新型コロナにより、先月7日から出されていた緊急事態宣言は今日にも全面的に解除となる見通しだそうです。それに先立って首都圏の一都三県、北海道以外は解除されていましたが、ようやく全国でということになります。

こうした中で、全国の博物館、美術館、文学館等も少しずつ再開。花巻の高村光太郎記念館さんは6月1日(月)から再開、二本松の智恵子の生家/智恵子記念館さんは5月20日(水)には既に再開しているそうです。

当会の祖・草野心平を祀るいわき市の草野心平記念文学館さんも、5月21日(木)に再開しました。地方紙『福島民友』さんの記事から。 

【いわき】草野心平記念文学館が再開 「天」テーマの企画展、6月28日まで

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため臨時休館していたいわき市草野心平記念文学館は21日、再開した。4月11日に始まった企画展「天へのまなざし」を引き続き6月28日まで開く。
 同館は4月18日から休館し、朗読サロンなど一部のイベントが中止となった。本年度最初の同企画展には心平の詩に深く関係のある「天」をテーマにした詩集や絵画など約46点が並ぶ。
 新型コロナ感染拡大防止のため、来場者同士の距離を取ることや入場票への記入、同館への出入り時に消毒をしてもらうなどの対策を取る。問い合わせは同館へ。

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記事にある通り、4月11日(土)から企画展「草野心平の詩 天へのまなざし」が始まりましたが、わずか1週間で休館となっていました。

光太郎が題字を揮毫した心平詩集『天』(昭和26年=1951)が展示されるなど、わずかながら光太郎との関わりもありますし、招待券も頂いてしまっているので、明日にでも行ってこようと思っております。もちろん感染予防に気をつけながら、ですが。

これから徐々に各種施設の再開、さらにはイベント等も行われ始めると思われます。まだ予断を許さない状況ですが、よろこばしいことだと存じます。

あと一息、頑張りましょう!


【折々のことば・光太郎】

今までこんなに全体の抱和した芸術を日本でみたことのない気がします、私はまだ詩について何事も公けに言はない時に居ますが後に詩の事について書く時、此の集が実に重要なものである事を感じます。

雑纂「萩原朔太郎詩集「月に吠える」に就て」全文
 大正6年(1917) 光太郎35歳

初出は雑誌『感情』第二年第四号。朔太郎に宛てた書簡の一部抜粋です。

「抱和」は「飽和」でなく「抱和」、原文の通りで当方の誤字ではありません。明治大正期には意外と使われていた言葉のようで、「融合」と類義のようです。

『月に吠える』は、3年前に刊行された光太郎の『道程』同様、自費出版でした。この2冊の詩集により、日本の口語自由詩が確立したと言っても過言ではありますまい。

まだ海のものとも山のものともつかない朔太郎をこの時点で絶賛していた光太郎、のちの心平や宮沢賢治に対してもそうでしたが、本物の才能を見分ける力は確かでした。