お世話になっている福島県いわき市の草野心平記念文学館さんから、年報の第21号が届きました。多謝。発行が2020年3月31日ということで、1年前のものですが、なぜか毎年、この時期に1年遅れで届きます。
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内容的には平成30年度(2018年度)の事業報告的なところがメインです。そこで、当方も拝見に伺った、光太郎にも関わった企画展「宮沢賢治展 ―賢治の宇宙 心平の天―」、「草野心平の居酒屋『火の車』もゆる夢の炎」等について、詳述されていました。
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また、「火の車……」の関連事業として開催された、料理研究家の中野由貴さんによる「居酒屋「火の車」一日開店」について、4ページ。
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さらに、当方は欠礼しましたが、企画展の関連行事等ではなく単独で開催された、当会会友・渡辺えりさんによる「文芸トーク 東北の文学 光太郎・賢治・心平」の筆記録も、5ページにわたって掲載されています。
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渡辺さん、これまでも各地でのご講演や、テレビ番組等で、お父様の正治氏と光太郎の交流について語られてきまして、ここでもそうした内容の部分があります。ところが、ある程度の長さが活字になっているものはこれが初かな、という感じです。その他、スペイン・ゲルニカ平和博物館のレポート的な内容や、東京や花巻でのご体験、心平や賢治へのまなざしなど、興味深く拝読しました。

その他、栗原敦氏(実践女子大学名誉教授)、牛崎敏哉氏(宮沢賢治記念館学芸員)、和合亮一氏(詩人)、安斉重夫氏(彫刻家)のご講演や対談等も活字になっています。

ご入用の方、同館までお問い合わせ下さい。

【折々のことば・光太郎】

朝八時頃阿部弘さんと瀬川孝蔵氏と同道来訪、クキの生きてゐるのを数尾持参。此所で料理されて朝食。生の石たたき。酢みそつけ。塩焼。ヰロリの火にかざしてやく。二尾生かしておく。クキの鱗に霰縞あり、美し。


昭和22年(1947)5月21日の日記より 光太郎65歳

「クキ」は川魚の「ウグイ」のことです。当方は「塩焼」が非常に美味しそうに感じます。

鱗の模様に美を見いだすあたり、光太郎の本領発揮ですね。