東京調布市の武者小路実篤記念館さんから、図録を戴いてしまいました。現在開催中の特別展「我が家の実篤作品展」のものです。 

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調布市制施行60周年・武者小路実篤記念館開館30周年・武者小路実篤生誕130周年記念特別展 「我が家の実篤作品展」第2部

会 期 : 2015年12月12日 ~ 2016年1月24日 
会 場 : 調布市武者小路実篤記念館 東京都調布市若葉町1-8-30
時 間 : 午前9時から午後5時 
休館日 : 月曜日(祝日のときはその翌日) 年末年始(12月29日から1月3日)
料 金 : 大人 200円   小・中学生 100円

武者小路実篤の絵や書は、独特の暖かい作風と味わい深い言葉で、広く親しまれています。
実は、武者小路実篤の作品は、その多くが美術館などではなく、個人のお手元で大切にされてきました。
実篤は昭和4 年以来毎年のように個展を開き、また、自らが主宰創刊した雑誌『心』では、実篤を含む同人の書画の即売会で発行資金を捻出していたため、こうした機会に作品を求めた方も多くいらっしゃいます。
転居の多かった実篤は、絵に本格的に取り組んだ昭和初期以降でも、小岩・落合・成城・吉祥寺・三鷹牟礼と、あちこち移り住みましたが、その時々に近隣で親しくなった方や世話になったお店に作品を差し上げています。また学校などにたのまれると気軽に筆を執りました。
講演などで各地へ旅することも多く、旅先で請われて原稿や書画をかくことも珍しくありませんでした。また、実篤は筆まめで、手紙も多く書いています。
調布市仙川に移り住んでからは、地元の自治会やお店に作品を差し上げたほか、調布市の福祉祭の景品として毎年色紙を提供していたといい、調布市民にはくじ引きであたってお持ちの方がいらっしゃるとお聞きしています。
こうして個人のお手元に届いた作品には、所蔵者の想い出があり、またそれぞれの家族と共に歴史を刻み、様々な逸話を持っています。
本年、武者小路実篤生誕130 年、調布市武者小路実篤記念館開館30 周年を迎えるのを機会に、これまでわからなかった個人でご所蔵の作品について、情報を収集することといたしました。
武者小路実篤の自筆作品・資料をお持ちの方は、ぜひ情報をお寄せください。
また、この調査の結果を踏まえ、地元調布市近隣でご所蔵の作品を中心に、許可をいただいた作品について、12 月12 日から開催予定の特別展「我が家の実篤作品展」第二部で展示することを企画しています。
普段ご家庭で秘蔵され、所蔵者以外は見ることの出来ない作品を、作品に秘められたエピソードとともに、ご覧いただきたいと存じます。


同じ白樺派ということで、武者と親交のあった光太郎も、武者の作品を手元に置いていました。

今回、そのものは展示されませんが、写真での展示があるようです。いただいた図録に掲載されています。

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また、図録には光太郎も写った集合写真が2葉。

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このあたりは「芸術家たちが愛した実篤作品」というコーナーで、各地の文学館や美術館、著作権継承者の皆さんなどの協力により集められた中のものです。ちなみに「芸術家たち」、例えば志賀直哉、柳宗悦、岸田劉生、芥川龍之介、林芙美子、六代目市川歌右衛門、棟方志功などなど。

もちろん写真より実篤作品が中心です。上記図録表紙は新宿区立林芙美子記念館内部に復元された林芙美子邸の客間だそうです。かけられている武者の絵はレプリカで、本物が今回借りられて展示されているようです。

その他、一般の方から提供を受けた実篤の書画もずらり。


こうした企画の開催、なかなか大変だとは思いますが、美術館、文学館の企画展の新しい形として、一石を投じたような気がします。

光太郎の書なども、各地の文学館、美術館に納まっているはずですし、そしてやはり個人のお宅にはまだまだ未知のものも眠っていそうです。「我が家の光太郎作品展」もありかな、と夢想します。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 12月20日

昭和11年(1936)の今日、初めて結核による喀血の症状を起こしました。

2年後に亡くなる智恵子と、おそらく同根の結核。この後、約20年間の付き合いとなります。