神奈川県鎌倉市、鶴岡八幡宮の境内に神奈川県立近代美術館の鎌倉館があります。昭和26年(1951)開館、建物自体もル・コルビジェに師事した板倉準三の設計によるもので、非常に高い評価を受けています。

ちなみに光太郎が歿した昭和31年(1956)、「高村光太郎智恵子展」が初めて開催されたのがこちらです。

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こちらが来年1月をもって、閉館することになりました。土地の貸借、建物の耐震性の問題などがその理由だそうです。

すぐ近くに鎌倉別館があるので、こちらの機能は別館に移転、建物も歴史的に貴重ということで、耐震補強の上、保存される見通しだそうです。

そこで、鎌倉館としての最後の企画展が始まりました。光太郎作品も2点、並んでいます。光太郎作品が並んでいるという情報を得るのが遅れ、紹介が遅くなりました。申し訳ありません。 

鎌倉からはじまった。1951-2016 PART 3:1951-1965 「鎌倉近代美術館」誕生」

期  日 : 2015年10月17日(土)~2016年1月31日(日)
第一会場 : 鎌倉館   
神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53 Tel. 0467-22-5000
第二会場 : 鎌倉別館 「鎌倉からはじまった。1951-2016 工芸と現代美術」
          神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-11 Tel. 0467-22-7718
休 館 日  : 月曜日(ただし11月23日、1月11日は開館)、 12月29日(火)-1月3日(日)
開館時間 :  午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)
観 覧 料  : 一般1,000円(900円) 20歳未満と学生850円(750円) 65歳以上500円
       高校生100円 
( )内は20名以上の団体料金

※鎌倉館の観覧券で、当日に限り鎌倉別館を無料でご観覧いただけます。

※中学生以下、障害者手帳をお持ちの方は無料。その他の割引につきましてはお問い合わせください。

※ファミリー・コミュニケーションの日:
毎月第1日曜日(今回は11月1日、12月6日)は、18歳未満のお子様連れのご家族は、優待料金(65歳以上の方を除く)でご観覧いただけます。

※11月3日(火・祝)「文化の日」は、開催中の展覧会を無料でご覧いただけます。


1951年11月17日、日本で最初の公立近代美術館として鎌倉の鶴岡八幡宮境内に誕生した神奈川県立近代美術館は、このたび2016年1月末をもって鎌倉館での展覧会活動を終了することになりました。
2015年度は、「鎌倉からはじまった。1951-2016」と題し、これまでの鎌倉での活動を三期に分けて紹介してまいりましたが、いよいよ本展が最後となります。
これまで鎌倉館に足を運んでくださった多くの皆様に感謝いたしますとともに、2016年4月以降は、葉山館と鎌倉別館の二館体制で活動してまいりますので、今後ともご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

「カマキン」最後の展覧会
「鎌倉近代美術館(略称:カマキン)」として長く皆様に愛されてまいりました鎌倉館での最後の展覧会となるPART3では、1951年の美術館誕生から1965年までの15年を取り上げます。草創期の当館では、戦前、戦中の文化的空白を埋めるべく、佐伯祐三、萬鉄五郎、古賀春江、松本竣介などの、小規模ながらも充実した展覧会が開催されました。そうした調査と研究を重視した展覧会のあり方は、美術館の礎として受け継がれてきました。本展では、この時期に取り上げた作家による作品を所蔵品から選んで展示すると同時に、美術館の活動に伴って改修が重ねられてきた坂倉準三設計による鎌倉館の変遷を、図面や写真、映像資料で紹介します。なお、鎌倉別館では「工芸と現代美術」と題して、所蔵品のなかから工芸・デザインとその現代美術への展開を追います。ぜひご高覧ください。

関連企画
1 建築トーク 講師:青木淳氏(建築家) 11月1日(日)午後2時-3時30分
*要申込(先着30名)、参加無料。(ただし高校生以上は展覧会の当日観覧券が必要です。)

2 トヨダヒトシ氏(写真家)によるスライドショー(ライブ・パフォーマンス)
10月24日(土)午後5時-6時 「白い月」(2010-15年、35mmフィルム、サイレント)
  ニューヨーク、春から冬へと向かう日々を綴った映像日記。
10月25日(日)午後5時-6時 「ツバメー吉村弘に捧ぐ(仮)」(2015年、35mmフィルム)
  サウンド・アーティスト吉村弘が残した写真をもとに構成したスライドショー作品。
*上映開始後の入場はできませんので、4時30分までにご入場ください。展示室は5時で閉場します。
*申込不要、参加無料。(ただし高校生以上は展覧会の当日観覧券が必要です。)

3 小杉武久氏、和泉希洋志氏によるコンサート 11月8日(日)午後3時-
*午後1時より整理券を配付します。(混雑状況により入場を制限する場合がございます。)
*参加無料。(ただし高校生以上は展覧会の当日観覧券が必要です。)

4 石田尚志氏(画家/映像作家)による映像インスタレーション上映
11月28日(土)、11月29日(日)各日午後5時-
*4時30分までにご入場ください。上映開始後の入場はできません。展示室は5時で閉場します。
*申込不要、参加無料。(ただし高校生以上は展覧会の当日観覧券が必要です。)

5 担当学芸員によるギャラリー・トーク 12月5日(土)午後2時-2時30分
*申込不要、参加無料。(ただし高校生以上は展覧会の当日観覧券が必要です。)

6 館長トーク 話し手:水沢勉(当館館長)
12月12日(土)、2016年1月24日(日)各日午後2時-3時
申込不要、参加無料。(ただし高校生以上は展覧会の当日観覧券が必要です。)

7 連続講演会「近代美術館とわたし」(県立機関活用講座)
第1回 10月17日(土)講師:荻野アンナ氏(作家/慶應義塾大学教授)
第2回 10月31日(土)講師:李 禹煥氏(美術家)
第3回 11月14日(土)講師:高階秀爾氏(大原美術館館長)
第4回 11月15日(日)講師:藤森照信氏(建築史家/建築家)
第5回 11月22日(日)講師:池内 紀氏(ドイツ文学者/エッセイスト)
各回午後2時-4時 *要申込(先着120名)
会場:鎌倉商工会議所会館 地下ホール
受講料:各回1,000円(任意の回数で申込み可能)
*1,7の申込方法:次の事項を明記し、fax、往復はがき、当館ホームページの問い合わせフォームのいずれ
かでお申し込みください。
1)企画名 2)氏名〔ふりがな〕 3)郵便番号、住所、電話番号、fax番号、メールアドレス 4)参加希望人数〔同伴者の氏名、ふりがな〕
*申込先:神奈川県立近代美術館 鎌倉 fax. 0467-23-2464


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さて、光太郎作品ですが、2点展示されています。

まずは大正2年(1913)、智恵子と婚約を果たした信州上高地で描かれた油絵「上高地風景」。この年の生活社主催油絵展覧会に出品されたものです。生活社は、フユウザン会分裂後、光太郎や岸田劉生らが興した団体でした。

今年3月、山岳雑誌『岳人』さんの特集記事として、「言葉の山旅 山と詩人 上高地編」の一部を執筆させていただきましたが、その中でこの絵も紹介しました。この際には、同館からポジをお借りして誌面を飾らせていただきました。

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この油絵、光太郎の親友だった水野葉舟に贈られ、水野家で保管されていましたが、現在は同館に寄託されているそうです。

現在、平塚市美術館さんで開催中の企画展「画家の詩、詩人の絵-絵は詩のごとく、詩は絵のごとく」に並ぶかな、と思っていたのが展示されず、残念に思っておりましたが、こちらに出すためだったのですね。


もう1点、ブロンズの「裸婦坐像」(大正6年=1917)。無題よく智恵子がモデルと勘違いされますが、違います。

光太郎は、横浜で夜の商売についていた「百合子」という若い女性を一時かくまってやったことがあり、その礼にと、モデルを務めてくれたそうです。智恵子も彼女をモデルに絵を描いたとのこと。


「裸婦坐像」は同型のものが日本各地に存在し、よく眼にしますが、「上高地風景」は油絵なので一点ものです。この機会に御覧下さい。


他の出品作は以下の通りです。

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光太郎と交流の深かった作家の作品もいろいろラインナップに入っています。絵画でいうと、柳敬助、中村彝、梅原龍三郎、松本竣介……。彫刻ではロダン、佐藤忠良、舟越保武、戸張孤雁などなど。

ぜひ足をお運び下さい。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 10月23日

昭和58年(1983)の今日、福島県安達町(現・二本松市)の智恵子の生家裏山に「樹下の二人」詩碑が除幕されました。

「あれが阿多多良山/あの光るのが阿武隈川」で始まる、「智恵子抄」中の絶唱の一つです。

この裏山は鞍石山と呼ばれ、幼少時や帰省した智恵子がよく歩いていたり、智恵子の実家を訪れた光太郎を案内して二人で歩いたりした場所です。近くには展望台も設けられています。

晴れた日には碑に「ほんとの空」が映ります。

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