3月21日(火)、竹橋の東京国立近代美術館さんをあとに、銀座に向かいました。午後2時開演の「朝岡真木子歌曲コンサート第6回」拝聴のためです。

会場は王子ホールさん。昨秋開催された「えつ子とまき子のコンサート 2022秋」と同じでした。
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作曲家・朝岡真木子氏の歌曲作品を、7人の歌手の皆さんが歌われるというコンセプトで、基本、独唱ですが、二重唱あり、合唱ありと、飽きさせない構成になっていました。
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今回は「第6回」と冠されており、継続的に行うには、やはりアップデートが必要なのでしょう。初演の新作を含むプログラムでした。

歌詞は現役の詩人の皆様から提供を受けたものが多く、絵本作家としても活躍されているこわせたまみ氏、金子みすゞ顕彰でも名高い矢崎節夫氏など、作詞者の方々がほとんどいらしていまして、終演後に紹介されていました。詩の選択は書き下ろしなのか、朝岡氏が旧作からセレクトして使わせてもらっているのかまでは寡聞にして存じませんが。

というわけで、新作もあれば、二重唱や合唱なども盛り込まれていたため、歌い手さんたちはそれなりに練習が大変だったでしょう。それを言えば、ピアノは全て朝岡氏ご本人で、幕開けからカーテンコールまで出ずっぱり。そのあたりの大変さをお客様に気取られないようにされるあたり、プロですね。

で、プログラム中に、組曲「智惠子抄」から2曲、「千鳥と遊ぶ智恵子」「値ひがたき智恵子」。こちらは最近、メゾソプラノの清水邦子氏の持ち歌的な感じになっており、やはり清水氏の歌唱でした。

過日、ご紹介いたしましたが、清水氏、組曲「智惠子抄」CDをリリースされ、公的にはこの日が発売日でした。そこで、受付でコンサート自体のプログラムとともにフライヤーも配付されていました。
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清水氏と親しい、映画監督の水谷俊之氏(一昨年にNHK BSプレミアムさんで放映された「プレミアムドラマ山女日記3 #3 あどけない空・安達太良山」の監督もなさった方)、それから当方が書いたライナーノートの抜粋も印刷されています。恐縮至極。

オンライン販売も為されていますし、フライヤー裏面はFAXでの注文書になっていまして、必要な方は下記画像を印刷してお使い下さい。
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PXL_20230321_060411330開演前、第1部と第2部の間の休憩時間、それから終演後、ロビーに物販コーナーが設けられ、このCDも並びました。

わずかながら制作に協力させていただいた身としましては、売れ行き等気にかかるもの。少し離れた場所からチラ見しておりました(笑)。そこそこ売れていたようです。ただ、他の歌手の方がリリースされたCDも多数並んでいたため、「智惠子抄」のみが飛ぶように売れるというわけにはいかなかったようですが。「智惠子抄」を買われた方には「えらい!」と、心の中で賛辞を送らせていただきました(笑)。

日比谷松本楼さんで4月2日(日)開催の第67回連翹忌の集い会場内でCDの販売も致しますし、朝岡氏、清水氏には「智惠子抄」から抜粋で演奏していただく予定です。

ご参加なさる方、お楽しみに。また、これから参加したいという方、まだ受付中です。コメント欄(非公開設定可)からお申し込み下さい。

【折々のことば・光太郎】

濱田葆光氏作画展覧会 自二月十一日 至二月二十日
濱田葆光氏は、所謂「ヸルヂニテエ、デモオシヨン」を蔵する画家にして、熱心なる自然の真の探求者に御座候。今回、品川海岸の研究画を主として、氏の油画十数点の展覧会を弊堂に於て相催し候間幸に御抂駕御一覧の程偏に願上候 神田区淡路町一丁目一番地 琅玕洞

明治44年(1911)2月10日 水野葉舟宛書簡より 光太郎29歳

葉舟宛、というより広く送られた案内状と推定されます。

琅玕洞」は、前年、光太郎が開店した画廊。日本の画廊の中では最初期のものです。名目上の店主は、実弟の道利でした。ここでは正宗得三郎、柳敬助、斎藤与里、濱田葆光ら親しかった新進美術家の個展をたびたび開きました。濱田葆光は太平洋画会研究所に学び、中村不折、満谷国四郎に師事した画家です。「ヸルヂニテエ、デモオシヨン」は、「無垢な凄み」とでもいった感じでしょう。
無題