東北新幹線を福島駅で下車、安達駅まで戻る形で東北本線に乗り、安達駅から徒歩で、智恵子の生家/智恵子記念館を目指しました。
智恵子生家では、現代アートの祭典「福島ビエンナーレ 重陽の芸術祭2018」の一環として、13日(土)から切り絵作家の福井利佐さんの作品が展示されています。10月7日(日)、智恵子を偲ぶ第24回レモン忌の際には、太平洋美術会の坂本富江さんの絵画展が行われており、福井さんの展示も改めて観に行かねば、というわけで参上しました。
また、毎年この時期に開催されている智恵子居室を含む二階部分の特別公開も行われています。















続いて、箱階段で2階へ。番頭さんのような人は、市教育委員会の服部氏。ご実家は生家隣の戸田屋商店さんです。













福井さんの作品ではないものも。智恵子実家からそう遠くない、養泉院さんという修験系の寺院で配布されている縁起物だそうです。


幼い頃の、あるいは長じてからもたびたび実家に帰っていた智恵子がこれを眼にしていたとしたら、のちの紙絵制作に何らかの影響を及ぼしたのではないかと思い、興味深く拝見しました。
1階には、智恵子母校・油井小学校さんの児童諸君の作品も。

1階といえば、初めての試みだと思いますが、何と物販コーナーが設けられていました。

地元のお菓子などが売られており、こんなものも。思わず買ってしまいました(笑)。

長登屋さんというお菓子メーカーの製品です。なるほど、ほんのりレモンの香。

さて、生家裏手の智恵子記念館さんへ。

玄関先に、「第23回智恵子のふるさと小学生紙絵コンクール」の入選作品。




明治末、生家で撮られたと推定される智恵子肖像写真をモチーフにした作品もあり、感心しました。使っている紙は新聞紙です。他の作品ものびのびと作られ、いい感じです。
館内では、普段は写真複製が展示されている智恵子の紙絵の実物が10点、展示されています。実物を見るたびに思うのですが、1ミリに満たない紙の重なりが微妙な立体感を出しており、この味は複製ではなかなか再現できないものです。見ていてせつなさがこみ上げてくる作品ですが、ぜひ実物をご覧になることをおすすめします。
生家での福井さんのインスタレーションは11月25日(日)まで、記念館での紙絵実物展示は11月27日(火)までだそうです。
この後、さらに北、青森十和田を目指して旅を続けました。続きは明日。
【折々のことば・光太郎】
神田神保町に行くと大抵の本はある様であるが、又懐中との相談を考へると、大抵の本は無い様でもあるのである。
散文「「日本古典全集」礼賛」より 大正14年(1925) 光太郎43歳
光太郎の時代からそうだったのですね。現代は図書館やインターネットなどで情報が入手しやすくはなりましたが、やはり現物を手に入れようとすると、「懐中との相談」の結果、「無理」と言われます(笑)。