先月16日に始まった、花巻高村光太郎記念館さんの企画展「光太郎の三陸廻り」について、8月12日(木)の地方紙『岩手日日』さんが報じて下さいました。

浮かぶ往時の情景 高村記念館 光太郎三陸紀行を紹介

000 花巻ゆかりの彫刻家で詩人の高村光太郎(1883~1956年)が、三陸沿岸各地を旅して執筆した紀行文「三陸廻(めぐ)り」にまつわる資料を紹介する企画展が、花巻市太田の高村光太郎記念館で開かれている。
 一旅行者として、各地の自然や様子、旅で感じたことなどをありのままにつづった文章をパネル展示しているほか、関連資料も並べ、光太郎の多才さや当時の三陸の姿を知ることができる。30日まで。
 「三陸廻り」は、かつて存在した日刊紙「時事新報」から光太郎が依頼を受け、1931(昭和6)年8月上旬から約1ヵ月かけ宮城県石巻市から岩手県宮古市までを船旅し、執筆。同年10月3~27日に、同市に全10回掲載された。文量は1回原稿4~5枚ほどで、挿絵も光太郎が描いた。
 会場では、各回の文章と挿絵(複製)を、現在の各地の様子を撮影した写真とともに紹介。補足資料として、石巻市街全図(1931年)や三陸沿岸市街絵はがき、三陸汽船航路図絵(1940年)、初公開となる「汽車ぎらい宿屋ぎらい」(1946年)の直筆原稿もある。
 第1回「石巻」では、「日和山(ひよりやま)は河口を扼(やく)する昔からの物見台である。松と桜とに装われた此小丘陵の突端に立つと、眼下にひろく、さすがに争われない北上川の人工的河口が甚だ怪奇なガニ股をひろげている」などと記され、どの回も風景が浮かび上がってくるように表現されている。
 第3回「金華山」では、父光雲(1852~1934年)と金華山とのつながりにも触れている。
 花巻高村光太郎記念会の高橋卓也事務局長補佐企画担当は「光太郎が花巻に疎開するより前に岩手に来ていたことはあまり知られていない。旅行記には趣深い表現や鋭い視点での感想も残され、光太郎の才能の豊かさを感じ取っていただけるのではないか」と来館を呼びかけている。
 開館時間は午前8時30分~午後4時30分。入場料は一般350円、高校・学生250円、小学生150円。問い合わせは同館=0198(28)3012=へ。

この記事が出たのが3日前。ところが、昨日、記事にもある高橋氏から連絡があり、「今日から今月いっぱい臨時休館」とのこと。

「はぁ?」と思い、市のHPで確認してみたところ、以下の通りでした。

新型コロナウイルス感染拡大による市関連施設の利用制限ガイドライン 岩手緊急事態宣言の発令に伴い、8月14日から8月31日まで、市関連施設の利用制限を「レベル4」で運用します(8月13日更新)

 本ガイドラインでは、感染拡大状況に応じた市関連施設の利用制限を示しています。(8月13日掲載)
 県では、県内における新型コロナウイルス感染症が拡大していることに鑑み、新たな感染を強力に抑え込むため、8月12日に「岩手緊急事態宣言」を発令しました。
 市では、同宣言の発令に伴い、8月14日から8月31日まで、市関連施設の利用制限を「レベル4」で運用することとしましたのでお知らせします。
 なお、今後の感染状況によっては、期間の延長、ガイドラインの変更や、施設によってはガイドラインと異なる利用制限をすることもありますのでご了承願います。

レベル1 市内・県内の感染者は無い状況が続いた場合
 レベル1へ移行す目安としては、市内・県内の感染者は0が続き、首都圏等で感染が少ない場合)

レベル2 市内・県内の感染者は減少している場合
 レベル2へ移行する目安としては、市内の感染者は0が続き、県内の感染者は一ケタ以下が続き、首都圏等で感染が減少している場合

レベル3 市内で感染拡大の恐れがある場合 県内で感染拡大の恐れがある場合 市内において感染が若干あり、県内において感染が減少していない、または二ケタ以上の感染者がある場合
 県内または隣接県において感染が拡大し、市内においても感染が拡大する可能性が高いと判断される場合には、スポーツ施設について、岩手県内規模での開催に限ること、または大会の中止を依頼することもある

 レベル4【現在適用しているレベル】
 緊急事態宣言が岩手県に発令された場合 県内・市内で感染が拡大している場合 市内で感染者が連続して発生している場合
 詳しくは、添付ファイルをご覧ください。

で、「レベル4」が発令され、花巻高村光太郎記念館、宮沢賢治記念館、宮沢賢治イーハトーブ館、花巻新渡戸記念館、萬鉄五郎記念美術館、宮沢賢治童話村など、すべて31日(火)まで休館だそうです。
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元々、企画展「光太郎の三陸廻り」は30日(月)までの予定でしたが、休館回復後、会期を延長するのか、それともこのまま終了とするのか、そのあたりは未定とのことでした。

あちら方面へお出かけの予定のある方、ご注意下さい。

まだ始まって一ヶ月足らずですので、休館回復後の会期延長を希望しますが、どうなりますことやら……。第一、31日(火)で「レベル4」が解除されるかどうかも不透明ですし……。

これだけ感染拡大が続く中、花巻市の決定は、ある意味、「英断」と言えるのかも知れませんが、それにしても、「いつまでこの状態が続くんだ」と思わざるを得ませんね……。

【折々のことば・光太郎】

右鼻孔に出来た腫物面疔になる虞あり、ズルフアミン剤が欲しと思ふ。


昭和23年(1948)8月3日の日記より 光太郎66歳

「面疔(めんちょう)」は、黄色ブドウ球菌の感染によって起こる皮膚感染症。化膿性で、進行すると脳膜炎に移行すると、昔は恐れられていました。

この後、光太郎、大事には至りませんでしたが、10日ほど腫れが引かず、閉口したようです。