昨日、晶文社さんから刊行中の『吉本隆明全集』全38巻+別巻1のうち、評論「高村光太郎」が掲載予定の第5巻をご紹介しました。
 
その記事を書くために調べていたところ、既刊の第7巻(第2回配本)と第4巻(第3回配本)にも光太郎がらみの文章が載っていることに気づきましたので、ご紹介します。 
2014年6月24日 晶文社 定価6300円+税無題
 
【目次】
Ⅰ丸山真男論
1 序論/2 「日本政治思想史研究」/3 総論

社会主義リアリズム/戦後文学の転換/日本のナショナリズムについて/近代精神の詩的展開/戦後文学の現実性/情況に対する問い/情況における詩/“終焉”以後/詩的乾こう(ママ)/“対偶”的原理について/反安保闘争の悪煽動について/戦後文学論の思想/「政治と文学」なんてものはない/非行としての戦争/模写と鏡/「政治文学」への挽歌/いま文学に何が必要かⅠ/戦後思想の価値転換とは何か/性についての断章/いま文学に何が必要かⅡ/「近代文学」派の問題/いま文学に何が必要かⅢ

日本のナショナリズム/過去についての自註

死者の埋められた砦/佃渡しで/沈黙のための言葉/信頼/われわれはいま――

詩のなかの女/江藤淳『小林秀雄』/斎藤茂吉/本多秋五/埴谷雄高の軌跡と夢想/埴谷雄高氏への公開状/埴谷雄高『垂鉛と弾機』/渋澤龍彦『神聖受胎』/清岡卓行論/啄木詩について/折口学と柳田学/「東方の門」私感/ルソオ『懺悔録』/高村光太郎鑑賞/中野重治/壺井繁治/金子光晴/倉橋顕吉論/無方法の方法/本多秋五『戦時戦後の先行者たち』/『花田清輝著作集Ⅱ』

「思想の科学」のプラスとマイナス/『ナショナリズム』編集・解説関連/宍戸恭一『現代史の視点』/中村卓美『最初の機械屋』/「言語にとって美とはなにか」連載第三回註記/『擬制の終焉』あとがき/『吉本隆明詩集(思潮社版)』註記/「丸山真男論」連載最終回附記/『丸山真男論(増補改稿版)』後註/『模写と鏡』あとがき/「試行」第3~12号後記/三たび直接購読者を求める/「報告」
解題〈間宮幹彦〉 
2014年10月9日 晶文社 定価6400円+税000
 
【目次】

固有時との対話/転位のための十篇

蹉跌の季節/昏い冬/ぼくが罪を忘れないうちに/涙が涸れる/控訴/破滅的な時代へ与へる歌/少年期/きみの影を救うために/異数の世界へおりてゆく/挽歌――服部達を惜しむ――/少女/悲歌/反祈禱歌/戦いの手記/明日になつたら/日没/崩壊と再生/贋アヴアンギヤルド/恋唄/恋唄/二月革命/首都へ/恋唄

アラゴンへの一視点/現代への発言 詩/労働組合運動の初歩的な段階から/日本の現代詩史論をどうかくか/マチウ書試論――反逆の倫理――
/蕪村詩のイデオロギイ/前世代の詩人たち――壺井・岡本の評価について――/一九五五年詩壇 小雑言集/「民主主義文学」批判――二段階転向論――/不毛な論争/戦後詩人論/挫折することなく成長を/文学者の戦争責任/民主主義文学者の謬見/現代詩の問題/現代詩批評の問/現代詩の発展のために/鮎川信夫論/「出さずにしまつた手紙一束」のこと/昭和17年から19年のこと/日本の詩と外国の詩/前衛的な問題/定型と非定型――岡井隆に応える――/番犬の尻尾――再び岡井隆に応える――/戦後文学は何処へ行ったか/芸術運動とはなにか/西行小論/短歌命数論/日本近代詩の源流

ルカーチ『実存主義かマルクス主義か』/善意と現実/新風への道/関根弘『狼がきた』/『浜田知章詩集』/三谷晃一詩集『蝶の記憶』/奥野健男『太宰治論』/谷川雁詩集『天山』/服部達『われらにとって美は存在するか』/島尾敏雄『夢の中での日常』 井上光晴『書かれざる一章』/平野謙『政治と文学の間』/野間宏『地の翼』上巻/山田清三郎『転向記』/埴谷雄高『鞭と独楽』『濠渠と風車』/堀田善衛『記念碑』『奇妙な青春』批判/中村光夫『自分で考える』/『大菩薩峠』/『純愛物語』

戦後のアヴァンギャルド芸術をどう考えるか/〈現代詩の情況〉[断片]/北村透谷小論[断片Ⅰ]/北村透谷小論[断片Ⅱ]/一酸化鉛結晶の生成過程における色の問題
解題〈間宮幹彦〉
 
 
今回の晶文社さんの全集は、編年体による編集であるため、複数巻にまたがって光太郎論が掲載されることとなります。上記目次のうち、色つきにしたものが、光太郎に詳しく言及している評論です。他にも短く光太郎を扱っている評論も含まれているかも知れませんが、わかりかねます。申し訳ありません。
 
さて、話は変わりますが、NHK Eテレ(旧教育テレビ)さんの教養番組「日本人は何をめざしてきたのか」で、来月、吉本が取り上げられます。今年度は「知の巨人たち」というサブタイトルで、前半4本が7月に放映され、後半4本を来月放送予定だそうです。まだ詳細な情報が出ていないのですが、後半4本の中に吉本が入ります。
 
ちなみに7月に放映された前半4本では湯川秀樹とその共同研究者・武谷三男、鶴見俊輔、丸山眞男、司馬遼太郎が取り上げられました。そして吉本他3名(誰になるか、まだ情報を得ていません)が後半のラインナップです。先月には吉本の盟友で、高村光太郎記念会事務局長・北川太一先生のところに取材が入ったそうです。詳細が判明しましたら、またご紹介します。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 12月9日
 
明治39年(1906)の今日、東京市本所区須崎町(現・墨田区向島5丁目)に、光雲が原型制作主任を務めた西村勝三銅像が除幕されました。
 
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西村は明治期の実業家。像は西郷隆盛像や楠正成像同様、東京美術学校としての制作でした。残念ながら戦時中の金属供出により、現存しません。