今年は5周年ということで、記念イベント等が両館で行われていますが、その一環として福井会場の方で『智恵子飛ぶ』関連の展示が始まります。
智恵子の生涯を描いた長編小説ですが、光太郎智恵子と同じく夫婦同業の芸術家夫妻であった津村氏ならではの視点で、智恵子の苦悩や、苦悩だけでない喜び、しかし刀折れ矢尽きて毀れてしまった智恵子の姿がかくあったろうと思わせられる描写がされています。
やはり平成12年(2000)には、智恵子役・片岡京子さん、光太郎役が故・平幹二郎さんで舞台化(新橋演舞場さん)。翌年の京都公演では、光太郎役は近藤正臣さんでした。

驚いたのは書き込みの多さ。その女優さん、ご自分の登場シーンのみならず、おそらく同じ事務所の先輩女優さんと思われる方のシーンでもマーカーを引いたり、鉛筆で書き込みをしたりなさっていました。また、稽古の途中でセリフや動きが追加・変更されたり、場面の順番が入れ替わったりということが随分とあったようで、それらの訂正や、追加で配られたと思われるコピーの貼り付けなどもかなりの箇所で為されており、一つの舞台を作り上げるにも並々ならぬ苦労があったんだな、というのが偲ばれました。
ちなみにこの手の台本類、やはり舞台のもの、映画のもの、テレビドラマのもの等々各種取り添えております。展示等で必要な場合にはお声がけ下さい。
閑話休題、福井県ふるさと文学館さんの展示、ぜひ足をお運び下さい。
【折々のことば・光太郎】
賢治全集推せん文2枚清書、
「賢治全集」は筑摩書房版。翌年から刊行が始まりました。光太郎は装幀、題字揮毫も手がけています。