一昨日、上野の東京藝術大学大学美術館さんで、「NHK大河ドラマ特別展「西郷どん」」展を拝見したあと、京浜東北線で大森に向かいました。

その前に、「西郷どん」展を拝見したので、銅像の「西郷どん」にもご挨拶。それから、「西郷どん」展を見る前でしたが、最近、ロダンがらみで横浜美術館さんで開催中の「ヌード NUDE  ―英国テート・コレクションより」や、DVD「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」を拝見したりしましたので、国立西洋美術館前の「地獄の門」も。

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特に「接吻」の部分を、しみじみと観て参りました。

さて、大森。東口から歩いてすぐの西友大森店さん5階の映画館・キネカ大森さんに参りました。こちらで一昨日、映画「一陽来復 Life Goes On」の上映が始まりました。もっとはやく他館で観るつもりでいましたが、何やかやで一昨日になってしまいました。

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東日本大震災の被災から立ち直ろうとする人々を描いたドキュメンタリーで、益田祐美子プロデューサー、尹美亜監督など、平成28年(2016)に封切られた同様の映画「サンマとカタール~女川つながる人々」とスタッフがかなり重複しています。いわば姉妹編といったところでしょうか。

「サンマとカタール」は、光太郎が昭和6年(1931)に『時事新報』の依頼で紀行文執筆のために訪れ、それを記念する文学碑が建てられ、そして「女川光太郎祭」を毎年開いて下さっている宮城県女川町が舞台でしたが、「一陽来復Life Goes On」は、岩手、宮城、福島で5ヶ所の被災地を取り上げています。すなわち、岩手県釜石市、宮城県の南三陸町と石巻市、福島県では浪江町、そして川内村。

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基本、これら5ヶ所の人々の、最近の様子のレポートです。

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このうち福島の川内村は、いわき出身の当会の祖・草野心平が生前にたびたび訪れ、名誉村民に指定して下さっています。そこで、夏には心平を偲ぶ「天山祭」、秋には「かえる忌」(昨年は中止となりましたが)が行われ、「かえる忌」では当方、心平と光太郎の交流について、講話をさせていただいたことものあります。

川内村で米作りを続けられている秋元さん夫妻、それから「かえる忌」を主催なさっている天山心平の会会長にして、川内村商工会長の井出茂氏がご出演。

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消防団の訓練に秋元さんの作った米を使ったおにぎりを差し入れる婦人会の皆さんの中にも、「かえる忌」で見知った顔がありました。それから遠藤川内村長もちらっとご登場。ちなみにナレーションは藤原紀香さんと山寺宏一さんですが、画面には一般の方しか出てきません。

他の地域の登場人物の皆さんも、それぞれの事情や想いをかかえつつ、ときにくじけそうになりながらも、前を向いて歩く姿が描かれていました。


上記動画で流れますが、テーマソングは松任谷由実さん作曲の「春よ、来い」。この映画のための井内竜次氏によるヴォカリーズアレンジバージョンです。ラストシーン、満開の桜のドローン撮影をバックにこれが流れ、思わずうるっと来てしまいました。号泣しているお客さんもいらっしゃいました(笑)。

終演後、大森での初日ということで、尹美亜監督と、出演なさっていた南三陸のホテル観洋さんの女将・阿部憲子さんによる舞台挨拶。舞台挨拶はこれが最後とのことでした。

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全国での上映、じつはほぼ終わってしまっているのですが、キネカ大森さんをはじめ、まだところどころで公開がありますし、「サンマとカタール」同様、テレビ放映やDVD化されることを期待しております。


【折々のことば・光太郎】

ミケランジエロは何をおいても美に生きた。彼ほど美の力を深く感じ、美が人間を救ふものだと信じてゐた者はあまりなかつたやうに思へる。

散文「ミケランジエロ ブオナローテイ」より
昭和25年(1950) 光太郎68歳

光太郎自身も、「美が人間を救う」と信じ、手探りを続けた生涯だったように思われます。