昨日は都内に出ておりました。

まずは「龍星閣がつないだ夢二の心―『出版屋』から生まれた夢二ブームの原点―」を拝見。『智恵子抄』初版版元の龍星閣主・澤田伊四郎と竹久夢二にスポットを当てた展示で、『智恵子抄』関連の展示はないだろうと思いこんでおりましたところ、「いや、あるよ」という情報をご提供いただきまして、伺った次第です。

会場の日比谷図書文化館さん。
PXL_20230129_060119994
連翹忌の集いの会場としてお借りしている日比谷松本楼さんと同じく、日比谷公園内にあり、松本楼さんを横目に見ながら参りました。ちなみに今年4月2日(日)には、4年ぶりに連翹忌の集いを開催する予定で、会場は押さえてあります。詳細はまた後ほど。
PXL_20230129_060149551 PXL_20230129_060242221
PXL_20230129_060410806.MP
会場内、撮影可でした。

メインは龍星閣さんから千代田区さんへ寄贈された夢二作品でしたが、その前段的に、出版人としての澤田の紹介がなされ、『智恵子抄』を世に出したことにも触れられていました。
PXL_20230129_060537806
PXL_20230129_060516924
PXL_20230129_060426188
『智恵子抄』の各種の版とともに、光太郎から澤田宛書簡も。
PXL_20230129_060436232
PXL_20230129_060453142
平成30年(2018)、龍星閣さんから同町に光太郎関連資料が大量に寄贈された中に含まれるものでした。

図録も販売されており、このあたりも記述があります。1,500円也です。
001 002
その後、メインの夢二関連。
PXL_20230129_060617901
PXL_20230129_060639648
PXL_20230129_060702229
PXL_20230129_060732888
PXL_20230129_060740801
大正期に人気を博した夢二ですが、昭和に入って、戦中・戦後すぐまでは一旦、忘れられかけていたとのこと。その夢二を再発掘したのが澤田だそうで、「夢二をやる。ブームにしてみせる。見ているがいい」と、語り、画集の出版などでそれを実現させました。

それにしても、出品点数が実に多く、入場無料なのでもっと小規模な展示かと思っていたのですが、あにはからんや、でした。

ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

またまた老大家諸先生の御勉励には実に小生ら感憤いたさんずれば無之候。評判の象評判の如くにて候 小生らは偏に感心仕候


明治33年(1900)9月25日 加藤景雲宛書簡より 光太郎18歳

加藤景雲は光太郎の父・光雲の高弟の一人。後にこうした先輩やアカデミズム系の彫刻家の作品をけちょんけちょんにディするようになる光太郎ですが、この頃はまだ筆鋒おだやかです。

「象」は「像」の誤りでしょう。あるいはこの頃は「像」という表記がまだ確立していなかったのかも知れません。

この書簡、現在、売りに出ています。値段は88万円也です。
000