今日は智恵子の命日、「レモンの日」ということもあり、福島ネタを続けます。

一昨日、福島の地方紙二紙に以下の記事が載りました。作曲家・湯浅譲二さん新曲演奏 故郷郡山への思い乗せる

記念曲を世界初演 郡山市制90周年・合併50年

 郡山市制施行90周年・合併50年を記念して同市出身の湯浅譲二氏が作曲した「あれが阿多多羅(あだたら)山」が2日、世界で初めて市民文化センターで演奏された。
 湯浅氏は市民に長年親しまれてきた安達太良山を題材に新作をイメージ。高村光太郎の詩集「智恵子抄」の一節である「樹下の二人」を歌詞に取り入れた。
 初演は「湯浅譲二 ふるさと郡山への想(おも)いによせて」コンサートで行われた。同市出身でベトナム国立交響楽団音楽監督・首席指揮者の本名徹次氏がタクトを振った。東京フィルハーモニー交響楽団の叙情的な演奏に乗せ、バリトンの松平敬氏が伸びやかな歌声を響かせた。
 同市は平成27年に市制施行90周年・合併50年を迎えた。このため、品川萬里市長が昨年、湯浅氏に記念の曲作りを依頼した。
(『福島民報』)

作曲家・湯浅譲二さん新曲演奏 故郷郡山への思い乗せる

 郡山市フロンティア大使で、同市出身の作曲家湯浅譲二さんによる市制施行90周年・合併50年記念委嘱作品の完成記念コンサート「湯浅譲二 ふるさと郡山への想(おも)いによせて」は2日、同市で開かれた。故郷郡山への思いを乗せたメロディーが、聴衆を魅了した。
  市、市教委、市民文化センターの主催。約1600人の市民らが来場した。
  指揮を市フロンティア大使の本名徹次さん、管弦楽を東京フィルハーモニー交響楽団、バリトンを松平敬さんが務めた。
  会場では、同記念委嘱作品の「あれが阿多多羅山 バリトンとオーケストラのための~高村光太郎『樹下の2人』による」が初めて披露された。湯浅さんが郡山から見える安達太良山をイメージした新曲は、叙情的な旋律と詩が融合し、聴衆を感動の瞬間へといざなった。
  このほか組曲・こおりやま賛歌「ふるさと・わが街」の「こおりやま・わが街」などの曲も披露された。
(『福島民友』)


事前に情報を得ていなかったので、このブログではご紹介できませんでしたが、記事にあるとおり、2日の日曜日に智恵子の故郷・二本松にほど近い郡山で演奏会が開かれていました。


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湯浅氏は慶応大医学部中退という変わった経歴をお持ちの作曲家です。伝説のテレビドラマ「木枯し紋次郎」の音楽担当などもなさっていました。

平成25年(2013)に、当会の祖・草野心平が興した『歴程』同人の伊武トーマ氏作詞の復興支援ソング「ときよめぐれ(までいのロンド)」が演奏されたMFJ音楽祭で、やはり復興支援ソングとして「おやすみなさい」(作詞は故・長田弘氏)を披露されたりもしています。

今回は光太郎詩「樹下の二人」のトリビュート。ありがたいかぎりです。

安達太良山は二本松だけでなく、その山容の見える広い地域で愛されているということでもあるのでしょう。

今後、いろいろな場面で演奏されることを祈念しております。


【折々の歌と句・光太郎】

袖のところ一筋青き縞を織りて都大路をかまはず歩きし
昭和13年(1938) 光太郎56歳

今日は智恵子命日「レモンの日」です。10月に入り、キッチンのカレンダーを一枚めくると、ちゃんと「レモンの日」がイラスト入りで書き込んであり、驚きました。

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近所のスーパーが無料でくれるカレンダーなのですが、スーパーだけに、食材に関わる「○○の日」がかなり網羅されているようです。他には2日が豆腐の日、13日でサツマイモの日、15日はきのこの日、26日の柿の日など。他にもいろいろ書いてありますが、それはどうやらそのスーパーでのその日の特売品目のようです。

さて、上記短歌。主語がありませんが、やはり智恵子です。

この年の今日、智恵子が亡くなり、生前親交のあった作家で染織家の山崎斌(あきら)がその死を悼み、「袖のところ一筋青き縞を織りて麗(あて)なりし人いまはなしはや」という短歌を詠みました。それに対する返歌として詠まれたものです。

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ともに、油絵制作に絶望した後、郷里から機織り機を取り寄せて、草木染めなどにも取り組んだ智恵子へのオマージュです。上記は智恵子生家に展示されている機織り機です。