テレビ放映情報です。

日曜美術館「わしがやらねばたれがやる~彫刻家・平櫛田中~」

NHK Eテレ 2019年10月27日(日)9:00~9:45  再放送 2019年11月3日(日) 20:00~20:45

西洋化の波が押し寄せる中、日本伝統の木彫の新たな形を模索した平櫛田中。6代目尾上菊五郎と作り上げた代表作「鏡獅子」の制作秘話を通してその生き様(ざま)に迫る。
歌舞伎の6代目尾上菊五郎の姿をとどめた近代彫刻の最高峰「鏡獅子」。実に22年の歳月をかけて作られた全長2mの彩色が施された木彫の像は、圧倒的な存在感を誇る。作者は岡山県井原市出身の平櫛田中(ひらくし・でんちゅう/明治5年-昭和54年)。ロダンなど西洋彫刻が流入し新たな衝撃が広がる時代のなかで、日本伝統の木彫の新たな可能性を模索した平櫛田中。107年の天寿を全うした、その生きざまに迫る。


【出 演】尾上右近 田中修二(大分大学教育学部教授)
【司 会】小野正嗣 柴田祐規子

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光太郎の父・光雲の高弟であり、光太郎とも親しかった平櫛田中がメインです。現在岡山の井原市立田中美術館さんで開催中の田中回顧展にからめての構成のようです。出演される大分大学の田中修二教授、先般、信州善光寺さんでの光雲とその高弟・米原雲海
による仁王像の調査に参加されたり、それをうけて今月初めに開催された「第14回善光寺サミット」で講演をなさったりしています。また、以前から近代彫刻史関連で、さまざまな示唆に富むご著書も世に問われています。

さらに言うなら、現在、熊本市現代美術館さんで開
催中の「きっかけは「彫刻」。―近代から現代までの日本の彫刻と立体造形」展でも展示されている木彫「鏡獅子」にスポットが当てられます。一昨年、テレビ東京さん系の「美の巨人たち」でもこの作品が取り上げられ、興味深く拝見しました。今回も期待しております。

ぜひご覧下さい。


ついでというと何ですが、「日曜美術館」とセットの「アートシーン」。主に放映日の時点で開催中の全国各地の展覧会を紹介する番組です。10月13日(日)の放映では、新宿中村屋サロン美術館さんで開催中の「生誕140年・中村屋サロン美術館開館5周年記念 荻原守衛展 彫刻家への道」が取り上げられました。

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短い時間でしたが、濃い内容でした。ただ、「アートシーン」で紹介された展覧会は「日曜美術館」本体では取り上げられないことがほとんどなので、その意味では残念ですが。



熊本の「きっかけは「彫刻」。―近代から現代までの日本の彫刻と立体造形」展は11月24日(日)まで、中村屋さんの「生誕140年・中村屋サロン美術館開館5周年記念 荻原守衛展 彫刻家への道」が12月8日(日)までの会期です。それぞれ光太郎作品も出ていますので、ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

彫刻といふのは唯モデルを見ていろんなポオズの面白い、情趣あるものを作る事でもなく、昔風な唐美人や仏像を今様に彫りなほす事でもない。何しろ或る実体を人間の手で生まうといふのであるから、こんなやり甲斐のある、一生を投じても惜しくない、たのしみな、清雅な錬金術はないわけである。

散文「帝展の彫刻について 完」より 大正14年(1925) 光太郎43歳


田中や守衛も同じようなことを考えていたのではないでしょうか。