光太郎の父・高村光雲の作品が展示される企画展です。

ニッポンの写実 そっくりの魔力

期 日  : 2017年9月30日(土)~11月12日(日)
会 場  : 豊橋市美術博物館 愛知県豊橋市今橋町3-1(豊橋公園内)
時 間  : 午前9時~午後5時  (金土日祝は午後7時まで夜間開館)
料 金  : 一般・大学生 1000(800)円 小・中・高生 400(300)円
        ( )内前売りまたは20人以上の団体料金
休館日 : 月曜日  (10月9日は開館、翌10日休館)

 近年、緻密な技法で対象をリアルに表現した写実的な造形作品が大きな関心を集めています。美術の歴史をふりかえれば、対象を瓜二つに表現することは、洋の東西を問わず古くから多くの人々の関心を集め、作家たちは迫真的な表現をめざして様々な工夫を凝らしてきたことがわかります。
 本物「そっくり」に表現するという課題は、19世紀に写真が発明されたことで一見解決したかに思われました。しかし、いうまでもなく三次元を二次元に置き換える写真には限界があります。コンピューターや映像技術の進展は、そっくりな表現に新たな曲面を開きましたが、現代にあっても対象をそのまま表現するという課題は残っています。
 なぜ本物と見紛うばかりに表現しようとするのか、またなぜそうした表現に私たちはひきつけられるのか——–?、そこには表現、実在、視覚などをめぐる重要なテーマが存在します。
本展では「そっくり」をキーワードに、近年超絶技巧として注目を集めている安藤緑山・山﨑南海ら明治期の工芸作品にはじまり、岸田劉生らの大正リアリズム、野田弘志・礒江毅・諏訪敦の迫真的写実絵画、上田薫・三尾公三らのフォトリアリズム、須田悦弘・前原冬樹の立体造形など、工芸・立体・絵画・映像といった多種多様な写実作品約80点を紹介し、写しとることの意味とそれらを求める根源的な意識を探ります。

出品作家  
<絵画> 横山松三郎・高橋由一・鹿子木孟郎・岡田三郎助・岸田劉生・椿 貞雄・小絲源太郎・髙島野十郎・大澤鉦一郎・宮脇晴・山田睦三郎・水野正一・筧忠治・野田弘志・磯江毅・三栖右嗣・諏訪敦・水野暁・木下晋・星野眞吾・上田薫・三尾公三・鴫剛・岡田修二・山口英紀・橋爪 彩・宮本佳美

<立体> 高村光雲・石川光明・橋本平八・三宅一樹・須田悦弘・前原冬樹

<工芸> 安藤緑山・山崎南海・明珍正信・富木宗義・三浦鉚三郎・森田藻己・満田晴穂

<映像> 佐藤雅晴・伊藤隆介

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関連行事

●記念講演会「写実とはなんだろう」●
講師:野田弘志(本展出品画家)  日時:10月28日(土)午後2時~  会場:講義室(聴講無料/定員80名)

○アーティスト・トーク○
講師:佐藤雅晴(本展出品作家)  日時:10月14日(土)午後2時~  会場:展示室(申込不要/観覧料が必要)

●ワークショップ● 「みんなでつくる不思議な絵」
講師:宮本佳美(本展出品画家)  日時:11月3日(金・祝)午後1時30分~  会場:講義室
対象:小学生20名 参加料:500円

○ギャラリー・トーク○
講師:担当学芸員  日時:10月8日(日)、29日(日)、11月4日(土) 午後2時~
金曜イブニングツアー=10月13・27、11月10日 午後5時30分~  会場:展示室(申込不要/観覧料が必要)


光雲作品は三点、「天鹿馴兎(てんろくくんと)」(明治28年=1895・個人蔵)、「砥草刈(とくさがり)」(大正3年=1914・大阪市立美術館蔵)、「西行法師」(制作年不明・清水三年坂美術館蔵)の3点です。

「天鹿馴兎」は、京都で行われた第四回内国勧業博覧会に出品され、妙技三等賞を受賞した作品です。「砥草刈」と「西行法師」はこちら。

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同展は全国巡回で、6月から8月まで、北海道立函館美術館さんにて開催されていましたが、その際には情報を見落としていました。豊橋展終了後は、奈良県立美術館さんに巡回します。そちらはまた近くなりましたらご紹介します。


【折々のことば・光太郎】

受付にはウグヒス給仕には山兎、 守衛さんには月の輪熊に来てもらひ、 大に愉快なポラノのひろばにするのですか。

詩「山のひろば」より 昭和22年(1947) 光太郎65歳

「ポラノのひろば」は宮沢賢治の童話から採りました。元々、宮沢家の招きで花巻に疎開した光太郎。賢治の「イーハトーブ」の理念を受け継ぎ、郊外旧太田村に図書館や音楽堂などを作る、文化集落の建設的なことも考えていました。「楽天的」と行ってしまえばそれまでですが……。