信州安曇野の碌山美術館さんでのイベント及び企画展情報です。

まずは光太郎の盟友・碌山荻原守衛の忌日、碌山忌。

第108回碌山忌

期  日 : 2018年4月22日(日)
会  場 : 碌山美術館 長野県安曇野市穂高5095-1
内  容 :
  8:15~     開館60周年記念企画展オープニング
  10:30/13:00 ミュージアムトーク
  13:30~15:30 碌山忌コンサート
  16:00      墓参
  18:00~     碌山を偲ぶ会


明治43年(1910)、数え32歳の若さで逝った守衛を偲ぶ記念日です。入館料は無料、18:00~の「碌山を偲ぶ会」のみ、食事が饗されますのでその分で参加費1,000円です。例年、記念講演等が行われているのですが、今年は割愛だそうです。


前日から、春の企画展が始まります。

開館60周年記念企画展 荻原守衛の人と芸術 Ⅰ 【春季】  彫刻家 荻原守衛 -石膏原型に彫刻の生命を観る-

期 日 : 2018年4月21日(土)~5月27日(日) 
時 間 : AM9:00~PM5:10
料 金 : 大人 700円 (600円)  高校生 300円 (250円)  小中学生 150円 (100円)
       ( )内20名以上の団体
休館日 : 4/23のみ

日本に近代彫刻の息吹をもたらした荻原守衛(1879-1910年号:碌山)の「生命の芸術」はいまなお私たちの心に響き続けています。本展は、開館60周年を記念して、普段は展示していない石膏原型、デッサン、スケッチブックなど全てを展示して、荻原の芸術の全貌をご覧いただくものです。
明治以降に制作された彫刻のうち重要文化財の指定を受けているものは全国にわずか6点しかありませんが、そのうち2点が荻原の《女》と《北條虎吉像》です。このたびは、約20年ぶりに肖像彫刻の傑作と讃えられる《北條虎吉像》を展示いたします。是非この機会にご覧ください。

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このところ、あえてブロンズ彫刻の石膏原型が展示される企画展が見られるようになってきました。昨年は、光太郎の母校・東京藝術大学大学美術館さんでの特別展 「藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!」で、光太郎卒業制作「獅子吼」の石膏原型とブロンズを並べて比較するという試みがあったりしました。

塑像彫刻は、はじめに粘土で原型を作ったあと、それを石膏に取り、さらにそこから型を作ってブロンズで鋳造、というのが通常の手順ですが、そうした段階を踏むごとに細部がぼやっと甘くなっていきます。したがって、石膏の段階の方が、作者の指遣い等がより生々しく残り、作者の意図も表されています。

今回の目玉は「北條虎吉像」の石膏原型。この原型が重要文化財に指定されています。この像は、明治42年(1909)の文部省美術展覧会に出品され、光太郎が「他の作と根を張つてゐる地面が違ふやうにちがふ。」「此の作には人間が見えるのだ。従つて生(ラ ヸイ)がものめいてゐるのだ。僕が此の作を会場中で最もよいと認める芸術品であるといふのは此の故である。」と絶賛したものです。

また、チラシには「坑夫」の石膏原型002も。これは守衛パリ滞在中の作品で、光太郎がぜひとも石膏に取って、日本に持ち帰るようにと勧めたそうです。


ちなみに夏期企画展は7月21日(土)からで、「美に生きる ――荻原守衛の親友たち――」だそうで、光太郎や、新たに寄贈された斎藤与里の絵画も取り上げられます。また近くなりましたら詳しくご紹介します。


ぜひ足をお運び下さい。


【折々のことば・光太郎】

彫刻性といふものを的確に説明する事は甚だ困難であるが、それは洋の東西を問はず、古往今来の相当な彫刻に共通な、あの一種の手に触れてみたくなるやうな、たとへば水に濡れた岩や石のやうな、樹幹のやうな、貝殻のやうな、不可言の面白味ある魅力、又たとへば山嶽や圓い海のやうな、実有の悠遠感を抱かせる大きさと、安定感と流動感とを同時に備へた釣合ある実体の起伏を持つ特殊の性質を指すのである。

散文「文展第三部所感」より 昭和14年(1939) 光太郎57歳

この年の文展評の中から。こういう作品が見られないことを嘆いています。遠く明治末には、守衛の「北條虎吉像」にそれがあったのに、というところでしょう。