1月31日(金)の『日本経済新聞』さん夕刊。文化面の「こころの玉手箱」という連載が、歌手の太田裕美さんによるもので、光太郎の名が。 

こころの玉手箱 歌手 太田裕美(5) 2代目の愛犬 がん治療支える大きな存在

2019年7月に乳がんの手術を受け、抗がん剤治療を続けている。日々の暮らしの中で、飼い犬の十兵衛とのふれあいが大きな癒やしになっている。十兵衛は18年2月から家族の一員になった。飼い犬としては2代目。まずは初代、小太郎の話から始めたい。
時は東日本大震災の直後に遡る。米国に住む友人から連絡があった。彼女の義兄は福島県内で犬のディーラーをしている。「原発が心配だから避難しているんだけど、犬にエサを与えるため毎日2時間かけて家に戻っているんだって」
私は何匹かうちで預かろうかと持ちかけ、そうこうしているうちに、お義兄さんの家の付近は安全だと分かって一件落着となった。
しばらくして、また連絡があった。地震から1カ月後の4月12日、子犬が生まれたという。これも何かの縁だと思い、我が家で引き取ることにしたのだ。
詩人の高村光太郎にちなんで光太郎と名づけようとしたら、息子が友達と同じ名前は嫌だというので、小太郎にした。2人の息子の下に小さな3男ができた。
小太郎は柴犬(しばいぬ)で、わび、さびを解し、一人の世界を好んだ。家族全員がメロメロになった。
ところが16年、5歳7カ月になる1日前に逝ってしまった。これまでの人生で一番悲しい出来事だった。
1年喪に服した後、保護団体が預かっている飼い主のいない犬、いわゆる保護犬を飼うことした。一目で「この子だ」と決め、いかつい顔をしているから剣豪の柳生十兵衛にちなんで十兵衛と名づけた。十兵衛は雑種で大の甘えん坊。今や我が家のプリンスだ。
愛犬を1日10分なでるだけで幸せオーラが出て、免疫力が上がるとの説を聞いた。私は小太郎を愛する中で免疫力がついていたはずだが、喪失感が大きすぎて病気になったのだろうか。
しかし今は十兵衛がいてくれる。朝起きて十兵衛に「おはよう」と声をかけるだけで笑顔になれる。日常を楽しく過ごしていれば、きっと健康を取り戻せる。そう信じている。



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太田さん、かなりの愛犬家のようでいらっしゃいますね。記事の画像は現在飼われている十兵衛君だそうですが、太田さんのツィッターを調べてみましたら、故・小太郎君の画像も残っていました。かわいいですね。

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それにしても、なぜ「詩人の高村光太郎にちなんで光太郎と名づけようとした」のかは謎ですが(笑)。

小太郎君は柴、十兵衛君はミックスだそうですが、当方の愛犬にも何となく似ていて親近感を覚えます。

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柴犬系雑種で、先月、16歳になった老犬ですが、まだまだ元気です。

ところで、1週間ほど前の夕方、こいつと散歩中、裏山の杣道を歩いていましたら、道の脇の藪から「ガサガサッ」という音。さらに灌木の枝が大きく揺れていました。最初は「鳥かな?」と思ったのですが、それにしては枝の揺れやガサガサ音が大きく、それもそのはず、藪からひょっこり顔を出したのは、大きなイノシシでした(笑)。

当方及び愛犬との距離は2メートルほど。イノシシと遭遇するのは3度目でしたが(1度目、2度目はこちらをご参照下さい)、最も近距離での遭遇となりました。そのまま通り過ぎようと思ったところ、「それ以上近づくと、いてまうぞ」感を醸し出していましたので、愛犬ともども、慎重に後ずさり、結局来た道を引き返しました。杣道といっても、一番近い民家から100㍍足らずの場所だったのですが……。

愛犬、吠えもせず、意外と平然としていました。下手に吠えると先方を刺激していたかもしれず、そう考えると役に立ったような、立たなかったような(笑)。

無事帰宅して家族に報告したところ、「こんな時間にあんな所歩いたらイノシシいるでしょ!」と怒られました(笑)。「明るいうちなら大丈夫だろう」と、後日、再び現場を見に行きました。すると、どうもその場所に巣(?)でも作っているようで……。

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太田裕美さんの話から、イノシシの話と、何だかまとまりませんが……(笑)。


【折々のことば・光太郎】

日本はありがたい事には到る処豊富な天然美に恵まれてゐる。此が私等の避難場だ。此を利用して健康な趣味と高く清い美との遊園地を造るのが第一だ。
散文「有望なのは天然的遊園地」より 大正10年(1921) 光太郎38歳

ここで言う「遊園地」とは、絶叫マシンなどの立ち並ぶそれではなく、自然の景観を生かしたリゾート地、といった意味合いです。具体的には自分の思い出の地でもある上高地や赤城山などを、なるべく手を加えず整備したらいいだろうという提言にもなっています。

「天然美」はいいのですが、イノシシはちょっと……(笑)。