新刊です。

まなの本棚

2019年7月23日 芦田愛菜著 小学館 定価1,400円+税

運命の1冊に出逢うためのヒントに! 「本の出逢いは人との出逢いと同じ」 年間100冊以上も読み、本について語り出したら止まらない芦田愛菜が本当は教えたくない“秘密の約100冊"をご紹介。世代を超えて全ての人が手に取ってみたくなる考える力をつけたい親御さんと子供たちにも必読の書です。

 Q 本の魅力にとりつかれた初めての1冊は?
 Q 一体、いつ読んでいるの?
 Q どんなジャンルの本を読むの?
 Q 本を好きになるにはどうしたらいい?
 Q 好きな登場人物は?

スペシャル対談 ・山中伸弥さん(京都大学iPS細胞研究所所長 教授) ・辻村深月さん(作家)も収録!

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目次
 プロローグ 宝探しみたいに本の世界へ入っていきます
 第1章 語り出したら止まらない! 芦田愛菜の読書愛
  いちばん最初の読書の記憶
  村上春樹さんに私、ハマってしまったみたい!
  読書はお風呂や歯磨きと同じ生活の一部
  3~4冊を同時並行で読むことも
  背表紙がキラリと光って見えるんです
  本の感想に“正解”はなくていいのかも
  紙の本の手触りが好き
  4コマまんが ちょっとの間にも読んでいます・読むのをがまんしてる時は
 第2章 本好きへの扉を開いた6冊
  『おしいれのぼうけん』
  『不思議の国のアリス』
  『都会のトム&ソーヤ』
  『ツナグ』
  『言えないコトバ』
  『高瀬舟』
 第3章
  まなの本棚から84冊リスト
  ここからスタート!の絵本 『もこ もこもこ』 『ぐりとぐら』
  小学生で夢中になった児童書 『天と地の方程式』 『若おかみは小学生!』
   『魔女の宅急便』『怪盗クイー
ン』 『怪人二十面相』
  次々と読破したシリーズもの 『落語絵本』シリーズ
   『ストーリーで楽しむ日本の古典』シリーズ 『小学館版
学習まんが人物館』シリーズ
  世界を広げた海外児童文学 『赤毛のアン』 『あしながおじさん』
   『ハリー・ポッター』シリーズ
  興味がつきない体の不思議 『学習まんが ドラえもん からだシリーズ』
  気になったらすぐに開く図鑑 『花火の図鑑』 小学館の図鑑NEO『星と星座』
   『宇宙』『岩石・鉱物・化石』
  ゾワッとするSF小説 『ボッコちゃん』 『声の網』
   対談 山中伸弥先生×芦田愛菜 科学はどこまで進歩していいのでしょうか
  歴史がもっと知りたくなる 『平安女子の楽しい!生活』 『空色勾玉』 『白狐魔記』
  熱い友情や“スポ根”大好き 『夜のピクニック』 『バッテリー』 『よろこびの歌』
  『風が強く吹いている』 『リズ
ム』
  限界へ!自分との闘い 『DIVE!!』
  嫉妬やコンプレックス 『反撃』 『ふたり』
  きょうだいや家族への思い 『一人っ子同盟』 『西の魔女が死んだ』 『本を読む女』
  日本語って奥深い! 『舟を編む』 『ふしぎ日本語ゼミナール』
  言葉や伝えるということ 『きよしこ』 『ぼくのメジャースプーン』
  辻村ワールドにハマるきっかけに 『かがみの孤独』
   対談 辻村美月さん×芦田愛菜
      「小説は一人では成り立たない」ってそういうことなんですね!
  止まらなくなる!海外ミステリー 『シャーロック・ホームス』シリーズ
   『モルグ街の殺人』 『Xの悲劇』 『そし
誰もいなくなった』
  日本文学〈~平安時代〉神話や貴族の生活 『古事記』 『日本書紀』 『風土記』
   『源氏物語』
  日本文学〈江戸時代〉エンタメ充実!  『曽根崎心中』 『雨月物語』
   『南総里見八犬伝』『東海道中膝栗毛』
  日本文学〈明治時代~〉人生や恋に悩んだり  『福翁自伝』 『舞姫』
   『吾輩は猫である』『坊っちゃん』 『ここ
ろ』 『小僧の神様』 『たけくらべ』
   『友情』 『伊豆の踊子』『雪国』 『細雪』『智恵子抄』 『一握の砂』
   『雨ニ
マケズ』 『高野聖』 『破戒』 『夜明け前』
  太宰治より私は芥川龍之介派! 『蜘蛛の糸』
  戦争について考えるきっかけに 『ガラスのうさぎ』 『永遠の0』
  海外文学 答えは一つじゃないはず 『賢者の贈り物』 『変身』 『レ・ミゼラブル』
  そしてこれからも 『海辺
カフカ』
 コラム 好きな登場人物
  男性編 湯川学『探偵ガリレオ』 内藤内人『都会のトム&ソーヤ』
   片山義太郎『三毛猫ホームズの推理』 
玄之介『あかんべえ』 堂上篤『図書館戦争』
   松本朔太郎『世界の中心で、愛をさけぶ』
  女性編 有科香屋子『ハケンアニメ!』 スカーレット・オハラ『風と共に去りぬ』
   ジョー・マーチ『若草物語』 
赤羽環『スロウハイツの神様』 林香具矢『舟を編む』
 エピローグ 本がつないでくれるコミュニケーションや出逢い




現在、中学3年生、15歳の芦田愛菜さん。読書好きというのは以前から公言なさっていたようで、今回の出版につながったようです。これまでに読んだ本の中から約100冊を紹介するというコンセプトで、この年で約100冊が紹介できるというのも驚きです。しかもラインナップを見ると、古今東西、かなり幅広く網羅されており、感心します。

013光太郎の『智恵子抄』を取り上げて下さいました。ただ、紹介はほんのちょっとですが(笑)。それから、シリーズとして、『小学館版学習まんが人物館』シリーズ。村野守美さんという方の作画、当会顧問・北川太一先生の監修で、「高村光太郎・智恵子 変わらぬ愛をつらぬいた二つの魂」がラインナップに入っています。

芦田さん、光太郎が尋常小学校の課程を卒業した、荒川区立第一日暮里小学校さんのご出身です。

同校では、「先輩光太郎に学ぶ」ということで、様々な取り組みをして下さっています。特に6年生は、総合的な学習の時間等で、光太郎に関する調べ学習などを1年間にわたり行っています。当方、芦田さんの次の学年の児童さん達が6年生だった年度に、授業を拝見したり、ゲストティーチャーに招かれたりしました。

そこで芦田さん、6年生の時に(或いはもっと以前に?)これらを読まれたのでしょう。

また、同校では図書館教育にも力を入れ、それが評価されて、平成27年(2015)には、当時のケネディ駐日大使が学校訪問に来られたことも。学校としての図書館教育の充実も、芦田さんの本好き、そして、本書に書かれた芦田さんの「読書観」(なかなか核心を突いた鋭いものの見方です)にも関わっているのかも知れません。

さて、夏休みとなり、定番の読書感想文の宿題に悩まれている小中高生の皆さん、親御さんも多いかと存じます。『まなの本棚』、そういう方々向けのブックガイドとしても好著です。

ぜひお買い求め下さい。


【折々のことば・光太郎】

翻訳は共同の性質を持つ。気のついた人が訂正するやうな慣はしにしたい。

雑纂「誤訳です」より 昭和4年(1929) 光太郎47歳

大正5年(1916)に刊行した訳書『ロダンの言葉』につき、中野重治が訳文に疑念を呈し、それを読んだ光太郎が調べ直してみるとその通りだったとのこと。すぐさまその誤りを雑誌『新潮』に発表したわけです。

後の翼賛詩→連作詩「暗愚小伝」の問題についてもそうですが、光太郎の偉いところの一つは、自らの誤りを謙虚に認め、訂正できることだと思います。