昨日は光太郎65回目の忌日、連翹忌だったため、都内に出ておりました。レポートいたします。

まずは、豊島区の染井霊園にて、光太郎の墓参。コロナ禍なかりせば、夕方から日比谷松本楼さんでゆかりの方々にご参集いただき、連翹忌の集いでしたが、そちらは昨年に続き、遺憾ながら中止。当方が代表しての墓参で、第65回連翹忌とさせていただきました。

染井霊園一帯は、ソメイヨシノ発祥の地。最近は地球温暖化の影響でしょうか、連翹忌当日には、霊園の桜もほとんど散ってしまっています。
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KIMG4893自宅兼事務所の、光太郎が愛でた連翹の子孫もかなり散ってしまっており、まだ花が多く残っていた別の株(福島の花見山で購入した苗から育ったもの)の連翹を剪って持参し、手向けました。

二本松の友人によると、やはり今年は例年になく桜や連翹が早く咲いたそうで、寒い東北でも散り始めているとのこと。ある意味、無気味です。将来的に、連翹忌の日に連翹が咲いていない、ということにならなければいいのですが……。缶ビールと連翹以外の花は、当方が着く前にどなたかがお供えしたものです。ビールは光太郎の好物でした。
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昨日も自家用車でして、この後、愛車を北区赤羽に向けました。目指すは絵本専門店・青猫書房さん。こちらでは、3月31日(水)から、郡山ご在住の絵本作家・ノグチクミコさんの「鉛筆で描かれた絵本の原画展「ほんとうの空の下で」」が開催中で、染井とそれほど遠くもないので、行ってみました。
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絵本『ほんとうの空の下で』は、平成29年(2017)の刊行。福島県浪江町で愛犬と共に自給自足の生活をされ、東日本大震災後、平成28年(2016)に亡くなった川本年邦さん(享年86)と、愛犬のシマを主人公とした実話です。
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40ページあまりの原画、おそらく全てが展示されていました。
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CG全盛のこの時代、鉛筆で描かれた絵は、ノスタルジックな雰囲気とともに、実に温かみを感じさせます。「絵本」というジャンルは、やはりこうであってほしいものだと思いました。

ノグチさんがいらっしゃれば、サインを頂こうと思い、絵本をカバンに入れていったのですが、残念ながらいらっしゃらず。会場内にはサイン本が販売されていますし、4月18日(日)にはノグチさんのトークショーが開催されるそうです。原画展の会期は4月26日(月)までです。

続いて、最終目的地、文京区の浄心寺さん。
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昨年1月に亡くなった、当会顧問であらせられた故・北川太一先生の菩提寺です。別名「さくら寺」。しかし、やはりソメイヨシノ系はもうほぼ終わっていました。ただ、八重桜系はみごとでした。
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昨年もそうしましたが、今後、4月2日は染井霊園と浄心寺さんと、墓参のハシゴがルーティーンになるのでしょう。北川先生のお墓にも、光太郎にお供えしたのと同じ連翹を一枝。髙村家の墓参はいつも厳粛な気持ちにさせられますが、北川先生のお墓に詣でると、なぜかほっこりしてしまいます。手を合わせつつ「先生、染井にお参りしてきましたよ」、と語りかけ、「今年も連翹忌の集まりは出来ませんでしたが、来年こそ出来るように、お力添え下さい」とお願いして参りました。

繰り言のようになりますが、本当に来年こそ、連翹忌の集いの復活できることを切に願う次第です。

以上、都内レポート、おわります。

【折々のことば・光太郎】

晴、うすぐもり。温くなる。 坂の上まで散歩、草〻の芽を見る、コブシがまだ白く咲いてゐる。

昭和22年(1947)5月4日の日記より 光太郎65歳

「坂の上」は、蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋の裏手、現在、「智恵子展望台」と呼ばれているところではないでしょうか。