注文しておいた雑誌が届きました   

美術屋・百兵衛 2016年秋号 vol.39 岩手県特集

2016年10月15日 麗人社 定価500円(税込)

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『美術屋・百兵衛』。季刊誌で、一号ごとに一つの都道府県を特集し(ただし次号は台湾だそうです)、美術を中心とした文化を紹介するというコンセプトです。これまでに38都道府県が取り上げられ、今号が岩手県です。

主に岩手出身の美術家が取り上げられる中、出身ではないものの、足かけ8年を過ごした光太郎も、10ページにわたって紹介されています。

特集 岩手文化考
百兵衛インタビュー:彫刻家・舟越 桂 舟越 保武/舟越 直木
岩手県立美術館
生誕120年 宮沢 賢治 宮沢賢治記念館/宮沢賢治童話村
近代日本洋画界の先駆者 萬 鉄五郎/萬鉄五郎記念美術館
いわてアートプロジェクト 1800 人の岩手の心、そしてアーティストたちが紡いだ「記憶」
世界文化遺産 平泉 毛越寺/中尊寺
彫刻家・高村 光太郎/高村光太郎記念館・高村山荘 ほか


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前半は光太郎の人となり、後半は花巻郊外の光太郎が戦後の7年間を過ごした山小屋(高村山荘)、隣接する高村光太郎記念館の紹介です。それぞれよくまとまっています。

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光太郎記念館に関しては「芸術家としての息吹だけでなく、人間性までもがわかる空間」という見出しを付けていただいています。館内説明板の執筆を担当した身としては、「そのとおり!」と言いたくなりました。

その他、大きく取り上げられている光太郎ゆかりの人物は、宮沢賢治、舟越保武、萬鉄五郎。

後半には全国の美術館やギャラリー、注目の若手作家の情報なども掲載。264ページほとんどがフルカラーで、観ているだけでアーティスティックな気分にさせられます。これで500円は格安です。

大きな書店では店頭に並んでいるようですし、ネット通販もあります。ぜひお買い求めを。また、これを片手に花巻の光太郎記念館および高村山荘、ぜひ訪れていただきたいものです。


【折々の歌と句・光太郎】

いささかは鑿にえにしを持てる身の三月(みつき)を奈良にただあこがるる

明治35年(1902) 光太郎20歳

その生涯にわたり、仏像らしい仏像は作らなかった光太郎ですが、いったいにその彫刻は、精神性の部分で、仏像の系譜を汲んでいるような気がします。ブロンズの塑像や、まったく仏とはかけはなれた蝉などにも。光雲から受け継いだ血、さらにはたびたび訪れて観た奈良の仏像からの影響でしょう。