今年4月に発行された季刊誌です。情報を得るのが遅くなり、最新号ではなくなってしまいましたが、バックナンバーとして販売されていたものをこのほど入手しました。 
2016年4月15日 株式会社ビューティービジネス 税込定価1,800円

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この雑誌は、「PROFESSIONAL」というタイトルのとおり、美容関係のプロフェッショナル向けの専門誌です。毎号一つのテーマを設定し、一人のモデルさんをメイクアップ、イメージフォトグラフを多数撮影し、掲載するというスタイル。したがって、どちらかというと写真集に近いアーティスティックな誌面です。

第95号、全98ページ中の大半、12ページから87ページまでが「智恵子抄 人類の泉」。光太郎詩「人類の泉」(大正2年=1913)を引用しつつ、そこからインスパイアされた60葉を超えるイメージフォトグラフが添えられています。

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モデルはmiuさんという方。「智恵子抄」ということで、最近流行の「昭和顔」に見えます。これもメイクのなせる技でしょうか?

巻末近くにヘアメイク担当の石井順子さんへのインタビュー、大妻女子大学文学部教授・須田喜代次氏による「人類の泉」解説が、それぞれ2ページずつ掲載されています。

音楽や演劇、絵画に舞踊、能や落語など、これまでも実に色々な分野で「智恵子抄」オマージュの二次創作がなされていますが、こういうアプローチもあるんだと、感心いたしました。

まだ在庫があるようで、ネットで購入可能です。ぜひお買い求めを。


【折々の歌と句・光太郎】

高飛ぶと足をかまへて稲子麿翅(つばさ)薄きに哭く閑暇(ひま)もなし

明治37年(1904) 光太郎22歳

「稲子麿」はイナゴを擬人化した語。源俊頼によって書かれた歌論書『俊頼髄脳』などに用例があります。こうした古典に関する光太郎の知識には驚くばかりですが、当時としては常識だったのでしょうか?