カテゴリ:東北以外 > 佐賀県

地方紙のコラム、記事から2件ご紹介します。

まずは『佐賀新聞』さんの一面コラム。 

有明抄 復興災害

2016年01月18日
 <孤独の痛さに堪へ切った人間同志の/黙つてさし出す丈夫な手と手のつながりだ>。詩人高村光太郎の「孤独が何で珍しい」は、孤独への肯定感がにじむ。<孤独の鉄(かな)しきに堪へきれない泣虫同志の/がやがや集まる烏合(うごう)の勢に縁はない>。つらさを乗り越えた者への連帯感が支えなのだろう◆思いをはせる縁(よすが)があればこそ生きる力もわく。何のつながりもなければ力尽きる。「社会的孤立の果ての死」をいう孤独死。言葉から伝わるのは過酷な現実の響きだけだ◆21年前の昨日、6434人が犠牲となった阪神大震災が起きた。この数字に孤独死は含まない。20年間、仮設住宅や復興公営住宅で約千人が人知れず息を引き取った。東京などでも孤独死はある。ただ1万世帯当たりの発生率は東京23区の約2倍という(塩崎賢明『復興<災害>』)◆16年前、神戸の復興住宅を訪ねた。新築団地の部屋はバリアフリーで、緊急時通報装置もあった。ただ戸外や隣室の音は聞こえない。「隣近所は知らない人ばかり。気を遣う」。お年寄りのつぶやきが耳に残った◆復興事業による災厄を「復興災害」という。皮肉に満ちた言葉だ。抽選入居の復興公営住宅がコミュニティー崩壊を招き、孤独死の遠因となったとの指摘もある。被災者に差し出されたのは、その痛みを知る手だったのだろうか。(梶)


阪神淡路大震災からもう21年経ったか、という感じです。同時にもうすぐ東日本大震災からも5年。「復興災害」などという矛盾した言葉は消えてほしいものです。


続いて、『福島民友』さん。 

朝礼で「ほんとの空体操」 二本松・市職員実践、市民へ浸透図る

 二本松市は10008日、昨年誕生し、市民への普及を図っている健康体操「ほんとの空体操」を、朝礼時に全職員が実践する取り組みを開始した。
 ほんとの空体操は「元気な高齢者」を増やし、介護予防につなげるのが目的。2013(平成25)年3月に誕生した「市民の歌」に合わせて六つの動きを左右で行い、普段動かさない筋肉をほぐしたりするストレッチの動きが基本。同市の快フィットネス研究所の吉井雅彦所長が、高齢者でも気軽にできる体操として考えた。
 市は、市民への浸透が遅れている市民の歌とセットにして「運動する習慣」を目指す方針だが、まずは職員から実践しようと、朝礼時に市民の歌を流し、全職員が取り組む。各課にほんとの空体操のDVDを配布し、マスターを呼び掛けた。
 初日の体操を終え、男性職員の一人は「朝、体が起きていない時に体操をすることで、仕事の効率化にもつながるのでは」と話した。担当の高橋久美子市高齢福祉課介護保険係主査は「職員のマスター度は思ったより高かった。機会があるごとに個人や団体に実践を呼び掛けてほしい」と話している。


昨年、このブログでご紹介した「ほんとの空体操」に関してです。

下記は二本松市さんのサイトから採らせていただきました。


皆さんで取り組むことで、『佐賀新聞』さんにあったような孤独死の防止にも役立つのではないかという気がします。そこまで極端な話にならなくとも、最近話題の「生活不活発病」の予防にはなりそうですね。広まってほしいものです。


【折々の歌と句・光太郎】

旅なれば一人なればの御情(みなさけ)かゆるせ夕野をただ徒歩(かち)ゆかむ

明治34年(1901) 光太郎19歳

「生活不活発病」、当方には無縁だろうなと思っております。年間20回前後は東北に足を運び、数回は中部、関西にも。さらに毎朝夕、犬の散歩で合計1時間以上は歩くようにしています。

昨日の夕雲は見事でした。

イメージ 2

佐賀県唐津からの情報です。
 
ネットで調査中、まず、朗読のイベントを見つけました。 
夜がだんだんと長くなってきました。素敵なシャンデリアの下で、ゆったり朗読を聞きませんか?

特別展「四神の書」の出品作品に書かれている詩や、唐津ゆかりの作家・北方謙三氏著「望郷の道」などを
NHK佐賀放送局の武藤友樹アナウンサーと野方美郷キャスターに朗読していただきます。

【 と き 】   平成26年11月15日(土曜日)
【 ところ 】  
唐津市近代図書館(佐賀県唐津市新興町23番地(JR唐津駅南口すぐ)
【 時 間 】  午後6時30分開演 (午後6時15分開場)
【 出 演 】  NHK佐賀放送局 武藤友樹アナウンサー/野方美郷キャスター
【 内 容 】  
  第1部 企画展「四神の書」コラボ朗読
    ・山村慕鳥 詩 「風景-純銀もざいく(いちめんのなのはな)」
    
高村光太郎 詩「金秤」
    ・川端文学集燦文集「雪国」より
    ・萩原朔太郎 詩「竹」
  第2部 私の好きな詩
    ・吉野 弘「祝婚歌」 「夕焼け」
  第3部 唐津ゆかりの作家から
    ・北方 謙三「望郷の道」下から
【 入場料 】  入場料は無料ですが、事前の申し込みが必要です。
【 申し込み方法 】
 近代図書館までお電話(0955-72-3467)もしくは近代図書館3階事務室までお問い合わせください。
  ご家族は連名で申し込みができます。対象は小学生以上です。
【 主 催 】   NHK佐賀放送局・唐津市近代図書館
【 問い合わせ 】  唐津市近代図書館 電話 0955-72-3467
イメージ 1
 
少し前に、このイベントの情報を見つけたとき、最初は単に朗読のイベントと思っていました。「金秤」(「きんばかり」と読みます)、明治44年の『スバル』に発表され、詩集『道程』にも載った詩ですが、光太郎の詩の中ではマイナーなものです。何でこんなマイナーな詩を……と思っていました。
 
で、よく読んでみると、「特別展「四神の書」の出品作品に書かれている詩や」とあるので、その展覧会を検索してみました。 

比田井天来門下四書家の足跡を辿る 四神の書-上田桑鳩・手島右卿・金子鴎亭・桑原翠邦

期 間  2014年10月18日(土)~11月23日(日)
場 所  唐津市近代図書館 美術ホール
時 間  午前10時-午後6時 ※ 入場は午後5時30分まで
主 催  唐津市近代図書館・四神の書展実行委員会
 
上田桑鳩(1899-1968/兵庫県出身)・手島右卿(1901-1987/高知県出身)金子鴎亭(1906-2001/北海道出身)、桑原翠邦(1906-1995/北海道出身)は、いずれも現代書の父と称される比田井天来(1872-1939/長野県出身)のもとで古典の書を中心に幅広く学び、独自の境地を切り拓きました。

桑鳩は斬新な書の美を追求した前衛書を、右卿は造形性と象徴性を結晶させた象書を、鴎亭は現代にふさわしい書を探求した近代詩文書を、翠邦は古典の書法を踏まえた漢字をと、各ジャンルにおいて名作を残し、一家を成しています。
 
本展では、それぞれの書風を、「鮮烈の桑鳩」「清新の右卿」「躍動の鴎亭」「品格の翠邦」と位置づけ、代表作や臨書により、豊かな個性の源泉や書風の変遷、それぞれの歩みを辿ります。

イメージ 2
イメージ 3
 
「金子鴎亭」の名前が、当方のアンテナに引っかかりました。「この人は、光太郎の詩をモチーフにしている作品を書いている書家だったな」と。
 
さらに、「そういえば、あの本に紹介されていたような……」と、書架から引っぱり出したのがこちら。
 
イメージ 4
 
石川九楊氏著『書とはどういう芸術か 筆蝕の美学』、平成6年(1994)、中央公論社(中公新書)。
 
光太郎の書について言及されているので購入したものですが、光太郎の詩をモチーフにした金子氏の書についても紹介されていたような……。ありました。
 
イメージ 5
 
ずばり、「金秤」。ただし、石川氏は否定的に紹介しています。
 
調べてみると、この書は昭和51年(1976)の毎日書道展出品作でした。そして、他の方のブログで、これが今回の「四神の書」に出品されていることもわかりました。
 
というわけで、「シャンデリア朗読会」で「金秤」なのですね。
 
ところで、「四神の書」。全国巡回で、今年5月から6月には釧路市立美術館、8月から先月まで愛知の文化フォーラム春日井ですでに開催されていました。その時点でこの「金秤」出品の情報を得られて居らず、紹介出来ませんでした。当方の情報収集力も、まだまだです。
 
で、現在開催中の佐賀唐津展も、先月からということで、関連行事のいくつかは終了してしまいました。まだ今後開催されるものだけでもご紹介しておきます。
 
●「書の話を聞こう!」-地元書家によるトーク
11月16日(日) 力武宇山氏(佐賀県書作家協会顧問)
テーマ:「四神の書」がめざしたもの
午後2時から(30分程度) ※ 申し込みは不要ですが、当日の入場券が必要です。
●ギャラリートーク
11月22日(土)・23日(日)
各日午後2時から(30分程度) ※ 申し込みは不要ですが、当日の入場券が必要です。
●高校生による「書道パフォーマンス」
佐賀県立唐津東高等学校・佐賀県立唐津西高等学校の書道部生徒による合同パフォーマンスです。どなたでも自由にご覧いただけます。
日時:11月15日(土) 午後3時から(30分程度)
場所:近代図書館前の広場のステージ
 
さらに来月から来年2月にかけ、広島の安芸市立書道美術館に巡回だそうです。近くなりましたらまたご紹介します。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 11月11日
 
平成17年(2005)の今日、テレビ東京系「開運! なんでも鑑定団」で、光雲の彫刻「朝日に虎」が鑑定されました。
 
イメージ 6
 
イメージ 7
 
依頼人は、タレントの山口もえさん。
 
イメージ 8
 
鑑定金額は……
 
イメージ 9
 
350万円。本物でした。ただし、表面のひび割れを補修したやり方がよくなく、マイナスの評価。それでも350万です。
 
ここで、光雲の令孫、故・髙村規氏がご登場。背景には光太郎の「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の中型試作が写っています。
 
イメージ 10

イメージ 11
 
規氏、何度か髙村家がらみの出品物の際に、この番組に出演されていました。そのため、今年8月のご葬儀の際には「テレビ東京 開運!なんでも鑑定団」として供花がなされていました。
 
ちなみに、これがこの番組で光雲作の本物が出てきた最初の例でした。その後、「衣通姫」が出てきた回もありました。
 
ところで、なぜ山口さんが光雲の木彫を持っているかというと、彼女の実家が翠雲堂さんという浅草の老舗仏具店だからでした。

↑このページのトップヘ