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「智恵子抄」その他の光太郎詩にオリジナルの曲を付けて歌われている、シャンソン系歌手のモンデンモモさん。今年も「智恵子抄」がらみのコンサート等を京都都内で開催されてきましたが、今度は鳥取だそうです。

Art train 2022『藝術列車』プレイベントVol. 0.5

期 日 : 2022年12月4日(日)
会 場 : 日南町総合文化センター 鳥取県日野郡日南町霞785
時 間 : 12:30~
料 金 : 1,000円

日南町発の芸術の祭典が始まります。ピアノ・二胡 ・朗読とチェロ演奏・ビジュアル華道・パントマイム・シャンソン・イタリアオペラ・歌舞踊・神楽 など、 様々な藝術とのコラボレーションステージも予定しています。ユーチューブでのライブ配信も行います。
https://www.youtube.com/watch?v=2T0Df090SHk

第1部
 二胡演奏/山本佑佳 ヴィジュアル華道/Rosalia Belmondo パントマイム/魁士
 ピアノ演奏/中島巌 ヤングアーティストバレエ/岩佐久美子バレエスクール
 朗読とチェロで親しむ『徒然草』/和貝晴美・なりかわあきよ
第2部
 舞踊音楽劇 文藝ビジュアル『智恵子飛ぶ』
  歌舞踊/モンデンモモ ピアノ/田中幸子 チェロ/なりかわあきよ

第3部
 「シャンソン」 歌唱/松尾芳紀・森岡優子 ピアノ/田中幸子
 「わが太陽! カンツォーネ イタリアオペラの輝き」
   歌唱/若井健司 ピアノ/大山まゆみ

 ここに『たたら物語』生まれる!!
  歌舞踊/モンデンモモ ピアノ/中島巌 二胡/山本佑佳 日南神楽神光社
  華道/Rosalia Belmondo 
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お近くの方(遠くの方も(笑))、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

誕生日、 椛澤さんくる、クツ下、抹茶をもらふ、 カマクラの吉野秀雄さん夫人くる、ソーセージをもらふ、いろいろの話、 秋田の大野さんといふ女性くる、 奥平さんくる、ゐなりずしをもらふ、桑原さん加はり、三人と夜九時頃まで話、すしをくふ、ケーキをくふ、


昭和30年(1955)3月13日の日記より 光太郎73歳

明治16年(1883)生まれの光太郎、この日で満72歳となりました(すぐ上に「光太郎73歳」と書いているのは、数え年です)。しめしあわせてのことではないのでしょうが、ほぼ臥床している光太郎の見舞いを兼ねて、多くの人が誕生祝いに訪れました。

椛澤さん」は茶道家。「吉野秀雄さん夫人」は吉野登美子。元八木重吉夫人でしたが、八木が早逝した後、歌人の吉野秀雄と再婚しました。「奥平さん」と「桑原さん」は美術史家。「秋田の大野さん」だけは詳細が不明です。

プレゼントをいろいろもらい、しっかりバースデーケーキも食べたのですね(笑)。

神戸から演奏会情報です。

やすらぎコンサートin神戸「癒しの響き 鐘シンフォニー(和編鐘)への誘い」

期 日 : 2022年11月20日(日)
会 場 : 日本基督教団神戸聖愛教会 兵庫県神戸市中央区生田町1丁目1-27
時 間 : 15:00~17:00
料 金 : 前売 3,000円 当日 3,500円

出 演 : 有機音(ゆきね 和編鐘)  大山りえ(朗読)  
      則定まり & Fresh Green Sleeves(カリヨン・リコーダー)
      こだまひろこ(ウィメンズコミュニティ代表)
      小山弘明(高村光太郎連翹忌運営委員会代表)

曲 目 : 1部 鐘シンフォニー
       春と修羅 水の源 和編鐘・有機音 朗読・大山りえ
       トーク「津田梅子について」 こだまひろこ
       強く、美しく 和編鐘・有機音
      2部 響きあう
       トーク&リコーダー演奏 則定まり & Fresh Green Sleeves 
       トーク「光太郎智恵子と神戸」 小山弘明
       智恵子抄より 「愛はすべてをつつむ」抜粋版
        和編鐘・有機音 朗読・大山りえ   

今社会の動きに、疲れていませんか?? 和編鐘は癒しの鐘です。皆さんの様々な重荷をおろして響きの世界で心を安らげてください。全身の緊張がとれ、リフレッシュしますよ。音に包まれる癒しの時をぜひ!!!
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というわけで、出演させていただきます。有機音さんの演奏と、大山りえさんの朗読の前座で(笑)、せっかく神戸ですので、光太郎智恵子と神戸との関わりを中心に語る予定です。

そもそもなぜ当方が名を連ねているかというと、やはり「智恵子抄」朗読を伴った有機音さんのコンサートに2回(代々木能舞台さん/矢来能楽堂さん)お邪魔し、「ではそのうち光太郎智恵子について語って下さい」とのことで実現しました。

有機音さん、先月、NHK BSプレミアムさんで放映された「Core Kyoto」という番組にご出演。その回は「古都の祈りの鐘~こころ清める 音の宇宙~」というサブタイトルでした。
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和編鐘、そして有機音さんの紹介。
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「私のやり方」とは……
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これは確かに独特ですね。

そして……
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ちなみに京都下鴨神社さんでの奉納演奏の際のロケだそうです。

「自然を師としなさい」と語ったロダンに私淑した光太郎の精神にも通じるような気がしますね。

お近くの方(遠くの方も(笑))、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

よみうり記者来て新年の詩依頼、廿五日〆切、承諾す、

昭和29年(1954)12月17日の日記より 光太郎72歳

新年の詩」は、翌年元日の『読売新聞』に掲載された「新しい天の火」。宿痾の肺結核のため、外出もままならない状態でしたが執筆依頼を受けました。詩作は約10ヶ月ぶり。散文は意外と書いていましたが。

大分県から演奏会情報です。

「智恵子抄」~智恵子と高村光太郎の生涯をたどって~

期 日 : 2022年11月17日(木)
会 場 : iichiko音の泉ホール 大分県大分市高砂町2番33号
時 間 : 19:00~
料 金 : 無料

出 演 : 上田雅美(ソプラノ) 中村弘人(テノール) 中村仁 (テノール)
      星野美由紀(ピアノ)

歌曲の会特別企画演奏会ということで、第1部は「日本抒情歌曲への誘い」と題して山田耕筰や中田喜直といった作曲家の作品と、第2部では清水脩作曲の歌曲集「智恵子抄」(全曲)を演奏いたします。智恵子への愛を綴った詩に「取り付かれた」清水作品を3人で歌いあげていきます。どうぞお聴きください。
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大分県民芸術文化祭」参加事業の一つだそうです。001

故・清水脩氏作曲の「歌曲集 智恵子抄」全12曲が演奏されます。抜粋で演奏されることは多いのですが、全曲まとめてというのは、少なくともここ10年ほどの間では無かったように思われます。

清水氏、光太郎生前の昭和30年(1955)からこの歌曲集の作曲を始め、まず「あどけない話」など6曲(うち3曲はオケ伴)。続いて「あなたはだんだんきれいになる」他二曲が昭和34年(1959)、そして「晩餐」等2曲が昭和46年(1971)に加えられ、全12曲となりました。楽譜は昭和53年(1978)に音楽之友社さんから刊行されています。

アナログレコード、CDも抜粋のものが多くありますが、昭和47年(1972)、中村健氏の歌唱による全12曲収録のLPが日本ビクターさんからリリースされています。同じ音源と思われるCDも平成3年(1991)に発売されています。
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清水氏、これ以外にも男声合唱、混声合唱、さらには箏曲でも、「智恵子抄」詩篇に曲を付けた作品を複数作られていて、これだけ多く光太郎詩に曲を付けられたのは、ジャンルは違いますがシャンソン系のモンデンモモさんと清水氏とお二方だけです。

今回の演奏会では、ご出演されるお三方の歌い手さんが分担なさって全12曲を歌われるとのこと。なるほど、そういうのもありかな、と思いました。

そして何と入場無料。お近くの方(遠くの方でも)、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

小山書店の小山久二郎氏くる、「天平の彫刻」をもらふ、


昭和29年(1954)11月8日の日記より 光太郎72歳

天平の彫刻」は正しくは「天平彫刻」。光太郎が一部を執筆したもので、元版は戦時中の昭和19年(1944)に刊行されましたが、戦災で倉庫が焼け、ほとんど出回りませんでした。戦後になって昭和23年(1948)に復刊、さらにこの年、新たに図版を数多く入れた版が刊行されています。

昨日も都内に出ておりました。

まずは泉屋博古館東京館さんで、「生誕150年記念 板谷波山の陶芸-近代陶芸の巨匠、その麗しき作品と生涯-」を拝見のため、六本木へ。
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都内でも紅葉が始まっている感じでした。
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陶芸家・板谷波山。創立間もない東京美術学校彫刻科で光太郎の父・光雲に学んだという異色の経歴があります。そこでの教えが後の波山芸術バックボーンの一つとなっている点は確かに感じられました。

撮影可だった作品。
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紋様は描かれているだけでなく、浮き彫り風になっており、確かに彫刻のエッセンスが感じられます。1ミリにも満たない凹凸で感じられる立体感という意味では、智恵子の紙絵にも通じるものがあります。そういえば智恵子も太平洋画会で彫刻を学んだ経験がありました。

師・光雲の木彫が2点。波山に乞われて造ったという「瓜生岩子像」は、個人的な依頼に対して気楽に応じた、という感じでした。といってもいい加減に造っているわけではなさそうですが。もう1点の「三猿置物」は、きちっと「作品」として仕上げたという様相。拝見に行く以前に入手していた図録にサイズが記されており、「高24.2 幅27.2 奥行18.6」。その数値から「こんなもんか」というイメージを固めていたのですが、実際に拝見すると、その倍くらいに感じられました。

光雲にしても、光太郎にしても、優れた彫刻はやけに大きく見える傾向があります。現在、常設展で出ているトーハクさんの「老猿」にしても、実際に見たことがあるという方と話す中で「像高90㌢ほどですよ」という話をすると「え? 1㍍50㌢くらいと思ってましたが」ということがままあります。内部から迸るエネルギー的な物の発露がそういう錯覚を起こさせるのでしょうか。

003波山の木彫「元禄美人」にも驚きました。図録で見た時には「ふーん」という感じだったのですが、実物を見ると実にいいのです。特に驚いたのは、着物の柄を陰刻で彫ってあること。図録の画像もよく見ればそれが分かるのですが見落としていまして、実物を見て「うおー、こんなことをやっていたのか」と初めて気がつきました。波山の本業である作陶にも通じる技法ですね。

そしてメインの陶磁器(というかほとんど磁器)。当方、いわゆる「焼き物」にはあまり興味はないのですが、波山の葆光(ほこう)彩磁は以前から好きでした。多くの作をまとめて見たのは今回が初めて。目を奪われました。また、波山は焼き上がったものに少しでも納得が行かない点があると、叩き壊してしまうことで有名でしたが、その破片も数多く展示されていました。妥協を許さない芸術家の魂的な物を強く感じました。

ついでにというと何ですが(笑)、波山と交流のあった光太郎の「手」も出ています。どこから借りてきたものか不明なのですが、苦言を呈させていただければ、台座が稚拙なのが残念です。

ちなみに光太郎と波山。光太郎が美校に入学する前、旧制中学の課程を本郷にあった共立美術学館予備科で学びましたが、数学が苦手でどうにもならなかったそうです。そこで波山に頼み、数学を得意とする人物を紹介してもらって個人教授をお願いしたとのこと。それでも駄目だったようですが(笑)。

さて、拝観後、六本木を後に銀座へ。同じ都内でも下町方面を廻ることが昔から多いので、「ギロッポンからザギンって、俺らしくないな」などと思いつつ(笑)。

次なる目的地は王子ホールさん。こちらでは作曲家・朝岡真木子氏の作品が演奏される「えつ子とまき子のコンサート 2022秋」を拝聴して参りました。朝岡氏から招待状を頂いてしまいまして、馳せ参じた次第です。
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9月24日、旧東京音楽学校奏楽堂さんにおいて行われた「清水邦子リサイタル 清水邦子が贈る朝岡真木子の世界」で演奏された「組曲 智恵子抄」から抜粋で「あどけない話」と「レモン哀歌」。歌唱はその際と同じく清水邦子氏。情感たっぷりに歌い上げていらっしゃいました。

他の曲目も、9月の演奏会とは異なるものがほとんどでしたし、二重唱などもあって、合唱経験者の当方としては生で聴くハモりは心地よいものでした。

演奏中は撮影禁止でしたが、終演後。
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左から朝岡氏、清水氏、メインで歌われた前澤悦子氏、加賀清孝氏。

その後、ホワイエで朝岡氏、清水氏とお話をさせていただきました。清水氏、「智恵子抄」を歌われたことで光太郎智恵子の世界に非常に興味を持たれ、明日、二本松の智恵子生家/智恵子記念館に行かれるそうです。明日まで生家二階の特別公開、智恵子の花嫁衣装の展示が為されていて、そちらをご覧になりたいとのことでしたので、フライヤー等お渡ししておきました。

今週はもう1度、都内に出ます。10日(木)、三越劇場さんでの「朗読劇 智恵子抄」。主演の一色采子さんから「来なさい」という至上命令ですので(笑)。今月、というと、またのちほどご紹介しますが、20日(日)に神戸で和編鐘の有機音さんのコンサートに「応援出演」ということで行って参りますし(光太郎智恵子について語って参ります)、月末には高村光太郎研究会でまた都内。千葉の田舎から出て行くのはなかなか大変なのですが、「芸術の秋」ですから仕方がありません(笑)。というか、コロナ禍で自粛、中止が相次いでいた頃に較べれば、足を運べる催しが多いことは幸いと云うべきでしょう。ただ、「第8波が懸念」という報道もあり、まだまだ予断を許さぬ状況ですが……。

【折々のことば・光太郎】

火の車より使、清六さんからのマヒ茸松茸、ベニマス等もらふ、夜それをくふ、

昭和29年(1954)10月9日の日記より 光太郎72歳

火の車」は当会の祖・草野心平が経営していた居酒屋。「清六さん」は賢治実弟の宮沢清六です。

この頃の光太郎は、宿痾の肺結核で外出も出来ない状態でしたが、食欲だけは旺盛でした。

都内での演奏会情報2件、ご紹介します。

開催順に、まずクラシック系で、銀座。

えつ子とまき子のコンサート 2022秋

期 日 : 2022年11月6日(日)
会 場 : 王子ホール 東京都中央区銀座4-7-5
時 間 : 14:00開演
料 金 : 全自由席 一般¥4,500(当日¥5,000)

出 演 : 前澤悦子(ソプラノ) 朝岡真木子(作曲家・ピアノ)
ゲスト : 清水邦子(メゾソプラノ)、加賀清孝(バリトン)

演奏予定曲:
 朝岡真木子歌曲より
  歩こうよ(詩・戸張みち子)  ガラスのオルゴール(詩・今村佳枝)
  追憶の風(詩・木下宣子)   風といっしょに〔二重唱〕(詩・高木あきこ)
  黒豆のなっとう〔二重唱〕(詩・中野惠子)  組曲「あなたへ」(詩・星乃ミミナ)
  「智惠子抄」より あどけない話・レモン哀歌(詩・高村光太郎)
 〈初演〉ソプラノとバリトンのための「薔薇の園」(詩・岡崎カズヱ)
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作曲家・朝岡真木子さんによる歌曲のコンサートです。

先月24日、旧東京音楽学校奏楽堂さんにおいて行われた「清水邦子リサイタル 清水邦子が贈る朝岡真木子の世界」で演奏された「組曲 智恵子抄」から抜粋で「あどけない話」と「レモン哀歌」が演奏されます。歌唱は同じく清水邦子さん、ピアノは朝岡さんご本人です。

今回は、メインの歌い手さんは前澤悦子さんという方で、さらにバリトンの方も参加なさり、さまざまな朝岡さんの作品が演奏されます。

もう1件、原宿からシャンソン系で。

新・智恵子抄 智恵子飛ぶ

期 日 : 2022年11月7日(月) 11月8日(火)
会 場 : アコスタディオ 東京都渋谷区神宮前1丁目23-27 赤星ビル
時 間 : 11/7 19:00~  11/8 15:00~  19:00~
料 金 : 前売り4,000円 当日4,500円

出 演 : モンデンモモ(歌・舞踊) 田中知子(ピアノ) 伊藤耕司(チェロ)

本当に自分として 『これがわたしです!』という作品ができましたので、ぜひみなさまにご高覧頂きたくご案内を出させていただきました!!

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「智恵子抄」をはじめとした様々な光太郎詩に、ご自分でオリジナルの曲をつけて歌われているシャンソン系歌手のモンデンモモさん。他にミュージカルの監督的なこともやられたりなさっていて、そのあたりがお忙しかったのでしょう、ひさびさに智恵子抄系に特化したコンサートです。今回は舞踊系の要素も取り入れつつ、だそうで。


それぞれぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

午后山口村の田頭さん奥さんと難波田さん夫人とくる、レモンスカツシ風にソーダ水をつくりて進ずる、


昭和29年(1954)8月22日の日記より 光太郎72歳

山口村」は誤りで正しくは「太田村」、光太郎が昭和20年(1945)から同27年(1952)まで蟄居生活を送っていた岩手の寒村です。「田頭(たがしら)さん」は屋号で、当主は高橋雅郎元太田村長。「奥さん」はアサヨといい、夫妻で何くれとなく光太郎の世話を焼いてくれていました。息女の故・愛子さんは最近まで光太郎の語り部を務められていました。

難波田さん」は洋画家の難波田龍起。かつてあった駒込林町の光太郎アトリエ兼住居のすぐ裏手に住んでいました。その夫人と高橋アサヨがどういう伝手(つて)で知り合ったのかは不明です。たまたま同時刻に光太郎が起居していた貸しアトリエを訪れただけかも知れませんが。

レモンスカッシ風にソーダ水」、遠く大正初めの智恵子との結婚直後、既に光太郎がこれと同じか、似たようなものを作って来客をもてなしていたことが、詩人・歌人の上田静栄の回想に語られています。

昨日は、久々に都内に出ておりました。上野公園の旧東京音楽学校奏楽堂さんで開催された「清水邦子リサイタル 清水邦子が贈る朝岡真木子の世界」拝聴のためです。
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奏楽堂さん、藝大美術館さん等に行く際に前を通過したことは数知れずでしたが、初めて中に入りました。
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昨日の演奏会では使われませんでしたが、ステージにはパイプオルガン。ほう、と思いました。

コロナ禍以来、各種演奏会自体減りましたし(だいぶ元に戻りつつありますが)、やはりコロナ禍ということもあって外出をできるだけ避けていたため、当方、この手の演奏会は久しぶりでした。
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ソプラノ歌手の清水邦子さんという方が、作曲家・朝岡真木子さんの作品を歌われるというコンセプト。ピアノ伴奏は朝岡さんご自身でした。
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二部構成で、第一部は各種組曲等からの抜粋。爽やかなイメージの曲、かわいらしい曲などが多めでしたが、与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」に曲を付けた作品のみは、内容が内容だけに重厚で厳粛な感じでした。

終演後にご紹介がありましたが、作詞された星野ミミナさん、こわせ・たまみさん、それから岡崎カズヱさんも会場にいらしていました。与謝野晶子さんはいらしていませんでしたが(笑)。

第二部が「組曲 智恵子抄」全5曲。30分弱でしたが、光太郎智恵子の世界観が実によく表されていました。「智恵子抄」の詩にメロディーをつけたものは、クラシック系で独唱歌曲や合唱曲、オペラもありますし、他に伝統邦楽系やシャンソン系、J-POP系など、実に多くの方々がそれぞれの解釈で作曲なさっていまして、二番煎じにならず独自性を出すのも難しくなってきているように思われますが、朝岡さんの曲作りにはオリジナリティーが発揮されていたと思われます。

全体的には歌曲というよりオペラのアリアのような。そしてそれが清水さんの確かな歌唱力に裏付けられて、ぐいぐい引き込まれました。また、朝岡さんご自身が弾かれていたピアノ伴奏も実に効果的でした。

第1曲「人に」(大正元年=1912)。「いやなんです/あなたのいつてしまふのが――」で始まる、詩集『智恵子抄』の巻頭を飾る詩。この詩の書かれた前年に二人は知り合いました。「――それでも恋とはちがひます」などと言いつつ、抑えきれない智恵子への思い。十六分音符の連続、5連符や6連符も交じりで、一種早口言葉のような部分もあったりでした。しかし、光太郎の熱情のほとばしりが頂点に達した部分では長いフレーズで「サンターーーマリーアーー」。なるほど、と思いました。

続いて「あどけない話」(昭和3年=1928)。結婚し、それなりに充実した生活を送っていた光太郎智恵子。しかし、智恵子の実家の造り酒屋が傾きはじめ(不動産登記簿によれば、この詩が書かれた前日に家屋の一部が福島区裁判所の決定で、仮差し押さえの処分を受けています。翌昭和4年(1929)には、全ての家屋敷は人手に渡り、実家の家族は離散、智恵子は帰るべき故郷を失います)、さらに生涯の道と思い定めたはずの油絵制作もうまくゆかず、「東京には空が無い」という心境に。触れれば崩れそうな不安定な智恵子の内面がよく表現されていました。

そして毀れてしまった智恵子を謳った「千鳥と遊ぶ智恵子」。Aモール、アレグロ、センプレスタッカートで「タタッタ タタッタ タタッタ タタッタ」と、ピアノの左手。緊迫した情景です。そこにタイトル通りに千鳥と遊ぶ智恵子、「ちい、ちい、ちい」という千鳥の鳴き声が被さっていきます。終末近く、「人間商売さらりとやめて……」では、一転、バラード調。そうかと思うと、最後のフレーズ「二丁も離れた防風林の……」以下はメロディー無しのセリフ。そしてレントで静かに終わります。

第4曲「値(あ)ひがたき智恵子」。基本、8分の5拍子です。調和のとれた3拍子、4拍子、または8分の6拍子などでは夢幻界に彷徨(さまよ)う智恵子が表現できないということでしょうか。

ここで、4月に刊行された『朝岡真木子歌曲集2』には収録されていない、インストゥルメンタルの「間奏曲」。「あれっ」と思いました。もの哀しくも、メロディアス。この曲だけでも「智恵子抄」の世界観がよく表されていました。

そしてアタッカで終曲「レモン哀歌」に突入。一転してドゥア。予定調和的な。「そんなにもあなたはレモンを待つてゐた」……。うるっと来てしまいました。ちなみに昨日の都内は台風のため、開演前は雨でしたが、この「レモン哀歌」の演奏中くらいに、窓から陽光が差し込みはじめました。智恵子の魂が天上へと誘(いざな)われていくようなイメージでした。

終演後のお二人。
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やりきった感が溢れていますね。

さらに全てハネたあとの入り口付近。お二人がお見送り。
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朝岡さんが当方の知り合いの知り合いだったため招待券を頂いて伺ったので、お礼かたがたお二人とお話をさせていただきました。来春にはコロナ禍も収まっていることを改めて願いつつ、連翹忌の集いへのお誘いも。

今後とも、お二人のご活躍を祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

奥平さんの帖に揮毫、リンゴの画を切紙でつくる、洋モク、ペルメルの赤い包紙でつくる、

昭和29年(1954)2月18日の日記より 光太郎72歳

奥平さんの帖」は、「有機無機帖」。交流のあった美術史家・奥平英雄のために書いた書画帖です。「ペルメル」は「ポールモール(PALL MALL)」。赤いパッケージが特徴的なアメリカのタバコで、現在でも日本で販売されているでしょう。「洋モク」という語は、現代の若者には通じないかもしれませんね(笑)。当方、若い頃、ジタン(庄野真代さんの「飛んでイスタンブール」にも登場します)やらゴロワーズやらを気取って吸っていた時期もありました(笑)。
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そして千疋屋の包装紙なども使って紙絵を作った智恵子へのオマージュ。泣けますね(笑)。

ラジオ番組の紹介です。

ビバ! 合唱 合唱で聴く詩人の世界(13)~高村光太郎の世界

NHK FM 2022年9月24日(土) 午前6時00分~ 午前6時55分

世界中の様々な合唱曲をお届けする、ファン必聴のコーラス専門番組。あなたの知らない美しいハーモニーが見つかるかも。リクエストも大募集です。

「智恵子抄より 「或る夜のこころ」」
高村光太郎:作詞 清水脩:作曲
(合唱)東京リーダーターフェル、(ピアノ)三浦洋一、(指揮)清水脩
(8分08秒)<ユニバーサルミュージック CZ28-9094>

「女声合唱とピアノのための 組曲「智恵子抄」から 第2曲「亡き人に」」
高村光太郎:作詞 鈴木輝昭:作曲
(合唱)福島県立橘高等学校合唱団、(ピアノ)鈴木あずさ、(指揮)大竹隆
(6分38秒)
<日本アコースティックレコーズ NARD-5033>

「混声合唱とピアノのための組曲「レモン哀歌」から 第3曲「レモン哀歌」」
高村光太郎:作詞 西村朗:作曲
(合唱)鹿児島高等学校音楽部、(ピアノ)桃坂寛子、(指揮)片倉淳
(6分20秒)<ブレーン BR-35018>

「女声合唱とピアノのための「冬が来た」 第2曲「冬が来た」、第4曲「冬の奴」」
高村光太郎:作詞 三好真亜沙:作曲
(合唱)女声アンサンブルJuri、(ピアノ)五味貴秋、(指揮)藤井宏樹
(8分02秒)<ジョバンニ GVCS-11410>

「「愛のうた-光太郎・智恵子-男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために」から  第4曲「レモン哀歌」、第5曲「元素智恵子」」
高村光太郎:作詞 新実徳英:作曲
(合唱)慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団
(管弦楽)ザ・オペラ・バンド (指揮)佐藤正浩
(13分13秒) ~東京芸術劇場コンサートホール(2022年1月10日)~

出演 戸崎文葉(合唱指揮者) 鷹羽弘晃(作曲家) 
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合唱の専門番組です。特定の国にスポットを当てた回(先週のオンエアは「合唱の旅~チェコ」)、一人の作曲家の作品を紹介したり(先々週が「モーツァルト~若き日の合唱曲(2)」)しています。また、唱歌の合唱版や、定番合唱曲の特集の回もありました。そんな中で、「合唱で聴く詩人の世界」。作詞、というか詩人の詩に曲を付けた合唱曲ということで、毎回一人の詩人を取り上げています。直近は大手拓次、その前が高田敏子、萩原朔太郎の回もあったようです。

そして次回が光太郎。ありがたし。002

ラインナップとしては、まず、故・清水脩氏作曲の「或る夜のこころ」。男声合唱で、東京リーダーターフェルさんの演奏。慶應義塾大学ワグネルソサエティー男声合唱団さんの依嘱で、昭和40年(1965)6月の東京六大学合唱連盟の演奏会において初演されました。東芝EMIさんからリリースされたCD「合唱名曲コレクション21(男声合唱) 月光とピエロ」に収められています。清水氏はこの他、独唱歌曲、混声合唱、さらに箏曲でも光太郎詩に曲を付けられました。特に「智恵子抄巻末のうた六首」が有名です。

003続いて鈴木輝昭氏作曲で「女声合唱とピアノのための 組曲「智恵子抄」から 第2曲「亡き人に」」。智恵子の母校・福島高等女学校の後身である県立橘高等学校合唱団さんの委嘱作品です。同団、全3曲のこの組曲から1曲ずつ自由曲として選曲し、平成21年(2009)から3年間、全日本合唱コンクール全国大会に出場し、上位入賞しています。また、神奈川の清泉女学院さんも同コンクールでこの曲を自由曲に選定し出場、金賞を受賞されました。今回放送されるのは、橘高校合唱団さんの演奏で、CD「鈴木輝昭 合唱の地平」(日本アコースティックレコーズさん)収録のものです。

0043曲目は「混声合唱とピアノのための組曲「レモン哀歌」から 第3曲「レモン哀歌」。西村朗氏の作曲です。こちらは鹿児島高等学校音楽部さんの演奏が放送されますが、平成30年(2018)の全日本合唱コンクール第71回大会でのライブ録音です。この曲、昨年には東京混声合唱団さんもコンサートで演奏されています。平成21年(2009)には全音楽譜出版さんから出た楽譜集にも収録されています。初演は平成20年(2008)、関西合唱団さんの依嘱でした。

4曲目、5曲目は、三好真亜沙さん作曲「女声合唱とピアノのための冬が来た」から、 第2曲「冬が来た」、第4曲「冬の奴」。平成26年(2014)の初演「The Premiere Vol.3 〜夏のオール新作初演コンサート〜」を、当方、紀尾井ホールで拝聴して参りました。第4曲「冬の奴」は、やはり全日本合唱コンクールで演奏されたこともあります。東京の豊島岡女子学園高等学校コーラス部さん。みごとに銀賞に輝きました。今回の放送は、初演の際のライブ録音をCD化したものから。楽譜はカワイ出版さんから出ています。
005
最後に「「愛のうた-光太郎・智恵子-男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために」から 第4曲「レモン哀歌」、第5曲「元素智恵子」」。新実徳英氏の作曲で、合唱は慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団さん。管弦楽がザ・オペラ・バンドさん(指揮・佐藤正浩氏)。今年初演されたばかりの新作です。やはり初演の際のライブ録音が放送されるようです。楽譜DVDが出ています。
007
リアルタイムのラジオ放送、さらにNHKさんの「らじる★らじる」でパソコンやスマートフォンから放送を聴くことができるようです。ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

午前安倍能成氏くる、岩波の胸像のこと、


昭和29年(1954)1月21日の日記より 光太郎72歳

「岩波」は岩波書店の創業者・岩波茂雄。昭和21年(1946)に歿しました。生前は光太郎と関わりが深く、その胸像制作を光太郎に依頼するプロジェクトがあり、光太郎も乗り気だったのですが、いかんせん健康状態がそれを許しませんでした。もし実現していたら、文化人の胸像として日本を代表する作品となっていたはずで、残念です。

胸像といえば、つい最近、何やらとんでもない人物の胸像制作プロジェクトが進んでいると、嘆かわしい報道がなされていますが(笑)。

光太郎第二の故郷・花巻からの情報を書くつもりでしたが、予定変更。昨日開幕し、今日は中日(なかび)、明日には閉幕という彫刻個展です。

特別企画 秋川雅史 木彫展

期 日 : 2022年9月17日(土)~9月19日(月・祝)
会 場 : 靖山画廊 東京都中央区銀座 5-14-16 銀座アビタシオン 1F
時 間 : 11:00~17:00
料 金 : 無料

究極の声を追い求めて歌をうたう。思い描くイメージを一本の木から彫り出していく。どちらもやり直しはきかない。このたびテノール歌手秋川雅史が、ジャンルを超えた芸術家として初の個展を開催致します。3年の歳月をかけ制作した「木彫楠公像」など、魂が込められた作品をご覧ください。

※場合によっては、入場制限させて頂く可能性もございます。

テノール歌手の秋川雅史さん。仏師の関侊雲氏に師事して木彫にも取り組まれ、昨年の二科展では、光太郎の父・光雲が主任となって作られた皇居前広場の楠木正成像の模刻作品により、彫刻部門で入選を果たされました。当該作品、さらに今年の二科展入賞作品も展示されるとのこと。秋川さんご本人によるプレス対応を、報道各社さんがニュースにしています。

『東京スポーツ』さん。

秋川雅史は木彫で二刀流 歌手活動回復し「最近彫れないストレスがあって…」

 テノール歌手・秋川雅史(54)が17日、東京・中央区の「靖山画廊」で初の個展「秋川雅史 木彫展」(19日まで)の開催に伴い、取材に応じた。
 大ヒット曲「千の風になって」で知られる秋川だが、趣味で木彫を始め、個展の開催が決定した。
 コロナ禍の影響で、コンサートなどは中止や延期となり、木彫を制作。最近は状況が徐々に回復傾向で、歌手としての活動も戻ってきており、秋川は「最近彫れないストレスがあって…。テレビ番組収録の楽屋で彫っています。、待ち時間が長いので」と明かした。
 歌手と木彫の二刀流については「歌手はメインの本業。お客様が求める以上のパフォーマンスをするというプレッシャーがあって、歌の練習ってつらいことが多いけど、彫刻の練習は楽しいですね。自分なりに自分のレベルで成長していけたら」と語った。
 個展では、昨年の第105回二科展彫刻部門で入選した木彫楠公像(楠木正成像)などを展示。同像の制作は、皇居外苑国民公園にある楠木正成像を見てかっこいいと思ったことがきっかけだという。
 同像を前に「これが彫りたくて、最終目標と思って彫り始めて3年。最初は四角い木で、遠い道のりでした」と振り返った。
東スポ
『中日スポーツ』さん。

「歌手は辛いことも多いが…彫刻は楽しいことばかり」秋川雅史が自身初の個展「これからも二刀流で」  

 テノール歌手の秋川雅史(54)が17日、東京・銀座の靖山画廊で自身初の個展「木彫展」の取材会を行った。
 昨年の「二科展」彫刻部門で入賞した「楠木正成像」や「金剛力士 仁王像」など、この11年間に彫りためてきた木彫刻11点を19日まで同画廊で展示。さらに今年の二科展で入賞した「木彫龍図」は二科展終了後の19日に披露する。
 念願だった個展に秋川は「10年前の作品を見ると、未熟だなと思います。人間はいつまでも成長するんだなとも思いました。11年の成長の過程を見てほしいです」とアピール。2年連続での二科展入賞には、「昨年とは違って、今回はアーティストとしてちゃんと作っているか、ということを見られた結果だと思うので、昨年以上にうれしいです。来年から? どうしましょうかね。また頑張って作ります!」と笑顔を見せた。
 木彫刻を始めたのは、故郷愛媛県西条市に伝わる西条だんじり彫刻の魅力に触発されたのがきっかけだったという。彫刻教室にも通い、1年に一作のペースで作品を仕上げてきた。「本業の歌手はプレッシャーがあって辛いことも多いです。でも、彫刻は楽しいことばかり。のめり込める時間がいいです」。今後には「歌と木彫刻、これからも二刀流で数々の記録を打ち立てていきたい」と力を込めた。
中日スポーツ
『サンケイスポーツ』さん。

歌手、秋川雅史が木彫の初個展を開催 「1日5、6時間。彫れない日はストレスで」と〝二刀流〟を宣言 二科展も2年連続入選 

 テノール歌手、秋川雅史(54)が17日、東京・銀座の靖山画廊で初の個展「秋川雅史 木彫展」(19日まで)を開いた。
 「彫刻を始めて11年。念願だった個展ができることになりました」と秋川は感激しきり。東京・新国立新美術館で19日まで開催中の「第106回二科展」彫刻部門で「木彫龍図」が2年連続の入選。個展では、昨年の彫刻部門で芸能界初の入選を果たした「木彫楠公像(楠木正成像)」を中心に、二科展出品中の最新作を除く過去の全作品12点や、代表曲「千の風になって」の歌詞をしたためた書などを展示する。
 出身の愛媛・西条市でだんじり祭りの彫刻に幼少期から「血が騒いだ」と言う。43歳で一念発起し、「彫刻、教室、東京でネットで検索して、一番上に出てきた先生に入門した」と笑って告白。「いまでは1日5、6時間、地方公演中やテレビ局の楽屋でも彫ります。彫り始めると止まらなくなる。彫れない日はストレスで」とのめりこむ。
 昨年の入選作のモデルとなった皇居外苑前の楠公像は「とにかくかっこいい。彫りたい!と思った」。埼玉・深谷市にある畠山重忠像にも心をひかれていると言い、「コンサートで全国に行くときも銅像をチェックしています。いま(山梨・JR甲府駅前の)武田信玄像を彫り始めたところ」と〝銅像シリーズ〟を今後のテーマに掲げる。
 二科展挑戦のきっかけは同じ事務所所属のモデル、押切もえ(42)の絵画での入選に「触発された」ことだったという。最後は「彫刻家と歌手という〝二刀流〟で数々の記録を打ち立てていきたい。大谷選手? 超えたいですねえ!」と取材陣への笑顔のリップサービスで締めくくった。
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日テレさん。

秋川雅史、彫刻家と歌手の二刀流“大谷選手を超え目指す”

 『千の風になって』の楽曲で知られる、テノール歌手の秋川雅史さん(54)が17日、これまで秋川さんが彫り続けた彫刻作品を集めた、自身初の個展イベントに登場。歌手と彫刻家の“二刀流”を宣言し、世界で活躍する”二刀流選手”超えの記録を目指すと語りました。
 木彫刻家としての顔も持つ秋川さんが、これまでの彫刻作品を集めた初の個展『秋川雅史 木彫展』を17日~19日までの3日間開催します。秋川さんの彫刻作品は、昨年の美術の展覧会『第105回 二科展』の彫刻部門で初入選し、今年の『第106回 二科展』でも2年連続となる入選に輝きました。
■秋川「ネットで調べて一番上のところに」彫刻の師との意外な出会い
 43歳から彫刻を始めたという秋川さんは、『第106回 二科展』で入選となった『木彫龍図』について「愛媛県の西条市出身で、だんじり彫刻を見て育ったので、彫刻を見ると血が騒ぐ。だんじり彫刻は、龍が見せ場なんで、自分だったらこういう龍を彫りたいとイメージがありました」と語りました。
 また、彫刻を始めるにあたり、教室に通ったそうで「インターネットで『彫刻、教室、東京』とキーワードを入れて一番上に出てきたところに行きました。そこの先生が超一級の先生でした」と、師匠となる先生との運命的な出会いを明かしました。
 歌手としても活動する秋川さんは今後について「彫刻もアートだし、歌もアート。広い意味でアーティストと。だけどその中で、歌手と彫刻家の二刀流で、数々の記録を打ち立てたい。大谷選手を超えたいですね」と、世界で活躍する“大谷選手超えの二刀流”を目指すと宣言しました。
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テレ朝さん。

秋川雅史、初の個展スタート「“二刀流”で数々の記録を」 

 テノール歌手・秋川雅史(54)が17日、東京・銀座の靖山画廊で初の個展「秋川雅史 木彫展」を開催(19日まで)。報道陣の取材に応じた。
 秋川は昨年の二科展彫刻部門に「木彫楠公像(楠木正成像)」で初入選。今年、「木彫龍図」で2年連続となる入選を果たした。
 個展では「木彫楠公像」をはじめ、これまで手がけた彫刻や書を展示。秋川は、「彫刻を始めて11年。念願だった個展が初開催出来ることになりました」と喜び、「成長の過程を見てもらえたら」と呼びかけた。
 地元・愛媛県西条市の「西条まつり」で彫刻を見て育ち、「彫刻を見ると血が騒ぐ」とルーツを明かす。1日5~6時間を彫刻に費やしているが、「のめり込める時間」と表現し、「歌手は本業で、求めている以上のものを提供しないといけない。歌の練習はつらいことが多いけど、彫刻は楽しいことばっかり」と笑った。
 今後の目標を聞かれると、「全国に格好良い銅像がある。その銅像を木で彫るのがテーマ。武田信玄像に手をかけ始めた」と掲げた。歌手と彫刻家の“二刀流”だが、「広い意味でアーティスト。その中の二刀流で数々の記録を打ち立てていきたい。大谷(翔平)選手を超えたいですね」とライバル視した。
テレ朝3
テレ朝 テレ朝2
今後とも、秋川さんのご活躍を祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

高村晴雲くる、玄関で。


昭和29年(1954)1月11日(火)の日記より 光太郎72歳

「高村晴雲」は、光雲の師・初代高村東雲の孫で、本名は東吉郎。かつては光雲に師事し、この時点では三代東雲を襲名していたのですが、光太郎はうっかり昔の号の晴雲と記録してしまったようです。しばらく北海道にいた三代東雲、光太郎に先立って昭和26年(1951)に帰京しています。

























都内から演奏会情報です。

清水邦子リサイタル 清水邦子が贈る朝岡真木子の世界

期 日 : 2022年9月24日(土)
会 場 : 旧東京音楽学校奏楽堂 東京都台東区上野公園8番43号
時 間 : 13:30~
料 金 : 全席自由 4,000円

清水邦子が朝岡真木子の組曲『智恵子抄』全曲に挑みます。

曲 目 : 高村光太郎 組曲「智恵子抄」
       1.人に  2.あどけない話  3.千鳥と遊ぶ智恵子
       4.値ひがたき智恵子  5.レモン哀歌
      与謝野晶子 君死にたもうことなかれ
      茨木のり子 一人は賑やか
      星乃ミミナ 生命の彩り
      岡崎カズヱ 私に歌があればこそ
      こわせ・たまみ 秋風の中で
      矢崎節夫 しゃなりと あるく
      他

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朝岡真木子氏作曲の独唱歌曲を、清水邦子さんという方が歌われるコンサート。

組曲「智恵子抄」は、令和元年(2019)に全曲の改訂初演が行われましたが、その後、今年4月に刊行された『朝岡真木子歌曲集2』に収められています。その他、ぽつりぽつりと抜粋で各種演奏会のプログラムに入っていました。

名古屋二期会 日本歌曲コンサート~朝岡真木子の歌曲を中心として~
朝岡真木子 歌曲コンサート 第5回。

上記、あくまで当方の把握していた限りのもので、他にも演奏される機会があったかもしれません。

コロナ感染には十分お気を付けつつ、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】001

午后五時万安にゆく、十和田委員会解散の会、谷口、草野、土方、菊池、藤島、余の六人、十時過ぎ終り、「好きな場所」に皆で立より、十二時かへる、


昭和28年(1953)12月28日の日記より 光太郎71歳

万安」は「万安楼」。現在は銀座タワーとなっている場所です。「十和田委員会」は、この年10月に除幕された光太郎生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の在京建設委員会。その解散式という名目でしたが、気の置けないメンバーでもあり、忘年会的な要素が強かったように思われます。一応、これで「乙女の像」がらみの諸々は全て終了、ということにはなりましたが。

好きな場所」は、小説家武田麟太郎の未亡人・とめが経営していた酒場。武田は昭和14年(1939)に、「好きな場所」という短編小説で光太郎を登場させています。

「智恵子抄」などの光太郎詩にオリジナルのメロディーを附けて歌われているシャンソン系歌手のモンデンモモさん。先月から西日本を中心に「ありがとうコンサート」と題するツアーを展開なさっています。
001
会場ごとにコンセプトやコラボ出演者等いろいろのようで、詳細な曲目等発表されていませんでしたので、これまで紹介せずにいました。

ただ、今週行われる京都でのステージで、「智恵子抄」が前面に押し出されるという情報を得ましたのでご紹介します。何と、生け花とのコラボだそうで。

モンデンモモありがとうコンサート 「はじまりは 花に溢れ」

期 日 : 2022年9月15日(木)
会 場 : 池坊学園こころホール 京都市下京区四条室町鶏鉾町491
時 間 : 15:00~
料 金 : 無料

花と言葉が舞ふ そこに はじまる みち  ある秋の1日 智恵子は かえってきた そしてレモンと歩んでいく  あなたの こころへ

出 演 : モンデンモモ(Vo) 小室弥須彦(Pf) ロザリア(生け花)
000
お近くの方(遠くの方でも(笑))、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

奥平さんくる、電通ラジオの人五人くる、奥平さんとの対談30分ほど録音、

昭和28年(1953)12月27日の日記より 光太郎71歳

奥平さん」は美術史家の奥平英雄。光太郎とは戦時中からのつきあいで、昭和19年(1944)には光太郎の評論「天平彫刻の技法について」を含む『天平彫刻』の刊行に奔走した他、この後、昭和30年(1955)に岩波文庫の一冊として現在も版を重ねる『高村光太郎詩集』の編集等にあたりました。

対談」は翌年、文化放送でオンエアされたもので、その一部は「新潮カセットブック 高村光太郎詩集」(平成2年=1990)に収められている他、奥平著『晩年の高村光太郎』特装本(昭和51年=1976 瑠璃書房)に付録としてカセットテープが添えられています。こちらはノーカットです。
001
対談を文字起こししたものは、『高村光太郎全集』第11巻に収められていますが、なぜか次の一節が脱漏していました。

奥平 良寛なんてものには、やっぱり好意をお持ちなんですか。
高村 まあ、やっぱり、素晴らしいと思うんですよ。
奥平 いや、私はねえ、やっぱり、先生が「昭和の良寛」のような気がするんですけどね、字から受ける感じが。
高村 それは大違いだな。僕はもっと悪党坊主だから(笑)。
奥平 いや、やっぱり良寛の書っていうのは、非常に私が好きなのは、清潔なっていうのか、ああいう、その、清らかさなんですけどね。そういう意味で先生の書もやっぱり……。
高村 ただ、良寛の方が書が上手い。実によくあれはね、古来の書を、筆で習ってはいないだろうが、習っているんですよ。これは、ねえ、もう、唐あたりの墨跡の、いや、唐あたりの、あの、あれはあれでしょうかな、刷り物でしょうか。実によく見ているんですね。そして羲之あたりの筆法をちゃんと取り入れて。
奥平 そうそう、ずいぶん勉強したそうですね。
高村 ええ。だから、あの馬鹿げたまずいような字ではちっとも、そうじゃないんですよ、本当は。それで良寛を真似てる奴のは本当にまずいけれども。
奥平 そうですね。
高村 良寛自身のはね、あの仮名の、仮名なんてきたら実に巧みだな。あんなこと僕らにはとっても出来ない。あれは暇があったから出来たんですよ。
奥平 いや、だけど先生の書は、ここ数年ますます良くなるばかりですね。
高村 いや、僕は知らない。責任持たない。

今日の朝刊を開いて「ありゃま」でした。歌手のおおたか静流さんが亡くなったとのこと。

『朝日新聞』さん。

歌手・おおたか静流さん死去 「にほんごであそぼ」、「花」のカバー

004 NHK・Eテレ「にほんごであそぼ」への出演や喜納昌吉さんの「花」のカバーで知られた、歌手のおおたか静流(おおたか・しずる、本名小西静子〈こにし・しずこ〉)さんが5日、がんのため死去した。69歳だった。葬儀は近親者で営む。喪主は夫小西徳雄(こにし・とくお)さん。後日、お別れの会を開く予定。
 東京都出身。7歳からクラシックの声楽家に師事。一時は漫画家を志望したが、大学時代に歌手を志す。ジャズや民俗音楽の影響を受けたボーダーレスな音楽を数多く生み出した。
 喜納さんの「花」のカバーや、映画「シコふんじゃった。」(周防正行監督)で使われたザ・フォーク・クルセダーズの「悲しくてやりきれない」のカバーで知られるほか、数多くのCMソングを歌唱。「七色の声」の異名を持つ。「にほんごであそぼ」では、リズムや韻を踏んだ遊び心あふれる楽曲を作り、子どもたちと一緒にダンスや劇を披露していた。
 絵画や朗読など、ジャンルを超えた活動を続け、ワークショップ「声のお絵描き」の主宰を務めた。
 社会的な活動も多く、米国やフランスで東日本大震災追悼公演を開催したほか、広島の原爆投下時に爆心地にあったピアノを使った「ミサコのピアノ」コンサートシリーズ、核廃絶を訴える国際キャンペーンなどにも参加した。

時事通信さん。

歌手のおおたか静流さん死去005

 おおたか 静流さん(おおたか・しずる=歌手)5日午前、病気で死去、69歳。
 東京都出身。葬儀は近親者で行う。
 89年にユニット「ディド」でデビューし、翌年ソロに。クラシックやジャズ、民族音楽の影響を受けながら、日本情緒がにじむ独創的な作風の歌で知られた。喜納昌吉さんの曲をカバーした「花」などで知られ、多数のCM曲も歌唱。NHK・Eテレの番組「にほんごであそぼ」にもレギュラー出演した。

NHKさん。

歌手のおおたか静流さん死去 69歳 「にほんごであそぼ」に出演

 表現力豊かな歌声で知られ、NHK Eテレの「にほんごであそぼ」にも出演していた歌手のおおたか静流さんが今月5日、がんのため東京都内の自宅で亡くなりました。69歳でした。
 おおたか静流さんは東京都出身で、7歳からクラシックの声楽家に師事して歌を学び「七色の声」と言われた多彩な表現力で数々のCMソングを手がけたほか、ジャズや民族音楽など幅広いジャンルで活動しました。
 喜納昌吉さんのヒット曲「花」をはじめ「林檎の木の下で」、「悲しくてやりきれない」などのカバー曲でも知られ、個性豊かで透き通った歌声が話題となりました。
 また、NHK Eテレの番組「にほんごであそぼ」にも出演し、リズムにのせたことば遊びで人気を集めました。
 親族によりますとおおたかさんは今月5日、がんのため東京都内の自宅で亡くなったということです。
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おおたかさん、NHK Eテレさんの「にほんごであそぼ」では、坂本龍一さん作曲の「道程」も歌われていました。

東日本大震災があった次の年の平成24年(2012)に公開収録が行われ、翌年オンエアされて、さらにDVD化もされた「にほんごであそぼ 元気コンサート in 福島」。

作曲の坂本龍一さんご自身がピアノ伴奏、尺八の藤原道山さんもご参加。小錦八十吉さんや子供たちと一緒に、おおたかさんも歌唱で加わりました。
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また、平成30年(2018)の同番組では、おおたかさんのソロバージョンも。その後くり返し使われました。
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謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

【折々のことば・光太郎】

文部省芸術課長宇野俊夫氏くる、理由書ほしとの事なれど必要なき旨を告げる、

昭和28年(1953)12月22日の日記より 光太郎71歳

日本芸術院会員推薦の辞退に関わります。辞退されることを想定していなかった文部省は対応にてんてこ舞いで、3日前に続き、またしても光太郎を訪問、推薦辞退の理由書を書けと迫ります。しかし光太郎、勝手に推薦しておいて、辞退するのにこちらから書面を提出せよとは何事だ! 的な対応。確かにその通りですね。








クラシック歌曲系の演奏会情報です。

曽部遼平 増田達斗 リートデュオリサイタル

一関公演
 期 日 : 2022年9月11日(日)
 会 場 : 一関文化センター 中ホール 岩手県一関市大手町2-16
 時 間 : 13時30分開場 14時00分開演
 料 金 : 一般2,000円 高校生以下500円 (全席自由) 一般は当日500円増

豊橋公演
 期 日 : 2022年9月23日(金・祝)
 会 場 : 穂の国とよはし芸術劇場プラット 愛知県豊橋市西小田原町123番地
 時 間 : 18時00分開場 18時30分開演
 料 金 : 一般3,000円 高校生以下2,000円 (全席自由)
 出 演 : 曽部遼平[テノール]  増田達斗[ピアノ]
 曲 目 : F. シューベルト《白鳥の歌》D.957 野ばら D.257
       山田耕作 赤とんぼ  三善晃 秋の風
       増田達斗 あどけない話 (詩 高村光太郎)
       他
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ピアニスト・作曲家の増田達斗 氏という方が作曲された「あどけない話」がプログラムに入っています。

いつも書いていますが、こうした二次創作-音楽でも、文学でも、造形作品でも-光太郎智恵子の作品等に新たな命を吹き込んでいただき、感謝いたしております。

なぜ岩手と愛知? と思ったら、歌唱の曽部氏が岩手、増田氏が愛知のご出身だそうで。ただ、フライヤーには11月に東京公演、12月に埼玉公演とありますが。

コロナ感染には十分お気を付けつつ、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

朝十時過車で山口まで、 スルガさんひるめしをつくりくれる、小屋で久しぶりにて飯をくふ、持参のビール一本、古テガミ等入用のものを見つけ出す、 午后四時過車で志戸平にかへる、


昭和28年(1953)11月30日の日記より 光太郎71歳

生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作のため帰京して以来、およそ1年2ヶ月ぶりに帰った花巻ですが、郊外旧太田村山口集落の山小屋には起居せず、大沢温泉さん、志戸平温泉さん(この日も)、花巻温泉さんなどを泊まり歩いていました。

徳島から演奏会情報です。

第9回 松岡貴史&みち子作品展 小川明子、加耒徹が歌う 新作日本歌曲コンサート

期 日 : 2022年8月30日(火)
会 場 : 北島町立図書館 創世ホール 徳島県板野郡北島町新喜来字南古田91
時 間 : 18:00開場 18:30開演
料 金 : 全席自由 3,000円

プログラム(順不同):
  松岡貴史作曲   音楽昔噺『たの久』(初演) 他
  松岡みち子作曲  
   新作『智恵子抄』~女性から見た智恵子と光太郎の愛のかたち~
    「人に」
    「あどけない話」
    「山麓の二人」
    「千鳥と遊ぶ智恵子」
    「レモン哀歌」
  松岡あさひ作曲  新作(初演) 他

演 奏 : 小川明子(アルト) 加耒徹(バリトン)
      松岡あさひ(ピアノ) 松岡貴史(ピアノ)
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鳴門教育大学講師の作曲家・松岡みち子氏という方の「『智恵子抄』~女性から見た智恵子と光太郎の愛のかたち~」が演奏される予定です。

過日、東京公演が行われ、基本的には同一のプログラムのようです。そちらの模様、松岡氏のフェイスブック、出演された加耒徹氏のツィッター、リンクを貼っておきますのでご覧下さい。

東京公演は拝聴に伺いたかったのですが、同日、宮城県女川町での女川光太郎祭で講演を仰せつかっており、欠礼いたしました。しかし、女川光太郎祭はコロナ禍のため中止。結局、どちらにも行けず残念でした。またの機会があることを期待いたします。

徳島公演、お近くの方はぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

難波田さんブリツヂストンの人くる、撮影について山口行の打合、


昭和28年(1953)11月11日の日記より 光太郎71歳

難波田さん」は難波田龍起。かつて駒込林町にあった光太郎アトリエ兼住居の近所に住み、光太郎に私淑していた画家です。「ブリツヂストンの人」はブリヂストン美術館の映画班。「撮影」は、翌年公開された美術映画「高村光太郎」の撮影。

光太郎終焉の地となった中野の貸しアトリエで、生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の制作風景が撮られた他、前年まで蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村山口集落に、この月の末から帰る光太郎の密着撮影が行われることとなり、その打ち合わせでした。

8月10日(水)、茨城県北茨城市に行っておりました。目的地は同市にある茨城県立天心記念五浦美術館さん。こちらに『高村光太郎全集』等に漏れていた光太郎書簡の所蔵があるということを知り、閲覧に伺った次第です。

当初、前日が宮城県女川町での女川光太郎祭の予定でしたので、そちらへ参加後の帰途に立ち寄ろうと考え、この日に閲覧する申請を出したのですが、女川光太郎祭が今年もコロナ禍のため中止となり(須田義明町長も感染されたそうで)、北茨城市単独の訪問となりました。

申請した時刻に遅れてはいけないので、早めに自宅兼事務所を出発。途中の高速道路で事故渋滞にでも嵌ったらアウトです。幸い、何事もなく北茨城に。そこで、天心記念五浦美術館さんに行く前に、手前の野口雨情記念館さんに立ち寄りました。

正確には「北茨城市歴史民俗資料館 野口雨情記念館」。雨情以外の郷土資料等の展示も充実していました。
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童謡詩人として名を馳せた雨情ですが、明治15年(1882)の生まれで、光太郎より1歳年長。光太郎は早生まれですので学年は同じです。石川啄木、北原白秋など、共通の友人がいました。しかし、『高村光太郎全集』に雨情の名はありませんで、直接の交流は無かったようです。

まずは雨情の銅像(現代のもの)と、代表作の一つ「シャボン玉」(大正11年=1922)関係のオブジェがお出迎え。
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近づくとセンサーが反応し、「シャボン玉」の歌が流れます。さらに本当にシャボン玉が噴出される仕組み。
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エントランス脇には作曲家・故高木東六氏関連の碑。高木氏は鳥取生まれですが、北茨城で育ったそうで。
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館内、雨情のコーナー。
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興味深く拝見しました。

一昨年の連続テレビ小説「エール」に広岡由里子さん演じる「ベルトーマス羽生」の名で登場した歌手・ベルトラメリ能子も北茨城出身で、雨情と縁があったと知り、驚きました。北茨城、恐るべし(笑)。

雨情以外の郷土資料的コーナー。太平洋戦争がらみの展示が充実していました。
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日本軍の機密兵器「風船爆弾」。ここ北茨城からも飛ばされたそうで。そのバルーン部分に使われたのが、智恵子の故郷・福島二本松の上川崎和紙だったらしく、そのため上川崎地区も空襲に遭ったそうです。

人間魚雷「震洋」。こちらも北茨城に配備されていたとのこと。光太郎と交流があり、詩「四人の学生」のモデルとなった故・深沢竜一氏は、同様の特攻兵器「海龍」の基地に配属され、出撃直前に終戦となり命拾いしたそうです。
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右上は東日本大震災関係。東北の被害はかなり報じられましたが、茨城、千葉でも津波が発生、多くの犠牲が出ています。

さらにすぐ近くに雨情の生家があるというので、そちらへも足を運びました。
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こちらにもいろいろな展示が。最も驚いたのは、啄木から雨情宛の葉書。おそらく現物と思われましたが、結構無造作に展示されていました。
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それにしても不思議なのは、雨情と戦争の関係。雨情は昭和20年(1945)まで存命でしたが、日本文学報国会の名簿に名が無いようです。同学年の光太郎は同会の詩部会長を務め、大量に翼賛詩を書き殴っていました。雨情は昭和18年(1943)に脳出血を起こし、療養生活を送っていたというのですが、それ以前にも翼賛詩的なものは作らなかったのでしょうか。情報をお持ちの方は御教示いただければ幸いです。

この後、北上して天心記念五浦美術館さん方面へ。続きは明日、レポートいたします。

【折々のことば・光太郎】

宇樽部、より県の車で浅蟲東奥館まで、途中酸ヶ湯にて中食、 くもりなれど雨はふらず、 疲れをやすめるため部屋にひきこもり皆にあはず、


昭和28年(1953)10月22日の日記より 光太郎71歳

前日に行われた、生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」除幕式等で、かなり疲弊したようです。もともと肺病を患っている老体に鞭打っていたわけですし……。

一昨日、8月10日は「道の日」だったそうで。

地方紙『佐賀新聞』さんから。

有明抄「道」への思い入れ

誰が言ったか定かでないが、聞き覚えのある言葉は多い。例えば「子ども叱るな来た道だもの 年寄り笑うな行く道だもの」。この言葉には続きがある。「来た道行く道二人旅 これから通る今日の道 通り直しのできぬ道」。なかなか含蓄がある◆きょう8月10日は、国土交通省が制定した「道の日」。普段利用する実際の「道路」も大切だが、私たち人類は生き方や目標への過程を「道」と捉え、特別な思い入れを持つ◆中学校で習った好きな英語の言葉は「Where there is a will,there is a way」。意志あるところに道はできる、という意味。仏教詩人坂村真民さんの「念ずれば花開く」に通じる気がする。詩人高村光太郎さんの「道程」も好き。「僕の前に道はない」の表現が印象的だ◆アニメ映画「耳をすませば」の主題歌は「カントリーロード」。主人公の少女が日本語に訳した歌詞は、夢を追う前途への不安と、夢をかなえていつか故郷にという希望が交錯する◆1970年代に「カントリーロード」をカバーし、日本でもヒットしたオリビア・ニュートン・ジョンさんの訃報に接した。歌手で女優。この30年はがんと闘いながら早期発見の啓発活動も続け、昨秋の叙勲で旭日小綬章を受章した。享年73。その死を悼みながら、負けないように目の前の「道」を進もうと思う。

古今の「道」を扱った名言等を紹介する中で、光太郎詩「道程」(大正3年=1914)に触れて下さいました。多謝。くれぐれも道路工事の詩ではありませんのでよろしく(笑)。

あえて付け加えるなら、アントニオ猪木さんの座右の銘、僧侶にして宗教学者の清沢哲夫が昭和26年(1951)に発表した「道」でしょうか。

この道を行けばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし   
踏み出せば その一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ

あるいは中学校3年生の国語教科書定番、魯迅の「故郷」(大正10年=1921)の末尾。

其实地上本没有路、走的人多了、也便成了路(もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ)。

魯迅は明治末に日本への留学経験があり、帰国後、何らかのつてで光太郎の「道程」を読んだ可能性も否定できないなと思っています。情報をお持ちの方は御教示いただければ幸いです。

000「有明抄」では、先頃亡くなったオリビア・ニュートン・ジョンさんにも触れています。彼女の代表作の一つが「カントリー・ロード」(昭和49年=1974)ということで。

Country roads, take me home/To the place I belong/West Virginia, Mountain Mamma/Take me home, country road.

原曲はジョン・デンバーさんで昭和46年(1971)。オリビアさんの歌唱がカバーだというのをご存じない方が多いように感じます。また、同曲、ジブリ映画「耳をすませば」(平成7年=1995)で、本名陽子さんによる日本語歌詞バージョンが有名になりましたので、若い人たちの中には日本の歌だと思っている皆さんもいらっしゃるようで(笑)。

ちなみに当方、オリビアさんが1枚、ジョン・デンバーさんは2枚、LPレコード(CDではありません(笑))を持っています。「カントリー・ロード」は収録されていないものばかりですが。
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ジョン・デンバーさんも、すでに平成9年(1997)、鬼籍に入られています。

その死を悼みながら、負けないように目の前の「道」を進もうと思う。」そのとおりですね。

【折々のことば・光太郎】

ひる近く車で奥入瀬の佐藤春夫氏詩碑の除幕式、式終りて雨もよひ、


昭和28年(1953)10月21日の日記より 光太郎71歳

生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」除幕式当日、午前中には奥入瀬渓流の銚子大滝付近で、光太郎と青森県を仲介した佐藤春夫の詩碑の除幕式も行われました。

午後の「乙女の像」除幕式と併せ、青森県に動画が残っていました。
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春夫はこの時数え62歳。急斜面で手を引いてやっているのは、当会の祖・草野心平です。心平、グッジョブ(笑)。
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春夫のスピーチ。残念ながら動画はサイレントです。
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光太郎の姿も。
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この後、十和田湖畔に一同で移動して、「乙女の像」除幕式となります。

都内から演奏会情報です。

第9回 松岡貴史&みち子作品展 小川明子、加耒徹が歌う 新作日本歌曲コンサート

期 日 : 2022年8月9日(火)
会 場 : オーキッドミュージックサロン  
      東京都世田谷区玉川2-2-1 二子玉川ライズバーズモールB-1
時 間 : 第1回 13:30開場 14:00開演
      第2回 18:00開場 18:30開演
料 金 : 全席自由 3,000円

プログラム(順不同):
  松岡貴史作曲   音楽昔噺『たの久』(初演) 他
  松岡みち子作曲  
   新作(初演)
『智恵子抄』~女性から見た智恵子と光太郎の愛のかたち~
    「人に」
    「あどけない話」
    「山麓の二人」
    「千鳥と遊ぶ智恵子」
    「レモン哀歌」
  松岡あさひ作曲  新作(初演) 他

演 奏 : 小川明子(アルト) 加耒徹(バリトン)
      松岡あさひ(ピアノ) 松岡貴史(ピアノ)
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鳴門教育大学講師の作曲家・松岡みち子氏という方の「『智恵子抄』~女性から見た智恵子と光太郎の愛のかたち~」が初演されるとのことです。

令和元年(2019)に、徳島県郷土文化会館さんで開催された「平成31年度 東京藝術大学音楽学部同声会 徳島県支部主催演奏会」で、松岡氏の「「智恵子抄」より」がプログラムに入っていました。おそらくその際のものと思われる動画がYouTubeにアップされています。曲目は「あどけない話」「山麓の二人」「レモン哀歌」。今回の演奏会にも出演されるアルト・小川明子さんという方の歌唱です。


今回の演奏会では「人に」「千鳥と遊ぶ智恵子」が増えており、それで組曲として完成、初演ということなのでしょう。

フライヤー裏面の松岡氏のお言葉。

「智恵子抄」は、あの偉大な彫刻家、画家、詩人であった高村光太郎が、同じく芸術家であった妻を綴った詩集で、これまでもたくさんの作曲家によって作曲されています。
私は、女性の立場から、智恵子の立場から「智恵子抄」を読み解き、光太郎と共に理想の芸術を求めて歩こうとした智恵子のひたむきな姿、光太郎を支えた優しさ、光太郎の才能に圧倒されて行く苦しみなど、精一杯に生きた智恵子を、共感を持って描きたいと思いました。

なるほど。

今月末には徳島公演もあるそうです。

コロナ感染には十分お気を付けつつ、ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

椛澤さん菊の花、青果物持参、置いてゆかる、 今日智恵子の命日、その供物といふ、

昭和28年(1953)10月5日の日記より 光太郎71歳

南品川ゼームス坂病院で智恵子が亡くなったのは、昭和13年(1938)10月5日。この日で満15年でした。「椛澤さん」は椛澤佳乃子。お茶の水女子大で教壇に立っていました。

テレビ放映情報です。

プレイバック日本歌手協会歌謡祭

BSテレ東 2022年7月8日(金) 17:58〜19:00

「日本歌手協会歌謡祭」名曲&懐かしの名場面を一挙放送!

「東京アンナ」大津美子
「ダイナ」ディック・ミネ
「ダイアナ」鈴木ヤスシ
「硝子のジョニー」谷龍介無題
「傷だらけのローラ」高道(狩人)
「シェリー」九重佑三子、田辺靖雄
「ジョニィへの伝言」ペドロ&カプリシャス
「メリー・ジェーン」つのだ☆ひろ
「サチコ」ニック・ニューサ
「ひとみちゃん」神戸一郎
「そんな夕子にほれました」増位山太志郎
「智恵子抄」二代目コロムビア・ローズ
「お吉物語」天津羽衣
「おーい中村君」若原一郎
「ハチのムサシは死んだのさ」セルスターズ
「姿三四郎」姿憲子
「与三さん」照菊

<司会>合田道人

過去の映像の再放映ですが、一昨年に亡くなった二代目コロムビア・ローズさんの「智恵子抄」(昭和39年=1964)がラインナップに入っています。智恵子の故郷・二本松では防災無線正午のチャイムがこの曲でしたが、現在もそうなのでしょうか。
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ローズさん、ご存命のうちはアメリカにお住まいで、時折帰国してコンサートやテレビ出演をなさっていました。そこで、かえって亡くなってからの方が、たびたびこの手の番組で過去の映像が使われるようになりました。

ところで当方、昨秋だったと思いますが、ローズさんのサイン色紙を入手しました。
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ローズさんの唄う「智恵子抄」の歌詞ではなく、光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)から。正確には「ほんとうの空」ではなく「ほんとの空」なのですが、仕方ありますまい。

価格は3,220円。この世界、性善説でいると手痛い目に遭うこともあるのですが、おそらく本物でしょう。サイン部分の筆跡が実に書き慣れた感じですし、ニセモノ特有の卑しさが感じられません。

さて、「プレイバック日本歌手協会歌謡祭」、ぜひご覧下さい。

【折々のことば・光太郎】

ブリヂストンより岩佐、青木両氏くる、映画撮影の下相談、


昭和28年(1953)5月21日の日記より 光太郎71歳

映画」はブリヂストン美術館(当時)制作の美術映画「高村光太郎」。この時制作中だった生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の制作の様子や、この年の秋、一時的に花巻郊外旧太田村に帰った時の様子などが撮影されました。
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現代でも各種企画展の折に流されていますし、花巻高村光太郎記念館さんでは特別な場合を除き、常時館内で放映しています。

注文しておいたDVDが届きました。

今年1月に公演があった、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団さんの第146回定期演奏会ライヴです。
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新実徳英氏に委嘱作曲の「愛のうた ― 光太郎・智恵子 ―男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために」、初演が含まれています。
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楽譜が1月に全音さんから出版されており、購入。メロディーなどはこんな感じかというのは何となく分かっていましたが、実際の演奏を聴いてみるとやはりいろいろ発見がありますね。普通は「百聞は一見にしかず」ですが、音楽に関しては「百見は一聞にしかず」。楽譜を見ているだけではわからないことだらけでした。

ステージに上がった合唱団員は50名ほど。オケはオケの編成としては少なめで、サブタイトルに「フルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために」とあるとおり、管はフルートとクラが1本ずつのみ。トランペットやらトロンボーンやらの金管は入っておらず、打も入っていません。合唱50人に対しては、この位の編成が適正なのでしょう。大編成でわちゃわちゃやる「第九」のような曲でもありませんし。もっとも、「第九」は合唱曲としてとらえるとかなり異端なのですが。
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全6曲中の1曲目、「山麓の二人」。通常、「智恵子抄」を組曲にする場合、最初は光太郎と智恵子が出会った頃や智恵子がまだ健康だった頃の詩(「人に」とか「あどけない話」とか)をテキストにする例が多いのですが、いきなり「わたしもうぢき駄目になる」。不安を煽るような曲想で、「この組曲全体で作られるのは、甘ったるい情調本意の世界観ではないんだぞ」と宣言しているかのようでした。
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2曲目、「千鳥と遊ぶ智恵子」。1曲目と較べると、九十九里浜の色鮮やかな初夏の風景、その一部と化した智恵子が描かれているだけあって、陽の光を感じさせるような明るい感じの部分も。それでもフルートやテノールのソロで表現される千鳥の鳴き声が、もの哀しさを湛えています。
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続く「値がたき智恵子」。もはや完全に夢幻界の住人となってしまった智恵子。ア・カペラの歌から始まり、すぐ歌なしのオケ。それが掛け合いのように繰り返され、やがて中間部では渾然一体に。終盤、またア・カペラの部分も。
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「間奏曲-悲しみの淵へ-」。歌詞はなく、歌が入るところはヴォカリーズです。言葉に出来ない光太郎の思い、というイマジネーションでしょうか。
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そして智恵子の臨終を謳った「レモン哀歌」。ドラマとしてはヤマ場の部分ですが、全体に抑制され、訥々とした光太郎のモノローグといった感がありました。ところどころ激しい部分もありましたが。高音二声が「智恵子はもとの~智恵子となり~」とやっている裏でバリトンとベースが「智恵子~智恵子、智恵子」と連呼するなど、「なるほど」と思いました。最後も「写真の前に挿した桜の花かげに/すずしく光るレモンを今日も置かう」の後にトゥッティーで「智恵子~」。同じ手法は最後の「元素智恵子」でも使われていました。
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光太郎が花巻郊外旧太田村の山小屋で蟄居生活を送っていたイメージ。諦念も感じさせつつ軽快な8分の6拍子が基本。特にこの曲ではクラが効果的に使われているように感じました。最後は長いヴォカリーズのあと、やはり原詩にはない「智恵子智恵子智恵子ー」。この程度の詩の改変はありでしょう。
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作曲の新実氏がステージに上がり、指揮の佐藤正浩氏とのトーク。
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光太郎智恵子に関する話がほぼなかったのが残念でしたが……。

DVDとブルーレイ、送料込みで5,000円。映像無しのCDは同じく3,000円です。オンラインで注文可。ぜひお買い求め下さい。

【折々のことば・光太郎】

大宮工作所より回転台、心棒届く、板も届く、 小坂さんくる、とりつけ夕方になる、

昭和28年(1953)1月24日の日記より 光太郎71歳

生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作のために移り住んだ東京中野の貸しアトリエに、彫刻用回転台の部品が届けられました。部品は前年から届いてはいましたが、この日で全て揃い、組み立てたようです。

回転台は、平成30年(2018)、
十和田湖観光交流センター「ぷらっと」さんに寄贈された、戦時中の高射砲の台座を改造した大きなもの。手配をしたのは助手を務めた小坂圭二でした。
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PR誌というか文芸同人誌というか、不思議な雑誌の『とんぼ』。当会顧問であらせられた故・北川太一先生の御著書を多数刊行されている文治堂書店さんの発行です。

第14号が過日届きました。
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作曲家・仙道作三氏による北川先生の追悼文「人間の魂を愛し続けた人 北川太一」が掲載されています。仙道氏、平成元年(1989)に、北川先生監修、山本鉱太郎氏台本の「オペラ智恵子抄」を書かれ、都内や光太郎ゆかりの宮城県女川町などで上演されました。その話を根幹に、やはり北川先生が関係なさった「オペレッタ注文の多い料理店」(平成4年=1992初演。公式パンフレットに北川先生の「オペレッタ「注文の多い料理店」に寄せて」という一文)、「オペラ五重塔」(平成7年=1995初演。幸田露伴の『五重塔』を元に、北川先生が台本ご執筆)等についても言及されています。

それから、平成29年(2017)に亡くなった、版元の文治堂書店さん創業者・渡辺文治氏の追悼文「渡辺文治さんのこと」(佐藤博久氏ご執筆)も掲載されています。

ついでに言うなら、当方の連載「連翹忌通信」。前号までは、留学中にアメリカからイギリスへ向けて乗船した船ブロンズ彫刻「手」に関するものなど、新たに発見された光太郎文筆作品等について書いてきましたが、今号からは「もの」の発見に関わる内容で書くことにしました。そこでまず、花巻高村光太郎記念館さん所蔵の、イギリスの染色作家、エセル・メレ作のホームスパン毛布について。あと2年くらいはこの手のネタで攻めようと思っております(笑)。

ご入用の方、文治堂さんのサイトまで。頒価500円だとのことです。

【折々のことば・光太郎】

ひる頃藤島さん亀井勝一郎氏同道来訪、一時NHKの車にて放送会館、30分間対談放送、一月三日午前十一時半放送の由、(録音)、


昭和27年(1952)12月25日の日記より 光太郎70歳

NHKさんのラジオで放送された、光太郎と諸人物との対談は、この年3月の真壁仁とのもの、昭和30年(1955)の草野心平とのものの録音がNHKさんに残っており、それぞれそこから文字に起こして『高村光太郎全集』に載せてあります。また、平成17年頃、盛岡放送局のアナウンサー(氏名不詳)との対談(昭和24年=1949、何らかの事情で未放送)を録音したテープも見つかり、こちらも文字に起こして北川先生と当方の共編『光太郎遺珠2006』に掲載しました。

ところがこの日の亀井との対談は失われています。亀井側の資料等で、一部分でも文字起こししたものでもあれば、と思うのですが……。

名古屋から演奏会情報です。

ランチタイム名曲コンサート vol.2313 音の情景 語りの調べ ~風を聴く~

期 日 : 2022年5月20日(金)
会 場 : 宗次ホール 名古屋市中区栄4丁目5番14号
時 間 : 11:00開場 11:30開演
料 金 : 1,000円
出 演 : 佐藤美和(ピアノ) 野田育子(語り)
プログラム :
 風にのる智恵子(高村光太郎 詩)/シューマン:飛翔
 翼(平田聡 詩)/ショパン:幻想即興曲
 他

「ことば」と「音」が出逢い、「生きたドラマ」を紡ぎ出します。風に耳を傾けながら、春から初夏へ巡る季節の一時をご堪能下さい。
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シューマンやショパン、リストなどのピアノ曲に乗せて詩の朗読、というコンセプトのようです。ピアノの佐藤美和氏のブログがこちら

語りの野田育子氏、かつてFM愛知NHKで番組アシスト、リポーター・アナウンサーを務められ、現在は名古屋の「プロデュース・アイ」という会社の代表として各種イベント司会者・講師、読み聞かせ、詩の朗読などの活動を行われているそうです。

お近くの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

六時半帝劇、藤間節子さんリサイタル、高松宮、小川未明さんきている、終幕後節子さんと母君にあふ、

昭和27年(1952)11月30日の日記より 光太郎70歳

藤間節子」は舞踊家。のち、黛節子と改名します。光太郎の承諾を得て、昭和24年(1949)と翌年には「智恵子抄」を舞踊化、やはり帝劇(帝国劇場)で公演しました。光太郎生前に行われた「智恵子抄」二次創作の唯一の例です。その際にはパンフレットに光太郎の推薦文が掲載されました。

その後、「智恵子抄」を含まないリサイタルにも光太郎は推薦文を寄せ続け、この日のリサイタルのパンフレットにも載りました。

 はからず今年は東京に暫く居ることになり、藤間節子さんのリサイタルを見ることが出来るわけで、それを今からたのしみにしてゐる。あの岩手の山の見晴らしに立つて、今頃は藤間さんが帝劇でやつてゐるのだな、と思を馳せてゐた数年前のことを、今は夢のやうにおもひ出す。今年は小川未明さんの童話を踊るといふので尚更期待を大きくしてゐる。藤間さんの芸術がだんだん幅をも加へてきてゐるに違ひないと想像できることは喜である。

この日撮影された客席の光太郎。光太郎の右隣が小川未明、さらにその右隣が高松宮夫妻のようです。
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今年3月リリースのCDです。

シンガーソングライター 加藤昌則歌曲集

2022年3月23日 Octavia Records Inc 定価3,200円+税

宮本益光(バリトン) 加藤昌則(ピアノ) 崎谷直人(ヴァイオリン)

このようなタイトルのアルバムを発表する日が来るなんて、舞台に立ち始めたころは考えもしませんでした。クラシックというジャンルで、作詞・作曲を演奏家本人が担当すること自体、かなり珍しいことだと思います。二人が出会って、もう30年近くなります。がむしゃらに突っ走った20代、少しずつ認められてきた30代、自分のことが少しだけわかってきた40代、私たちはそれぞれの領域で活動を積み重ねつつ、知らぬ間に二人の世界を拡げてきたのだと思います。これは二人の日記帳のようなもの。二人にしか描けない魂の記録です。
宮本益光

作曲家・加藤昌則と歌っている宮本益光は東京藝大の同期だ。加えて、ここで作曲家はピアニストでもあり、歌手は詩人でもある。(中略)
加藤昌則という仲介者を経て自作を声に乗せることができている宮本益光は、まことに稀有な演奏家だ。「もしも歌がなかったら ゲーテは詩なんて書かなかっただろう」という自身の言葉(「もしも歌がなかったら」)の「ゲーテ」は、「私」と置換してもいいのである。微妙な音色の変化を含ませつつ、すべての曲に真正面から取り組む「詩人の歌唱」には、ただ感嘆。見事というほか、ない。
池辺 晋一郎(ライナーノーツより)
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曲目
 魔女の住む街 (詩・宮本益光)
 祈りの街 (詩・宮本益光)
 城壁となって (詩・宮本益光)
 落葉 (詩・千家元麿)
 俺らの町の数え歌 (詩・宮本益光)
 桜の背丈を追い越して (詩・宮本益光)
 詩がある (詩・宮本益光)
 そこにある歌 (詩・宮本益光)
 彦星哀歌 (詩・宮本益光)
 ここで歌うだけ (詩・宮本益光)
 レモン哀歌 (詩・高村光太郎)
 さくら (詩・たかはしけいすけ)
 「ME」より 恋歌 (詩・たかはしけいすけ)
 「花と鳥のエスキス」より ぼくの空 あたらしい日がくるたびに(詩・たかはしけいすけ)
 「名もなき祈り」より 空に 今、歌をうたうのは (詩・宮本益光)
 もしも歌がなかったら (詩・宮本益光)
 平和へのソネット (詩・宮本益光)
 またね、またね (詩・宮本益光)
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アルバムタイトルが「シンガーソングライター」ですが、「自分で作詞作曲し、歌う」という通常の意味のそれではありません。まず作詞は全20曲中、大半が歌唱担当の宮本益光氏。氏はバリトン歌手でありながら、詩集も出版なさっているそうです。そして全20曲、作曲はピアノを担当なさっている加藤昌則氏。というわけで、いわばお二人の合作。いうなれば「シンガーソングライターズ」とでも言うべきかと存じます。

宮本氏作詞でないものは、氏の詩の師・たかはしけいすけ氏の手になるものが5曲、光太郎とも交流のあった千家元麿のテキストで1曲、そして光太郎の「レモン哀歌」。

この「レモン哀歌」がプログラムに入っていたコンサート等は、当方が把握している限り、令和元年(2019)に加耒徹氏の歌唱で「歌道Ⅱ」と題した公演が福岡と東京で行われた他、同年の「4人のバリトンコンサート ハンサムなメロディー」でも加耒氏が歌われました。また、今回のCDで歌われている宮本氏で、「午後の音楽会 第136回プレミアムコンサート 宮本益光×加藤昌則 デュオリサイタル」。こちらは今年の2月、横浜での公演でした。それから情報を把握しておらずご紹介出来ませんでしたが、先月末に愛媛県八幡浜市で開催された「宮本益光バリトンリサイタル SINGER SONGWRITER 加藤昌則歌曲集」でも演奏されています。CDの発売記念的なコンセプトでしょう。宮本氏は八幡浜ご出身だそうです。
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「レモン哀歌」、これまでも様々な作曲家の方々などが曲を付けて下さっていますが、解釈がそれぞれですね。今回のように単発の場合と、組曲や歌曲集の中の一篇という場合では扱い方が異なってきますし、独唱の場合と合唱の場合とでも違います。バックボーンがシャンソンというモンデンモモさん、歌唱なしのインストゥルメンタルでピアノの荒野愛子さんなどはさらに毛色が変わっていますし。ちなみに演歌の坂本冬美さんにも「レモン哀歌」という曲があります。ただし、こちらは光太郎詩ではなく作詞家・たかたかし氏の詞ですが。
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「レモン哀歌」だけでなく、他の詩まで範囲を広げれば、「道程」には、かの坂本龍一氏が曲を付けて下さいましたし、その他箏曲などの純邦楽、'70年代にはフォークソング調、さらには詩吟的なものや浪曲風まであります。それらを聴き較べてみるのも一興です。

さて、CD「シンガーソングライター 加藤昌則歌曲集」、ぜひお買い求め下さい。

【折々のことば・光太郎】

うどんをとる、余は全部嘔吐す、 夕食とらず、


昭和27年11月24日の日記より 光太郎70歳

生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作に当たり、以前の花巻郊外旧太田村での蟄居生活中に悩まされていた結核性の肋間神経痛はかなりおさまったものの、それでも万全の体調とは言えない日々でした。光太郎の命ものこりあと3年半ほどです。

楽譜の新刊です。

朝岡真木子歌曲集2

2022年4月15日 朝岡真木子作曲 全音楽譜出版社 定価2,800円+税
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朝岡真木子の珠玉の歌曲作品集。


収録曲
 祈りのように  作詞 : 貞松瑩子
 口笛  作詞 : 西岡光秋
 君死にたもうことなかれ  作詞 : 与謝野 晶子
 さくらの はなびら  作詞 : まど・みちお
 風のこころ  作詞 : 大竹典子
 さんまのうた  作詞 : 大竹典子
 そのとき 十八の春  作詞 : 岡崎カズヱ
 今をしむ  作詞 : 岡崎 カズヱ
 梅干し  作詞 : 岡崎 カズヱ
 メヌエツト  作詞 : 立原道造
 灯台への道  作詞 : 柏木隆雄
 おにぎりのうた  作詞 : 柏木隆雄
 黒豆のなっとう  作詞 : 中野惠子
 ながれ星  作詞 : 星乃 ミミナ
 水たまり  作詞 : 星乃 ミミナ
 吹抜保  作詞 : 茨木 のり子
 春のとおりゃんせ  作詞 : 宮中雲子
 対処  作詞 : 宮田滋子
 まど・みちおの詩による組曲「りんごを ひとつ」  作詞 : まど・みちお
  あめ/ことり/貝のふえ/ちいさな ゆき/はっぱと りんかく/一ばん星/リンゴ
 組曲「智惠子抄」  作詞 : 高村 光太郎
  人に/あどけない話/千鳥と遊ぶ智惠子/値ひがたき智惠子/レモン哀歌

朝岡真木子さんという方の作曲された、独唱歌曲の作品集です。大トリの位置に「組曲「智恵子抄」」全5曲が収録されています。

当方が把握している限り、昨年今年と、この中から抜粋でプログラムに入った演奏会が開催されましたし、令和元年(2019)には全5曲が演奏された演奏会「伊藤晶子ソプラノリサイタル ~演奏生活70周年を記念して~」もありました。ただ、この時のプログラムと今回出版された楽譜集とで、構成が違っています。演奏会では今回の楽譜集に無い「風にのる智恵子」が入っていて、逆に楽譜集に掲載されている「値ひがたき智恵子」がありませんでした。「風にのる智恵子」は、結局、ボツにしてお蔵入り、ということでしょうか。楽譜集に載っていた初演記録では、「人に」「あどけない話」「千鳥と遊ぶ智恵子」「レモン哀歌」の全4曲という扱いで、平成13年(2001)に初演されていました。

追記 令和元年(2019)の演奏会で「風にのる智恵子」がプログラムに入っていたのはフライヤーの印刷ミスだそうで、やはり「値ひがたき智恵子」だったそうです。

楽譜集が手元に届きまして、早速、キーボードでメロディーを追ってみました。割と素直に作曲されていて、意外といえば意外でした。独唱歌曲だから、というためかもしれません。合唱だと、各声部の掛け合いやら和音やらで、これでもか、これでもかと、非常に複雑な作りになっている曲が多いのですが、独唱は伴奏としてのピアノがあるものの、基本的にメロディーライン一本での勝負、すると、衒う必要もないのかな、と思いました。

それでも単純明快というわけでもなく、転調や拍子の変更などもあり(多用、というほどではないのでそれが煩わしくありません)、さらに組曲全体での構成の妙に感心しました。

楽譜集巻頭の朝岡さんによる「はじめに」から。

 歌曲を作曲します時は、まず最初に詩を何度も朗読して、そのイメージや色合いを味わい、大切な言葉、空気感、言葉のリズム感などを受け取っています。

当然といえば当然ですが、これが出来ていない「何でこの詩にこういうメロディーなんだ?」という作品も少なからずあるように思えてなりません。それがその作曲者の解釈なんだといわれればそれまでですが……。その点、今回の「組曲「智恵子抄」」、いい感じです。

「いやなんです/あなたのいつてしまふのが――」と、智恵子への抑えられない想いを謳った「人に」。しかし、その想いも高らかな愛のほめ歌というわけではなく、「おずおずと」という側面があり、そうした部分がよく表されていると思います。

「あどけない話」。智恵子の心を病む前段階の、「あどけない」といいつつ「あどけなくない」内容。その不安感、しかしまだここで踏みとどまれれば……という感じ、そういったものが上手く表現されているように感じます。思い切ってピアノ伴奏を単純化し(途中まで右手一本です)、この後の曲想との違いを明確にしてもいるようです。

「千鳥と遊ぶ智恵子」。アレグロ→アダージョ→モデラート、最後はレントまでテンポを落とし、不安を煽るような半音進行が見事です。終末部分はメロディー無しの朗読という指定です。

部分的な変更を除いて8分の5拍子、アレグレットの「値ひがたき智恵子」。毀れてしまった智恵子、それをなすすべもなく見つめる光太郎の姿が浮かびます。

そして終曲「レモン哀歌」。これまでと一転して静謐な世界。うまいまとめ方です。

楽譜集が出ると、CDも欲しくなってしまいます。どこかのレーベルさんでおねがいしたいところですね。また、楽譜集が出たことにより、演奏会等で取り上げられる機会が増えることも期待いたします。

【折々のことば・光太郎】

不在中朝日社会部の人来て飛行機にのれといひをりし由、


昭和27年(1952)11月18日の日記より 光太郎70歳

戦前は、新聞社がまだ珍しかった飛行機に文士を乗せてレポート等を書いてもらうという企画がよくありました。昭和4年(1929)には斎藤茂吉ら4人の歌人がやはり朝日さんの飛行機に搭乗し、機上で短歌を詠んだり、昭和10年(1935)には読売さんが「流行作家リレー飛行」なる企画を立ち上げ、林芙美子が「飛行機の旅」というエッセイを書いたりしました。

戦後もまだこういう企画があったのですね。残念なことに光太郎は断りましたが。

都内から演奏会情報です。

11回 21世紀合唱音楽祭

期 日 : 2022年4月19日(火)
会 場 : 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール 東京都渋谷区桜丘町23-21
時 間 : 開演18:30(開場18:00)
料 金 : 4,000円(全席自由・税込)

出演/曲目
 指揮 鈴木与志一  合唱 クロスロード・アカデミー・コア
 ピアノ 服部真由子

 浅井和夫 朗読と女声合唱のための無言歌「杜の声」(詩/浅井和夫)
 泉田輝子 カンタータ “アヴェ・マリア” 
  ~3人の独唱者(ソプラノ,メゾ ソプラノ,アルト),
  女声合唱とピアノの為の~《初演》
 田丸彩和子 混声合唱のための 「ヴォルガの少女」 (詩/木下宣子)《初演》
 久行敏彦 夢見る人~混声合唱とピアノのための交聲詩~《初演》
 安藤由布樹
  女声合唱組曲 青鞜の女たち(ショパンのエチュードに基づくパラフレーズ) 《初演》
   元始女性は太陽であった(詩/平塚らいてう)
   山の動く日来たる(詩/与謝野晶子)
   樹下の二人(高村智恵子のつぶやき)
   君死にたまふことなかれ(詩/与謝野晶子、原曲/吉田隆子、編曲/安藤由布樹)
   ふけよ荒れよ嵐よ風よ(詩/伊藤野枝)
  カンタータ この灯を永遠に 2021年改訂版 (詩、脚本/安藤由布樹) 《改訂初演》
   ソプラノ独唱:新南田ゆり バリトン独唱:春日保人
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安藤由布樹氏による「女声合唱組曲 青鞜の女たち(ショパンのエチュードに基づくパラフレーズ) 」。平塚らいてう、与謝野晶子、伊藤野枝、そして智恵子……。「濃い」ですね(笑)。

合唱としては初演だそうですが、調べてみましたところ、Youtubeに女性二重唱での演奏がありました。


こちらは「元始女性は太陽であった(詩/平塚らいてう)」と「山の動く日来たる(詩/与謝野晶子)」。昨年、同じ会場で開催された「第27回日本現代音楽展」の録音のようです。

これはぜひ、楽譜も出版していただきたいものだと思いました。

ご興味のある方、コロナ感染には十分お気を付けつつ、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

ひる頃花巻新報の平野さん車にて迎にくる、 藤島さん東京よりくる、 精養軒にて午后三時頃より送別会30人ほど、後車にて大沢温泉、客多し、


昭和27年(1952)10月10日の日記より 光太郎70歳

生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作のための約7年半ぶりの帰京前日です。

都内から演奏会情報です。

朝岡真木子 歌曲コンサート 第5回

期 日 : 2022年3月13日(日)
会 場 : 王子ホール 東京都中央区銀座4-7-5
時 間 : 14:00開演
料 金 : 4,000円(全席自由)

昨年の延期公演です。出演者、曲目が少し変更になりました。

出演者 : 内田もと海 黒川京子 品田昭子 福成紀美子(以上S)
      清水邦子Ms 吉田伸昭T 馬場眞二Br 朝岡真木子(作曲・p)
曲 目 : 
 組曲〈智恵子抄〉より「人に」 詩:高村光太郎
 組曲〈あなたへ〉より「あなたへ」「夢とおく」 詩・星乃ミミナ
 組曲〈きらり きーん〉より「さくら」他 詩・矢崎節夫
 「ママへ」「今をしむ」「しだれ桜」 詩・岡崎カズヱ
 「菜の花時雨」 詩・木下宣子
 「メヌエット」 詩・立原道造
 「灯台への道」「春満開」 詩・柏木隆雄 (新作初演)
 「確かな一歩」「やさしい歌」 詩・柏木隆雄
 まど・みちおの詩による組曲「リンゴをひとつ」全7曲 (新作初演)

お申し込み : エンゼル音楽事務所(angelongaku@gmail.com, 090-1703-5387)
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曲目はすべて、朝岡真木子さんとおしゃる方の作曲だそうです。個人的には存じ上げない方なのですが、「組曲 智恵子抄」を作曲され、令和元年(2019)には全曲の改訂初演が行われていますし、昨年も抜粋で「レモン哀歌」が演奏されています。

今回は「人に」が、東京二期会さん所属、メゾソプラノの清水邦子さんという方の歌唱でプログラムに入っています。清水さん、9月には「組曲 智恵子抄」の全曲を歌われるそうです。

コロナ感染には十分お気をつけつつ、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

十時公会堂にて国分知事等とあひ独立記念式、後講演一時間ばかり。後カホクといふ料亭にて御馳走になる、国分知事、阿部副知事等、


昭和27年(1952)5月3日の日記より 光太郎70歳

「独立」は、第二次大戦正式終結のためのサンフランシスコ講和条約関係。前年9月8日が調印式で、この年4月28日に発効しています。その結果、GHQによる占領体制が解除、日本の主権が回復しました。

「国分知事」は国分謙吉。初の民選知事でした。国分と光太郎は、昭和25年(1950)に新聞社の企画で対談を行っています。「公会堂」は盛岡の県公会堂。前日から盛岡入りし、定宿の菊屋旅館(現・北ホテル)に宿泊していました。

この際の講演の筆録等も未発見です。

神奈川県から演奏会情報です。

午後の音楽会 第136回プレミアムコンサート 宮本益光×加藤昌則 デュオリサイタル

期 日 : 2022年2月24日(木)
会 場 : 横浜市栄区民文化センター リリスホール 神奈川県横浜市栄区小菅ケ谷1-2-1
時 間 : 13:15開場 14:00開演
料 金 : 全席指定 2,500円
出 演 : 宮本益光(Bar) 
加藤昌則(Pf)
曲 目 : 
 加藤昌則/宮本益光 詩:もしも歌がなかったら 
詩がある 桜の背丈を追い越して
 加藤昌則/高村光太郎 詩:レモン哀歌
 加藤昌則/たかはしけいすけ 詩:ぼくの空 他

月に1度、特別な時間をお届けする「午後の音楽会」シリーズ。平日の午後に、いつもより少しだけおしゃれをして、コンサートに出かけてみませんか?

オペラ界のスター宮本益光とクラシック講座でお馴染み加藤昌則が「午後の音楽会」シリーズに登場
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加藤昌則氏作曲の「レモン哀歌」がプログラムに入っています。ピアノは加藤氏ご自身。同曲、令和元年(2019)に目黒で開催された「4人のバリトンコンサート ハンサムなメロディー」、福岡と豊洲で公演のあった「加耒徹バリトンリサイタル2019 〜歌道Ⅱ」で、それぞれ演奏されました。加藤氏曰く「その死への美しすぎる情感を、敢えて後年に浄化したものとして捉えて書いた」。

コロナ感染には十分お気をつけつつ、ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

午前宮城県白石町より紙布製造の人佐藤忠太郎といふ老人来訪、片倉小十郎時代よりの紙布の話をきく、見本をもらふ、


昭和27年(1952)3月22日の日記より 光太郎70歳

佐藤忠太郎は明治34年(1901)、白石の生まれ。すると、この時点で50歳ちょっとのはずで、「老人」というには当たらないような気がしますが、紙布(しふ)織りに取り組んでいた人物、ということで間違いないでしょう。その工房は現在も続いています。

J-pop系の新盤LPレコードです。

Love Logic<Clear Pink Vinyl/限定盤>

発売日 2022年2月16日005
アーティスト Minuano
レーベル Be Thankful Records
収録曲
 レモン哀歌
 春宵の哀しみ
 果てるともなく続く宙
 それいゆ
 午后の翼
 恋人たちの雨
 裸足のシルエット
 雨色日記
 恋、咲き初めり
 陽だまりの午後に


昨今、アナログレコードの人気が再燃しているとのこと。音楽はデータ配信で購入するのが当たり前、CDの市場もどんどん先細り、という時代なのに、です。価値観が多様化していることの表れの一つなのでしょうが、「データ配信では得られない、手で触れられる“新しい”価値」「デジタルにはない柔らかな音質」「インテリアとしても美しいジャケット」といった点で、若い世代にも浸透してきているそうです。
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最近は、あえてアナログレコードでしか新譜をリリースしないアーティストまでいるそうですし、過去の作品のリマスターなどもCDではなくアナログレコードで、というケースも目立ちます。

そうした流れの中での発売なのでしょう。「Minuano」というユニットの「Love Logic」というアルバム。平成21年(2009)にCDが発売されていましたが、限定版としてLPレコードが海外で生産され、逆輸入の形で販売されるとのこと。YouTubeにもアップされているのに販売するあたり、コアなファンの存在を見越してのことなのでしょうか。

「Minuano」に関しては、令和元年(2019)の『CDジャーナル』に以下の紹介。

パーカッショニストの尾方伯郎が主宰するプロジェクト。Lampの榊原香保里をヴォーカルにフィーチャーし、MPB、ジャズ、シティポップ、ソフトロック、クロスオーヴァーなどを現代的に再解釈したポップスを追求。2009年に1stアルバム『Love Logic』、翌2010年に2ndアルバム『ある春の恋人』を発表。2012年のデジタルEP『夏の幻影 EP』を経て、2019年に3rdアルバム『蝶になる夢を見た』をリリース。

ここに記述はありませんが、ボサノバ的なテイストも盛り込んでいるようです。1曲目、「レモン哀歌」。イントロのフルートがそんな感じです。



歌詞は光太郎詩「レモン哀歌」(昭和14年=1939)そのままではなく、それからのインスパイア。

 トパァズ色の香気 哀しくとろけて007
 囓りかけた愛を追いやる夕闇
 なまぬるい風が 辺りに一面
 窓硝子越しの季節がふるえた

 夜に揶揄われて 二人は有耶無耶な儘
 時間だけが過ぎてゆく 蝕むように

 月あかり照らす 老頭児たちの群れ
 手招きするように 二人を誘う

 夜に揶揄われて 二人は有耶無耶な儘
 時間だけが過ぎてゆく 蝕むように

 空想に耽る 遠い日々を想って
 嗚呼、溜め息一つ 静かな遊泳

 月あかり照らす 老頭児たちの群れ
 懐かしい音楽に 縺れて踊る


「智恵子抄」インスパイアの楽曲、米津玄師さんの「Lemon」などもそうだそうですが、過去にもさまざまなアーティストの方々が取り組んで下さっています。こうして復刻されることも喜ばしいことですし、さらにいろいろと新作が出ることも期待します。

【折々のことば・光太郎】

終日雪ふつてゐる、風なし、夜より朝にかけますます厳寒、0下15度、 ひる頃更科源蔵氏来訪、一時頃辞去。ヰスキー、チーズ等もらふ。


昭和27年(1952)2月5日の日記より 光太郎70歳

蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋、断熱材などの防寒設備などまったくないあばら屋でした。昭和20年(1945)から数えて7度目の冬とはいえ、老躯にはこたえたことでしょう。

更科源蔵は、北海道弟子屈在住だった詩人。同じ北国の更科も、光太郎の暮らしには驚いたのではないでしょうか。

放映順で3件ご紹介します。

まずは光太郎の父・光雲の代表作「老猿」(明治26年=1893)。

びじゅチューン!「老猿は主役じゃなくても」

NHK Eテレ 2022年1月28日(金) 15:55〜16:00 1月31日(月) 05:50〜05:55

発想の源は、高村光雲「老猿」(東京国立博物館)。この彫刻は、そのまわりだけ空気がちがうような、圧倒的な「ドラマ性」を感じさせます。もし脇役としてキャスティングされたとしても、その存在感の強さで主役を食ってしまうでしょう。「白雪姫」の小人C役、「桃太郎」のサル役…。たまたま脇役として起用されて現場のパワーバランスをおかしくさせてしまうストーリー。「老猿」と周囲とのギャップを楽しんでください。

【出演】井上涼,【声】ジョリー・ラジャーズ

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本放送が1月25日(火)にあり、拝見しまして、笑いました。

なぜか「老猿」、芸能界にいて、しかしその圧倒的な存在感ゆえ……。
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あらゆる場面で主役を喰ってしまうという設定。

白雪姫の小人Cの次は、「ドラマスペシャル桃太郎」(笑)。
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さらに羽毛布団のCMでも。
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このCMを見たネット民がざわつき、バズり……(笑)
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そこで所属事務所も考えて……
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アニメーションと歌の作者、井上涼さんによる解説は、的確です。
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息子の光太郎にも触れて下さいました。
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実はアニメーションでも光太郎が登場。
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ありがとうございます。

続いて歌謡番組。昨年からくり返し再放送が為されています。

プレイバック日本歌手協会歌謡祭

BSテレ東 2022年1月28日(金) 17:58〜19:00

「日本歌手協会歌謡祭」名曲&懐かしの名場面を一挙放送!

楽曲
「智恵子抄」二代目コロムビア・ローズ
「東京のバスガール」初代コロムビア・ローズ&二代目コロムビア・ローズ
「ガード下の靴みがき」大石まどか
「アルペン・ミルクマン(山の人気者)」関大八
「巴里の空の下 セーヌは流れる」かいやま由起
「枯葉」美川憲一
「個人授業」晃(フィンガー5)
「可愛い真珠」西崎緑
「黒ネコのタンゴ」皆川おさむ
「おんなの出船」松原のぶえ
「男の港」鳥羽一郎
「女の港」大月みやこ
「舟唄」八代亜紀

<司会>合田道人 伍代夏子
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もう1件。

にほんごであそぼ「日本全国いいとこコンサート in 福井」(3)

NHK Eテレ 2022年2月2日(水) 08:2508:35  再放送 17:00~17:10

日本語の豊かな表現に慣れ親しむ番組。今週は、福井県からコンサートをお届け!今回は…「ベベンの冬が来た」高村光太郎「冬が来た」より 作曲:うなりやベベン、「スキー」作詞:時雨音羽 作曲:平井康三郎 編曲:ASU、「北風小僧の寒太郎」作詞:井出隆夫 作曲:福田和禾子 編曲:ASU。ほかに「切れ者寿限無」「超切れ者寿限無」。福井県坂井市 文化の森・YURI文化情報交流館ハートピアホールで公開収録
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「うなりやベベン」こと、浪曲師の故・国本武春さんによる「ベベンの冬が来た」、子供たちの歌とダンスで。

それぞれぜひご覧下さい。

【折々のことば・光太郎】

夜早くねる、 やはり自分の小屋がよし。

昭和26年(1951)12月9日の日記より 光太郎69歳

前々日は花巻台温泉松田屋旅館、前日は盛岡菊屋旅館(現・北ホテル)に宿泊。その間にラジオ出演などを済ませています。移動はほぼタクシーでした(この頃の光太郎は各種印税などで使い切れないほど現金があったようです)が、当時の道路事情では、長時間の乗車は疲れたのではないでしょうか。


合唱曲楽譜の新刊です。

愛のうた―光太郎・智恵子―男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために[ピアノ・リダクション(四手連弾)版]

2022年1月15日 高村光太郎作詞 新実徳英作曲001
 全音楽譜出版社 定価2,700円+税


高村 光太郎の詩集「智恵子抄」より5篇を選び作曲。
委嘱:慶應義塾ワグネル・ソサィエティー 
初演:2022年1月10日 東京藝術劇場 
指揮:佐藤正浩 管弦楽:ザ・オペラ・バンド 
合唱:慶應義塾ワグネル・ソサィエティー

I. 山麓の二人          7’10”
II. 千鳥と遊ぶ智恵子      7’20”
III. 値(あ)ひがたき智恵子  2’30”
間奏曲 ー哀しみの淵へー   5’30”
IV. レモン哀歌        7’40”
V. 元素智恵子         4’50” 

トータル 35’00”

商品説明にあるとおり、慶應義塾ワグネル・ソサィエティーさんの委嘱作品で、今月10日の同団第146回定期演奏会において初演が為されました。

その際はオケ伴でしたが、発売されている楽譜の伴奏譜(最近は「伴奏」という言い方もあまりしなくなってきましたが)はピアノ2台の設定です。練習の際、あるいは本番でも、オーケストラを雇う予算など無い、という場合にはこの構成で十分可能です。ちなみにオケ譜は全音さんでレンタルして下さるそうです。

合唱でピアノ2台という楽譜、おそらく初めて目にしましたが、1段(ホモホニックな部分)ないしは2段(ポリフェニー的な部分)で4パートが押し込んであるので、歌う方としてはちょっと見にくい感じです。その分、ユニゾンの部分も結構あったりしますが。
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といって、T1、T2,バリトン、ベースで4段にすると(歌う方としてはその方がありがたいのですが)、ページ数が倍増以上となり、とんでもないことになるでしょう。現状でも100ページ超と、この手の楽譜としては厚めです。

もっとも、1段に押し込んである方が、自分のパートと他パートとの関係性がよりわかりやすい、という声もありましょうが。

ところで、どんな感じかな、と、各曲の主旋律的なパートやヤマ場と思われる箇所では和音をキーボードで弾いてみました(初演のDVDを注文してあるのですが、まだ届きませんで)。智恵子の心の病を強調した部分では不安を煽るような半音進行など、いかにも、という感じでしたし、そうかと思うと素直なメロディーラインの部分もあったり、不協和音の連続からきれいに解決していく過程に妙味があったりと、唸らされました。

リズム的にも複雑(8分の6拍子で4連符と2連符に分けてあるなどの箇所が平気で出てきます(笑))、全体に音域が高め(T1にH音!)だったりもし、ある程度ハイレベルの合唱団でないと歌いこなせないような気がしますが、抜粋してコンクールの自由曲などにはいいのかも、という感じです。ただ、7分程の演奏時間の曲はギリギリかな、と思いますし、四手連弾を伴うため、少人数の団では無理でしょう。

巻頭に作曲者、新実氏の言葉。

 男声合唱ファンの皆さんが「一生に一度は歌いたい」と思ってくださるような曲をものしたい、そんな不遜な思いを心に暖めながらこの曲を書き続けたのでした。
 男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラ、という夢のような編成、そこにどうのような世界が誕生するのか。書き手にとっては想像の翼がどこまでも広がっていくチャレンジングで楽しい時間を過ごしたのです。
 指揮者の佐藤正浩さんからいくつかのテキストを提案いただいたのですが、最終的に高村光太郎の詩集『智恵子抄』にしよう、と考えが一致し、2020年後半にその詩集から5篇を選び、構想を練りました。
 2021年2月くらいから作曲に取りかかり足かけ半年、7月末にやっと全体が出来上がりました。全体とはすなわちオーケストラ版、それとピアノ連弾伴奏版の二つのヴァージョンで、実はこの2種のヴァージョンをほぼ同時に作り上げるのが、なかなかに手のかかる仕事でもあったのです。連弾版を作っておけば、練習の時に便利ですし、オーケストラ版ではできない時に使うこともできる、そう考えたのです。
 時間がかかったもう一つの理由は、光太郎の智恵子への想いをできるだけ深く読み取り音化したかった、言葉の背後にあるものを感じ取り自分のものにしたかった、そんなこともあったのでした。
 人間は誰しも青春を生きている、僕はそう思う。ましてや青春そのものを生きている大学生や若者たちは『智恵子抄』から大きなものを受け取ることになるだろうし、そうあって欲しい。
 この作品は決して易しくはない。が、歌うことを通じ、聴くことを通じ、「青春」にあるすべての方々に届くものでありますよう、願って止まない。
 最後にこの貴重な機会を下さった佐藤正浩さんはじめ、OBや大学の関係各位の皆さま方、そして初演に取り組んでくださる大学生の皆さんにこの場をお借りして心よりの謝意を表します。


青春そのものを生きている大学生や若者たちは『智恵子抄』から大きなものを受け取ることになるだろうし、そうあって欲しい。」まさにその通りですね。そういう考えからの二次創作は大歓迎です。音楽に限らず、演劇、文芸作品、造形作品、映像作品などなどでも。ただし、健全なリスペクトとある程度妥当な解釈に基づいてもらわないと困りますが……。

さて、興味のある方、ぜひお買い求め下さい。

【折々のことば・光太郎】

午前東京より横田正治、佐藤文治といふ二人の青年学徒来訪、 そのうち草野心平氏来訪、昨夜関登久也氏宅泊りの由、いろいろのもらひもの、ヰロリで暫時談話、 後洋服をあらためて一緒に出かけ、花巻伊藤屋にて四人でビール等、草野氏と共にタキシで台温泉松田家にゆき一泊、ビール等〈(あんま)〉
昭和26年(1951)12月7日の日記より 光太郎69歳

横田正治」は、正しくは「横田正知」。のち、宮沢賢治や若山牧水らについての書籍を執筆しています。「伊藤屋」は、建物は建て替わっていますがJR東北本線花巻駅前に健在です。

台温泉松田家」は「松田屋」の誤り。松田屋旅館さんは当時の建物のまま健在です。

山形県から演奏会情報です。

合唱団じゃがいも第48回定期演奏会 林光さん没後10年を偲んで

期 日 : 2022年1月15日(土)
会 場 : 山形市民会館 大ホール 山形市香澄町2-9-45
時 間 : 14:30 開演 (14:00 開場) 
料 金 : 一般 1,500円/学生 800円/高校生以下 無料

林光さん 没後10年を偲んで
芸術監督 林 光 さんと一緒に演奏した初演作品などを中心に演奏します。
●令和三年度県民芸術祭特別参加 ●山形市芸術祭参加

作曲:林光 指揮:鈴木義孝
ピアノ:郷津由紀子 クラリネット:郷津 隆幸 ヴァイオリン:茂木 智子

宮沢賢治詩華集
 序詞 海だべがど 「無声慟哭」から ポラーノの広場のうた ほか
谷川俊太郎詩華集
 空に小鳥がいなくなった日 三つのイメージ 死んだ男の残したものは
 歩くうた ほか
佐藤信詩華集
 三十五億年のサーカス ほんとうの空へ うた ねがい ほか
そのほか
 ソング・劇中歌など
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プログラムに入っている「ほんとうの空へ」は、平成7年(1955)に福島県で開催された、第50回国民体育大会(キャッチフレーズ「友よ ほんとうの空に とべ!」)のために作曲された「ふくしま国体讃歌」です。開会式で、福島県内の高校生による合唱、福島県警察音楽隊によって演奏されました。

林氏が没後10年ということもあり、また演奏される機会が増えてきたようで、昨年は独唱歌曲のコンサートで取り上げられています。

光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)由来の「ほんとの空」、あるいは「う」を補っての「ほんとうの空」(できれば光太郎が書いた通りの「ほんとの空」で統一して欲しいのですが……)という語、特に東日本大震災による福島第一原発のメルトダウン以後、福島県を語る枕詞的によく使われるようになりました。しかし、林氏の「ほんとうの空へ」もそうですが、その使用例は意外と古く、昭和54年(1979)には、福島県と福島県観光連盟が「観光ふくしま」キャンペーンのキャッチフレーズに使ったあたりからではないかと思われます。

昨年12月22日(水)の『福島民報』さん。

「福島県 今日は何の日」1979(昭和54)年12月22日 「〝ほんとの空〟があるふくしま」 決定

 県と県観光連盟が「観光ふくしま」のキャッチフレーズを発表した。全国から2920点の応募があり、高村光太郎の「智恵子抄」から引用した〝ほんとの空〟を使い、澄んだ青空を持つ本県のイメージを表現した。
 当選作に応募したのは東京都の主婦。この他、「やまといで湯と歴史が招く」「もうひとつのふる里」が優秀賞だった。

昭和54年の紙面の画像も載っていました。
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「ほんとの空」、末永く愛されて欲しいものです。

【折々のことば・光太郎】

十一月三日頃が紅葉の頂上と見ゆ、美しさ限りなし。ウルシ、ハゼは既に散れど 楢、ツツジ等紅、栗黄色となる、一体に金茶いろ。


昭和26年(1951)11月3日の日記より 光太郎69歳

「ほんとの空」の下、安達太良山の紅葉も見事ですが、光太郎が蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋周辺も、秋本番には美しい紅葉に覆われます。

都内からコンサート情報です。

慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団 第146回定期演奏会

期 日 : 2022年1月10日(月・祝)
会 場 : 東京芸術劇場 東京都豊島区西池袋1-8-1
時 間 : 17:00開場 18:00開演
料 金 : S席 3,000円 A席 2,000円 B席 1,000円(全席指定)
オンライン配信 : 1月 10日 (月) 18:00~1月13日(木)23:59 1,500円

曲 目 :
 男声合唱組曲『クレーの絵本 第2集』
  作詩 谷川俊太郎  作曲 三善晃  指揮 浜田広志

 『Cole Porter Song Album』
  作詞 Cole Porter  作曲 Cole Porter  編曲 前田勝則  指揮 佐藤正浩
  ピアノ 前田勝則 ソプラノ 藤谷佳奈枝

 『Paul Hindemith – A Composer’s World in His Works for Male Chorus –』
  作詩 Bert Brecht 他  作曲 Paul Hindemith  指揮 田中裕大(学生)

 『愛のうた ― 光太郎・智恵子 ―男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラの
  ために』<委嘱初演>
  作詩 高村光太郎  作曲 新実徳英  指揮 佐藤正浩  管弦楽 ザ・オペラ・バンド
  1.山麓の二人
  2.千鳥と遊ぶ智恵子
  3.値ひがたき智恵子
  間奏曲―哀しみの淵へ
  4.レモン哀歌
  5.元素智恵子
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メインの第4ステージが、委托初演『愛のうた ― 光太郎・智恵子 ―男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために』。オケ伴か、と驚きました。

作曲は新実徳英氏。当方、最近やめてしまいましたが学生時代から本格的に合唱をやっており、学生時代に、故・川崎洋氏の詩に曲を付けた氏の合唱組曲を歌いました。その印象から、新実さんが智恵子抄か、という感じでいます。

楽譜が全音さんから発売予定です。104ページと、かなり分厚いものですね。伴奏は四手連弾のピアノ・リダクションだそうです。Amazonさんでも扱っており、早速予約しました。

東京芸術劇場さんのチケットは完売のようですが、オンライン配信があります。また、のちにCD、DVD、BDも販売とのこと。ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

よみうりの記者くる、東京本社より余が重態とのデマあるにつき訪問せよとの電話ありし由。写真とつてかへる、


昭和26年(1951)10月17日の日記より 光太郎69歳

どこからそういうデマが発生したのでしょうか(笑)。

音楽系の公演情報を2件。

まずは名古屋から、独唱歌曲系です。

日本歌曲コンサート~朝岡真木子の歌曲を中心として~

期 日 : 2021年12月19日(日)
会 場 : 電気文化会館 ザ・コンサートホール 愛知県名古屋市中区栄2丁目2-5
時 間 : 13:15開場 14:00開演
料 金 : 全自由席 3,800円 ※当日券の販売はございません。
      チケットをお求めの上ご来場いただきますようお願いいたします。

監 修 : 関定子
出 演 : 石川能理子、加川文子、鎌田哲、久保田道子、鈴木寿恵、鈴木啓之、冨田美穂、
      夏目久子、野瀬洋子、藤田桂子、水谷友香、森口紀代美、若狭真美
ピアノ : 山下勝

曲 目 : 
 朝岡真木子 : 私に歌があればこそ/なぎさ/”智恵子抄”より レモン哀歌
         ”あなたへ”より 生命の彩り
 橋本國彦 : 斑猫


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作曲家・朝岡真木子さんによる「レモン哀歌」がプログラムに入っています。

一昨年、やはり名古屋の同じ会場で開催された「伊藤晶子ソプラノリサイタル ~演奏生活70周年を記念して~」では、この曲を含む「智恵子抄」五曲が演奏されました。

もう1件、東京都八王子市から。こちらはどちらかというと舞踊系のようです。

こうもりクラブプロデュース 星降る夜のクリスマスオイリュトミー

期 日 : 2021年12月23日(木)
会 場 : 八王子市芸術文化会館大ホール いちょうホール 東京都八王子市本町24-1      
時 間 : 18時半開演(開場は開演の30分前 / 受付は45分前開始)
料 金 : 全席自由  前売り 3,000円 当日 3,500円

”クリスマスとは、ちょっとした余分のことを誰かのためにしてあげること。”  
–  チャールズ・シュルツ

歩んできた道を、そっと振り返る季節。あなたには想いを伝えたい人がいますか。クリスマスの夜に響く美しい音楽とよろこびの言葉。さあ、長いトンネルをくぐり抜けて、クリスマスを祝おう!

【構成 演出】野口泉
【音楽群舞オイリュトミーフォルム・振付】定方まこと
【出演】
 三上周子(こうもりクラブ) 清水矢須江(こうもりクラブ) 野口泉(こうもりクラブ)
 角田萌果(劇団青年座) 清水隆陽路 尾崎梓(Lands and Skies) 
 尾崎行輝(Lands and Skies) 定方まこと 
【ピアノ演奏】  島岡多恵子 橋本祐子

【演目】
 J.S.バッハ『楽しき狩りこそ我が喜び』より第9曲「羊は憩いて草を食み」(bwv208)
 ルドルフ・シュタイナー『魂のこよみ』より第38週 「聖夜の情景」
 ショパン ピアノソナタ3番第3楽章
 ブラームス ピアノソナタ3番第3楽章
 ショパン ノクターン8番 Op.27-2 他
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オイリュトミー」は、オーストリアの教育家、ルドルフ・シュタイナーによって始められた、「運動を主体とする芸術」。

出演される角田萌果さんという方のTwitter投稿に、「高村光太郎・相田みつを・茨木のり子さんらの詩を組み合わせた、若手オイリュトミスト:清水隆陽路さんとのコンビ作品もあります。」との記述がありました。
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それぞれご興味のある方、足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

ひる頃高村晴雲夫妻来訪、北海道よりの帰途の由。夕方まで談話、ビール2本、のり、牛かん2もらふ、一緒にビール。短冊5枚かく、観音木彫をもらふ。

昭和26年(1951)8月12日の日記より 光太郎69歳

高村晴雲」は、光太郎の父・光雲の師匠・髙村東雲の孫で、のちに三代髙村東雲を名乗ります。しばらく北海道にいたようですが、この年帰京し、北区十条に居を構えました。令孫・三代晴雲氏は鎌倉ご在住で、今もご活躍中です。

この折に光太郎が貰ったという観音像、花卷高村光太郎記念館さんに残されています。
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