光太郎がらみのコンサート情報を2件。

まずは仙台からで、もう今日になってしまいました。言い訳させていただけるなら、千葉大停電の影響もあったのか、情報を得るのが遅くなりました。

サロンコンサート《 いざなう月の琴 》vol.27 

期 日 : 2019年9月13日(金)
時 間 : 19:00~
会 場 : アクテデュース 宮城県仙台市青葉区大町1-1-15 大町川村ビル4F
料 金 : 3,000円
出 演 : 齋藤卓子(ピアノ演奏とお話)002

*プログラム*
 高村光太郎『智恵子抄』と共に
  ロベルト・シューマン(1810-1856)
  ・ダヴィッド同盟舞曲集 Op.6
  ・ピアノソナタ 第1番 Op.11 第1, 2楽章
  ・幻想小曲集 Op.12「夜に」
  ・交響的練習曲 Op.13
  ・子供の情景 Op.15「トロイメライ」
  ・幻想曲 ハ長調 Op.17 第3楽章         他
 クララ・シューマン(1819-1896)
  ・音楽の夜会 Op.6 第2曲 ノットゥルノ

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クララ・シューマン生誕200年の記念日にお送りするサロンコンサート《 いざなう月の琴 》はいわば『ひとり シューマンと智恵子抄』。『シューマンと智恵子抄』。この組合せを唐突に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、画業と音楽、ジャンルは違えど彼等は芸術家同士の夫婦であり、互いの才能を尊重しながらも、しかし半身は心を病み早逝するなど、その生き様には共通点が多く、また『智恵子抄』にシューマンのピアノ曲を重ねた時に私の中で面白いほどイメージが合致するところがあり、4人への敬愛の念も加わって、この思い付きにはかねてより深い愛着を持っていました。『シューマンと智恵子抄』は10年ほど前に友人の朗読家 荒井真澄さんとのコラボレーションとして数回上演していますが、久方振りに向き合う今回は改めて内容を組み直し、ピアノも朗読も!単独チャレンジで行います。


ピアニストの齋藤卓子(つなこ)さん。平成24年(2012)に、やはり仙台の古民家レストラン「びすた~り」さんで、朗読の荒井真澄さん、墨画の一関恵美さんとのコラボで「シューマンと智恵子抄」を公演なさっています(それ以前にもやられたそうです)。そこで、平成25年(2013)に第57回連翹忌では、齋藤さんのピアノに合わせ、一関さんがその場で墨画を描くアクションペインティングを披露していただきました(荒井さんはご都合が付かずお二人でした)。

お近くの方、ぜひどうぞ。


もう1件。都内から歌曲系です。

4人のバリトンコンサート ハンサムなメロディー

期 日 : 2019年9月22日(日)
時 間 : 15:00~
会 場 : めぐろパーシモンホール 大ホール 東京都目黒区八雲1-1-1
料 金 : 一般 3,500円 区民割引 3,000円 学生 1,000円
出 演 : 宮本益光、加耒徹、近藤圭、与那城敬

*プログラム*

第1部 私の好きな歌 
 ラフマニノフ  夜の静けさの中 Op.4-3 (加耒)  シューベルト ブルックにて (近藤)
 湯山昭 木犀のセレナーデ (宮本)  トスティ 理想の人 (与那城)
第2部 オペラアリア集
 レハール   『メリー・ウィドウ』より 祖国のためなら (宮本)
 ロッシーニ  『セヴィリアの理髪師』より 私は街の何でも屋 (加耒)
 モーツァルト 『魔笛』より オイラは鳥刺し (近藤)
 ビゼー    『カルメン』より 闘牛士の歌 (与那城)
第3部 加藤昌則歌曲集
 落葉 (与那城) 冬の木になる (宮本) レモン哀歌 (加耒) 旅のこころ (近藤)
第4部 あなたに・・・
 『ティファニーで朝食を』より ムーンリバー (加耒)
 『ガイズ&ドールズ』より 運命よ、今夜は女神らしく (近藤)
 『レ・ミゼラブル』より 星よ (与那城)
 『マイ・フェア・レディ』 より 君住む街角 (宮本)
 加藤昌則 もしも歌がなかったら (全員)

オペラアリア、ミュージカル音楽に日本歌曲まで今を輝くバリトン4人衆があなたに贈る華麗なひととき。その魅力あふれる声と華やかな佇まいで高い人気を誇る4人の歌い手、宮本益光、加耒徹、近藤圭、与那城敬が、バリトンの魅力を存分に味わえる多彩な4部構成プログラムをお贈りします。各テーマを通して4人それぞれの個性をたっぷりとご堪能ください。
バリトン4人に加え、ピアノには作曲など多岐に渡る活動をみせる加藤昌則が登場。
さらには“handsome弦楽四重奏”として神奈川フィルのコンマスを務める﨑谷直人らが豊かな彩りを添えます。
この凛々しくハンサムなメンバーが、煌びやかなオペラの名曲から加藤昌則作曲の心に染み入る歌曲まで、とっておきの時間をお届けします。

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加藤昌則氏という方、今回もピアノでご参加されるそうですが、この方が作曲された「レモン哀歌」がプログラムに入っています。平成20年(2008)の作品だとのことですが、寡聞にして存じませんでした。

光太郎詩、どうも一般にはそう思われていないようなのですが、意外と朗読向きですし、ということは歌曲の歌詞としても適しています(光太郎自身はあまり自作の詩に作曲されることを好まなかったのですが)。

光太郎の精神を重んじ、リスペクトの念を持ってきちんと作曲される分には大歓迎ですので、作曲されるみなさん、ぜひ取り上げていただきたいものです。


【折々のことば・光太郎】

ああ 人類の道程は遠い そして其の大道はない 自然の子供等が全身の力で拓いて行かねばならないのだ 歩け、歩け どんなものが出て来ても乗り越して歩け この光り輝やく風景の中に踏み込んでゆけ

詩「道程」初出形より 大正3年(1914) 光太郎32歳

光太郎詩の代表作にしてあまりにも有名な(こんな新聞記事を読むと最近はそうも言えなくなってきたかな、という感がありますが)「道程」。最初に雑誌『美の廃墟』に掲載された段階では、何と102行もある長大な詩でした(全文はこちら)。それが約7ヶ月後に詩集『道程』に収められる際に、ばっさり削られ、現在知られている僅か9行の形に圧縮されました。

上記の部分のあとに、「僕の前に道はない」という現在知られている形とほぼ同一の形が続きます。

ちなみに102行の原型、花巻髙村光太郎記念館さんの第一展示室に、映像と朗読で光太郎詩を紹介するブースがあり、そちらでベテラン声優の堀内賢雄さんによる朗読が聴けます。