会 場 : 和歌山県立近代美術館 和歌山市吹上1-4-14
時 間 : 9:30~17:00(入場は16:30まで)
料 金 : 一般1000(800)円、大学生800(600)円 *( )内は20名以上の団体料金
      高校生以下、65歳以上、障害者の方、県内に在学中の外国人留学生は無料
      11/26、12/24は「紀陽文化財団の日」として大学生無料
休館日 : 月曜日(月曜日が祝日又は祝日の振替休日となる場合は開館 次の平日休館)
      年末年始(12月29日から1月3日まで)

大正初期、大きな転換期を迎えた日本の美術を、影ながら動かした知られざる人物がいます。和歌山市に生まれた北山清太郎(きたやませいたろう)(1888–1945)がその人です。
北山は、美術雑誌『現代の洋画』や『現代の美術』等を出版して西洋の美術を盛んに紹介するとともに、岸田劉生や木村荘八ら、若い洋画家たちの活動を、展覧会の開催やカタログの出版などを通して献身的に支えました。その篤い支援に感謝した画家たちは、北山をパリでファン・ゴッホら多くの若い画家たちを支援した、画材商のペール・タンギー(タンギー親爺)になぞらえて、「ペール北山」と呼びました。
今回の展覧会では、この北山の活動を手がかりに、大正期の日本を熱狂させた西洋美術と、それに影響を受けながら展開した近代日本の美術を同時に紹介することを試みます。当時の画家たちが、次々と流入する情報から西洋美術の何を学び取り、影響を受けながらもそれをどのように乗りこえ、自らの表現を作り上げるにいたったのか。大正という熱い時代の美術を、改めて検証します。
なお北山は、その後美術の世界からアニメーションの分野へ転身し、ちょうど100年前の1917(大正6)年に、初めてアニメーション作品を発表した日本人3人のひとりとなります。北山は、まさに「絵を動かす」人となったのです。

 プロローグ 動き出す「洋画」 ——北山清太郎と『みづゑ』の時代
 第1章 動き出す夢 ―ペール北山と欧州洋画熱
 第2章 動き出す時代 ―新帰朝者たちの活躍と大正の萌芽
 第3章 動き出す絵画 ―ペール北山とフュウザン会、生活社
 第4章 動き出した先に ―巽画会から草土社へ
 エピローグ 動き出す絵 ―北山清太郎と日本アニメーションの誕生

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関連行事 

■対談講演会「動く私、動く自画像」
講師:森村泰昌(現代美術作家)×聞き手:熊田司(当館館長)
11月26日(土) 14:00から2階ホールにて(13:30開場、先着120名9:30より受付にて整理券配布)
巨匠と呼ばれる画家の絵に自らなりきる作品を制作してきた森村泰昌さんに、その制作を通して見えてきた作品の魅力や秘密を、当館館長が聞き手となってうかがいます。
巨匠と呼ばれる画家の絵に自らなりきる写真作品を制作してきた森村泰昌さんに、その制作を通して見えてきた作品の魅力や秘密、また本展を観て感じられたことなどを、当館館長が聞き手となってうかがいます。

■手回しアニメフィルム上映・解説会
講師:松本夏樹(映像文化史研究家)
12月23日(金・祝)14:00から2階ホールにて(13:30開場 先着120名 9:30より受付にて整理券配布)
北山清太郎が日本最初のアニメーション作家であることに関連して、当時のアニメーションの上映と解説を行います。

■レクチャーコンサート「出会う!音楽」
講師・ピアノ:松井淑恵(和歌山大学)×ヴァイオリン:日俣綾子
2017年1月8日(日)14:00から2階ホールにて(13:30開場 先着120名 9:30より受付にて整理券配布)
美術と同じように西洋からの影響を受けて展開した近代日本の音楽とアジアからの影響を受けた西洋音楽を、解説つきの演奏で紹介します。

■フロアレクチャー(学芸員による展示解説)
11月20日(日) 12月11日(日) 2017年1月9日(月・祝)14:00から会場にて(要観覧券)

■こども美術館部(小学生対象の鑑賞会)
12月3日(土) 14:00から会場にて(当日開始時間までに要受付)

同時開催:大正の異色画家たち
本展に関連し、大正時代の美術の諸相を、当館コレクションを中心に個人コレクションも交え、紹介します。


光太郎油絵作品、「上高地風景」(大正2年=1913)、「佐藤春夫像」(大正3年=1914)の2点が展示されます。

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特に「佐藤春夫像」は、こうした企画展等で出品されることがあまりなく、貴重な機会です。

009また、北山が編集し、光太郎もたびたび寄稿した雑誌『現代の洋画』、『ヒユウザン』(のち『フユウザン』)、『生活』なども。ただし、手にとって読むことは出来ないかとは思われますが。

図録が非常に豪華です。350ページ近くある分厚いもので、載せられている論考も充実しています。

ぜひ足をお運びください。

ちなみに同展は、来年1月28日(土)~3月12日(日)には、山口県の下関市立美術館さんに巡回される予定です。


【折々の歌と句・光太郎】

あたゝかき日かげみちたるおほ空を大き小きあきつむれとぶ

明治33年(1900) 光太郎18歳

「日かげ」は「日陰」ではなく「日の光」の意、「小き」は「ちいさき」と読むべきでしょう。

「あきつ」はトンボです。このところ、めっきり寒くなりつつあり、南関東でこの時期にもよく見られる赤トンボも、今年はあまり目立ちません。