今月17日、初回放送の当日に気付き、このブログではご紹介しませんでしたが、NHKさんのラジオ、AM第1・第2、それからFMでも放送されている5分間番組「音の風景」で、光太郎詩の朗読がありました。その後、放送時間の異なる地方局を含め、繰り返し放送されているようです。また、ネット上での「聴き逃し配信」で聴けますので、ご紹介します。

音の風景「朗読シリーズ うた景色~高村光太郎~」

2021年3月17日(水)午前9:15放送 2021年5月11日(火) 午後3:20配信終了

5分のサウンドトリップへようこそ! リスナーのみなさんを音だけの世界にお連れします。想像をかきたて、記憶を呼び覚まし、心を潤す音の数々。音響デザイナーがお届けする、5分間の音の旅をお楽しみ下さい。

【朗読】松重豊【語り】井上あさひ ▽智恵子抄の世界を音で彩ります。

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取り上げられている作品は、『智恵子抄』から、「あどけない話」(昭和3年=1928)、「樹下の二人」(大正12年=1923)、「千鳥と遊ぶ智恵子」(昭和12年=1937)、そして短歌「光太郎智恵子はたぐひなき夢をきづきてむかし此所に住みにき」(昭和13年=1938)。

朗読が松重豊さん。無駄な抑揚を抑えた渋く重厚なお声で、光太郎詩の世界感が見事に表現されています。ちなみに松重さん、光太郎の朋友・北原白秋を主人公とし、伊嵜充則さん演じる光太郎も登場した映画「この道」(平成31年=2019)では、光太郎の師・与謝野鉄幹役でした。
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語りは井上あさひアナ。朗読の合間に、作品の背景等を解説なさっています。
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上記リンクから配信ページに入れます。ぜひお聴き下さい。

【折々のことば・光太郎】

曇又晴、スルガさんの牛放牧され、小屋前の厨芥をたべ、砂糖大根の葉もたべる。

昭和22年(1947)4月7日の日記より 光太郎65歳

蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋周辺。のどかな春の山村風景ですね。

「スルガさん」は、光太郎に山小屋の土地を提供した駿河重次郎です。「砂糖大根」は甜菜(てんさい)、サトウキビと並ぶ砂糖の主原料です。