一昨日の第61回連翹忌にて、ご参会いただいた詩人の宮尾壽里子様から、ご案内をいただきました。明後日の朗読系公演情報です。

第5回 春うららの朗読会

期 日 : 2017年4月6日(木)
会 場 : 江東区公会堂ティアラこうとう 小ホール 東京都江東区住吉2-28-36
時 間 : 開場13:00  開演13:30
料 金 : 1,500円(全席自由)
主 催 : NPO日本朗読文化協会蒔村三枝子朗読教室
演 目 :
 「口紅のとき」 作・角田光代   出演・鶴見恵子/藤田治子
 「デューク」   作・江國香織   出演・須藤芙美子
 「とんかつ」   作・三浦哲郎   出演・日比堯子
 「智恵子さん」  作・宮尾壽里子  出演・小川弘子/宮尾壽里子/藤田治子
 「佐賀のがばいばあちゃん」  作・島田洋七  出演・内堀芳江
 「蜜柑」     作・芥川龍之介  出演・沼尻輝篤
 「うた時計」   作・新美南吉   出演・赤政葉子
申し込み : 090-4004-1493(まきむら)

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昨年暮れに、汐留ベヒシュタイン・サロンさんで開催された「2016年 フルムーン朗読サロン IN汐留」で上演された、宮尾さん作の朗読劇「智恵子さん」の再演が含まれます。出演される方は変わるそうですが。光太郎智恵子の文筆作品を織り交ぜてのドラマチックな構成で、感動的な朗読劇でした。

他に予定も入っておりませんし、参上つかまつります。皆様もぜひどうぞ。


【折々のことば・光太郎】

をんなが附属品をだんだん棄てると どうしてこんなにきれいになるのか。 年で洗はれたあなたのからだは 無辺際を飛ぶ天の金属。 見えも外聞もてんで歯のたたない 中身ばかりの清冽な生きものが 生きて動いてさつさつと意慾する。

詩「あなたはだんだんきれいになる」より 昭和2年(1927) 光太郎45歳

智恵子は光太郎より3歳下ですので、この時数え42歳。

智恵子没後の昭和15年(1940)に書かれた随筆「智恵子の半生」には、この詩の背景が書かれています。

私達は定収入といふものが無いので、金のある時は割にあり、無くなると明日からばつたり無くなつた。金は無くなると何処を探しても無い。二十四年間に私が彼女に着物を作つてやつたのは二三度くらゐのものであつたらう。彼女は独身時代のぴらぴらした着物をだんだん着なくなり、つひに無装飾になり、家の内ではスエタアとズボンで通すやうになつた。しかも其が甚だ美しい調和を持つてゐた。

実際、智恵子は服装等にあまり頓着しなかったのかもしれませんが、もともとは素封家のお嬢様です。生活不如意による「スエタアとズボン」の状態を、「仕方ない」と思いこそすれ、積極的に喜んでいたとはどうしても思えません。しかし光太郎の方は、心理学的にいえばある種の適応規制というか、代償というか、その状態を良しと自らに言い聞かせ、智恵子にもモラハラ的に無意識に強制していたように思われます。

しかもたちの悪いことに、その状態の智恵子を女神的に賛美しています。いわば「あるべき姿の無言の強要」。これでは智恵子も息が抜けないように思えます。

智恵子の心の病が顕在化するまで、あと4年半です。


昨日は、第61回連翹忌を終えて帰宅し、体力的にはくたくたながら精神的にはハイな状態で、連翹忌レポートを書きました。しかしやはり体力的にはくたくたで、最後にこのコーナーを書く段になって、力尽きました(笑)。今日からまた復活します。