光太郎が戦後の七年間を過ごした花巻郊外旧太田村の山小屋(高村山荘)に隣接する花巻高村光太郎記念館さん主催の市民講座です。

まだ先の話ですが、申し込みの〆切がありますのでご紹介してしまいます。

高村光太郎記念館 夏休み親子体験講座「新しくなった智恵子展望台で星を見よう」

期  日 : 2017年7月29日(土)
時  間 : 午後7時から8時30分まで
場  所 : 高村山荘周辺 岩手県花巻市太田第3地割85番地1
対  象 : 花巻市内に在住または市内に在学する小・中学生とその保護者
定  員 : 10組20人  定員を超えて申し込みがあった場合には抽選となります。
申し込み : 花巻市生涯学習課 0198-24-2111(内線418) 7月18日(火)〆切
料  金 : 1組400円(教材費、保険料)

高村光太郎は、山や海などの眺めやさまざまな動植物を詩に詠み、大自然を愛した詩人でした。大自然の一部である月や星の美しさ、魅力についても若いころから書き残しています。
旧太田村山口に移り住んでからの光太郎の世界を自然豊かな里山で月や星の観察をしながら感じます。

講   師 : 天文サークル星の喫茶室 伊藤修氏・根本善照氏
         高村光太郎連翹忌運営委員会代表 小山弘明 

イメージ 2
イメージ 1

というわけで、講師を仰せつかりました。メインの天文の話は天文サークル星の喫茶室のお二方に任せ、当方は光太郎と天体について、簡単にお話しさせていただきます。

旧太田村に移り住んだ昭和20年(1945)からしばらく、光太郎は詳細に日記をつけていました。その中で、月に関する話――イラスト入りでどんな形だったとか、何時頃月の出だったとか――や、オリオン座、サソリ座、北斗七星などの目立つ星座、火星や金星などに関しての記述がたくさん見られます。今でもおそらくそうですが、旧太田村は夜間の明るい灯火がほとんどなく、夜空の観察にはもってこいだったのでしょう。

昭和22年(1947)には、姻戚の詩人・宮崎稔に村上忠敬著『全天星図』と『星座早見表』を購入して送ってくれるよう頼んでいます。日記以外にも、若い頃からの詩文に、月や星に関する内容がけっこうあったり、飼っていたの名前を星の名前にしていたりもしています。光太郎は天体についてきちんと体系的に学んだというわけではなさそうですが、山川草木禽獣虫魚を愛した光太郎ですので、そうした自然志向の一環でしょう。そのあたりの話を、と考えています。

講座当日、星の観察は、今春、新たにウッドデッキを新設した智恵子展望台(高村山荘裏手の高台)から、当方の講話は、展望台下の旧高村記念館で行います。晴れるといいのですが、どうなりますことやら……究極の雨男・光太郎もこの日は遠慮して欲しいと思います(笑)。

対象は花巻市内の小・中学生とその保護者ということですが、集まっていただきたいものです。


【折々のことば・光太郎】

あの天のやうに行動する。 これがそもそも第一課だ。 えらい人や名高い人にならうとは決してするな。 持つて生まれたものを深くさぐつて強く引き出す人になるんだ。 天からうけたものを天にむくいる人になるんだ。 それが自然と此の世の役に立つ。

詩「少年に与ふ」より 昭和12年(1937) 光太郎55歳

星を包摂する「天」の語も、光太郎は好んで使いました。こせこせしない人間的なスケールの大きさにもつながりますね。