雑誌2冊、紹介いたします。

まずは「山ガール」を対象とした、女性向け登山雑誌『ランドネ』。月刊誌です。


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「山岳お遍路さん 神様百名山を旅する」という連載があり、智恵子の故郷・二本松に聳える安達太良山が、「智恵子抄」にからめて紹介されています。

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今月号の特集は、「ロープウェイで楽しい山時間」ということで、60ページほどは、全国のロープウェイで或る程度まで登れる山々の紹介です。安達太良山もロープウェイがありますが、この記事ではそれは使わず、くろがね小屋を使う1泊2日での登山ルートが扱われています。

4ページ目は「アダタラ山はアンドロメダ山 !?」と題されています。あやしげなスピリチュアル系の内容かと思いきや、さにあらず。まじめな山岳信仰にかかわる連載のようで、安達太良山頂に奥宮が鎮座する、安達太良神社さん(麓の本宮市)について述べられています。

六柱設定されている同社の御祭神のうち、筆頭は「高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)」。農耕や暦の作成に関わるアンドロメダ星雲を神格化したとする説もあり、智恵子が愛した「ほんとの空」がさらに「ほんとの空」だった古代には、安達太良山上に煌々ときらめくアンドロメダ星雲が、現代よりもくっきり見えたであろうとのこと。なるほど、と思いました。

そこで、奥宮である安達太良山頂には「八紘一宇」と刻まれた石碑が立っているそうです。以前から気になっていましたが、これは植民地支配を正当化するスローガンとしての「八紘一宇」ではなく、神道の理念――世界は一つ――的な意味合いでの「八紘一宇」だったわけですね。納得が行きました。

税込み定価980円、付録にまな板(山用のカッティングボード)も付いています(笑)。お買い求め下さい。


もう1冊、まず、日本絵手紙協会さん発行の『月刊絵手紙』9月号。今年の6月号から「生(いのち)を削って生(いのち)を肥やす 高村光太郎のことば」という新連載(全1ページ)が始まりました。今号は詩「あたり前」(大正2年=1913)から言葉が取り上げられています。

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写真は、光太郎が戦後の7年間を暮らした花巻郊外旧太田村の山小屋(高村山荘)内部。光太郎がいた当時のまま、保存されています。

同誌を購読されている皆さんに興味を持っていただき、高村山荘、そして隣接する花巻高村光太郎記念館に足を運んでくださること、さらに昨日ご紹介した「森のギャラリー」の活用なども為されてほしいものです。


【折々のことば・光太郎】

欺きしは「兇敵」にあらずして 二なく頼みしわれらが「神軍」なりしなり。 一切は曝露せられて国民愕然たり。 国民目覚むればすでに飢餓に瀕す。 国力尽き民力消耗してただ焦土あり。

詩「永遠の大道」より 昭和20年(1945) 光太郎63歳

敗戦から約4ヶ月、いかに戦時中の軍部が無謀かつ国民不在の暴挙に出ていたのか、そして負けるべくして負けた戦争であったことなどが、ようやく白日の下にさらされてきた、というわけです。

しかし、光太郎も紛れもなくその片棒を担いでいたわけです。この詩が書かれたのが、12月6日。約4年前の真珠湾攻撃で熱狂した光太郎、翌々日に開かれた日本共産党主催の戦争犯罪人追求人民大会で、その名もリストに挙げられました。