今月末から始まる信州安曇野の碌山美術館さんでの企画展です。
期  日 : 2016年7月23日(土)~8月28日(日) 会期中無休
場  所 : 碌山美術館 杜江館・第Ⅰ/Ⅱ展示棟  長野県安曇野市穂高5095-1
時  間 : 9:00~17:10
料  金 : 大人 700円(600円)  高校生 300円(250円)  小中学生 150円(100円) 
       ( )内団体:20名以上)
後  援 : 安曇野市 安曇野市教育委員会 安曇野市教育会 信濃毎日新聞社 市民タイムス
協  賛 : 清水建設株式会社 株式会社中村屋 医療法人仁雄会穂高病院
       株式会社とをしや薬局 
株式会社アイダエナジー

高村光太郎(1883~1956)の没後60年、高村智恵子(1886~1938)の生誕130年を記念して企画展を開催いたします。
木彫家・高村光雲の長男として生まれた光太郎は、幼少期より木彫の手ほどきを受け、東京美術学校や海外での研鑽を積むことでその資質を開花し、木彫・塑像に傑作を残しています。
また合わせ持っていた文学的資質は、評論・翻訳・詩作などに結実しています。「緑色の太陽」(1910)のような啓発的な評論、『ロダンの言葉』(1916)の翻訳等は、日本近代美術界を大いに刺激しました。のみならず、『道程』(1914)、『智恵子抄』(1941)等の詩作は現在もなお広く知られています。
高村自身は「私は何を措いても彫刻家である」「自分の彫刻を護るために詩を書く」と述べる一方で「詩精神(事物の中心に直入する精神)が言葉にあらわれれば詩となり、造型に形をとれば美術一般となる」とも言っています。
彫刻と詩を通して、高村光太郎の制作の根源へ思いを馳せていただければ幸いです。

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関連行事

特別企画展記念講演会 「高村光太郎作《乙女の像》をめぐって」

期  日 : 2016年8月7日(日)
場  所 : 碌山美術館 杜江館二階 
                          7/28追記 会場が美術館向かいの研成ホールに変更になりました。
時  間 : 13:30~
料  金 : 無料 (ただし入館料が必要です)
講  師 : 小山弘明 (高村光太郎連翹忌運営委員会代表)


というわけで、当方の講演があります。昨年、十和田湖奥入瀬観光ボランティアの会さん編集による『十和田湖乙女の像のものがたり』という書籍が刊行され、前半部分を執筆し、光太郎最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」についてがっつり調べましたので、その成果です。元々碌山美術館さんで「乙女の像」の中型試作、小型試作を所蔵されており、「この辺の内容でどうですか」というご提案もありました。もちろんそれ以外に光太郎の生涯の俯瞰、碌山荻原守衛と光太郎との関連などについても述べる予定です。


さて、展示の方ですが、光太郎の木彫がひさびさにある程度まとめて並びます。まだ出品目録を頂いていないので、詳細は不明ですが(いずれ続報を出します)、平成25年(2013)に千葉市美術館さん、愛知碧南市藤井達吉現代美術館さん、岡山井原市田中美術館さんを巡回した「生誕130年 彫刻家高村光太郎」展以来です。

その他、もちろんブロンズ彫刻、絵画、詩稿などの光太郎作品、そして智恵子紙絵の現物も出ます。さらに当方の蔵書から、光太郎の詩集をお貸ししました。『道程』(大正3年=1914)と『智恵子抄』(昭和16年=1941)は碌山美術館さんで持っているというので、それ以外の生前の単行詩集、『大いなる日に』(同17年=1942)、『をぢさんの詩』(同18年=1943)、『記録』(同19年=1944)、『典型』(同25年=1950)、さらに没後の刊行ですが、当会の祖・草野心平が鉄筆を執ってガリ版刷りで作った光太郎七回忌記念の『猛獣篇』(同37年=1962)もお貸ししました。

そうした意味では、かなり幅広い光太郎智恵子の総合展のような企画展です。

ぜひぜひ足をお運び下さい。


【折々の歌と句・光太郎】

ふるさとの少女を見ればふるさとを佳しとしがたしかなしきかなや

明治42年(1909) 光太郎27歳

欧米留学からの帰国直後、日本女性に失望シリーズ(笑)の一作です。