都内からバレエの公演情報です。

新国立劇場バレエ研修所公演 バレエ・オータムコンサート2019

期 日 : 2019年11月2日(土) 3(日)
会 場 : 新国立劇場 中劇場 東京都渋谷区本町1-1-1
時 間 : 両日とも15:00~
料 金 : 全席指定 2,200円

プログラム
スパニッシュ・ダンス『檸檬(レモン)哀歌』(振付:小島章司)(ギター:フェルミン・ケロル、カンテ:石塚隆允)
『ラ・シルフィード』第2幕より パ・ド・ドゥ
『パリの炎』より パ・ド・ドゥ
『くるみ割り人形』第2幕より
 ほか

新国立劇場バレエ研修所は、日本初の国立劇場附属の研修機関として2001年に開所して以来14期88名の修了生を送り出し、修了生はバレエ界の第一線で活躍しています。技術から教養まで幅広く学ぶことで世界に通じるダンサーの育成を目指しています。2018年からは、『ANAスカラシップ』の開始により海外研修も充実し、本公演後、最上級生がANAスカラシップ生としてロシアの名門A.Y.ワガノワ記念ロシア・バレエ・アカデミーで研修を行います。
今回は、クラシカル・バレエの名作『くるみ割り人形』第2幕からグラン・パ・ド・ドゥを中心にスパニッシュやトレパックなどいくつかの踊りを抜粋して上演します。また、研修カリキュラムの一つとして取り入れているスパニッシュ・ダンスを研修所講師の小島章司氏の振付でご覧いただきます。日頃の研修の成果をお楽しみください。


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というわけで、プログラムに「檸檬(レモン)哀歌」が入っています。まぁ、智恵子の臨終を謳った光太郎詩「レモン哀歌」(昭和14年=1939)からのインスパイアなのでしょう。

同研修所さんのサイトに、「「バレエ・オータムコンサート2019」『檸檬(レモン)哀歌』のリハーサルの様子をご紹介します」という記事がアップされています。それによると、フラメンコに近い群舞のようです。

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フラメンコと「智恵子抄」、一見、異質な取り合わせのように感じられるかもしれませんが、これまでにも多くの方が、「智恵子抄」へのオマージュ作品を扱われています。

古くは故アキコ・カンダさん。昭和46年(1971)4月28日、芸術座さんで開催された第5回リサイタルで。写真は篠山紀信氏です。ただ、完全なフラメンコというより、モダンダンスにフラメンコの要素が入って、という感じだったようです。

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平成に入ると、鍵田真由美さん、佐藤浩希さんのお二004人による「レモン哀歌〜智恵子の生涯〜」が、平成10年(1998)10月、新宿のスペース・ゼロさんで上演されました。この際には、光太郎と交流のあったハーモニカ奏者の故・新井克輔氏が演奏で参加されていました。新井氏、かつての連翹忌でハーモニカ演奏をご披露いただきました。

それから、あまり大々的に宣伝されていないようなので、このブログでご紹介していませんが、最近でも、故・平幹二朗氏の子息でやはり俳優の平岳大さんも、「智恵子抄」をフラメンコで取り上げて下さっています。ただ、「フラメンコ」ではなく「ヒラメンコ」だそうですが(笑)。

光太郎詩の持つある種の「熱」が、フラメンコの情熱性とマッチする部分があるのかもしれません。

同じようなことをこのブログで何度も書いていますが、こうした二次創作的な部分で光太郎智恵子の世界を取り上げていただくのは、大歓迎です。そこから間口が広がり、関心を持つ方が増えて下さるといいと思いますので。

ただし、あくまで健全な精神で、リスペクトを持って取り上げていただきたいものです。


さて、新国立劇場バレエ研修所さんの公演、ご都合の付く方、ぜひどうぞ。当方、残念ながら両日ともまた東北に行っております。


【折々のことば・光太郎】

上から見おろすと、しつとり濡れた朝の石の肌に落葉が一面につもつてゐる。落葉に対する私の陶酔がふらふらと起りかける。実際落葉ほど暖かい、たのもしい魅力を私に持つものは少い。落葉に埋れるほど大丈夫な気のする感じは少い。
散文「「童顔社」を観た日の日記 上」より
大正14年(1925) 光太郎43歳

確かに光太郎、「落葉を浴びて立つ」(大正11年=1922)、「美しき落葉」(昭和19年=1944)といった詩も書きましたし、現存は確認できていませんが、プラタナスの落葉を木彫にする構想もありました。