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散策&観賞 岩手(南部地域)編 ~修学旅行に行く前に読む本~

2020年10月1日 ユニプラン編集部編 株式会社ユニプラン 定価510円+税

歴史と雄大な自然に包まれた岩手県から、花巻・遠野・奥州・平泉といった南部地域にある約20件の観光・学習施設を掲載。

中尊寺をはじめとした魅力的な定番スポットを豊富な写真ともに紹介しています。
さらに、岩手県にまつわるコラムも充実。
歴史や文化(平泉文化/遠野物語など)、ゆかりの人物たち(宮沢賢治/高村光太郎/石川啄木)のコラム8件を掲載しており、地域への理解を深めて頂こうとしています。
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目次
 序
 岩手県の風土 岩手県全図 中尊寺境内図 平泉・奥州詳細図
 一関・平泉
  厳美渓  猊鼻渓  達谷窟毘沙門堂  平泉文化史館  中尊寺
  毛越寺  高館義経堂  平泉文化センター  岩手サファリパーク
  平泉文化(奥州藤原氏のおこり/平泉文化の特徴/藤原三代の文化遺産)
 奥州
  高野長英記念館  奥州市伝統産業会館  後藤心平記念館
 花巻
  宮沢賢治記念館  高村光太郎記念館・高村山荘
  宮沢賢治(宮沢賢治のプロフィール/賢治の作品)  光太郎の軌跡
 遠野
  遠野市立博物館  とおの物語の館  伝承園
  遠野物語  東北の民間信仰  石川啄木
 陸中海岸南部
  碁石海岸  東日本大震災津波伝承館「いわてTSUNAMIメモリアル」
  リアス海岸の形成  プレートテクトニクス
 問合わせ先


ユニプランさんというのは、修学旅行の班別自主研修教材・地図・しおり等を多く手がけていらっしゃる京都の出版社です。

コロナ禍の影響で、じわりと東北、特に岩手への修学旅行が増えているそうで、県内の学校さんで花巻温泉さんを拠点にするところが増えているという報道がありましたが、県外からもあるそうです。先日、花巻高村光太郎記念館さんで伺ったところ、山形の中学校さんが100名ほどでいらしたそうで。

そういう流れを受けての岩手県南部ガイドです。同社刊行の東北編としての栄えある第1弾のようです。

花巻高村光太郎記念館さん、隣接する光太郎が暮らした山小屋(高村山荘)も取り上げて下さり、ありがたいかぎりです。上記表紙にも写真が載っています。
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さらに花巻と光太郎との関わりについても書いて下さっていて、理解が深められるようになっています。戦時の翼賛活動を恥じての蟄居、という記述がないのが残念ですが。
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岩手県、さすがにコロナ感染ゼロはとぎれましたが、それでも感染リスクの少ない地域であることは変わりなく、さらに感染ゼロがとぎれたために、かえって神経質にならなくとも、というところでしょうか。

それから、上記目次を見ると、この地域、あらためてこんなにも見どころが多いかという感じもしました。といっても、やはりクラスターが起こらないようにしていただきたいものですし、むずかしいところですね。


【折々のことば・光太郎】

ほんとうだと思っていても、それが間違いのときは、すぐに改めればいいのです。嘘が得だとか、ほんとうのことが得だとか、ということなしに従うのがいいのです。
談話筆記「高村光太郎先生説話 八」より
昭和24年(1949) 光太郎67歳

修学旅行ではありませんが、光太郎の住む花巻郊外太田村山口地区へ、校外学習的にやってきた新制花巻高等学校(昭和28年に花巻北高・南高に分離)の生徒たちに語った講話の一節です。会場は山小屋近くの山口小学校でした。

戦時中の翼賛活動を念頭に置いての発言でしょう。ある意味「君子は豹変す」を地で行っています。しかし、ただ単に間違いは改めるべき、だけでなく、「ほんとうのことが得」、つまり「改めた方が得」、という考えではなしに、と付け足しているところがすごいと思います。当時の高校生たち、何を感じ取ったでしょうか。

修学旅行なり、校外学習なり、校内にいてはわからないさまざまな見聞を広めるいい機会です。花巻では、生前の光太郎をご存じの方々もまだご存命。そこで、「光太郎はこんな人だった」というお話を、修学旅行なりで若い世代に伝えるような取り組みがあってもいいのかな、という気がします。