特にいつもそれを眺めているわけではありませんが、当方、部屋ごとにカレンダーがないと落ち着きません。2ヶ所あるトイレにも吊していますし、洗面所兼脱衣場に貼った年もありました。
 
しばらく前は、アート系のカレンダーを愛用していました。その月が終わって破り取ったあと、絵の部分を切り取って額に入れ、手軽な複製画として飾るというふうに。竹久夢二、アルフォンス・ミュシャ、鶴田一郎、葉祥明、藤城清治、川瀬巴水、安野光雅、棟方志功などなど。
 
少し前から、もうそうしたものを飾るスペースもなくなってきたので、販促用にその辺の店でくれるものだけを使うようになりました。後で飾らないのにアート系を買うともったいない、破り取った分を捨てるに忍びない、そういう感覚で、アート系は避けていました。
 
ときどき手に入った光太郎智恵子がらみのカレンダーは、使わずに取ってあります。
 
さて、昨年末。「来年のカレンダーはどうしようか」と考えました。やはり販促用にその辺の店でくれるものではものたりません。まず「乙女の像」など光太郎、智恵子作品が使われているカレンダーはないかと、ネットで探してみました。しかし、残念ながらヒットせず。そこで、ふと、「光太郎智恵子ゆかりの地の風景が載ったものはどうだろう」と思いつき、検索したところ、見つかったので、2点購入しました。
 
まず、小暮真望さんという方のシルクスクリーン版画をあしらったもの。「日本百名山」がモチーフです。
 
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5・6月が安達太良山です。「ほんとの空」を映して広がる水田、その彼方に雪を残す安達太良山。いいですね。
 
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もう一点、こちらは写真ですが、「輝く太陽」というカレンダー。日本各地の日の出を撮った写真が使われています。
 
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2月は銚子犬吠埼。大正元年(1912)に、光太郎智恵子が愛を確かめた故地です。
 
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6月は十和田湖。新緑が鮮やかです。
 
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「日本百名山」は書斎に、「輝く太陽」は寝室に掛けました。
 
もう一点、近所の書店で見つけ、買って来たのがこちら。「季節のパノラマ」という題の、山岳写真を使ったものです。
 
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表紙のページが上高地。大正2年(1913)、ここで光太郎智恵子は婚約を果たしました。さらに6月が奥入瀬渓流です。
 
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こちらはトイレに飾ってあります。
 
ところで、3点とも、現在のページ―つまり1月―は、富士山です。
 
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初夢の「一富士二鷹三茄子」ではありませんが、やはり日本人には、「正月は富士山」というイメージなのでしょうか。ちなみに、お互いに知り合う前に別々にですが、光太郎も智恵子も富士登山の経験があり、その意味では故地ですね。
 
その他、それぞれに日本の美しい自然が取り上げられています。こういうものを見ると、この国に生まれて本当に良かったと思います。無論、諸外国にもそれぞれ美しい風景はあるのでしょうが。
 
 
【今日は何の日・光太郎 拾遺】 1月7日
 
昭和26年(1951)の今日、『花巻新報』に詩「初夢まりつきうた」が掲載されました。
 
 
   初夢まりつきうた000
 
 花巻商人なに商人
 花巻商人いい商人
 ねだんがやすくて
 品物たしかで
 なんでもそろえて
 お店はあかるく
 きれいで清潔
 お客の相談こまかに考え
 いつでもにこにこ
 エチケツト身につけ
 しんからしんせつ
 お届けシステム
 きびきびはきはき
 近郷近在遠くは列車で
 なんでも花巻かんでも花巻
 花巻商人なに商人
 花巻商人いい商人
 夢は正夢初笑い
 まずまず一貫かし申した
 
光太郎にしては珍しい作風です。現代仮名遣いによる最初の詩で、はじめ、歴史的仮名遣いで書かれましたが、草稿に新仮名遣いに訂正した跡が残っています。
 
平成21年(2009)、この詩に曲が付けられたSPレコードの発見が報じられました。その発見者の方とコンタクトが取れましたので、いろいろ判りそうだと期待しています。