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石川県から企画展情報です。 

期 日 : 第1期 2020年6月27日(土)~8月2日(日) (第2期 8月8日(土)~9月13日(日))
会 場 : 石川県七尾美術館 石川県七尾市小丸山台1-1
時 間 : 午前9時〜午後5時
休 館 : 毎週月曜日(8/10は開館)・8/11 展示替え期間 8/3(月)~7(金)
料 金 : 一般350円(280円)、大高生280円(220円)、中学生以下無料
        ( )は20名以上の団体料金

 平成7年(1995)4月に開館した当館は、今年春に25周年を迎えました。これもひとえに、多くの皆様のご支援・ご協力があってのことと、改めて御礼申し上げます。
 さて、当館は大きな2本柱があって建設、開館となりました。1つが能登七尾出身である長谷川等伯の作品を公開すること。そしてもう1つが、当館所蔵品の中核を成す、「池田コレクション」(詳細はこちら)を広く公開し、後世に伝えていくことでした。
 本展では、「池田コレクション」289点より日本画・彫刻・工芸作品を《第1期》《第2期》に分け、それぞれ2テーマで紹介します。この機会に、長年愛され伝えられてきた「池田コレクション」の数々を、ゆっくりとご堪能ください。

〈第1期〉 ~日本画・彫刻を中心に~、~美濃焼と漆工を味わう~

 第1のテーマ「日本画・彫刻を中心に」は、宮川長春の肉筆画や菱田春草ほか日本画14点と、平櫛田中などの彫刻作品6点を中心に、高橋介州の愛らしい動物表現による金工作品5点と氷見晃堂などの木工作品2点を加え、計27点を紹介します。
 また、第2のテーマ「美濃焼と漆工を味わう」では、当コレクションの中でも特に充実している、志野・織部・黄瀬戸といった美濃焼29点と、味わい深い根来など漆工作品14点の、計43点を紹介します。
〈第1期〉出品目録 【PDFデータ】

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光太郎の父・光雲の木彫が出ています。昭和6年(1931)の「聖観音像」。さらに光雲高弟の山崎朝雲、平櫛田中の作も。

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『中日新聞』さんの石川版で報道がありました。 

「納涼美人図」目を引く 七尾美術館 池田コレクション展

 七尾市出身の実業家、池田文夫003さん(一九〇七~八七年)が収集した作品を紹介する収蔵品展「伝えゆく池田コレクションの魅力」が、七尾市小丸山台の県七尾美術館で開かれている。味わい深い日本画、彫刻、工芸、陶磁器など計七十点を展示している。八月二日まで。
 日本画では、宮川長春が腰を掛けたなまめかしい遊女を描いた「納涼美人図」(江戸中期制作)、菱田春草が仙人の住む山を霧などを効果的に描き表現した「蓬莱山図」(明治三十五年ごろ制作)、松村景文の余白を効果的に大きく残し雪山などを表した「山水花鳥図」(双幅、江戸後期制作)などが目を引く。
 高村光雲や平櫛田中(でんちゅう)など著名な作家の彫刻作品、重要無形文化財保持者(人間国宝)の氷見晃堂の飾り棚なども並んでいる。陶芸では、ユニークな形状の美濃焼、重厚な印象の赤と黒の根来(ねごろ)の漆工作品も展示している。
 観覧料は一般三百五十円。大学・高校生二百八十円、中学生以下無料。月曜休館。展示は池田コレクションの第一期で、第二期は八月八日九月十三日で別の作品を展示する予定。 (中川紘希)

感染予防にはお気を付けつつ、お近くの方、ぜひどうぞ。


【折々のことば・光太郎】

嵐も猛るがよい。霙も降るがよい。魑魅でも魍魎でも、今の中は勝手に跳梁するがよい。育つものは静かに、盛んに育つて行く。光と美とを吸収しながら、どんな時でも素直なものだ。

散文「立派なるものゝ芽」より 大正10年(1921) 光太郎39歳

大正も10年代となり、日本の芸術界がそろそろ西洋の最先端の芸術を消化しつつあることに対する希望を述べています。まだそれは完全ではなく、袋小路にはまった古臭いもの、西洋の猿真似に過ぎないものなどが跋扈しているものの、近いうちにそれらは滅びるだろう、ということです。

石川県から企画展情報です。気付くのが遅れ、始まってしまっています。 
期  日 : 2016年9月10日(土) ― 10月23日(日)  無休
会  場 : 石川県立美術館 石川県金沢市出羽町2-1
時  間 : 午前9時30分から午後6時まで
料  金 : 一般1000円(800円) 大学生600円(500円) 高校生以下無料 65歳以上800円
                      ( )内団体料金

日本の近代が幕を開けた激動の明治時代は、国全体が大きく変貌を遂げた時代であり、ここから昭和にいたる近代は、美術史的にも大きな変動が見られ、多くの優れた作家たちが革新的な創作活動を行いました。現代の美術動向に繋がる重要な時代ですが、教科書などにおいても、美術史を含む文化史の記述は少なく、作家の紹介としても充分とは言えないでしょう。
このたび多くのご所蔵先のご協力のもと、絵画、彫刻、工芸、それぞれの分野において、近代日本の美術史に残る作家たちによる、優れた作品を一堂にそろえました。現代はインターネットの情報があふれていますが、美術作品を知るには実際に作品を見ること、これに勝る方法はありません。「教科書に載るような名品」をご覧いただくことで、個々の作品の魅力とともに、近代という時代の大きな流れを感じ取っていただければ幸いです。

主な出品作家
 日本画
  竹内栖鳳、横山大観、上村松園、小林古径、安田靫彦、堂本印象、伊東深水、東山魁夷、
  杉山寧、
平山郁夫、加山又造 ほか
 洋画
  浅井忠、坂本繁二郎、小絲源太郎、梅原龍三郎、安井曾太郎、中川一政、林武、
  東郷青児、小磯良平、宮本三郎、脇田和、鴨居玲 ほか

 彫塑
  山崎朝雲、荻原守衛、建畠大夢、朝倉文夫、高村光太郎、北村西望、淀井敏夫、
  佐藤忠良、舟越保武、富永直樹 ほか

 工芸
  板谷波山、富本憲吉、荒川豊蔵、浜田庄司、楠部弥弌、六角紫水、高野松山、松田権六、
  音丸耕堂、木村雨山、芹沢銈介、香取秀真、鹿島一谷、帖佐美行、黒田辰秋、氷見晃堂、
  大野昭和齋、平田郷陽、藤田喬平、西出大三 ほか

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関連行事
 講演会 会場はいずれも美術館ホール 聴講無料(定員209名)
 9月18日(日)13時30分~15時
  「近代美術の展開 ―絵画・彫刻を中心に―」 講師 宝木範義氏(美術評論家)
 10月2日(日)13時30分~15時
  「工芸の近代 ―作家の誕生と以降の創作表現―」
    講師 山崎達文氏(金沢学院大学教授)  

 0才からのファミリー鑑賞会
 10月16日(日) ①10時~ ②13時30分~
  講師:冨田めぐみ氏(赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会・代表理事)
  定員:30名 ※電話でお申し込みください

 展示室でスケッチGO!
 10月10日(月・祝)13時~15時 お申し込み不要、当日受付

 ギャラリートーク(毎週日曜日)
  担当学芸員が展覧会の見どころや出品作品について解説を行います
  9/11、9/18、9/25、10/2、10/9、10/16、10/23 各日11時~ ※
観覧料

 土曜講座 ―学芸員による講義―
 会場:美術館講義室 聴講無料(定員50名) 各日13時30分~15時
 9月10日「モダニズムと古典主義―近代金工の様相―」 担当:中澤菜見子
 9月17日「織の名匠 宗廣力三と志村ふくみ」 担当:寺川和子
 9月24日「近代―日本画の豊穣なる時代―」 担当:前多武志
 10月8日「近代洋画の探求」 担当:二木伸一郎
 10月15日「近代工芸の名作」 担当:西田孝司

 映像ギャラリー 出品作家関連の映画やビデオを上映します
 各日13時30分~ 会場:美術館ホール 入場無料(定員209名)
 9月19日(月・祝)「西洋画との出会いと模索」「飾りなき漆の美 増村益城」
 9月22日(木・祝)日本の巨匠シリーズ「牛島憲之」「西山英雄」「富永直樹」
          「帖佐美行」
 10月10日(月・祝)「日本の伝統と変革」「糸の音色を求めて 志村ふくみの世界」


基本的に一作家一作品の展示だそうで、光太郎作品は「教科書に載るような名品」ということで、代表作の一つ、ブロンズの「手」(大正7年=1918頃)が出ています。


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地域によっては、光太郎の彫刻も実物を見られる機会は多くありません。お近くの方、ぜひどうぞ。


【折々の歌と句・光太郎】

実のふたつ成りし無花果(いちじく)けさ見れば一つはあらで歌むすびあり

明治33年(1900) 光太郎18歳

昨日、たまたま観ていたNHKさんの「ひるまえほっと」という関東1都6県の情報番組で、当方自宅兼事務所のある千葉県香取市が取り上げられました。2つ話題が紹介されたうちの1つが、最近、特産品として力を入れているイチジクについてでした。

先週の『読売新聞』さんに光太郎の名が。ただし記事ではなく写真のキャプションです。

記事は以下の通り 

犀星と朔太郎、詩誌発刊100年記念し資料公開

 室生犀星(1889~1962年)と親友の萩原朔太郎(1886~1942年)が青年期に手がけた詩の同人雑誌「感情」が発行されて今年で100年となるのを記念し、金沢市千日町の室生犀星記念館で関連資料が公開されている。

 朔太郎がデザインした表紙などが展示され、担当者は「若き詩人の息づかいと雑誌発行にかけた情熱を感じてほしい」と話している。

 「感情」は2人が当時の文壇や詩壇に挑戦する詩を発信しようと、1916年6月に創刊。19年11月までの3年半に32号が出版された。詩に特化した雑誌が当時は少なかったことや、その秀逸なデザインから人気を博し、毎号200~300部が刷られた。掲載された詩は、後に、朔太郎の「月に吠(ほ)える」や犀星の「愛の詩集」など代表的な詩集に収められた。

 表紙のデザインは朔太郎が考案し、原稿集めや編集、校正、印刷、販売は犀星が一手に引き受けた。資金繰りには苦労したとみられるが、犀星は「毎月詩を書いてそれがすぐ印刷になる幸福」と後に記している。

 犀星は、購読者に郵送する封筒に独自でデザインした版画を押しており、その封筒も 展示されている。犀星は朔太郎に宛てた手紙で「1日中、封筒ののり付け作業をして手の皮がむけた」などと記しており、作業は当時、犀星の生活の中心だったようだ。

 19年に犀星の小説「幼年時代」が中央公論に掲載されたことを機に、犀星は小説家 として本格的に歩み始め、終刊となった。同館の嶋田亜砂子学芸員は「若い頃の犀星 たちが詩にかけた情熱を感じてほしい」と話している。展示は11月6日まで。

 展示は11月6日まで。 開館時間は、午前9時半~午後5時(入館は午後4 時半まで)。入館料は一般300円、65歳以上200円、高校生以下無料。


写真とキャプションがこちら。

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報じられているのは、光太郎もたびたび寄稿した詩誌『感情』にスポットを当てた企画展です。詳細はこちら。 

企画展「『感情』時代-僕らが一番熱かった頃-」

期  日 : 2016年7月1日(土)~11月6日(日)
会  場 : 室生犀星記念館 石川県金沢市千日町3-22
時  間 : 午前9時30分~午後5時
料  金 : 一般 300円   団体(20名以上)250円  高校生以下 無料
         65歳以上・障がい者手帳をお持ちの方およびその介護人 200円(祝日無料)

室生犀星と萩原朔太郎、”二魂一体”と称された二人が自分達のアイデンティティを確立し、発信するべく創刊した詩誌「感情」は今から100年前、大正5年の6月に誕生しました。詩人として歩み始めた二人の若者が絶対的に大切にしてきたもの、そして当時の文壇・詩壇への反逆・挑戦の精神が、この「感情」という詩名にはこめられています。「感情」は大正8年11月まで3年半続き、32号を数えました。この間に多田不二、竹村俊郎、恩地孝四郎、山村暮鳥らの仲間を加え、それぞれが熱い思いをかかえ、ここをよりどころにして詩作を発展させ飛躍していきました。その大きな一歩として、朔太郎の『月に吠える』、犀星の『愛の詩集』など、かれらの第一詩集が感情詩社から出されています。本展示では、「感情」に集った若き詩人達の苦悩と情熱を感じていただければと思います。

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関連行事

金沢ナイトミュージアム「夜間延長開館」   
  開館時間を延長し、午後9時まで夜間開館いたします。
  日 時 9月17日(土) 10月22日(土)、23日(日)(入館は午後8時30分まで)
  入館料  一般300円、65歳以上200円、高校生以下無料
  問合せ  室生犀星記念館 076-245-1108

講演会「室生犀星と詩と世界」   
  現代詩作家 荒川洋治氏による講演会をおこないます。
  日 時 10月8日(土) 午後2時~午後4時
  場 所 金沢21世紀美術館内レクチャーホール 金沢市広坂1-2-1
  参加費 無料
  申 込  電話076-245-1108にて 先着順


詩誌『感情』。光太郎は確認できているだけで3回寄稿しています。

最初は大正5年(1916)10月発行の第1巻第4号。詩「我家」(のち「わが家」と解題)。続いて翌年1月の第2年第1号に詩を一挙6篇。「花のひらくやうに」「海はまろく」「歩いても」「湯ぶねに一ぱい」「晴れゆく空」「妹に」。さらに4月の第2年第4号には、散文、というより書簡からの抜粋で「萩原朔太郎詩集「月に吠える」について」。

特に「我家」は注目に値する作品です。大正3年(1914)に詩集『道程』を上梓、そこに書き下ろしで掲載した「秋の祈」以後、詩作から遠ざかっていた光太郎が、約2年ぶりに発表した詩だからです。

   わが家

 わが家(や)の屋根は高くそらを切り007
 その下に窓が七つ
 小さな出窓は朝日をうけて
 まつ赤にひかつて夏の霧を浴びてゐる
 見あげても高い欅の木のてつぺんから
 一羽の雀が囀りだす
 出窓の下に
 だんだんが三つ
 だんだんから往来いちめん
 露にぬれた桜の葉が
 ひかつて静かにちらばつてゐる
 桜の樹々は腕をのばして
 くらい緑にねむりさめず
 空はしとしとと青みがかつて
 あかるさたとへやうもなく
 夏の朝のひかりは
 音も無く
 ひそやかに道をてらしてゐる
 土をふんで道に立てば
 道は霧にまぎれて
 曲がつてゆく


高らかな調子で謳われているのは、駒込林町のアトリエ。ここに智恵子の名はありませんが、2人の愛の巣を謳ったという意味では、『智恵子抄』スピンオフ的な内容です。

しかし、のちに智恵子が心の病を発症してから、光太郎は同じ自宅を自虐的に「ばけもの屋敷」と表すことになります。

   ばけもの屋敷

 主人の好きな蜘蛛の巣で荘厳(しやうごん)された四角の家には、
 伝統と叛逆と知識の慾と鉄火の情とに荘厳された主人が住む。
 主人は生れるとすぐ忠孝の道で叩き上げられた。
 主人は長じてあらゆるこの世の矛盾を見た。
 主人の内部は手もつけられない浮世草子の累積に充ちた。
 主人はもう自分の眼で見たものだけを真とした。
 主人は権威と俗情とを無視した。
 主人は執拗な生活の復讐に抗した。
 主人は黙つてやる事に慣れた。
 主人はただ触目の美に生きた。
 主人は何でも来いの図太い放下(ほうげ)遊神の一手で通した。
 主人は正直で可憐な妻を気違にした。
 
 夏草しげる垣根の下を掃いてゐる主人を見ると、
 近所の子供が寄つてくる。
 「小父さんとこはばけもの屋敷だね。」
 「ほんとにさうだよ。」

こちらは昭和10年(1935)、智恵子が南品川のゼームス坂病院に入院した年の作です。


話がそれました。企画展「『感情』時代-僕らが一番熱かった頃-」、ぜひ足をお運びください。


【折々の歌と句・光太郎】

久しぶりに来しわが友のふところにさやさやと鳴る新しき風
大正13年(1924) 光太郎42歳

今日から9月。心なしか吹く風も秋涼の気配をはらんでいるように感じます。

まずは新刊情報です。

月に吠えらんねえ(4)

清家雪子著 2015/10/23 講談社(アフタヌーンKC) 定価740円+税

作中にふんだんにちりばめられた近代詩そのもの凄さに酔い、架空の街で虚実の境を徘徊する、朔太郎、白秋(はくしゅう)、犀星(さいせい)らの作品からイメージされたキャラの圧倒的な存在感に酔い、膨大な資料を下敷きに緻密に物語を組み立てた作者の過剰な愛情に酔う。話題集中の近代詩歌俳句エンターテインメントをこの機会にぜひ!

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一昨年から、講談社さんの漫画雑誌『月刊アフタヌーン』で連載されている、主人公・朔(萩原朔太郎)をはじめ、架空の町「□(シカク 詩歌句)街」に住む、近代詩歌人たちをモデルにした強烈なキャラクター達の織りなす幻想的な物語です。連載開始時第1巻第2巻のレビューもこのブログにて既に書いています。今年4月刊行の第3巻は、光太郎智恵子に関わる部分がほとんどなかったので、割愛しました。

第4巻、表紙を飾るのはアッコさん(与謝野晶子)とチエコさん(高村智恵子)。帯にはコタローくん(光太郎)とチエコさん。

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これまでもコタローくんとチエコさんはたびたびセットで登場していましたが、第4巻所収の第17話「あどけない話」では、二人がメインのストーリーになっています。

重要な登場人物の一人、白さん(北原白秋)が、美術街にすむコタローくん(光太郎)のアトリエを訪れ、亡きチエコさん(智恵子)の幻影に遭遇する、という展開です。

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しばらくは幻影のチエコさん視点で話が進み、合間合間にコタローくんの述懐が入ります。

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壊れてゆくチエコさん、毀してしまったコタローくんの描写が見事です。

チエコさん亡きあとは、その姿をロボットで再現するコタローくん。

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このロボットは、「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」を表しているような気もします。

その他、第4巻ではさまざまな「愛」の形が取り上げられています。チエコさんともども表紙を飾るアッコさん(与謝野晶子)とヒロさん(与謝野鉄幹)、とみちゃん(山川登美子)の三角関係。そこに「小説家」(有島武郎)と「あの女」(波多野秋子)がからみ……。さらには朔(萩原朔太郎)と「エレナ」、早世した拓(大手拓次)の物語も。

それぞれ予備知識無しでも楽しめると思うのですが、それぞれの人物の背景を知っているにこした事はありません。

そういった意味で、画期的と思える企画展が、石川近代文学館さんで開催中です。

うたえ!□(シカク 詩歌句)街の仲間たち!

期  日 : 平成27年9月19日(土)~11月29日(日) 会期中無休
時  間 : 9:00~17:00  (入館は16:30まで)
場  所 : 石川近代文学館 金沢市広坂2-2-5  TEL(076)262-5464 
料  金 : 一般 360円(290円) 大学生 290円(230円) 高校生以下 無料
        ※( )内は20名以上の団体料金

漫画「月に吠えらんねえ」は、これまでの「漫画と文学」の関係性の概念を打ち破り、「作品の漫画化」でも、「作家の自伝」でもなく、「作品そのものに人格を与え、キャラクター化した登場人物」を設定し、ふんだんに近代詩ほか、短詩型の作品そのものを紙面に登場させています。
今回は、作者である漫画家・清家雪子氏、講談社アフタヌーン編集部にご協力をいただき作品の出力原画をご覧いただくほか、室生犀星、萩原朔太郎ら主要登場人物はじめ、昨年春の特別展示では展示しきれなかった折口信夫父子、中原中也など二巻以降のストーリーに重要な役割をはたす石川ゆかりの作家たちの文学資料も数多く展示いたします。

企画展示室1 『月に吠えらんねえ』と□街の仲間たち
『月に吠えらんねえ』出力原画と登場人物である萩原朔太郎、北原白秋、三好達治などの資料を展示

企画展示室2 『月に吠えらんねえ』と石川ゆかりの作家たち
『月に吠えらんねえ』出力原画と登場人物である石川ゆかりの室生犀星、折口信夫・春洋、中原中也などの資料を展示

企画展示室3 石川ゆかりの詩人たち
石川ゆかりの詩人や短詩型作家を紹介し、資料を展示

主な特別借用資料
 北原白秋自筆書簡(室生犀星あて)二通(清家雪子氏蔵)
 折口信夫歌軸 二幅(個人蔵)
 折口春洋歌軸 三幅(個人蔵)
 室生犀星自筆原稿「北原白秋」(『我が愛する詩人の傳記』)(室生犀星記念館蔵)
 三好達治遺愛の横笛(みくに龍翔館蔵)

エッセイ展示  「彼」とわたしの意外な関係
 折口信夫  横山方子氏(石川郷土史学会幹事)
 中原中也  薮田由梨氏(徳田秋聲記念館 学芸員)
 表棹影  松岡理恵氏(エフエム石川アナウンサー)

刊行物・記念グッズ
 ★『月に吠えらんねえ』コラボレーション作品集『□街集』  清家雪子先生描き下ろしカラー表紙  500部限定
 ★「月に吠えらんねえ」クリアファイル
 ★清家雪子先生描き下ろしイラスト&作家自筆文字缶バッチ

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「月に吠えらんねえ」の重要なキャラの一人、「犀」(室生犀星)が金沢出身、「チューヤくん」(中原中也)も金沢に居住経験あり、ということで実現したようです。

チラシにはコタローくんとチエコさん(ロボット)も描かれています。

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ぜひ足をお運びください。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 10月24日

昭和56年(1981)の今日、千葉成田郊外に、三里塚御料牧場記念館が開館しました。

成田空港開港前、皇室の御料牧場があり、その関係の展示がメインですが、当地に移り住んだ作家・水野葉舟や、その親友の光太郎に関する展示もなされています。

敷地内には光太郎の「春駒」詩碑や、やんごとなき方々のための戦時中の防空壕、貴賓館などもあります。

石川は金沢の室生犀星記念館でのイベント(講座)の情報です。

『我が愛する詩人の伝記』を読む 第2回『高村光太郎』

期 日 : 2014年11月29日(土)  
時 間 : 午前10時~11時
会 場 : 室生犀星記念館 石川県金沢市千日町3-22
講 師 : 上田正行氏(同館館長)
 
※お電話でお申し込みください(室生犀星記念館:076-245-1108) 入館料が必要です。
 
 
『我が愛する詩人の伝記』は、昭和33年(1958)に雑誌無題『婦人公論』に連載され、同年単行本化された室生犀星の著書です。詩人としての犀星が間近に見た詩人達の、「伝記」というより「印象記」「回想」に近いものです。
 
取り上げられたのは12人。『婦人公論』掲載順に、北原白秋、光太郎、萩原朔太郎、釈迢空(折口信夫)、佐藤惣之助、島崎藤村、堀辰雄、立原道造、津村信夫、山村暮鳥、百田宗治、千家元麿です。
 
貴重な回想を含み、さらに犀星自身、そう書いているように「詩人の伝記を書いてゐるが、どうもすぐ自分のことを書いてしまふ」というわけで、犀星本人の人間像も浮き彫りになっている一冊です。
 
したがって、この書自体が研究の対象となることも多く、今回の講座でもそういうわけで取り上げるのだと思われます。ちなみに全6回の予定だそうで、白秋を扱った初回の講座は先月終了。今後、光太郎、朔太郎、釈迢空、立原道造と佐藤惣之助、藤村と千家元麿というラインナップになっています。
 
ちなみに今回の講座とは関係ないとは思うのですが、『我000が愛する詩人の伝記にみる室生犀星』(葉山修平著 龍書房 平成12年=2000)という書籍も刊行されています。
 
さて、『我が愛する詩人の伝記』の中で、光太郎がどう描かれているか、少し紹介しておきます。中心になっているのは、青年期の回想です。
 
犀星は光太郎より6つ年下の明治22年(1889)の生まれ。中央の詩壇にデビューするのも大正に入ってからと、光太郎のそれより後のことです。そこで、すでに名声を得ている先輩に対するやっかみのような、シニカルな見方が垣間見えます。
 
千駄木の桜の並木のある広いこの通りに光太郎のアトリエが聳え、二階の窓に赤いカーテンが垂れ、白いカーテンの時は西洋葵の鉢が置かれて、花は往来のはうに向いてゐた。あきらかにその窓のかざりは往来の人の眼を計算にいれたある矜(ほこり)と美しさを暗示したものである。千九百十年前後の私はその窓を見上げて、ふざけてゐやがるといふ高飛車(たかびしや)な冷たい言葉さへ、持ち合すことのできないほど貧窮であつた。かういふアトリエに住んでみたい希(のぞ)みを持つたくらゐだ。四畳半の下宿住ひと、このアトリエの大きい図体の中にをさまり返つて、沢庵と米一升を買ふことを詩にうたひ込む大胆不敵さが、小面憎かつた。
 
また、そのアトリエをおとなったものの、実に三回にわたり、智恵子に追い返されたエピソードも語られています。
その時の智恵子を「夫には忠実でほかの者にはくそくらへといふ目附」と評しています。ちなみにまだこの時点では犀星と光太郎はお互い相知らぬ時期だったそうです。
 
しかし、何も光太郎智恵子をけちょんけちょんにけなしている訳ではありません。
 
光太郎の死は巨星墜つといふことばどほりのものを、私に感じさせた。巨星墜つといふばかばかしいことばが、やはりかれの場合ふさはしく、それだけ私は依然距たりをおぼえてゐたのだ。
 
ここだけ取り上げても伝わりにくいのですが、「距たり」といっても、「敬遠」とか「拒絶」ではなく、「脱帽」に近い感覚です。
 
このほかの部分にも、光太郎に対する敬愛の情がしっかり伝わってきます。また、遺された光太郎から犀星宛の書簡を見ると、光太郎の母が亡くなった際には犀星から心のこもった手紙が来たことや、逆に犀星の母(義母)の逝去に際しても、光太郎は衷心から哀悼の意を表しています。
 
先に挙げたシニカルな見方も、犀星が自らを偽悪家として韜晦する一面を見せているように思われます。そうした部分が、この書物自体、研究の対象として重要視されている一因でしょう。
 
『我が愛する詩人の伝記』、光太郎の回の最後はこんなふうに終わっています。
 
智恵子さん曰く、四十何年か前に見た人がまたいやなことを書いてゐるわね、なんてしつこい厭な奴!
 
 
さて、犀星記念館の講座。お近くの方、ぜひどうぞ。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 11月22日
 
昭和2年(1927)の今日、詩人の尾崎喜八に絵葉書を送りました。
 
この時期の光太郎は、自作の彫刻を写真に撮り、絵葉001書にして使っています。この葉書もそうで、この時開催されていた大調和展覧会に出品していた塑像「某夫人の像」をプリントしています。
 
「某夫人」=智恵子です。文面は以下の通り。
 
 この間の夜は急用があつたので失敬しました。二三日前 大調和展へも来られたといふ事を千家君にききましたが その日も遅く行つたので会へないで残念でした。
 此の彫刻は誰も本当には認めませんが自分では信用してゐます。多くの芽を持つてゐると思ひます。
 
光太郎はこの他にも智恵子像を作っていますが、それらすべて、現存が確認できていません。ほとんど昭和20年(1945)の空襲で燃えてしまったと推定されています。
 
どこかからひょっこり出てこないかと期待しているのですが……。
 

石川は金沢より、先月から開催されている企画展情報です。 

中村好文 小屋においでよ!

会  : 金沢21世紀美術館 石川県金沢市広坂1丁目2番1号
会  : 2014年4月26日(土) - 8月31日(日)  10:00〜18:00 (金・土曜は20:00まで)
料 金 : 無料
 
概要 (公式サイトから)
建築家・中村好文は、長年にわたってクライアントの暮らしに寄り添った普段着のように居心地のいい住宅をつくってきました。この展覧会は、中村が子供のころから心奪われ、同時に「住宅の原型」として位置づけてきた小屋に関する考察と展示を通じて「住宅とはなにか?」を問い直す企画です。会場は「長期インスタレーションルーム」と「光庭」ですが、光庭には、エネルギー自給自足を目指すひとり暮らし用の小屋「Hanem Hut」を原寸サイズで展示いたします。
3.11以降、エネルギー問題や環境汚染の問題は、ますます避けて通ることのできない重要なテーマとなってきています。この小屋の展覧会が、そうした問題解決への糸口となり、提案となることを願ってやみません。
 
関連書籍 『中村好文 小屋から家へ』 TOTO出版、2013年
 
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昨年、乃木坂のTOTOギャラリー・間(ま)さんで開催された企画展の地方巡回です。古今東西の小屋の中から「7つの名作」を紹介するコーナーがあり、花巻郊外旧太田村の光太郎の山小屋(高村山荘)も含まれています。 
 
先月から始まっているのですが、つい最近知りました。和歌山の田辺市立美術館で開催中の「宮澤賢治・詩と絵の宇宙 雨ニモマケズの心」同様、知ったのが遅く、面目ありません。
 
さて、知ったのが遅く、関連行事がいくつか終わってしまっていますが、これから開催されるもののみご紹介します。
 
つのだたかし「小屋に捧げるリュートの夕べ」
 日時:5月31日(土)19:00~20:00
 会場:金沢21世紀美術館光庭(雨天の場合、館内別会場)
 参加費:無料
 
「職人衆、Hanem Hutを語る」
 日時:6月14日(土)14:00~16:00(開場13:45)
 会場:金沢21世紀美術館レクチャーホール
 定員:先着80名(予約不要)
 参加費:無料

中村好文×皆川明対談「小屋から学ぶこと」
 日時:8月2日(土)14:00~16:00(開場13:45)
 会場:金沢21世紀美術館シアター21
 定員:180名
 チケット料金:1,000円
 チケット取扱: 金沢21世紀美術館ミュージアムショップ  TEL 076-236-6072
 
「Hanem Hut」内部公開 光庭に展示する「Hanem Hut」の内部を限定公開します。(予約制)
 公開日時:毎週土日 14:00〜18:00
 予約方法:当日13:00より、「Hanem Hut」のある光庭にて予約を受け付けます。
 ※天候等の事情で公開できない場合もございます。あらかじめご了承ください。
 
 
今回の「小屋においでよ!」は、たまたま中村氏のインタビューをネットで見つけて知りました。「高村光太郎」の語が入っていたので検索の網にひっかかりました。
 
毎日、「高村光太郎」「高村光雲」「智恵子抄」等のキーワードでネット上の新着情報を渉猟していますが、限界があります。美術館・文学館などの企画展の地方巡回(特に関東以外)に関する情報収集が今ひとつできていません。何かこの手の情報をうまくゲットできる(キーワード検索などで)いいサイトなどがあれば、ご教示いただけると幸いです。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 5月27日

大正14年(1925)の今日、『東京日日新聞』に、談話筆記「悪趣味を排す」、さらに「自筆」カット「自画像」が掲載されました。
 
これを受けて5月30日に詩人の田内静三にあてた書簡が伝わっています。
 
此間の日日新聞のには全く閉口しました。 画は鉛筆でかいたものをペンか何かでなぞったらしく、記事は記者が勝手に書き上げて意味の正反対の事さへ書いてありました。友達ならば分かるでせうが、甚だ迷惑なものですね。取消正誤を出す程の事でもなし、尚更困ります。
 
こういうケースがあるので注意が必要ですね。

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