストゥルメンタル(歌なし)で、いろいろな方がカバーしています。そのあたりはいずれ当方発行の冊子『光太郎資料』にて詳述したいと思っています。

昨日に引き続き、テレビ放映の情報です

木曜8時のコンサート~名曲!にっぽんの歌~

地上波テレビ東京  2012年11月15日(木) 19時58分~20時54分

番組概要
演歌・歌謡曲を中心に、1時間たっぷりとお送りします。 歌は時代を映す鏡……。歌を聴くと、自分の青春時代や、懐かしい結婚当初の頃、子どもとの思い出など、その時その時を思い出させてくれます。 視聴者の方が、懸命に生きてきた時代を思い出しながらじっくり聴けるよう、トークは控えめに、名曲の数々をお届けします。

出演者
ゲスト 大月みやこ、小柳ルミ子、三船和子、大川栄策、三笠優子、二代目コロムビア・ローズ、笹みどり、木村友衛、石川ひとみ、麻倉未稀、伊藤敏博、大泉逸郎
司会 宮本隆治、松丸友紀(テレビ東京アナウンサー)

曲目(1)
『お久しぶりね』小柳ルミ子 『孫』大泉逸郎 『女の駅』大月みやこ 『さざんかの宿』大川栄策
『夫婦舟』三笠優子 『浪花節だよ人生は』木村友衛
『ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO』麻倉未稀 『下町育ち』笹みどり

曲目(2)
『サヨナラ模様』伊藤敏博 『だんな様』三船和子 『まちぶせ』石川ひとみ
『智恵子抄』二代目コロムビア・ローズ 『わたしの城下町』小柳ルミ子 『白い海峡』大月みやこ

というわけで、二代目コロムビア・ローズさんがご出演。昭和39年(1964)のヒット曲、「智恵子抄」を歌います。
 
二代目コロムビア・ローズさん。昭和37年に「白ばら紅ばら」でデビュー、「智恵子抄」でブレイクし、紅白歌合戦出場を果たしました。当時は紅白に出る、というのは大変なことでした。現在は米国・ロサンゼルスにお住まいで、時折日本に帰ってきてテレビ出演等をされています。
 
「智恵子抄」。作詞は故・丘灯至夫氏(大正6年=1917~平成21年=2009)。舟木一夫さんの「高校三年生」やアニメ「ハクション大魔王」主題歌なども手がけています。智恵子の郷里、二本松に近い福島県・小野町の生まれです。郡山商工学校卒業後、戦前には二本松電気株式会社や毎日新聞福島支局に勤務していた経験もあるそうです。そうした縁もあるのでしょうか? 二本松・旧安達町地区ではこの歌が防災無線の時報チャイムに使われたり、小学生でも歌えたりします。
 
下の画像は昭和39年発売のオリジナル版EPレコードのジャケットです。 
 
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当方、ローズさんに関しては過去の映像として見たことはありますが、リアルタイムでは存じません。興味があるので「木曜8時のコンサート」、見てみようと思っています。皆様もぜひどうぞ。

昨日は朗読のCDを御紹介しましたが、今日はやはり最近入手した合唱のCDを御紹介します。

最近人気の作曲家、鈴木輝昭氏の合唱曲集です。4つの組曲(計16曲)が収録されています。そのうちの一つが「組曲 智恵子抄 ~女声合唱とピアノのための~」。「Ⅰ.レモン哀歌」「Ⅱ.亡き人に」「Ⅲ.裸形」の3曲から成っています。
 
元々、福島県立橘高校合唱団の委嘱作品で、同校は昨年までの3年間、この3曲を1曲ずつ自由曲として全日本合唱コンクール全国大会に出場、金賞1回と銀賞2回に輝いています。橘高校は智恵子の母校・福島高等女学校の後身です。
 
そういうわけで、演奏は橘高校合唱団。コンクールのライヴ録音ではなく、作曲者自ら立ち会ってのテイクです。
 
価格は税込み3,000円。他に宮澤賢治の詩に曲をつけた「組曲 春と修羅~無伴奏混声合唱のための~」「ネネムの歌《イーハトーヴ組曲第2集》」などが収められています。

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「ハーモニーの祭典 高等学校部門 VOL.3 Bグループ 第64回全日本合唱コンクール全国大会」 ブレーン株式会社

その橘高校合唱団が昨年、全日本合唱コンクール全国大会で銀賞を獲得した際のライブ録音が含まれています。曲目は「組曲 智恵子抄」中の「Ⅱ.亡き人に」。
 
価格は同じく税込み3,000円です。
 
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橘高校合唱団、先日行われた今年の全日本合唱コンクール全国大会でも銀賞を獲得しています。今年はどんな曲をやるのだろうと思っていましたが、やはり鈴木輝昭氏の作曲で、新川和江作詞の曲でした。
 
智恵子の後輩達、頑張っています。

シャンソン歌手・モンデンモモさんのコンサートツアー、最終日は東京原宿です。

モモの智恵子抄2012

期 日 : 2012年11月19日(月)
会 場 : 原宿アコスタディオ 東京都渋谷区神宮前1丁目23-27
時 間 : 19:00~
料 金 : 前売り3,000円 当日3,500円
 
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こちらは砂原嘉博さんのピアノにのせ、歌と朗読によるモノドラマ「智恵子抄」。
 
直接モモさんにお問い合わせ下さい。前売り3000円、当日3500円です。
tel080-6772-3746  fax 042-316-7223 mondenmomo@mac.com 

昨日のブログで速報したものについて、何回かに分けて詳報します。
 
まず、「宇宙人」シャンソン歌手、モンデンモモさんのコンサート。

期 日 : 2012年11月16日(金)
会 場 : 二本松御苑 福島県二本松市金色久保222-7
時 間 : 18:00~
料 金 : 500円(コーヒー&ケーキ付)

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光太郎の「智恵子抄」の詩にご自分で作曲なさった曲をつけ、歌われているモモさん。本業はシャンソンです。

この「まつしんレディースクラブ特別企画 モンデンモモ ♪谷間に三つの鐘が鳴る♪」では、シャンソンやポピュラー系を中心に、「智恵子抄」の曲も織り交ぜて、というコンセプトだそうです。
 
「まつしん」は「二本松信用金庫」。上記のチラシでは「まつしん各営業店窓口にて入場整理券を購入してください」となっていますが、地元でない方など、直接モモさんにお問い合わせ下さい。コーヒー、ケーキ付きで500円だそうです。5,000円じゃありませんよ、500円、ワンコインです。
tel080-6772-3746  fax 042-316-7223   mondenmomo@mac.com
 
曲目は 百万本のバラ ラストダンスは私と 誰よりも君を愛す 愛の讃歌 聖母たちのララバイ 谷間に三つの鐘が鳴る ハナミズキ 夜明けの歌 カーネーション など。伴奏はピアニスト、砂原嘉博さんです。 
 
会場はパーティー/イベントホールの二本松御苑さん。
 
秋の夜、素敵な歌声とピアノの調べに身をゆだねてみませんか?

今日、10月21日は、昭和18年(1943)、神宮外苑で学徒出陣の壮行式があった日だそうです。昭和アーカイブス的な番組などで映像を御覧になった方もいらっしゃると思います。
 
そういうわけで、昨日の朝日新聞土曜版の連載「うたの旅人」では、信時潔(のぶとききよし)作曲の「海ゆかば」が扱われました。
 
ある程度の年代以上の方は「ああ、あの曲か」と思い当たられるでしょう。その壮行式の際にも、それからラジオの大本営発表-山本五十六連合艦隊司令長官の戦死(昭和18年)、アッツ島守備隊の全員玉砕(同)などの悲劇的な報道のバックには必ず使われたとのことです。
 
信時は童謡「一番星みつけた」などの作曲者でもありますが、戦時中は「海ゆかば」のような軍歌、戦時歌謡も作っていました。当方が刊行している冊子『光太郎資料』に「音楽・レコードと光太郎」という項があり、いずれそこで詳細を記しますが、その中には光太郎作詞のものもあります。
 
一つは昭和16年(1941)作、「新穀感謝の歌」。宮中で行われていた新嘗祭に関わるものです。
 
   新穀感謝の歌
 
 あらたふと
 あきのみのりの初穂をば
 すめらみことのみそなはし
 とほつみおやに神神に
 たてまつる日よいまは来ぬ
 (二番以降略)

もう一曲は昭和17年(1942)作、「われら文化を」。これは岩波書店の歌として作曲されたものですが、世相を反映した歌詞になっています。
 
  われら文化を
 
 あめのした 宇(いへ)と為す
 かのいにしへの みことのり
 われら文化を つちかふともがら、
 はしきやし世に たけく生きむ。
 (二番以降略)
 
ちなみにこの曲は平成20年(2008)、財団法人日本伝統文化振興財団から発行されたCD6枚組「SP音源復刻盤 信時潔作品集成」に収録されています。「新穀感謝の歌」は収録されていません。どうも発表当時もレコードにならなかったようです。もし「新穀感謝の歌」のレコードについてご存知の方がいらっしゃいましたら御一報下さい。

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光太郎も信時も、そして個人ではなく企業としての岩波書店も、そしてその他ほとんど全ての人々が、否応なしに戦時体制の歯車として組み込まれていったのです。
 
と、書くと、「いやそうではない。光太郎は衷心から鬼畜米英の覆滅を願い、赤心から大君のためにその命を捧げ奉る覚悟であったのだ」という論者がいます。はたしてそうなのでしょうか……。

嵐のように現れて、嵐のように去っていきました。宇宙人。
 
その名は「モンデン・モモ」。そういう名前なので「何人ですか?」と訊かれるそうです。すると、自分で「宇宙人です」と答えるそうです。
 
その実態は、東京芸術大学声楽科出身のシャンソン歌手です。ちなみに「モンデン」は本名で、漢字で「門田」だそうです。
 
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オフィシャルページ http://www.momoly.net/TOP.html
 
正統派のシャンソン以外にも、桐朋学園芸術短期大学で講師をなさったり、他にも子供達とのミュージカルとか、いろいろと手を広げてらっしゃいます。
 
その中の一つが、光太郎の『智恵子抄』などの詩にご自分で曲をつけて歌われること。これまでにその系統では3枚のCDをリリースされています。
 
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2枚目のCD 「モモの智恵子抄」2005年 北川太一先生が推薦文を寄せられています。
 
当方とは、10年くらいのつきあいになるでしょうか。1枚目のCDを出された頃ネットで購入し、ライヴのお誘いを受けて足を運んだりしているうちに、いろいろお手伝いをさせていただくようになりました。3年前には楽譜集も出版され、そちらの編集や解説、一部の曲では合唱編曲を当方が行ったりもしました。
 
いろいろな方が光太郎の詩に曲をつけた作品を発表されていますが、モモさんの曲の特徴としては、メロディーラインの美しさです。やはり、バックボーンにシャンソンがあるせいでしょう。
 
さて、モモさん。来月、「智恵子抄」系を織り込んだコンサートツアーを企画なさっていて、その打ち合わせに見えられました。成田の音楽機材業者に用事がおありだということで、ついでに香取までいらしていただきました。
 
11/16(金) 18:00~ 二本松御苑さん(パーティー/イベントホール)での「レディースコンサート」が皮切りです。こちらは「智恵子抄」はメインではなく、シャンソンが中心だそうです。
 
翌11/17(土)には、やはり福島の川内村にある旅館、小松屋さんで、囲炉裏を囲みながらのライヴ。

川内村は、原発事故で一躍有名になってしまった村ですが、光太郎を敬愛してやまなかった詩人・草野心平ゆかりの地です。毎年7月には心平を偲ぶ「天山祭り」というイベントが開かれています。この日は光太郎、草野心平、そして二人と関わりの深い宮澤賢治をからめるそうです。
 
そして移動日をはさんで、11/19(月)には原宿のアコスタディオさんで「モモの智恵子抄2012 智恵子飛ぶ」。モノドラマ形式でがっつりやるそうです。
 
当方、サポートスタッフとして帯同します。興味のある方、上記リンクのモモさんのオフィシャルページまたはブログから連絡を取ってみてください。

先週末に『光太郎資料』第38集を発送い000たしましたところ、お礼状やらメール、お電話やらたくさんいただいております。ありがとうございます。こちらが勝手に送りつけているものに対し、かえって恐縮しております。
 
光太郎作詞の国民歌謡「歩くうた」に関してレポートを載せたところ、「子供の頃、歩きながら歌っていた歌で、光太郎作詞とは知らなかったので、驚きだ」というようなお話もありました。
 
中には37集を含めて追加でご用命いただいたり、執筆依頼なども舞い込んできたりしました。なにやらいわゆる「釣り」=フィッシング詐欺のようで気が引けるのですが、せっかくのお声がけですので応えさせていただきます。
 
その他、光太郎智恵子光雲に関わるイベントや企画展、出版等のご予定がございましたら、出来る限り協力させていただきますのでお声がけください。
 
明日はそういった件で当方自宅兼事務所に「宇宙人」がお見えになります。詳細は明日以降のブログにて。

昨夜、ブログで紹介したNHKEテ000レの「Rの法則 いま伝えたい私たちの思い~宮城県女川町から~」を視ました。
 
直接、光太郎に関わる話はなかったように思いますが、光太郎碑が立っていた港の周辺の画像が流れました。番組のコンセプトとしては、被災地に暮らす中高生の思いを伝えるということでした。ゲストに歌手の平原綾香さん、仙台で活動している同じく歌手のRakeさんを迎え、「震災後、心に響いた歌」ということで平原さんの代表作「jupiter」などがライヴで演奏されました。

音楽というもの、人の生活を豊かにする上で非常に重要なものだと思います。
 
西洋音楽はキリスト教の影響で発展しました。神学的にいえば、神が創造した全世界は素晴らしい調和(ハルモニア)によって造られており、その調和の根本原理を「ムジカ=音楽」と呼んで、音楽を通して神によって造られた世界を詳しく知る手がかりを得られる、という考え方があったのです。
 
ちなみに数学も同じ。調和(ハルモニア)の追究のためのものだったそうです。
 
当方、キリスト教徒ではないので、神がどうこうと言われると引いてしまいますが(ちなみに光太郎もそうだったそうです)、調和(ハルモニア)の追究という意味での音楽の素晴らしさは日々実感しています。
 
科学的にどこまで実証されているのかよくわかりませんが、乳牛や鶏、はては醸造酒や発酵食品などに音楽を聴かせるとよい、という試みもよく聞きますね。当方の地元、千葉県香取市では「ビートルズの曲を聴かせたカステラ」なるものが売られています。テレビ東京系のタウンガイド番組「出没!アド街ック天国」で、「薬丸印の新名物」に認定されています。
 
さて、光太郎と音楽。いずれまたいろいろ書こうと思っていますが(深入りすればそれだけで1年位ブログが書けそうな気がしています)、昭和28年(1953)に書かれた(談話筆記なので正確には「語られた」)「ラジオと私」というエッセイから。
 
 やはり山の中で、まだ手許にラジオのないときに、バツハの「ブランデンブルグ協奏曲」を幻聴で聴いたことがある。ちようど谷の底の方から聞えてくるもんだから、私はとりわけバツハが好きでもあるし、あとで谷底の家へ行つて、そのレコードをもう一度聴かせて貰いたいと頼みに行つたら、そんなものはないというので驚いた。考えてみれば、月に一度花巻の町に出かけて行つて聴かせて貰つていたのが再生されて聞えたものだと気がついた。そんなとき、音楽は人間に非常に必要なものだということをしみじみ感じた。
 
その通りだと思います。被災地の皆さんも、そうでない人も日々の疲れを癒したりするために、音楽に触れる機会をたくさん持ってほしいものです。

閲覧数が3,000を超えました。ありがとうございます。

最近入手したCDをもう一枚紹介します。

芹洋子「出会いを求めて -十和田湖へ-」

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平成8年(1996)のリリースです。懐かしい8㌢CDですね。歌は「四季の歌」の芹洋子さん。
 
一番の歌詞に「愛する人との 出逢いを求めて/ああ 十和田湖の 湖畔の乙女に/ああ その人に 逢える日祈りたい」というフレーズがあります。
 
ジャケットに「十和田国立公園60周年」の文字も。例の光太郎作の裸婦像が国立公園指定15周年記念行事の一環でした。
 
裸婦像、今も十和田湖のシンボルとして愛されているようです。昨年にはテレビ東京さん系「美の巨人たち」で扱われました。

女川、花巻、二本松などのように、十和田でも光太郎がらみのイベントなどが定期的に開かれるといいと思います。

新しい資料ではありませんが、最近入手したものを紹介します。 

「横笛物語 第三巻」福原一笛 CDアルバム 定価2381円+税

  
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横笛奏者、福原一笛さんのCDです。
 
「智恵子と空」「霞ヶ城幻想曲」という曲が収録されています。流行りの言葉で言えば智恵子へのオマージュといったところでしょうか。平成8年(1996)のライブ録音だそうです。
 
福原さんのHPを拝見しましたが、人間国宝の横笛奏者、故・寶山左衛門(たから・やまざえもん)氏に師事なさったとのこと。
 
寶氏のCD「笛のこころ」は以前から持っており、そちらにも「智恵子と空」が収録されています。
 
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「霞ヶ城幻想曲」の方は、福原さんの作曲で、笛以外にシタール、タブラが使われており、不思議な感覚の曲です。ちなみに「霞ヶ城」は二本松霞ヶ城、智恵子の故郷にある城ですね。
 
こういったものも、誰かが気をつけて情報や現物の収集をしておかないとなりません。少し前に、戦時中の光太郎作詞の歌曲について、SPレコードやら楽譜やら、当時出たものをいろいろ調べていたのですが、たかだか数十年前の話なのに難航しました。
 
現代のものでもまだまだ当方の知らないものがいろいろあるようです。こんなものもある、という情報をお待ちしております。

昨日のブログで桑田佳祐さんの「声に出して歌いたい日本文学<medley>」が収録されたアルバム「I LOVE YOU -now & forever-」を紹介しましたが、yahoo!のニュース検索でこれがらみが1件ヒットしていますのでご紹介します。 

桑田佳祐スペシャル・ベスト・アルバム『I LOVE YOU -now & forever-』【music.jp】が収録曲にちなんだ「自由研究」を大募集

リッスンジャパン 7月25日(水)20時24分配信
 
 7月18日にソロワークスの集大成といえるスペシャル・ベスト・アルバム『I LOVE YOU -now & forever-』をリリースした桑田佳祐。7月24日にスマートフォンでAndroidシングル、着うたフルの配信を開始する【music.jp】で、収録曲にちなんだ「自由研究」と題した投稿企画がスタートした。

『I LOVE YOU -now & forever-』に収録されている楽曲の好きな曲、思い出の曲にちなんだ投稿を大募集する「自由研究」。それぞれ絵画部門、感想文部門、写真部門を設けており各部門の優秀作品の方にはプレゼントが用意されている。

応募期間は7月24日(火)~8月31日(金)まで、桑田佳祐の楽曲と共に、楽曲にちなんだ絵を描いたり、感想文を描いたり、写真を撮影して応募しよう。

【Androidシングル】
アルバム『I LOVE YOU -now & forever-』から新規配信8曲
・幸せのラストダンス
・CAFE BLEU(カフェ・ブリュ)000
・100万年の幸せ!!
・MASARU
・声に出して歌いたい日本文学<Medley>(上)
・祭りのあと
・波乗りジョニー
・明日晴れるかな
・銀河の星屑

【着うたフル】
アルバム『I LOVE YOU -now & forever-』から新規配信8曲
・幸せのラストダンス
・CAFE BLEU(カフェ・ブリュ)
・100万年の幸せ!!
・MASARU
・Kissin' Christmas(クリスマスだからじゃない)
・声に出して歌いたい日本文学<Medley>(上)
声に出して歌いたい日本文学<Medley>より『汚れつちまつた悲しみに……』『智恵子抄』『人間失格』『みだれ髪』を収録。
・声に出して歌いたい日本文学<Medley>(中)
声に出して歌いたい日本文学<Medley>より『蜘蛛の糸』『蟹工船』『たけくらべ』を収録。
・声に出して歌いたい日本文学<Medley>(下)
声に出して歌いたい日本文学<Medley>より『一握の砂』『吾輩は猫である』『銀河鉄道の夜』を収録。

絵心のある方、文才のある方、写真を趣味している方、挑戦されてみては如何でしょうか?

桑田佳祐さん。日本を代表する歌手の一人ですね。彼がリーダーだったサザンオールスターズのデビューが1970年代末頃ですから、かれこれ30年以上のキャリアです。
 
サザン時代を含め、ソロ活動に入ってからもたくさんのヒットを飛ばしてきましたが、その凄いところはその地位に安住しないことだと思います。成功するかどうかはともかく、常に新しいことへの挑戦を続けている姿には頭が下がります。また、平成22年には食道がんと診断されたものの、不死鳥の如く復活。その姿にも頭が下がりました。
 
さて、そんな桑田さんの、これもまた新しいことへの挑戦の一つだったと思います。平成21年に発表した「声に出して歌いたい日本文学<medley>」。18分42秒もの長い曲です。歌詞は日本近代文学史上に燦然と輝く作品群から採っています。すなわち中原中也「汚れつちまつた悲しみに……」、太宰治「人間失格」、与謝野晶子「みだれ髪」、芥川龍之介「蜘蛛の糸」、小林多喜二「蟹工船」、樋口一葉「たけくらべ」、石川啄木「一握の砂」、夏目漱石「吾輩は猫である」、宮澤賢治「銀河鉄道の夜」、そしてわれらが高村光太郎「智恵子抄」から「あどけない話」。メドレーですので、途中で曲想がどんどん変化します。バラードあり、アップテンポあり、エスニックなアレンジも混ざり、聴くものを飽きさせません。
 
シングルCDでは平成21年に「君にサヨナラを」のカップリングとして発売されました。
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楽譜としては、翌年2月に発売された楽譜集「ギター弾き語り 桑田佳祐Songbook改訂版」に掲載されました。他の曲がだいたい4頁前後なのに対し、この曲だけ堂々の18頁。当方、ベースギターを嗜んでおりますので、CDに併せて弾いてみましたが、いや、疲れました(笑)。

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さて、この「声に出して歌いたい日本文学<medley>」を収録したCDアルバムが発売されました。過去にソロで発表した曲に加え、新曲も収録したスペシャル・ベスト・アルバム『I LOVE YOU -now & forever-』。

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完全生産限定盤は3枚組で¥3,600。通常盤は2枚組で¥3,300です。

是非お買い求め下さい。

女川とも関連が深い、仙道作三氏作曲のオペラ「智恵子抄」について紹介します。
 
監修を北川太一先生が務め、台本は作家の山本鉱太郎氏。楽譜の「監修者の言葉」に書かれた北川先生の言によれば、このお三方で、果てしない討論をくり返し、生まれたものだということです。
 
初演は平成元年(1989)10月6日、赤坂の草月ホールでした。光太郎役は高橋啓三氏、智恵子役は本宮寛子氏。オペラとしては破格の登場人物二人だけという設定です。2幕7場、約1時間半の大作です。

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楽譜は平成3年(1991)10月に刊行されています。

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同じ平成3年(1991)10月には詩碑竣工記念という事で、女川町生涯教育センターで開催された「オペラ智恵子抄鑑賞会」でも上演されました。光太郎役は佐藤光政氏、智恵子役はやはり本宮寛子氏。
 
本宮寛子氏はこの辺りが機縁で、連翹忌の常連となって下さいました。今年5月の花巻光太郎祭で、ご一緒させていただいたのはこのブログでも書きました。
 
その後、何度か公演を重ね、平成18年(2006)10月14日には、日暮里サニーホールでの「光太郎・智恵子フォーラム」の一環として上演。この時は光太郎役が佐藤光政氏、智恵子役は津山恵氏でした。
 
また、昨年5月28日には、群馬県立土屋文明記念文学館で開催された企画展「『智恵子抄』という詩集」の関連行事の一つとして上演されました。光太郎役に江原実氏、智恵子役に山口佳子氏という配役でした。
 
今年五月から始めたこのブログでも、リアルタイムで渡辺えりさんの演劇、荒井真澄さんと齋藤卓子さんの朗読などの公演の情報をお伝えしました。やはりドラマチックな光太郎・智恵子の世界ということで、色々な分野の表現者の方々が表現意欲をそそられるのでしょう。
 
今後ももっともっと色々な方が、もっともっと色々な分野で光太郎・智恵子の世界を表現してほしいものです。

昨日に続き、宮城県女川町がらみで、三陸と光太郎に関する記述のある書籍を紹介します。 

「まち むら」第83号 平成15年9月30日 公益財団法人あしたの日本を創る協会発行


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2頁にわたり、作曲家・仙道作三氏の「台風の中の女川・光太郎祭」というエッセイが掲載されています。発行された頃の連翹忌で、仙道氏か故・貝廣氏に頂いたのではないかと思います。記憶があやふやです。

このエッセイでも述べられていますが、仙道氏と女川のつながりは深かったそうです。まず、平成3年に行われた女川の詩碑の除幕式に際し、碑に刻まれた光太郎短歌「海にして……」に混声四部合唱の曲をつけられました。同じ年10月には詩碑竣工記念という事で、女川町生涯教育センターで「オペラ智恵子抄鑑賞会」。これは北川太一先生の監修で、平成元年(1989)に作曲されたものです(明日のブログでさらに詳しく解説しましょう)。

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女川で光太郎がらみのイベントがある時には台風に見舞われることが何度かあったようで、「オペラ智恵子抄鑑賞会」の時も台風、仙道氏が「まち むら」に執筆された年の光太郎祭も台風。他にも何回か光太郎祭の日が台風だったというのを北川先生からお聞きした記憶があります。
 
今年はどうなることでしょうか。

6月16日土曜日、二本松に行く途中、三宅坂の国立国会図書館に寄り道しました。以前も書きましたが、当方の居住地から都心まで出るのも一苦労で(高速バスで約1時間30分1,700円、JRの普通列車で約2時間、1,620円)、こういう機会も活用しています。

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このところ、光太郎作詞の歌曲について調査をしています。同時代や後世の作曲家が元々あった光太郎の詩に曲をつけたものではなく(それはそれで重要なのですが)、最初から光太郎が歌の歌詞として詩を作ったものについて主に取り組んでいます。
 
光太郎は歌の作詞にはあまり熱意を持っておらず、このカテゴリーに属するものの数は多くありません。そういう意味では同時代の北原白秋、三木露風、野口雨情等と比べると異質です。また、北川太一先生のご指摘によれば、光太郎には校歌の作詞が一篇もないとのこと。たしかに校歌というもの、名だたる詩人に依頼することが多いものですね。実際、光太郎の日記にも依頼があったことは記されていますが、引き受けたという記述は見あたりません。「おらが村の学校の校歌は光太郎作詞だ」という方がもしいらしたら、大発見です。ご教示下さい。
 
ただ、校歌は作っていない光太郎ですが、岩波書店の「社歌」は作詞しています。これを含め、10曲たらずですが、最初から光太郎が歌の歌詞として詩を作ったものについて調査をしています。作曲者が誰で、レコードや楽譜はいつどこから発行され、レコードなら誰が歌い、ラジオでの放送は、独唱・合唱誰が編曲し、現在手に入るCDは、などなど、こういったことについてまとまった記録がありませんので、すこしずつやっているわけです。誰かがまとめておかないと、こうした事実も歴史の波に埋もれてしまいますから。
 
しかし、これが予想外に難航しています。楽譜やレコードの類は一般の古書籍ほど市場が確立していませんし、図書館等にもあまり所蔵されていません。それでも国会図書館では、当方未知の資料が最近になって館内限定閲覧のデジタル資料に登録されたので、調べに行って参りました。
 
いろいろな書籍やインターネットサイトで調べても脱漏や事実誤認が多く、なかなか全貌を明らかにするのは困難です。平安時代とかではなく、たかだか数十年前の話なんですけどね。
 
調査の結果わかったこと、楽譜などは、当方の発行しています冊子『光太郎資料』に少しずつ掲載しています。『光太郎資料』については、また後ほどこのブログでご紹介いたします。
 
話は変わりますが、またやってしまいました。先程気がついたのですが、昨夜、テレビ東京系の『乃木坂浪漫』で「智恵子抄」の朗読があったとのこと。

先月も同じ番組で「道程」その他の朗読があったのを見逃しました。この番組、yahoo!のテレビ番組の内容検索でひっかからないので、うっかりしていました。後でDVDにでもして発売してほしいものです。

今日は第67回千葉県合唱祭に参加してきました。これは、千葉県合唱連盟に加盟している合唱団が、6/3、6/10、6/17の3日間、3会場に分かれて発表し合うというものです。コンクール形式ではないので、コンクールでは全国大会常連の団から、結成して日の浅い団まで、老若男女、混声・男声・女声、それぞれの持ち味を生かした合唱が聴けます。
 
当方の所属する合唱団は、光太郎の朋友・吉井勇作詞の「ゴンドラの歌」他1曲を歌いました。なぜか客席から「bravo!」の声が。それなりに存在感を示せたのではないかと思っています。
 
さて、当方の所属する合唱団の3つ後は、船橋を拠点とする歴史ある男声合唱団、HGメンネルコールさんの演奏でした。曲目は先日のブログで紹介した清水脩作曲の「智恵子抄巻末のうた六首」。男声合唱では定番の曲の一つなのですが、当方、生演奏で聞くのは初めてで、ラッキーでした。詩集「智恵子抄」に収められた短歌六首を無伴奏合唱曲にしたものです。

 ひとむきにむしやぶりつきて為事(しごと)するわれをさびしと思ふな智恵子
 気ちがひといふおどろしき言葉もて人は智恵子をよばむとすなり
 いちめんに松の花粉は浜をとび智恵子尾長のともがらとなる
 わが為事いのちかたむけて成るきはを智恵子は知りき知りていたみき
 この家に智恵子の息吹みちてのこりひとりめつぶる吾(あ)をいねしめず
 光太郎智恵子はたぐひなき夢をきづきてむかし此所に住みにき
 
一時期、それがあまり作られず不満に思っていたのですが、このところ、光太郎作詞、というか光太郎の詩に曲を付けた合唱曲がまた少しずつ世に出ています。
 
智恵子の母校、福島高等女学校の後継校である福島県立橘高等学校合唱団さんは、光太郎の詩に曲を付けた鈴木輝昭氏の作品(委嘱作品だと思われます)で、ここ3年間、全日本合唱コンクール全国大会入賞を続けています。平成21年が「レモン哀歌」(金賞)、22年が「裸形」(銀賞)、昨年が「亡き人に」(銀賞)。橘さんの入賞自体はその前からですが、光太郎作品で、というのが嬉しいですね。智恵子の後輩達、頑張っています! ちなみにCDも発売されています。

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それから別の鈴木氏ですが、昨年から今年にかけ、鈴木憲夫氏作曲の合唱曲「レモン哀歌」の女声版混声版がカワイ出版から相次いで出版されましたし、合唱ではありませんが同じ鈴木憲夫氏の「歌曲集レモン哀歌」も出版されています。

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こうした分野でももっともっと光太郎が取り上げられ、それを演奏する人、聴く人が、光太郎・智恵子の世界に興味を持ってくれれば、と思っております。

先日、近々行われる光太郎関係のイベントをご紹介しましたが、もう1件見つけました。

東海メールクワィヤー第55回定期演奏会 清水脩作品特集

期 日 : 2012年6月24日(日)
会 場 : 愛知県芸術劇場コンサートホール
時 間 : 13:30~
料 金 : 2,000円


「東海メールクワィヤー」さんは名古屋を拠点として活動している歴史ある男声合唱団です。作曲者自らの指揮による演奏、委嘱作品などにも力を入れており、それらはレコーディングもされ、古くはアナログレコード、最近ではCDにもなっており、貴重な音源です(邦人作曲家の合唱曲はあまり音盤になっていないのです)。
 
こういった音盤や楽譜の類は一般の書籍ほどに市場が確立されておらず、図書館等での収集もあまり進んでいません。放っておくと散逸し、記録も残らないので、当方、気が付けば入手するように勤めています(まぁ、自分でも音楽活動に取り組んでいるので、そういった部分での興味もあるのですが)。このあたり、詳しくは北川太一先生より名跡を引き継ぎ、今年から当方が発行しております冊子『光太郎資料』に関連するコーナーを設けました。後日のブログで紹介します。

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さて、今回の演奏会では五部構成のプログラムの中に「梅酒」「智恵子抄巻末のうた六首」が含まれています。やはり東海メールクワィヤーさんの委嘱により作曲された男声合唱です(「巻末のうた」の方は後に混声版も作られました)。
 
清水脩(明44=1911~昭61=1986)は、この他にも光太郎の詩にいろいろと曲をつけており、ジャンルも合唱(男声・混声)、独唱、現代箏曲などと、多岐に及んでいます。こうした形でも光太郎作品を取り上げていただけるのはありがたい限りです。
 
先日も書きましたが、光太郎、智恵子関連で他にもこんなイベントがある、という情報をお持ちの方はお知らせいただければ幸いです。こちらでもできる限り調べているのですが、テレビ放映を含め、終わってしまってから気づくこともありまして……。書籍やCD、DVDなどの類は少し情報が送れても入手できますが、イベントやテレビ放映などは期日が決まっているもので、逃す危険性がありますから。

6月となりました。
今日は近々行われるイベントをご紹介します。 

期 日 : 2012年6月3日(日)
会 場 : 東京晴海・第一生命ホール
時 間 : 14:30~
料 金 : S席¥5,500 A席¥4,500 B席¥3,500 C席¥2,500
      学生¥1,800(当日¥2,000) 高校生以下¥800(当日¥1,000)
  
昨日、ネットで検索していたら見つけました(いきなり明後日ですが、申し訳ありません)。

「大阪コレギウム・ムジクム」は大阪を拠点とし、関西・東京・名古屋など国内各地、そして海外でも活動している演奏団体だそうです。

五部構成のプログラムの中に「西村 朗/混声合唱とピアノのための組曲「レモン哀歌」」が含まれています。これは、2009年に楽譜が発売されたもので、光太郎の「千鳥と遊ぶ智恵子」「山麓の二人」「レモン哀歌」に曲をつけた混声四部合唱です。

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当方、個人的に合唱をやっているものですから、聴きに行きたいのですが、その合唱の本番が翌週にあり、最後の練習と重なっているため行けません。残念です。 

智恵子のまち夢くらぶ 智恵子講座’12 第3回「求愛熱愛期を中心にして」

期 日 : 2012年6月17日(日)
会 場 : 福島二本松市民交流センター
時 間 : 10:00~
料 金 : 参加費1,000円

講師・金田和枝さん(児童文学者) 

福島二本松の旧安達地区で活動している智恵子のまち夢くらぶさんの主催で、全7回の講座の3回目です。希望する会だけの参加も可能とのことです。

申込先は智恵子のまち夢くらぶの熊谷さん。tel/fax0243-23-6743。1週間前まで申し込み受付中のようです。
当方、これには行くつもりでおります。 

 <N+N展関連美術講座>「触れる 高村光太郎「触覚の世界」から」

期 日 : 2012年7月8日(日)
会 場 : 練馬区立美術館
時 間 : 15:00~
料 金 : 無料 

講師・高橋幸次さん(日本大学芸術学部美術学科教授) 
 
光太郎やロダンなどのテキストをひもときながら、美術作品と触覚についてのお話だそうです。参加費は無料ですが、事前申し込み(希望者多数の場合は抽選)が必要です。イベント自体はまだ先ですが〆切りが6/28までだそうですので、紹介してしまいます。こちらも早速申し込みをしました。
 
他にもこんなイベントがある、という情報をお持ちの方はお知らせいただければ幸いです。こちらでもできる限り調べているのですが、テレビ放映を含め、終わってしまってから気づくこともありまして……。
 
ちなみにこのブログを始めた5月以降で終わってしまってから気づいたイベントがこちら。

小原啓楼 独演コンサート
別宮貞雄作曲歌曲集『智恵子抄』、抜粋で演奏されたそうです。
 
また、同じく5月以降で終わってしまってから気づいたテレビ放映はこちら。

テレビ東京系『乃木坂浪漫』
アイドルグループ乃木坂46メンバーによる『道程』の朗読です。動画サイトで観ることができます。
 
明日はまた「光太郎遺珠」内容紹介に戻ります。

さて、昨日の仙台のレポートです。
 
ピアニスト齋藤卓子(つなこ)さんと、朗読の荒井真澄さんによるコラボ「ピアノ演奏と朗読で綴る愛の世界 シューマンと智恵子抄 Part2.高村智恵子誕生の日に」。素晴らしいものでした。
 
会場は太白区長町というところにある「びすた~り」さんという、古民家を改装したレストラン。

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最近、特に地方都市では古民家を使ったおしゃれなレストランやカフェの類はよく見かけますね(当方の暮らす千葉県香取市にもこの手の店はたくさんできました。落ち着いた雰囲気が非常に好ましいと思います)。びすた~りさんは、この種の店としてはかなり広いし天井も高く、音楽系のイベントにはうってつけだと思いました。聴衆は約50人、けっこうゆったりと座れました。階段箪笥や巨大な神棚など、お約束ともいえる調度品もいい感じです。「一関恵美墨画展 メトロポオル~墨色の智恵子抄」も同時開催ということで、店内そこかしこに大きな水墨画が飾られています。これがまた場の雰囲気に非常にマッチしていました。

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驚いたのは、ピアノ。何と、日本ではあまり見かけないベヒシュタイン(ドイツのメーカー)です。クリアーな音色には定評があります。
 
と、思ったら後ほど齋藤様からメールを頂きました。「ベヒシュタイン」ではなく「ベーゼンドルファー」だそうです。失礼いたしました(5/25追記)。
 
さて、いよいよ開演。パンフレットには詩だけが書かれていたのですが、まずは昭和15年の『婦人公論』に発表され、後、詩集『智恵子抄』にも収められた散文「智恵子の半生」から始まりました。「智恵子の半生」は途中の要所要所に挟み込まれ、それによって一般の方には非常に分かりやすかったのではないでしょうか。
 
詩自体は『智恵子抄』『智恵子抄その後』から計16篇。すべてが口語自由詩ですが、非常に心地よいリズム感があり、やはり光太郎の詩は朗読にも向いていると感じました。もちろんそれを巧みに表現できる荒井さんの力量があってこそです。以前から指摘されていることですが、例えば「樹下の二人」のリフレイン「あれが阿多多羅山/あの光るのが阿武隈川」という短いフレーズも、「たたらやまのひるのぶくまがわ」という「あ」そのものや母音の「A」の多用、光太郎ははっきり意識しているはずです。
 
それにしても荒井さんの朗読は素晴らしい。光太郎視点の時にはやや低めの声で重厚に、もちろん詩の内容によっては軽快に、明朗に。智恵子視点の「-わたしもうぢき駄目になる」あたりは半オクターブ上げ、パンフレットのプロフィール欄の「声優として身につけた10種類以上の声で、物語をカラフルに描き出す」というのも羊頭狗肉ではないなと思いました。
 
齋藤さんのシューマンも凄いと思いました。『智恵子抄』の世界はフランス系、特にラヴェルあたりに乗せて演じられることが多いのですが(シャンソン歌手・モンデンモモさん、やはり仙台で活動されているメゾソプラノ・後藤優子さんと伴奏の菅野静香さん、そういえば福島の智恵子記念館でも)、シューマンも『智恵子抄』の世界にマッチしていました。今回のシューマンと『智恵子抄』のコラボというのは齋藤さんの発案だそうです。そういえば、テノール歌手の永田峰雄さんのCDでは、「高村光太郎とハイネ-音楽が語るふたつの詩人の恋」と銘打ち、別宮貞雄さん作曲の歌曲集「智恵子抄」とハイネ作詞・シューマン作曲の「詩人の恋」のカップリングがなされていたのを思い出しました。それはそうと、齋藤さんのピアノ、何が凄いと言えば絶妙のバランス感覚ですね。メインの朗読をかき消さず、しかししっかりと自己主張もし、まぁ、それができるのがピアノ(というかピアノフォルテ)の強みなのですが、PA(ミキシング)に頼らず、自分の耳でそれをやるというのは大変です。
 
というわけで、非常に心地よく過ごさせていただいた約1時間でした。
 
終了後、お二人とさらに墨画の一関さんともお話をさせていただきました。美女3人に囲まれて至福の時でした(笑)。

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左が齋藤さん、右が一関さんです(荒井さんはMC中)。
 
その流れで自分もマイクを持たされまして、連翹忌の宣伝をさせていただきました。
 
これまでも朗読で『智恵子抄』が扱われた例はたくさんあります。今回のようなライヴ形式のイベントもありましたし、CD、DVD、古くはアナログレコードやカセットテープなどで錚々たる俳優さんや声優さんなどが取り組まれています。しかし、こういうと何ですが、皆さん、その時限りみたいな部分があり、少し残念に思っています。最も、俳優の加藤剛さんは、35年前の旧フィリップスレコードから出された『智恵子抄』朗読のレコードが自分の一つの転換点で思い出深いというようなことをおっしゃっていた記事が、昨年の朝日新聞福島版に掲載されましたが。
 
荒井さん、齋藤さん、もちろん一関さんも、今後とも光太郎・智恵子の世界を表現することを続けていっていただきたいものです。

今日、5月20日は光太郎の妻、智恵子の誕生日です。

智恵子の故郷、福島二本松では智恵子のまち夢くらぶ主催のイベントがありますが、当方、福島は通り過ぎ、仙台へ向います。元アナウンサーの荒井真澄さんと、ピアニスト齋藤卓子さんによる朗読イベント「ピアノ演奏と朗読で綴る愛の世界ーシューマンと智恵子抄Part2.高村智恵子誕生の日に」を聴きに。

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詳細は帰ってからご報告致します。


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