「角川文庫」ブランドを展開するKADOKAWAさんでのキャンペーンです。

角川文庫 創刊70周年 みんなで選ぶ、復刊総選挙 第一期 日本の名作

角川文庫は、本を生み出し続けて70年。記念すべき出版1作目は、ドストエフスキーの「罪と罰」でした。
それから、何千、何万もの作品を世に送り出す間に時代は変わり、流行も変わり、娯楽もずいぶん変わりました。もちろん、本の楽しみ方も例外ではありません。
ただ、どんなに年を経ようとも、ずっと変わらないのは角川文庫が「紙の本」を作りつづけること。
いつでも、どこでも、誰でも、ページをめくるだけで、自由気ままに楽しめる本を作りつづけたいのです。
そして、この先の10年も、100年も、本を愛するひとの一番近くで寄り添いたい。
今日もポケットや鞄の中にひそみ込み、自由な想像の世界へ連れ出す時を待っています。
みんなの文庫へ 発見!角川文庫 70周年

角川文庫創刊70年の歴史の中には、数多くの名作が存在します。この貴重なアーカイブの中から、創刊70周年記念復刊を行います!
日本の名作・日本のエンタテインメント・海外作品の3つのジャンルに分けて、3ヶ月毎に全3回の選挙を実施。
読者の皆様に選ばれた上位作品の各5点を、スペシャル新カバーで復刊いたします!


投票方法
候補作品リストから、投票したい作品を選び、投票フォームへ必要事項を入力したあと、投票ボタンをクリックしてください。
※期毎に3回まで投票できますが、同じ作品への投票は1回までとなります。(同じ作品への複数回の投票は1票として集計します)

投票期間
第一期「日本の名作」:2018年4月2日(月)12:00〜6月28日(木)23:59

プレゼント
投票いただいた読者の方から抽選で、一期あたり100名様・合計で300名様に、図書カードNEXT1000円分をプレゼント!

結果発表
結果発表は、10月上旬頃に本サイトにて公開予定です。


イメージ 1




というわけで、70周年を迎える角川文庫で、それを記002念しての復刊キャンペーンです。投票により、第一期「日本の名作」、第二期「日本のエンタテインメント」、第三期「海外作品」から、上位作品の各5点を、スペシャル新カバーで復刊するとのこと。

かつて角川文庫のラインナップに入っていた光太郎の著書が3冊、候補リストに入っています。

『高村光太郎詩集』。初版は光太郎が亡くなった昭和31年(1956)、当会の祖・草野心平の編集により刊行されました。解説も心平が担当しています。

大正9年(1920)から、昭和28年(1953)までの光太郎詩146篇が収められています。初版刊行当時、流通していた他の光太郎詩集との重複を出来るだけ避けようという意図が見える選択です。それでも『智恵子抄』中の数篇や、詩集『典型』に収められた連作詩「暗愚小伝」などは外せない、という判断だったようです。

評論集『美について』。初版刊行は昭和35年(1960)11月10030日。当会顧問・北川太一先生、それから光太郎と交流が深かった伊藤信吉の解説です。

同名の評論集は、昭和16年(1941)8月、道統社からハードカバーで刊行されていますが、収められている作品はかなり異なります。道統社版は大正10年代から刊行直前までの、どちらかというと随筆系が多いのですが、角川文庫版は明治期の「緑色の太陽」や、長文評伝「オーギュスト・ロダン」(昭和2年=1927)なども含みます。

さらに昭和42年(1967)には筑摩選書版が出ましたが、そちらとも作品の選択が異なります。

そして『詩集 道程 復元版』。大正3年(1914)に刊行された光太郎第一詩集『道程』の覆刻です。角川文庫としては昭和26年(1951)にラインナップに入り、その後、昭和43年(1968)に改版が刊行されました。いずれもやはり当会の祖・草野心平が解説を執筆しています。今回の候補リストでは、改版の刊行日時で登録されています。

イメージ 4 イメージ 5

角川さんでは、同様の復刊キャンペーンを、平成元年(1989)にも、「40周年」ということで行いました。その際は、「外国文学」、「現代日本文学」、「社会 歴史」、「伝記」、「宗教 哲学 思想」、「日本古典」というジャンル分けで、合計30冊が復刊されました。そして『詩集 道程 復元版』も選ばれています。右上の画像がそれです。

004

今回も、光太郎著書のうちのどれかが選ばれてほしいものです。このあと早速、当方はサイトから投票をしますが、皆さんもよろしくお願い申し上げます。組織票ということになると、何だか、プロ野球のオールスターファン投票や、アイドルグループの選抜総選挙のようですが(笑)。



【折々のことば・光太郎】

正真正銘な自己の五臓六腑の感じ、欲し、見、望み、指さすところを基本とし、第一歩的足がかりとする処から一切は始まるのである。これが中々出来ない。しかしこれを本当に踏むことが出来ればそれは確実に地を踏み、天を踏むことなのである。その上は感性と知性との錬磨によつて何処までも生え抜きの芸術を育成させることが出来るに違ひないし、死ぬまで進歩発展するに違ひない。さもないものは皆浮遊の芸術として終る。

散文「上野の現代洋画彫刻」より 昭和15年(1940) 光太郎58歳


造形芸術についての発言ですが、文学についても言えることでしょう。「道程」によって、「第一歩的足がかり」を踏み、死ぬまで進歩発展(時には道を誤ったり、後退したりもしましたが)した光太郎の道程に思いが馳せられます。