墨田区から、合唱コンサートの情報です。

昨日ご紹介した全日本合唱連盟さんの会報『ハーモニー』第180号に広告が出ていました。

やまとうたの血脈(けちみゃく)Ⅷ 抒情は詩人の武器であったか?~大正、昭和前期の詩による合唱曲展

期 日 : 2017年5月3日(水・祝)
場 所 : すみだトリフォニーホール 大ホール 東京都墨田区錦糸1-2-3
時 間 : 開場 16:30  開演 17:00
料 金 : 一般 3,000円  学生 2,000円  高校生以下 500円
曲 目 :
 竹久夢二作詞、信長貴冨作曲/「どんたく」~竹久夢二の八つの小唄
 [指揮]依田浩 [合唱]アンサンブル・カーノ [ピアノ]須永真美

 高村光太郎作詞、佐藤敏直作曲/「猛獣篇」より    傷をなめる獅子/苛察                 
 [指揮]藤井宏樹 [合唱]Ensemble PVD [ピアノ]浅井道子 

 尾形亀之助作詞、鷹羽弘晃作曲/「エチュードⅠ、Ⅱ」
 [指揮]山宮篤子 [合唱]幕張総合高校合唱団 [ピアノ]鷹羽弘晃 

 立原道造・中原中也 作詩、三善 晃 作曲/「三つの抒情」 
 [指揮]栗山文昭 [合唱]公募女声合唱団 [ピアノ]浅井道子

 金子光晴 作詩、高嶋みどり 作曲/「感傷的な三つの奏鳴曲」より
 [指揮]山脇卓也 [合唱]合唱団お江戸コラリアーず [ピアノ]須永真美 

 中原中也 作詩、西村 朗 作曲/合唱オペラ「中也!」より  
 [指揮]栗山文昭 [合唱]合唱団響  [ピアノ]浅井道子

 新美南吉 作詩、柴田南雄 作曲/「冬の歌」
 [指揮]野本立人 [合唱]熊遊舎女声合唱団

 竹内浩三 作詩、寺嶋陸也 作曲/「ふるさとの風に」より  
 [指揮]寺嶋陸也[合唱]三多摩青年合唱団・絹の道合唱団合同 [ピアノ]浅井道子

 草野心平 作詩、廣瀬量平 作曲/「五つのラメント」より
 [指揮]藤井宏樹[合唱]公募男声合唱団


日本語の美しさや日本古来の音楽、日本人の作曲家に焦点を当てたコンサート・シリーズ、今回は大正・昭和前期の叙情詩を題材にした合唱曲を通して詩人の生きた時代と詩人の生き方を振り返ります。

監修・おはなし 佐々木幹郎  構成:栗山文昭

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作曲家の栗山文昭氏を中心とする「21世紀の合唱を考える会 合唱人集団音楽樹」さんの主催する、「Tokyo Cantat 2017」の一環のようです。

全国の合唱団で時折取り上げられる、佐藤敏直氏作曲の「混声合唱曲 猛獣篇」から、「傷をなめる獅子」と「苛察」の2曲が演奏されます。

「猛獣篇」男声版の楽譜は、平成2年(1990)の刊行。昭和63年
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(1988)に、専修大学グリークラブさんにより委嘱初演されました。「森のゴリラ」「傷をなめる獅子」「ぼろぼろな駝鳥」「マント狒狒」の4曲。

混声版は「龍」「象」「苛察」が平成2年(1990)、「傷をなめる獅子」は同5年(1993)、それぞれ南生田コーラスさんの初演で、楽譜は同22年(2010)に刊行されています。「傷をなめる獅子」のみ男声版からのアレンジで、他は新作でした。

はやりすたりの激しい合唱曲の中では、歌い継がれている方かな、という気がします。今後も忘れ去られることのないように、と願います。

さらに作曲家の皆さん、歿後50年を経て著作権も切れていますし、光太郎詩を使った楽曲、それも後世に残るであろうものを作曲していただきたいと存じます。


【折々のことば・光太郎】

人生への怒は 自然への喜で消されない。 あれはあれ、これはこれだ。

詩「偶作十五篇」より 昭和2年(1927) 光太郎45歳

昭和2年(1927)、大雑把な区切りでいうと、「猛獣篇」時代です。御しがたい荒ぶる魂を持った猛獣(架空のモンスター的な物も含め)に仮託し、「人生への怒」を表出し、ある種のピークを形成していた時代です。