光太郎実弟にして鋳金の人間国宝だった髙村豊周の作品が出ます。

没後70年 森村酉三とその時代

期 日 : 2019年9月21日(土)~11月10日(日)
会 場 : 群馬県立近代美術館 群馬県高崎市綿貫町992-1 群馬の森公園内
時 間 : 午前9:30~午後5:00
料 金 : 一般:820(650)円、大高生:410(320)円 
       (  )内は20名以上の団体割引料金
       中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料
       県民の日(10/28)に観覧される方は無料
休館日 : 月曜日(9月23日、10月14日、28日、11月4日は開館)、
      9月24日、10月15日、11月5日

 群馬県出身の鋳金工芸家、森村酉三(1897-1949)は、東京美術学校で学んだ技術を生かし、植物文や花で飾られた花瓶を制作、鳥や動物をモチーフとしたモダンな作品で帝展や文展に入選を重ねる傍ら、人物の胸像では、穏やかな写実表現により、モデルの在りし日の姿が偲ばれる作品を多く制作しました。また、高崎の白衣大観音像の原型を手がけたことでも知られています。戦時中の供出により失われた大型作品や、終戦後まもなく病に倒れて亡くなってから時が経過し、所在がわからなくなった作品も多くあります。本展では、森村の作品をできる限り集め、東京美術学校の師・津田信夫や先輩・高村豊周など同時代に工芸の革新を目指した鋳金家たちの活動とともに紹介することで、美術史の中にその足跡を位置付けることを試みます。

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関連事業

シンポジウム「高崎白衣大観音の謎に迫る」 開催日時:9月29日(日)  
 登壇者:手島仁(森村酉三、寿々研究者・前橋学センター長)
     塚越透(井上保三郎、房一郎研究者・元井上工業社員)
     田口正美(群馬歴史散歩の会編集委員・元小学校長)
     神尾玲子(当館学芸員)
 
講演会「鋳物師か?鋳金家か?-彫像作品制作をめぐって」 開催日時:10月6日(日)
 講師:本橋浩介(佐倉市立美術館副主幹・学芸員)
 
講演会「森村酉三の生きた時代-津田信夫と依嘱制作」 開催日時:10月14日(月・祝)
 講師:中松れい(千葉県立美術館学芸課長)  

※各日とも14:00~15:30 当館2階講堂 申込不要・聴講無料(先着200名)

学芸員による作品解説会 開催日時:10月23日(水)、11月2日(土)14:00~15:00 
 会 場:展示室1  申込不要、要観覧料


森村酉三は明治30年(1897)生まれ。東京美術学校鋳金科に学びました。鋳金だけでなく彫刻も手がけ、高崎白衣大観音像の原型制作者としても知られています。

豊周は森村の7歳年上。美校鋳金科の先輩にあたります。ただ、豊周は森村の作品をあまり高く買っていなかったようで、『髙村豊周文集』(文治堂書店)には、けっこう手厳しい評が載っています。

豊周の作品については、こちら

豊周以外に、豊周の師でもある津田信夫、豊周の助手を務めたこともある丸山不忘、豊周と共に光太郎の盟友・碌山荻原守衛の絶作「女」の鋳造に携わった山本安曇など、関連作家の作品も並びます。

ぜひ足をお運び下さい。


【折々のことば・光太郎】

ああ此の我家 根の高い四角な重たい我家 小さい出窓のまつ赤にひかる我家 夏の朝の力にひそむ我家 貧しい我家のたまらなく貴い朝だ

詩「我家」初出形より 大正5年(1916) 光太郎34歳

初出は雑誌『感情』でしたが、昭和6年(1931)春陽堂刊行の『明治大正文学全集第三十六巻 詩篇』に収められた際、大幅に改訂され、上記部分を含む第二連がばっさりカットされました。

智恵子との結婚披露から約2年、貧しくも充実した日々を送っていた頃の「我家」。のち、『詩篇』が刊行された昭和6年(1931)には智恵子の心の病が顕在化し、上記部分などは自身で読むに堪えないという感覚だったのでしょうか。