当会顧問であらせられた故・北川太一先生の御著書をはじめ、光太郎智恵子に関する書籍を多数出版して下さっている文治堂書店さん。そのPR誌的な『トンボ』の第10号が届きました。


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表紙に大きく書かれているとおり、今号は北川先生の追悼特集です。


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様々な皆さんが、北川先生への追悼詩文を書かれています。

「追悼 北川太一」と括られた部分で、花巻高村光太郎記念会長・大島俊克氏、劇作家・女優の渡辺えりさん、北川先生の菩提寺・浄心寺さんのご住職の佐藤雅彦和尚、光太郎と交流のあった詩人・野澤一ご子息・野澤俊之氏、詩人の服部剛氏、同じく曽我貢誠氏と市川恵子氏、アーティストの前木久里子氏。

それ以外の部分でも、文治堂社主の勝畑耕一氏、服部氏はさらに追悼詩、北川先生ご子息の北川光彦氏、それから当方も書かせていただいております。

若き日の先生のお写真も。

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皆さんの北川先生に対する思いの丈に接し、心打たれるとともに、先生の業績の偉大さ、そして人間的な懐の深さなどを改めて痛感いたしました。同時に、その先生を喪った深い悲しみがまたぞろ思い起こされ、複雑な心境です。

当会にて10月発行予定の『光太郎資料』(北川先生より名跡をお譲りいただいたものですが)をお申し込みいただいている方には、併せてお送りしますが、それ以外の方、それからすぐに読みたいという方は、文治堂書店さんまでお申し込み下さい。一応、定価500円+税ということになっています。


【折々のことば・光太郎】

とにかく、十和田湖というふうな大自然の中へ、大胆に放り出されちやうのだから、そして十和田湖自身が、日本だけのものではなくてスイツツルやイタリアの、僕たちの頭にある湖の風景とくらべて遜色ない、いまに世界的の観光地になるにきまつているから、いい加減なくだらないものは置かれない。相当の覚悟がいるのです。僕は死んだつて構わないという覚悟でやる気なんです。

座談会筆録「美と生活」より 昭和27年(1952) 光太郎70歳

光太郎最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作のための下見に訪れた十和田湖の、宿泊した東湖館で為された座談会から。その同じ夜、座談会終了後に、ぼそっと「智恵子を作ろう」と呟いたそうです。