花巻高村光太郎記念館さんで4日から開催されている展示「光太郎の父 光雲の鈿女命(うずめのみこと)」について、地方紙二紙の報道をご紹介します。

まず『岩手日日』さん、9月7日(月) 

日本神話の場面 精巧に 光太郎記念館 光雲作「鈿女命像」

007 高村光太郎の父で彫刻家の光雲(1852~1934年)が制作したとされる木彫「鈿女命(うずめのみこと)像」が、花巻市太田の高村光太郎記念館で展示されている。
 光雲の孫にあたる藤岡貞彦さん(85)=横浜市=が花巻市に寄贈したもので、光雲の作品は同館で初公開となる。23日まで。
 像を保管していた藤岡さんが今年1月、光太郎と縁の深い土地で展示してほしいと寄贈した。
 像は高さ33㌢で制作年代は不明。サクラの木を材料とし、一本の木から作品を掘り出す一木(いちぼく)造りとみられる。
 日本神話の中から、天岩戸(あまのいわと)に隠れた天照大神(あまてらすおおみかみ)を誘い出すため、踊りを披露した天鈿女命(あめのうずめのみこと)をモチーフにしている。
 衣服のなびく様子や指先の動きなどが細かく彫られ、天照大神を
引き出そうとする緊張感が読み取れる。父の作であることを示す光太郎直筆の木箱もある。
 同館の佐々木正晴館長は「細かな意匠が張り巡らされているので、光雲の技巧を堪能してほしい」と話している。
 展示時間は午前8時30分~午後4時30分。入館料350円で観賞できる。問い合わせは同館=0198(28)3012=へ。

続いて、仙台に本社を置く『河北新報』さん 

花巻・高村光太郎記念館 父・光雲の木彫り初公開

 詩人で彫刻家の高村光太郎の父で、近代日本を代表する彫刻家高村光雲(1852~1934年)の木彫り「鈿女命(うずめのみこと)」の展示会が4日、花巻市の高村光太郎記念館で始まった。今年1月に花巻市に寄贈された作品で、初めての公開となる。23日まで。
 「鈿女命」は桜材を使用したとみられる一木造りで高さ33㌢。日本神話で天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸にこもった際、踊りで誘い出した天鈿女命(あめのうずめのみこと)を題材としている。
 保管していた光雲の孫の一橋大学名誉教授藤岡貞彦氏(85)=横浜市=が花巻市に寄贈した。専門家の鑑定の結果、光運の銘がなく、緻密な仕上げが施されていないことから、習作か制作途中の作品とみられる。
 佐々木正晴館長は「衣の細かい彫りや手足の先まで緊張感の漂う出来は、光雲の特徴を表している。これまでに光雲作の天鈿女命像は確認されておらず、非常に貴重な作品だ」と話す。
 会期中無休。入場料は大人350円、高校・大学生250円、小・中学生150円、小学生未満無料。連絡先は記念館0198(28)3012。


これまでに『朝日新聞』さん、IBC岩手放送さんの報道を紹介しましたし、近々『岩手日報』さんも報じて下さるはずです(電話取材を受けました)。のちほどご紹介します。

来週9月15日(火)には、関連行事としての当方の市民講座「高村光雲の彫刻に触れる」が開催されます。「触れる」といっても触れられませんが(笑)。

展示は23日までと短めですが、連休がありますので、ぜひ足をお運び下さい。


【折々のことば・光太郎】

一十六歳 高村小父
雑纂「高祖保宛『をぢさんの詩』献辞」より 
昭和18年(1943) 光太郎61歳

『をぢさんの詩』は、光太郎唯一の年少者向け詩集です。内容的には戦時中ということで「痛い」ものが多く、「これこそ光太郎詩の真骨頂」と涙を流してありがたがっている愚か者がいるのですが、その気が知れません。

それはともかく、編集に当たってくれた詩人の高祖保にあてた献呈本が最近出て来まして、その見返しに書かれた献辞から採りました。出版時に数え61歳だった光太郎が、年少者向けということで1の位と10の位を入れ替え、「一十六歳」と洒落を効かせています。


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