このところ、このブログで紹介すべき事項が多く、後手後手に回りがちです。こちらも既に始まっている企画展です。

花子 ロダンのモデルになった明治の女性

期 日 : 2018年7月8日(日)~9月24日(月・振休)
会 場 : 岐阜県図書館 岐阜市宇佐4-2-1
時 間 : 10時~18時
料 金 : 無料
休館日 : 毎週月曜(祝日の場合は翌日)、毎月最終金曜

県図書館では、企画展「花子 ロダンのモデルになった明治の女性」を下記のとおり開催します。
明治期にヨーロッパへ渡り、女優として活躍した花子(本名太田ひさ)は、帰国後の20余年を岐阜の地で過ごしました。
彫刻家ロダンがモデルとした唯一の日本人であり、森鴎外の短編小説のモデルとしても有名な花子の魅力と生涯を、写真や文献などで紹介します。

岐阜女子大学名誉教授・澤田助太郎氏から寄贈された花子関係資料やロダン作の花子像などを展示
 花子をモデルにしたロダン作のブロンズマスク2体(岐阜市、公益財団法人岐阜市国際交流協会所蔵作品)
 花子像の写真(ロダン作、新潟市美術館、国立西洋美術館等の所蔵品写真)
 ヨーロッパ巡業当時の写真、演劇関係資料他
 花子を題材とした文芸作品(森鷗外「花子」、高村光太郎「小さい花子」等
 花子に関する諸研究資料

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関連事業

花子トーク(全2回)
 場所:岐阜県図書館 2階 研修室(申込不要、各回先着60名) 時間:14:00~15:30
 第一回 : 平成30年7月22日(日)「花子と高村光太郎」
         講師:丸山幸太郎氏(岐阜女子大学教授兼地域文化研究所長)
 第二回 : 平成30年8月5日(日)「森鴎外の『花子』-岐阜ゆかりの女優の活躍」
         講師:林正子氏(岐阜大学副学長・地域科学部教授)

「花子」紙芝居と映画
 期日:平成30年8月19日(日)
 場所:岐阜県図書館 2階 多目的小ホール(申込不要、先着90名)
  <三味線紙芝居「花子」> 13:30~14:30  脚本・語り・三味線:伊藤今日子氏
  <なつかシネマ上映会> 14:30~15:30
     映画「プチト・アナコ~ロダンが愛した旅芸人花子~」


このブログで何度かご紹介して参りました、日本人女優・花子。確認できている限り、唯一、ロダンの彫刻モデルを務めた日本人です。そういうわけで、昨年公開された映画「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」にも登場していました。ロダンが花子をモデルに作った彫刻は十数点、うち、いくつかは日本でも見られます。

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光太郎は昭和2年(1927)、郷里の岐阜に花子を訪ね、その模様を出版社・アルスから書き下ろしで刊行した評伝『ロダン』に書き残しています。その際の章のタイトルが「小さい花子(プチ ト アナコ)」。上記要項に「高村光太郎「小さい花子」」とありますので、評伝『ロダン』が展示されるということでしょう。

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光太郎から花子に宛てた、訪問させてもらってありがとうございました、的な書簡も現存しています。

また、花子に関しては、光太郎の師・森鷗外が短編小説「花子」を明治43年(1910)に発表しています。今回はそちらの関連の展示物もあるようです。

関連事業としての講演会「花子と高村光太郎」が、明日、開催されます。

それから8月19日(日)には、映画「プチト・アナコ 〜ロダンが愛した旅芸人花子」の上映。この作品は存じませんでした。調べてみましたところ、平成7年(1995)の制作だそうです。物語は、舞踏家の古川あんずさん演じる晩年の花子が、麿赤兒さん扮する光太郎に、ロダンとの思い出を語る形で進行するそうで、ぜひ拝見したいものです。

ぜひ足をお運び下さい。


【折々のことば・光太郎】

強いと一緒に広く生きたい。大きく生きたい。のびやかに成長したい。そして、此と共に堪へがたく渇き求めるものは知識である。生きた知識である。

散文「文芸界の広さ」より 大正元年(1912) 光太郎30歳

2年後に発表された詩の代表作「道程」にも通じるような、「生」への渇望が見て取れますね。