紹介すべき事項が多く、うっかり事前に紹介するのを忘れていました。光太郎の絵画が出展されている企画展です。  
会 期 : 2016 年4月9 日(土) ~6月12 日(日)
時 間 : 10:00 ~ 18:00
会 場 : 足利市立美術館 栃木県足利市通2丁目14-7
休館日  月曜日(ただし5月 2日は開館)、 5月6 日(金)
料 金 : 一般700(560)円、高校・大学生500(400 )円、中学生以下無料
      *( )内は20名以上の団体料金
 6月12日(日)は栃木県民の日協賛で観覧無料 

詩人と画家、
それはふたつの人種ではない。
二人はある日、どこかで出会ったのだが、
あとから確かめるすべもなく
ふたつが、ひとつのものの
          なかで出会う

これは瀧口修造の詩です。瀧口は画家と詩人は本来ひとつだと言っています。彼らは 表現方法は異なりますが、自身の意や情にかたちを与えるべく、やみがたい思いに駆られている点ではひとつなのです。ときとして絵の果てに言葉が、言葉の果てに絵が顕れ、画家は詩を、詩人は絵を手がけました。それは、言葉でしか、あるいは絵でしか表現できないものと彼らが出会ったことによります。このとき画家は自身の内に詩人を、詩人は画家を見出します。本展はそのような画家と詩人の展覧会です。

 そもそも画家と詩人を分けること自体、便宜的なことなのかもしれません。古来、「絵 は黙せる詩、詩は語る絵」といわれてきました。ときに絵は詩のように語りかけ、詩は絵のような豊かな色彩とかたちをありありと提示します。もとより日本には文人画の伝統があり、絵画と詩の分かちがたい表現こそ、その独自性を表していると言えるでしょう。今後、詩と絵は越境し、ともども新たな境地を開いていくと思われます。 

本展は、明治から現代までの画家と詩人の 詩と絵を一堂にあつめ、彼らの絵と詩は、けっして一方が他方を補足するものではないという観点から見直す試みです。「ひとつのもののなかで出会う」画家と詩人 詩と絵をご覧ください。

出品作品
画家
小杉未醒 青木繁 竹久夢二 萬鐵五郎 藤森静雄 恩地孝四郎 田中恭吉 中川一政 長谷川利行 古賀春江 川上澄生 村山槐多 谷中安規 三岸好太郎 棟方志功 長谷川潾二郎 難波田龍起 山口薫 香月泰男 津高和一 南桂子 松本竣介 浅野弥衛 飯田善國 草間彌生 田島征三 芥川麟太郎 藤山ハン 難波田史男 イケムラレイコ  瓜南直子  O JUN  鴻池朋子 小林孝亘 村瀬恭子 伊庭靖子 篠原道生(特別出品)  
詩人
正岡子規 高村光太郎  北原白秋  木下杢太郎  萩原朔太郎 佐藤春夫 西脇順三郎 宮沢賢治 佐藤一英 尾形亀之助 稲垣足穂 岡崎清一郎 富永太郎 小熊秀雄 北園克衛 瀧口修造 草野心平 中原中也 長谷川四郎 まど・みちお 立原道造 三好豊一郎 新国誠一 木島始 春日井建 吉増剛造 田畑あきら子 山本陽子

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昨年、神奈川平塚市美術館さんを皮切りに始まり、愛知碧南市藤井達吉現代美術館さん、姫路市立美術館さんと巡回した企画展です。図録を兼ねた書籍『画家の詩、詩人の絵-絵は詩のごとく、詩は絵のごとく』は広く販売中です。

光太郎作品はのべ3点。大正3年(1914)に描かれた「日光晩秋」が会期中ずっと。前期(4/9~5/8)で、同年に描かれた洋酒の瓶と果実を描いた「静物」。後期(5/9~6/12)に、新潟・佐渡島の歌人・渡邊湖畔の息女を描いた「渡辺湖畔の娘道子像」(大正7年=1918)です。

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関連行事として、以下の通り開催されます。

講演会 宮沢和樹氏(林風舎代表取締役) 「祖父  清六から  聞いた  兄  宮沢賢治 -絵画について-」
日時: 4月9 日(土)午後2 時より    終わってしまいました。すみません。
会場:足利市立美術館多目的ホール 定員 : 60名 参加費:無料 

講演会 吉増剛造氏(詩人) 「〝たったいま性〟について」
日時: 4月24 日(日)午後2 時より 会場:足利市立美術館多目的ホール
定員: 60 名 参加費:無料

 *参加ご希望の方は電話(0284-43-3131 )でお申込みください。定員になり次第締め切らせていただきます。
*展覧会観覧の場合は別途観覧料(高校生以上)が必要となります。

学芸員によるギャラリートーク
日時: 5月4 日(水・祝)、6月5 日(日)午後2 時より
*参加ご希望の方は当日午後2時に美術館入口受付までお集まりください。
*参加は無料ですが、観覧料(高校生以上)が必要です。

対話型鑑賞の会「作品の声を聴こう」
日時: 4月17日(日)、 5月8日(日)各日午後2 時より
 対話型鑑賞とは、一点の作品を、美術の知識にたよらず自由に観て、その感想をみんなで話し合いながら作品の理解を深める鑑賞方です。展示室で出品作品をもとに、ファシリテーター(司会役) が参加者に質問をしながら対話を進めます。
4月17 日(日)対象:小学生 定員:15名 参加費:無料
5月8日(日)対象:中学生~一般 定員:15名 参加費:無料
ただし、高校生以上は観覧券が必要。
それぞれ、参加ご希望の方は電話(0284-43-3131)でお申込みください。 定員になり次第締め切らせていただきます。


ぜひ足をお運びください。


【折々の歌と句・光太郎】

春の日や御堂をさして畷道      明治42年(1909) 光太郎27歳

イタリア旅行中の作ですので、「御堂」はやはりキリスト教の教会や修道院の類、「畷道(なわてみち)」は麦畑的なところを通る小径でしょう。しかし、日本の田園風景としてイメージしてもいい句ですね。