都内レポート2回目です。

新宿での「『智恵子抄』に魅せられて そして~今~ 坂本富江個展」会場を後に、文京区千駄木に向かいました。目指すは光太郎実家の隣、旧安田楠雄邸。こちらで光太郎の実弟にして鋳金の人間国宝だった髙村豊周令孫・髙村達氏の写真展「となりの髙村さん展第2弾補遺「千駄木5-20-6」高村豊周邸写真展」が開催されています。

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受付で観覧料金を支払い、一路、写真展会場の2階へ。邸内の説明をボランティアガイドさんがなさって下さるのですが、昨秋、「となりの髙村さん展第2弾「写真で見る昭和の千駄木界隈」髙村規写真展」」を拝観した際に拝聴しましたので、割愛。

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老朽化のため解体されることになった光太郎実家の、四季折々を収めた達氏撮影の写真が20葉ほど。ご自分の育ったお宅に対する愛おしさとでもいうようなものが感じられました。

会場の安田邸が、ボランティアガイドさんの都合もあり、水、土のみの公開のため、写真展自体も明後日25日(水)、28日(土)と、あと2回のみの開催です。

後で達氏に、ラジオ局の取材が入ったと聞き、帰ってから調べましたところ、「ブルーレディオドットコム」というネットラジオで、達氏の写真家仲間・熊谷正氏のコーナーがあって、そちらで達氏のインタビューもオンエアされていました。しばらくはネット上でも配信されているようです。

その後、安田邸内外をじっくり拝観。大正8年(1919)の建築で、関東大震災後、旧安田財閥の安田善四郎が買い取り、平成7年(1995)まで安田家の所有でした。現在は公益財団法人日本ナショナルトラストさんによって管理されており、一般公開や企画展示などに活用されています。

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窓からは、楓や柏などの新緑が目に染みました。

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ここのみ洋風になっている応接間。

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台所。天井全体から採光されるようになっており、非常に明るかったのが印象的でした。当時としては珍しく、シンクやガスレンジなども完備されていたとのこと。右は電気を使わず、氷を入れて全体を冷やすタイプの木製の冷蔵庫。いい感じですね。

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昨秋訪れた際には、庭の見学は致しませんでしたが、今回はそちらも拝観。

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指呼の距離にあった光太郎アトリエや、森鷗外宅・観潮楼などは、昭和20年(1945)の空襲で灰燼に帰しましたが、この一角は無事だったわけで、今もこうして観ることができます。


その後、安田邸見学者対象に、隣接する髙村邸の見学ツアーが行われました。当方は一足早く髙村邸へ。明日はそちらをレポートいたします。


【折々のことば・光太郎】

絵画に画品と言ふものが顧みられない傾向は近年ますます激しくなつたやうで、画界には腕達者やいたづら者や粗率の者が充満してゐる。私はかやうな画家の作を眼から上に置いて観る気がしない。

散文「宮崎丈二色紙の会」より 昭和14年(1939) 光太郎57歳

絵画に限らず、すべての造形芸術、というか、造型限定でもない芸術全般には、確かに「品」が必要ですね。そして「品」は、「品性」やら「人品骨柄」やら「気品」やらで、人間性にも直結します。