福島市で開催され、光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)からのインスパイアで、「ほんとうの空」の語を冠して下さっている声楽アンサンブルコンテスト。

第1回は平成20年(2008)でした。平成23年(2011)は東日本大震災直後ということあり、中止。平成25年(2015)から、サブタイトルに「-感動の歌声 響け、ほんとうの空に。-」が使われるようになりました。福島の皆さんの切実な思いが込められているように感じられます。そして昨年はコロナ禍のため中止。今年、2年ぶりの開催となります。ただし、コロナ禍明けやらぬ中、一般客への公開は無く、オンライン配信だそうです。

一昨日の『福島民報』さんから。

あぶくま抄 声楽アンコン

 合唱曲「大地讃頌[さんしょう]」は全国で歌い継がれている名作の一つだ。〈母なる大地を讃[たた]えよ、褒めよ、讃えよ土を〉。平和を祈り、土の恵みに感謝する。戦時中、浪江町に身を寄せた詩人大木惇夫の実体験が歌詞の底流にある。
 この雄大で力強い名曲を使い、全日本合唱連盟は実験を試みた。歌声とともに口から出る飛沫[ひまつ]はどこまで飛ぶのか。合唱団員二十人が歌い、最長飛距離は男性が六十一センチ、女性が五十七センチだった。では、ドイツ語のベートーベン「第九」だとどうか。大合唱で知られる曲だけあり、百十一センチを記録した。
 声楽アンサンブルコンテスト全国大会が十八日に福島市で開幕する。新型コロナウイルス感染対策として、ステージ上の出演者は互いに二メートル以上の間隔をとる。実験結果を根拠とする連盟のガイドラインを参考にした。消毒なども徹底し、より安全な環境を目指す。
 昨年は全国規模の主な合唱大会が相次いで中止となった。コロナ禍で歌う喜びを分かち合う方法をみんなで探ってきた。その一歩を合唱王国・福島から踏み出す。一般客は入場できないが、動画を配信する。歌声に込められた情熱と感動は、距離を置く人と人の心を結ぶ。

コンテストの詳細はこちら。

第14回 声楽アンサンブルコンテスト全国大会 - 感動の歌声 響け、ほんとうの空に。 -

期 日 : 2021年3月18日(木)~21日(日)
      3月18日(木)中学校部門 3月19日(金)高等学校部門
      3月20日(土・祝)小学生・ジュニア部門、一般部門
      3月21日(日)各部門金賞受賞団体による本選
会 場 : ふくしん夢の音楽堂(福島市音楽堂) 福島県福島市入江町1-1 

一般入場券は販売しません。客席へ入場できるのは、当日出演する団体で出演者入場券をお持ちの方のみとします。有料でライブ配信及びアーカイブ配信を行います。

 声楽アンサンブルコンテスト全国大会は、音楽を創りあげるもっとも基礎となる要素「アンサンブル」 に焦点をあてた、2名から16名までの少人数編成の合唱グループによるコンテストです。
 全国の合唱レベルの向上を図るとともに、歌うことの楽しさを福島から全国に発信することを目的として、2008年(平成20年)から開催、今大会で第14回目を迎えました。
 本大会の特色として、伴奏楽器及び伴奏の形態が自由で多様な合唱音楽を追求、部門、年代を越えて演奏し合います。また、海外の合唱グループも公募し、音楽を通じて交流を図ります。

 なお、今大会は規模を縮小し、感染拡大防止策を講じながら開催する予定ですが、今後の新型コロナウイルス感染症の感染状況によっては、大会の中止又は内容を変更する場合があります。
※外国人審査員の招聘、海外団体の募集、特別企画(スペシャルコンサート)、プレコンサート、交流会等は実施しません。
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下記は一昨年の第12回大会、本選のダイジェスト。実にハイレベルなのがよく分かりますね。

ただ、苦言を呈させていただければ、以前からそうなのですが、出演団体は発表されるものの、それぞれの演奏曲が事前にわかりません。「この団体が出るから聴きたい」という方も多いのでしょうが、「この曲を演奏する団体があるのなら聴きたい」というニーズも少なくはないと思うのですが、どうでしょうか。

【折々のことば・光太郎】

一五五番地の規君より写真いろいろ届く。自家撮影の小型写真。

昭和22年(1947)2月28日の日記より 光太郎65歳

「一五五番地」は駒込林町一五五番地、光太郎の実家です。「規君」は、実弟・豊周の子息で、後に写真家となった故・髙村規氏。この時満14歳、この頃から既に写真に親炙していたのですね。