昨日に引き続き、光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)からインスパイアされた作品関連で。

鉛筆で描かれた絵本の原画展「ほんとうの空の下で」

期 日 : 2021年3月31日(水)~4月26日(月)
会 場 : 青猫書房 東京都北区赤羽2-28-8
時 間 : 3月 11:00~18:00  4月 11:00~19:00 日曜 11:00~17:00
休 業 : 火曜日
料 金 : 無料

福島県浪江町の山里で暮らしていたおじいさんと犬のおはなしを描いた絵本の原画展
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絵本『ほんとうの空の下で』は、平成29年(2017)の刊行。福島県浪江町で愛犬と共に自給自足の生活をされ、平成28年(2016)に亡くなった川本年邦さん(享年86)を主人公とした実話です。

東日本大震災前から、子供たちのために幻灯の上映を続けていた川本さん、原発事故後の避難生活の中でも幻灯会を続け、最期は郡山の介護施設で亡くなりました。老いた愛犬・シマは、その前年に、川本さんの施設入所に伴って貰われていった里親さんの元で亡くなっていました。
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ラストは、川本さんとシマの魂が、共に過ごした「ほんとうの空」がある浪江の山里に還って行く、というシーンです。
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絵の中に文字が書かれていることはあるのですが、基本、言葉がありません。それが却って効果的で、幻灯を一コマずつ見ていくような感覚が呼び起こされ、最後は涙腺崩壊に導かれます。

原画展、当方が把握している限り、これまでも埼玉や福島で開催されていましたが、今回は都内の絵本専門店さんで行われるそうです。関連イベントとして以下も予定されています。

 4月4日(日)  双葉郡高野病院医師・NGOシェア代表 本田徹さんのおはなし
 4月11日(日) NPOひなん生活を守る会代表 鴨下祐也さんのおはなし
 4月18日(日) 『ほんとうの空の下で』について ノグチクミコさん
 4月26日(月) 詩とライヤー演奏 福島で被災した星ひかりさん


コロナ感染には十分お気をつけた上で、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

ひる分教場へゆく。道路雪解水ながれ。路なき雪の上をよつて歩く。困難。 知事、国分謙吉、村長高橋雅郎、投票、郵便物うけとる。


昭和22年(1947)4月5日の日記より

蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村、4月に入ってもこういう状態だったのですね。

国分謙吉は地方自治法の施行に伴って、初めて選挙で選ばれた知事の一人です。これ以前は中央官庁から派遣された人物が知事でした。この時、後に光太郎に「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作を依頼する津島文治(太宰治実兄)が、青森県知事に当選しています。

国分と光太郎は、昭和25年(1950)に新聞社の企画で対談を行っています。光太郎、この時点では、そんなことになるなどとは考えていなかったでしょうね。

知事選挙といえば、先般、当方の住む千葉県で知事選挙が行われました。とんでもない泡沫候補が何人も「売名のため」と公言して立候補したりし、変な意味で注目されてしまいました。千葉県民として恥ずかしい限りです。